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パソコンとテレビのワイアレス接続 (DEMO Fall 10より)

Sunday, November 21st, 2010

Veebeamは、Burlingame (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、パソコンとテレビをワイアレスで接続する技術を開発している。同社はVeebeamという名称で、パソコンとテレビを接続する機器の販売を始めており、利用者はパソコン上のインターネット・ビデオを、テレビの大画面に映し、家族全員で観ることができる。(下の写真 (出展はいずれもVeebeam) 中央部の四角い機器がVeebeam本体。)

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Veebeamの製品概要

次のグラフィックスは、Veebeamのシステム構成を模式的に示しており、パソコン画面をワイアレスUSBで、テレビにストリーミングする機能を提供する。利用者は、まずパソコンに、Veebeamソフトウェアをダウンロードする。次に、Veebeamとテレビをコンポジット・ケーブルまたはHDMIケーブルで接続する。そして、パソコンにUSBアンテナを接続するだけでセットアップが完了し、パソコンのモニター画面がそのままテレビにストリーミングされる。Veebeamは、利用形態において、二つのモードを提供している。Screencastモードは、パソコン画面をそのままテレビ画面にストリーミングするモードで、ウェブサイトでのビデオや録画ビデオを、テレビで閲覧するときに使う。Play-Toモードは、パソコンでアプリケーションを使っている背後で、録画ビデオをテレビにストリーミングするモード。どちらのモードも、ビデオの操作はパソコンから行なう。

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Veebeam本体とパソコンに接続するUSBアンテナは、Wireless USBのプロトコールで接続され、転送速度は480Mbit/秒である。利用者はパソコン上で、YouTube、Netflix (映画レンタル)、Hulu (テレビ番組) などにアクセスして、ビデオ映像をテレビにストリーミングする形態となる。今までラップトップで見ていたビデオを、リビングルームのテレビに映し、家族で観ることができる。Veebeamは、シンプルな機能を簡単な操作で使えることが特徴で、価格は$99からとなっている。

市場概況

インターネット上のビデオを、テレビに映して観る家庭が急増し、この市場で様々な製品が登場している。Google TVは10月から販売が始まり、SonyとLogitechから製品が出ている。Google TVは、テレビにAndroidを搭載し、テレビとインターネットが一体となっている。一方、Apple TVは片手に乗る小型のデバイスで、インターネット上の映画やテレビ番組をレンタルすることができる。Veebeamは、第三の方式で、パソコンをテレビにストリーミングする方式を提供している。米国では、高額なケーブルテレビを解約して、インターネット上の有償・無償のコンテンツを楽しむ家庭が急増してきた。

第二世代のクレジットカード (DEMO Fall 10より)

Sunday, November 21st, 2010

DEMO Fall 2010で一番話題になった企業は、ピッツバーグに拠点を置く、Dynamicsというベンチャー企業である。Dynamicsは、次世代のクレジットカード技術を開発しており、Citibankで採用が決まり、試験運用が始まっている。

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Dynamicsという企業

Dynamicsがデモしたクレジットカードは二種類あり、MultiAccountカードとHiddenカードである。MultiAccountカードは、上の写真 (出展:Dynamics, Inc.) の通りで、一枚のカードが二つの番号を持ち、クレジットカードとデビットカードとして使用できる。または、同じクレジットカードでも、個人カードと企業カードを一枚に収納できる。利用者は1又は2のボタンを押して、種別を選択をする。

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Hiddenカードは上の写真 (出展:Dynamics, Inc.) の通りで、カード番号の中六桁がマスクされている。利用者は暗証番号を、AからEのボタンから入力し、認証されるとカード番号のマスクされている部分が表示される。(上の写真はマスクされている部分が表示されている様子。) 従って、カードを紛失しても悪用されることはない。どちらのケースも、利用者の入力が完了すると、磁気ストライプに情報が書き込まれ、使用可能となる。

