Archive for the ‘政府’ Category

米国で白人至上主義団体の活動が拡大、しかしDNA解析により活動家の多くは純粋な白人でないことが判明

Friday, August 11th, 2017

米国で白人至上主義団体による抗議活動が激化している。バージニア州シャーロッツビルでは白人至上主義者がクルマで反対集団を襲撃し死者と多数の負傷者がでる惨事となった。白人至上主義団体や極右団体が台頭し社会に不安が広がっている。同時に、DNA解析サービスの普及で白人の定義が明確になり白人至上主義の価値観が揺らいでいる。

出典: Google

DNA解析サービスの結果は

白人至上主義 (White Supremacy) 団体の活動が拡大する中、活動家はDNA解析サービスを利用し自身が純粋な白人であることを確認する動きが始まった。純粋な白人であると思っていた活動家がDNA解析を受けると白人以外の人種が混ざっていたというケースが相次いで報告されている。活動家の多くは”白くない”という事実が判明しそのアイデンティティが揺らいでいる。

白人至上主義者の研究

この事実はカリフォルニア大学ロサンジェルス校のAaron PanofskyとJoan Donovanの研究で明らかにされた。研究結果は「When Genetics       Challenges a Racist’s Identity: Genetic Ancestry Testing among White Nationalists」として公開された。この研究は白人至上主義者の交流サイト「Stormfront」を追跡調査したもので、ここに投降される記事からDNA解析に関連するものを抽出し内容を分析したものとなっている。活動家の多くがここで意見を交換するが最近ではDNA解析に関する書き込みが目立っている。

純粋な白人は少数

論文によると白人至上主義者は純粋な白人であることを確認するために23andMeなどを利用してDNA解析による家系解析検査 (genetic ancestry test) を受けている。しかし、純粋な白人であることを確認できたのは1/3に過ぎず、残りの2/3は異なる人種が混じっていると報告している。純粋な白人でないと判定された人たちはこの結果をどう受け止めるべきか葛藤が続いている。

研究結果の具体的な事例

その一人がノースダコタ州に住むCraig Cobbという男性である。DNA解析サービスを受けたが、その結果ヨーロッパ人種 (European) である割合は86%で残りの14%はアフリカ人種 (Sub-Saharan African) であることが分かった。Cobbはテレビ番組に出演し独自の意見を展開した。この結果を受け入れることはできず「統計エラー」であると述べている。また「DNA解析技術はジャンクサイエンス」で「結果は仕組まれたもの」と奇異な解釈を示した。Cobbは黒人から友達と呼ばれ握手を求められるがこれを断るシーンも放送された。また、別の会員は「鏡を見て白人に見えれば問題ない」とか、「テスト結果ではなく本人の心情が重要」などと苦しい見解が目立っている。

出典: 23andMe

23andMeの人種特定サービス

23andMeは遺伝子による人種特定サービス「Genetic Ancestry Composition」を展開している。被験者のルーツを辿るサービスでDNAを解析して人種を特定する。被験者の多くは複数の人種から構成されこのサービスはその割合を示す (上の写真)。対象となる人種の区分は「European」、「South Asian」、「East Asian & Native American」、「Sub-Saharan African」、「Middle Eastern & North African」、「Oceanian」の六種類からなる。日本人は「East Asian」に区分され、ここには「Japanese」の他に、「Korean」、「Yakut」、「Mongolian」、「Chinese」が含まれている。(Yakutとはロシア連邦サハ共和国に居住するヤクート族。)

世界の国々からサンプルを収集

23andMeは人種を特定するために被験者の遺伝子と特定地域に住んでいる人の遺伝子を比べる手法を取っている。まず、世界の国々からサンプルを集め人種と遺伝子を関係づけたデータベース (Referenceと呼ばれる) を生成する。被験者の遺伝子をReferenceと比較して人種を特定するプロセスとなる。Referenceの総数は10,000を超えるが、その多くは外部研究プロジェクト (スタンフォード大学のHuman Genome Diversity Projectなど) 結果を引用している。これに加え、23andMe会員のデータも利用している。