Citibankでの運用事例

Citibankは、Dynamicsの技術を搭載したクレジットカードの発行を計画している。ブランド名はCiti Dividend Platinum Select MasterCardとCiti PremierPass Elite (下の写真、出展:Citibank)である。どちらのカードにもボタンが二つ付いていて、Regular CreditとRequest Rewardを選択できる構造である。 Regular Creditとは、このカードを通常のクレジットカードとして利用し、 Request Rewardとは、貯めた特典から支払いを行なう際に利用する。利用者は、C又はRのボタンを押して使う機能を選択する。このカードは、今月から試験運用が開始され、来年末までに本格運用が始まる。

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カードの中には、半導体回路と電池が搭載されているが、フォームファクターは現行のカードと同じで、既存のクレジットカードのインフラをそのまま使用できる。クレジットカードは、1970年代に登場し、40年間技術進化が無かったが、Dynamicsはカードにインテリジェンスを持たせ、利用者に便利で安全な機能を提供している。

価格交渉ショッピングサイト (DEMO Fall 10より)

Friday, November 12th, 2010

Browsemob (ブラウズモブ) は、Hemet (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、ウェブ・ショッピングにおいて、価格値引き交渉ができる機能を提供している。DEMO Fall 2010の会場で、同社の創設者であるMatthew Hurewitz (マシュー・ヒュアウィッツ) に、その仕組みや狙いなどについて、聞くことができた。

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Browsemobという企業

Browsemobは、利用者がウェブ・ショッピングをする際に、定価で購入するのではなく、値切ることのできる機能を提供している。まず、利用者は、Browsemobで会員登録を行い、IDとパスワードでログインする。Browsemobのサイトに入ったら、初回だけ、Price Tagアイコンをドラッグして、ブックマーク・バーに登録しておく。次に、他社のショッピング・サイトに入り、買い物を行なう。現在、Browsemobは試験運転中で、Gap.comだけを対象にサービスを提供している。上のスクリーンショット (出展:VentureClef) は、Gap.comでショッピングしている様子である。このサイトでWool Blend Blazerという商品のページで、この商品を購入しようとしているところである。通常なら、このサイトでチェックアウトして購入するのであるが、この商品をカートに入れる代わりに、ブックマーク・バーに登録したBrowsemobのアイコンをクリックすると、画面右端の青色のウィンドウが開く。これは、Browsemobのウィンドウで、ここに商品名 (Wood Blend Blazer) と定価 ($128.00) が表示される。利用者は、Your Priceという枠に、応札価格を入力する。定価で買うのではなく、希望価格を提示するのである。この例では、$90を提示しているところである。この提示価格に対してBrowsemobは、Likelyと表示して、価格交渉は成立する可能性があると教えてくれる。この他にNot likely…、Maybe、Very likely!のコメントが表示される。後日、利用者は、Browsemobのサイトで再度ログインして、価格交渉の結果を閲覧する。交渉が成立した商品については、My Approved Dealsというフォルダーに表示され、利用者は指定された近所のGap店舗に出向いて、その商品を、合意した価格で購入することになる。(上述の事例では、こちらから提示した価格については、ペンディングとなっており、三日経過しても、結果は出ていない。)

Hurewitzは、このサービスの狙いについて、店舗側からの観点を強調して説明してくれた。Browsemobで利用者が入力した価格は、近くの店舗の責任者に送信される。店舗側は、在庫や販売の状況から、利用者が提示した価格を、受けるかどうかを決定する。店舗側は、広告掲載による値引きではなく、利用者との直接交渉での値引きとなる。これにより、店舗はウェブ上の消費者を、店舗に引き入れることができる。Hurewitzはこれを、「顧客をリアルな店舗に導くツール」であると表現した。情報技術をリアル店舗の販売促進に活用する事例が増えてきた。

企業向けチェックイン (DEMO Fall 10より)

Friday, November 12th, 2010

若者の間では、Check-In (チェックイン) と呼ばれる、スマートフォンのアプリケーションがブームになっている。この市場を切り開いたのが、Foursquare (フォースクエア) というベンチャー企業で、これを追ってFacebookは、Placesという機能をリリースした。チェックイン機能をゲームとして使うだけでなく、企業は販売促進に活用すべく、様々な試みを始めた。Facebookは、小売店舗がPlacesにクーポンを配信して、利用者を呼び込むサービスを開始した。