白人至上主義とは

白人至上主義は過去のものと思われていたが日々のニュースで登場する回数が増えた。白人至上主義とは白人が他の人種より秀でているというイデオロギーで白人が社会をコントロールすべきという考え方を示している。色々な団体があるがクー・クラックス・クラン (Ku Klux Klan) が有名で今でも活動を続けている。

南北戦争と関連する

米国の白人至上主義は南北戦争 (Civil War) に関連している。エイブラハム・リンカーン (Abraham Lincoln) は大統領になる直前、奴隷制度の拡大を禁止した。南部11州はこれに反対しアメリカ合衆国を離脱し独自にアメリカ連合国 (Confederate States of America) を設立した。連合国は1861年、サウスカロライナ州のサムター要塞 (Fort Sumter) を攻撃し南北戦争が始まった。連合国の大統領がJefferson Davisで、連合国軍を指揮した将軍がRobert E. Leeであった。連合国は合衆国に敗れ1865年に戦争は終わった。

連合国の彫像を撤去

戦争には敗れたものの、連合国を回想する目的でJefferson DavisやRobert E. Leeの彫像が数多く建立された。一方、人権団体からこれらは人種差別を象徴するとして彫像を撤去する声が高まり、各州や市は撤去作業に向けて動き出した。シャーロッツビル市はRobert E. Lee将軍の彫像 (先頭の写真) を撤去することを表明し、これに反対する白人至上主義団体は彫像を守るために集会を開き、これが惨事につながった。

歴史の解釈は難しい

この衝突を繰り返さないため他の州や市はJefferson DavisやRobert E. Leeの彫像の撤去作業を急いでいる。人種差別を象徴するシンボルは公の場には相応しくないというのがその理由である。一方、識者の中にはアメリカの歴史を後世に伝えるため、暗い事実を葬り去るのではなく過去の教訓として残すべきという意見も少なくない。事実、米国の国会議事堂 (United States Capitol) には50州を象徴する彫像が100体展示されている (下の写真)。ここにはJefferson Davis (ミシシッピー州を代表) とRobert E. Lee (バージニア州を代表) も含まれており、撤去すべきかどうかその取扱いについて議論が続いている。

出典: National Statuary Hall

白人至上主義者はアイデンティティが揺らぎ活動が減衰するのか

白人至上主義団体や極右団体の活動が活発になっている理由はトランプ大統領のポジションが影響している。トランプ大統領は白人至上主義団体の過激な活動に寛容な態度を見せており、これが活動を暗に支持していると受け止められている。抗議活動には参加しないもののこの動きを支持するグループが存在しこれがトランプ大統領の支持基盤となっている。トランプ政権のもとで極右勢力が広がるのか、それとも白人至上主義者はアイデンティティが揺らぎ活動が減衰するのか、その動きが注目されている。

パリ協定離脱の真相はブレインの不在、トランプ政権の危うい科学技術政策

Friday, June 9th, 2017

トランプ大統領はパリ協定から離脱することを発表し (下の写真) 混乱が広がっている。大統領は離脱の理由をアメリカ経済を優先するためと説明した。しかし、脱退の狙いはトランプ支持者にアピールし支持基盤を固めるためといわれている。問題の根は深く地球温暖化対策だけでなく、トランプ政権の科学技術政策も危うい状況にある。

出典: The White House

ホワイトハウスで混乱が続く

トランプ大統領が就任して以来、ホワイトハウスで混乱が続いている。科学技術分野に関してはOffice of Science and Technology Policy (OSTP、アメリカ合衆国科学技術政策局) のポストが空席のままである。OSTPとは大統領の科学技術政策に関するブレインで、その長官は米国政府のCTOと呼ばれている。トランプ政権では科学技術政策を立案するためのアドバイザーがいない状態が続いている。

大統領はホワイトハウスの機能を信用していない

OSTPはホワイトハウスの組織で1976年、フォード政権時代にアメリカ議会により設立された。OSTPの使命は大統領が政策を立案する際に科学的な見地からアドバイスすること。OSTP長官は連邦政府のCTOとして認識され、大統領の科学技術政策や予算政策を支援してきた。オバマ政権ではJohn HoldrenがOSTP長官を務め、がん研究や脳解明プロジェクトなどの科学技術政策を支えてきた (下の写真)。現在OSTP長官は指名されておらず空席であるが、その理由はトランプ大統領がホワイトハウスの機能を信用していないためとされる。

出典: The White House

シンクタンクにアドバイスを求める

トランプ大統領は政策のアドバイスをホワイトハウスではなく外部シンクタンクに求めている。その一つが「Heritage Foundation」という保守系シンクタンクだ (下の写真)。Heritage Foundationは1973年に設立され共和党の政策立案に大きな影響を与えてきた。レーガン大統領は政府組織を縮小し小さな政治を目指したが、その政策基盤はHeritage Foundationの思想がベースになっている。

パリ協定についてのアドバイス

トランプ大統領は選挙期間中もHeritage Foundationからアドバイスを受けた。地球温暖化問題に関してもアドバイスを受け、選挙公約としてパリ協定脱退を表明していた。その根拠は「パリ協定に参加すると米国のエネルギーコストが上昇し、雇用が失われ、家庭の負担が2万ドル増える」というHeritage  Foundationの試算にある。

最終判断に大きな影響

Heritage Foundationは同時に、パリ協定を脱退することを支持層にアピールし、公約を実行する姿勢を示すべきとトランプ大統領にアドバイスした。トランプ大統領の最終決断はこのアドバイスが大きく影響し、科学的見地からではなく、Populism (中間層へのアピール) を選択したという解釈が広がっている。Heritage Foundationはこの成果を「Heritage Research Impacts Trump’s Decision to Withdraw From Paris Climate Deal (Heritageの研究が離脱の決断をもたらした)」という記事で公開しその成果を広くアピールしている。

バランスの問題

パリ協定以外に科学技術政策全般にわたりOSTPの機能が使われていない。OSTPという行政府組織ではなく特定方向に強い意見を持つシンクタンクのアドバイスを受け入れている。大統領がシンクタンクに意見を求めるのは常套手段であるが、行政府の機能を飛び越し特定のシンクタンクの意見だけで政策が立案されるのはバランスを欠いている。

政策に大きな影響を与えてきた

一方、Heritage  Foundationは連邦政府の政策に大きな影響を与えてきたことも事実である。オバマ政権下では共和党向けに医療保険制度改革 (オバマケア) に反対する根拠を立案し、法案成立後はオバマケアを置き換える運動を展開した。これがTea Party運動となり連邦議会で共和党が躍進する後ろ盾になった。ブッシュ政権ではAnti-Ballistic Missile Treaty (弾道弾迎撃ミサイル制限条約) を破棄し防衛力強化を進めた。ロシアとの友好関係が崩れ再び冷戦時代に向かうことになった。

出典: Heritage Foundation

大統領予算教書

予算教書 (Budget Proposal) も科学技術政策に関するブレイン不在で立案された。トランプ大統領は就任後初となる予算教書を公開した。公約通り連邦政府各省庁の予算が大幅に削減された。Environmental Protection Agency (環境保護庁) とDepartment of Agriculture (農務省) の予算は30%削減され、反対に国防費と治安関連費は大規模に増額された。

科学技術関連予算が大幅に削減された

予算教書の中では科学技術関連予算が大幅に削減された。National Institutes of Health(NIH、国立衛生研究所)は医療技術の研究拠点で先進治療法が開発されている。NIHの予算は18%削減され医療技術研究に大きな影響がでると懸念されている。National Cancer Instituteはガン治療先進技術開発プロジェクト (Moonshot Project) を運用しているが継続できない可能性がでてきた。また、オバマ大統領が始めたヒトの脳を解明する研究「Brain Initiative」の予算が削減されプロジェクト規模が縮小される。この研究がアルツハイマー病の治療や人間レベルのAI開発につながると期待されていただけに先行きが見通せない。