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DoubleDutchという企業

Facebook Placesというパブリックなチェックイン機能を使うのではなく、キャンペーンを展開する企業に特化したサービスが登場している。その一つがDoubleDutch (ダブルダッチ) という、サンフランシスコに拠点を置くベンチャー企業である。DEMO Fall 2010の会場において、同社CEOのLawrence Coburn (ローレンス・カバーン) から、製品概要や応用事例について説明を聞いた。DoubleDutchは、iPhoneやAndroid向けに、ホワイト・ラベルのチェックインを提供している。ホワイト・ラベルとは、無印のアプリケーションで、企業が自社のロゴを入れ、キャンペーン内容を定義して、消費者にチェックイン機能を提供する方式である。Coburnは、DoubleDutchの狙いを、「企業がカストマイズできるチェックイン機能」、と説明してくれた。この機能を実際に使っているのは、Footbalistic (フットボーリスティックス) という企業で、サッカー・ファン向けに、レストランやバーの情報配信を行なっている。上のスクリーンショット (出展:Footbalistics) は、FootbalisticsというiPhoneアプリケーションで、DoubleDutchのチェックイン機能を、Footbalistics向けにカストマイズしたものである。左側の画面は、サッカー・ファンが集うバーやレストランを表示している。右側の画面は、これらのバーやレストランにチェックインした利用者を示している。このアプリケーションは、サッカー・ファンがバーやレストランに集まって、一緒に試合を観戦するためのツールである。同時に、サッカー・ファンは、チェックインを重ねることにより、Stickers (バッジ) の数を競うゲームを楽しむことができる。一方、Footbalisticsとしては、利用者サービスの向上に加え、レストランやバーのプロモーションを展開できる。DoubleDutchは、他にも、アリゾナ州立大学で、大学構内の案内と、学生間でのコミュニケーション・ツールとしても使われている。

チェックイン機能を利用して、商品の販売促進を行なう企業が増えてきた。チェックインには、Facebook Placesというパブリックなサービスを利用する方式と、DoubleDutchのように、独自のサービスを展開するという、二つの方式がある。DoubleDutchは、今後、利用者のチェックイン状況を分析する、アナリティックスを提供するとしている。企業としては、何処でどれだけチェックインされたかを把握でき、キャンペーン効果を測定することができる。チェックイン機能が如何に販売促進に貢献できるか、検証され始めた。

イメージ・インテリジェンス (DEMO Fall 10より)

Thursday, October 28th, 2010

IQ Engines (アイキュー・エンジンズ) は、Berkeley (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、iPhoneで撮影した写真が、何であるかを教えてくれる技術を開発している。DEMO Fall 2010において、同社のブースにて、ソフトウェア開発責任者であるHuy Nguyen (ヒュイ・ヌエン) が、iPhoneを使ってIQ Enginesのデモをしながら、製品を紹介してくれた。

IQ Engines概要

IQ Enginesを製品化したものは、oMoby (オモビー) というiPhoneアプリケーションとして公開されている。利用者は、iPhoneでoMobyを起動し、写真撮影したイメージを、サーバに送信すると、oMobyは、写真撮影されたイメージが何であるかを答えてくれる。下の画面 (出展:IQ Engines) がその事例で、iPhoneで写真撮影した清涼飲料容器のイメージ (左側) に対して、oMobyはそれがDiet Cokeであると回答 (右側) している。

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更に、Diet Cokeのアイテムをクリックすると、その詳細情報が表示される。併せて、Office Depotにて、Diet Coke Classic四ケースを13.59ドルで販売していると、広告メッセージが表示される。Nguyenは、この仕組みについて、「IQ Enginesは、撮影したイメージを、ライブラリーに格納しているイメージと比較して、それが何であるか認識する。もしイメージが、ライブラリーに無い場合は、クラウドソーシングを利用する。」と、動作概要を解説してくれた。クラウドソーシングとは、撮影されたイメージに対して、人間がマニュアルでその属性を判定する作業である。マニュアルでタギングされたイメージは、ライブラリーに追加され、IQ Enginesは学習を重ね知識を増やしていく。