NASAの予算は確保された

一方、NASAの予算は1%程度の削減で現行プロジェクトが継続される。NASAの研究は地球を対象としたものからDeep-Space Explorationと呼ばれる月探査や火星探査が中心となる。最終目的は太陽系システムで人が生活することを目指し、当初の計画通り、海外の国々と協力してプロジェクトが進められる見通しとなった。ただし、予算は議会の承認を経て成立するため今後の審議に注目していく必要がある。

トランプ大統領の政策とは独立に対策が進む

連邦政府の方針とは独立にカリフォルニア州やハワイ州などは独自で地球温暖化防止政策を推進している。カリフォルニア州は中国や欧州と連携し連邦政府に代わり温暖化対策を進め、パリ協定離脱の影響を最小限にとどめる姿勢を取っている。カリフォルニア州知事Jerry Brownは中国Xi Jinping (習近平) 大統領と会談しクリーン技術開発を進めている。中国は温暖化問題についてカリフォルニア州など州政府と協調する姿勢を示している。

出典: www.WeAreStillIn.com

パリ協定離脱に反対する署名活動

トランプ大統領のパリ協定離脱に反対する署名活動はいまも続いている (上の写真)。反対の意を表明するだけではなく、パリ協定を離脱するものの地方政府、大学、企業は地球温暖化対策を継続して進めるという決意を世界に向けて表明する意図がある。5千団体から署名が集まり大きな流れとなっている。パリ協定離脱後もアメリカ社会の地球温暖化防止の意識は高く努力が続いている。

Googleは駐車場の込み具合をAIで予測する技術を開発、センサーは不要でアルゴリズムが正確に推定

Friday, February 3rd, 2017

駐車場管理はInternet of Thingsの得意分野で、設置したセンサーがクルマの有無を捉え混雑状況を把握する。Googleのアプローチはソフトウェアで、クルマの流れをMachine Learningで解析し混雑状況を正確に推定する。駐車場にセンサーを設置することなく、アルゴリズムのパワーで施設を管理する。

出典: VentureClef

駐車場の混雑情報を表示

駐車場の混雑状態を表示するサービスが今月から始まった。Google Mapsで目的地までの道順を検索すると、駐車場の込み具合も表示される (上の写真、最下段の分部)。例えば、Mountain View市街に向かうとき、駐車場の込み具合は「Medium」となっている (上の写真左側)。これは「駐車場を探すのは難しくない」という意味で、時間通りに出発できる。込み具合に応じて出発時間を調整することができる。

駐車場が無ければ電車で移動

一方、サンフランシスコのカンファレンス会場への道順を検索すると、駐車場は「Limited」と表示される (上の写真右側)。これは「駐車場は限られている」という意味で、駐車場を探すために時間がかかると注意を促している。駐車が難しいのであれば電車で行くという選択肢も浮上する。事実、Googleによるとこのサービスを始めると、電車で移動するルートの検索件数が急増したとしている。

混雑状況を把握する仕組み

Googleは新サービスの仕組みを「Using Machine Learning to predict parking difficulty」として公表した。これによると、駐車場空きスペースを把握するために、クラウドソーシングとMachine Learningという技法を使っている。クラウドソーシングとはユーザデータを集約して利用することを示す。このケースではGoogle Mapsユーザの位置情報を集約して利用する。Google Mapsユーザに「駐車場を探すまでどのくらいかかりましたか?」という質問を送り、その回答を集約し、駐車場を探す難易度を算定した。Googleはこの手法で信頼度の高いGround Truth (基準データ) を収集した。

店舗やレストランの混雑状況

Googleは早くから利用を許諾したユーザの位置データを使ったサービスを展開している。その代表がGoogle Mapsで表示されるLive Traffic (渋滞情報) でクルマの流れをリアルタイムで表示する。また店舗やレストランのPopular Time (混雑情報) やVisit Duration (滞在時間) を提供している。便利なツールで生活の一部として利用されている。