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Nguyenは、iPhoneを使って、oMobyのデモを実演しながら、その仕組みを解説してくれた。ブースでスタッフが食べていたスナック菓子Doritosのパッケージ (上の写真左側、出展:Frito Lay) を写真撮影して、IQ Enginesに送信した。IQ Enginesは、即座に、「Doritos」であると、検索結果を表示した。この処理は、パッケージに印字されている名前を読み取っているのかと質問すると、Nguyenは、パッケージに書かれている名前を手で覆って写真撮影したが、IQ Enginesは、正解を返してきた。IQ Enginesは、OCR (Optical Character Recognition) ではなく、イメージ検索をしていることが分かった。次に、Nguyenは、その場で名刺の裏に、手書きで顔の絵 (上の写真右側、出展:VentureClef) を描き、それをIQ Enginesに送信した。IQ Enginesは、イメージを認識できず、上述のクラウドソーシングで、「Face Drawing」と回答した。このイメージは、IQ Enginesのライブラリーにはなく、人がマニュアルで判定する作業を経て回答された。

IQ Enginesのビジネスモデル

IQ Enginesは、oMobyというアプリケーションを無償で提供しており、誰でも自由に使え、IQ Enginesの機能をベンチマークできる。また、前述の通り、oMobyは主要ブランドのマーケッティング媒体としても利用されている。この他に、IQ Enginesは、IQ EnginesのAPI (Application Program Interface) を有償で公開している。

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IQ EnginesのAPIを使うには、まず、利用者登録をして、サイトにログインする。次に、検索する写真をIQ Enginesのサーバに送信する。因みに、私が撮影した写真の中から、上のイメージ (サンフランシスコ駅に停車しているCaltrain) を、IQ Enginesのサーバに送信すると、サーバから写真下段のレスポンスが返ってきた。ここに、「”labels”: “Train”」との記述があり、この写真は「列車」であると正しく判定した。企業はこのAPIを使って、様々なアプリケーションを開発することができる。例えば、会社のウェブサイトに掲載されている写真に、このAPIを使って、ラベルをつけることができる。写真に正しくタギングしておけば、検索エンジンがこれらイメージを正しくインデクシングできる。これにより、検索エンジン最適化を行なうことができ、また、Google AdSenseを使って広告を掲載する際には、最適な広告メッセージが配信されることになる。因みに、API使用料金は、100イメージ/日までは無料で、これを超えると7セント/イメージとなる。

トレンド

IQ Enginesは、University of California at DavisとUniversity of California at Berkeleyの、共同研究プロジェクトとしてスタートした。両校の神経科学者とコンピュータ科学者が、共同で、人間が物を見て、イメージを覚え、後日、それを思い出す過程を、コンピュータで再現することを目標に研究を開始した。08年に会社を設立し、National Science Foundation (アメリカ国立科学財団) やNational Institute of Health (アメリカ国立衛生研究所) などから$1Mの基金を得ている。

この分野では多くの企業が研究開発を行なっている。Googleの研究部門であるGoogle Mobile Labsは、スマートフォンで撮影した写真イメージを検索するサービスを提供している。このサービスはGoogle Gogglesと呼ばれ、利用者は、スマートフォンで撮影した写真イメージを、検索エンジンに送信し、検索エンジンは、撮影されたオブジェクトが何であるかを回答する。利用者は、美術館で絵画の写真撮影を行い、Google Gogglesはその絵について解説したり、名所旧跡の写真からその場所についての説明をするサービスである。大変便利な機能であるが、正解率は三割程度と、精度に大きな課題を抱えている。写真を正しく認識する技術はまだまだ未開の領域で、Googleやベンチャー企業で技術開発が続けられている。