クラウドソーシングの限界

しかしこの手法だけでは駐車場の込み具合を正確に推定することはできない。クルマを駐車する場合はパターンの数が多く、これらの要因も考慮する必要がある。例えば、クルマが私有地に駐車すると、アルゴリズムは空きスペースがあると誤認する。また、利用者がタクシーやバスで移動したケースも、アルゴリズムは駐車スペースがあると誤認する。駐車スペースを判定するためにはクラウドソーシングの手法では限界がある。

出典: VentureClef

クルマの移動パターンと駐車場の有無

このためクルマがどんなパターンで移動すると駐車場が無いことを示すのか、その特徴量を見つけることがカギとなる。昼食時間にクルマが街中を周回する動きをすると (下の写真)、これは駐車場が無いためと判断する。一方、利用者が目的地に到着し、そのまま施設に入った場合は駐車場があったと判断する。このような特徴量を把握してアルゴリズムに反映した。

出典: Google

20のモデルを生成

この他に目的地に特有な条件や駐車場の位置に依存した要因も考慮する必要がある。また、駐車する時間や、駐車する日に依存する条件なども取り入れる。更に、過去の統計情報も利用された。最終的には20のモデルが作られ、これを使ってアルゴリズムが教育された。

Logistic Regressionという手法

前述の通り、このモデルの解析ではMachine Learningが使われた。Machine Learningには様々な手法があるが、その中でもLogistic Regressionという技法が使われた。Logistic Regressionとは統計学の代表的な技法で、変数の間の関係を推定する。アルゴリズムを教育することで、ある変数を入力すると、その結果を推定することができる。つまり、Logistic Regressionはある事象に関する結果を予想する。ここではドライバーの運転データを入力すると、駐車場を探すのが容易であったか、困難であったかを推定する。アルゴリズムは容易か困難かの二つの値を出力し、これはBinary Logistic Modelと呼ばれる。

Deep LearningではなくMachine Learningを採用

Deep Learningで世界をリードするGoogleであるが、敢てMachine Learningの技法を使ったことは興味深い。具体的には、Neural Network (人間の脳を模したネットワーク) ではなくLogistic Regression (統計手法) が使われた。Googleはこの理由として、「Logistic Regressionは技術が確立しており、挙動を理解しやすいためと」述べている。このことは、Neural Networkは中身がブラックボックスでその挙動が分かりにくいということを示す。

今年のAI技法のトレンド

Googleや他の企業でMachine Learningを見直す動きが広がっている。Neural Network全盛時代であるが、長年にわたり培われた技法を改良しうまく利用しようとする試みである。同時に、Neural Networkのブラックボックスを開き、仕組みを解明しようという研究も始まった。AIの観点からは、Machine Learningの改良とNeural Networkの解明が今年の大きなテーマになっている。

サンフランシスコ市街の駐車場

この技法でサンフランシスコ市街の駐車場の混雑を予測すると下の写真の通りとなる。市街地を区画ごとに分け駐車場の込み具合を表示している。色の濃い部分が混雑が激しいことを示す。上段は月曜日で下段は土曜日。左側は午前8時で右側は午後9時の標準的な込み具合を表示している。月曜日の朝はFinancial Districtを中心としたビジネス街の駐車場が混むが、土曜日の夜はUnion Squareを中心とした観光スポットの駐車場が込むことが分かる。

出典: Google

サンフランシスコ市の取り組み

駐車場管理や混雑情報の発信は行政の責任でもある。事実、サンフランシスコ市は駐車場にIoTを導入し、混雑度を把握する実証実験「SF Park」を進めている。サンフランシスコ市街地では路上駐車スポットにParking Meterが設置され、コインやカードやアプリで駐車料金を支払う (下の写真)。同時に、Parking Meterがセンサーとなり、クルマの有無を検知する。Parking MeterはIoT専用ネットワークSigfoxで結ばれ、駐車スポットの込み具合を集約する。このIoTシステムが完成すると、駐車場混雑情報がリアルタイムで分かることになる。

出典: San Francisco Municipal Transportation Agency

センサー対アルゴリズム

果たしてサンフランシスコ市によるIoT駐車場管理システムは正しく混雑状態を把握できるのか関心が高まっている。Parking Meterで駐車を正しくセンシングできるかという問題である。Parking Meterのある駐車スポットに違法で駐車したり、また、特別許可証を持ったクルマが駐車した場合は空きと判断される恐れがある。また、駐車時間が残っているのにクルマを出す人もあり、このケースでは駐車中と判断される可能性が高い。

スマートシティー開発のモデルケース

リアルタイムで正確な駐車場空き情報を把握するのは難しい作業となる。これに対し、Googleはセンサーは使わないでアルゴリズムが混雑状況を把握する。センサーとアルゴリズムの戦いが始まり、どちらに軍配が上がるのか地元住民だけでなく全米で関心が高まっている。GoogleやSF Parkの取り組みが米国で展開されているスマートシティー開発のモデルケースとして注目されている。

トランプ大統領は米国に製造業を呼び戻すが自動化で雇用は増えない、強い国づくりにはロボット産業再生が必須

Friday, January 27th, 2017

トランプ大統領は米国に製造業を呼び戻すことを最重点課題として掲げている。自動車メーカーに工場を米国に移転するよう強く求めている。しかし、最新工場はロボットなどで自動化が進み、従業員の数は多くない。新工場が稼働しても生み出される雇用者数は限られる。

出典: UNCTAD

本国回帰Reshoringの流れが始まる

これと並行して、工場が高度に自動化されることで、労働賃金の安い国で製造するメリットが薄らいでいる。発展途上国での生産施設を本国に戻す動きが起こっている。この流れはOff-Shoringに対し「Reshoring」と呼ばれている。トランプ大統領に要請されなくても、米国で製造するメリットが大きい時代になってきた。この潮流はトランプ政権の産業政策に大きな影響を与えることになる。

発展途上国で職が失われる

国際連合 (United Nations) の主要組織であるUNCTAD (United Nations Conference on Trade and Development) は2016年11月、Reshoringの流れを分析したレポートを発表。UNCTADは発展途上国への投資や経済支援などを目的に設立された組織で、先進国でロボットが普及すると発展途上国労働者の職が奪われると予想する。労働賃金が低いことで成立していた発展途上国の製造工場が、ロボットの普及で脅かされていると警告している。

自動車とエレクトロニクス

ロボットなどの自動化技術の進化で最も影響を受けるのは発展途上国で、今後2/3の職が失われると指摘する。まだ経済へのインパクトは小さいが、これから多くの企業が製造施設を本国に戻す流れが本格化すると予測している。産業用ロボットは主に自動車とエレクトロニクス産業で使われており、これらの製造工場が集中するメキシコとアジア諸国への影響が大きいと分析している。

中国に産業用ロボットが集中

レポートは世界の産業用ロボットの稼働状況についても分析している (先頭のグラフ)。中国は2013年から産業用ロボットを大規模に導入している。年間の購入金額は30億ドルを超え、2016年末には設置台数で日本を抜くと予想している。今までは日本が産業用ロボットの設置台数で世界をリードしてきたが、これからはロボットは中国に集中することになる。

出典: Tesla

製造業はアメリカ回帰の傾向

Reshoring先は製品最終仕向け地や製造施設を運用する環境などが判断材料になる。自動車では巨大市場を擁すアメリカに製造施設を移転する可能性が高くなる。ロボットで自動化が進むと、米国内での製造コストがメキシコ工場でのコストと大きな違いがなくなる。Teslaはシリコンバレー郊外でクルマを製造するが (上の写真)、工場は高度に自動化されコスト競争力があることを示している。トランプ大統領の強い要請でFordはメキシコ工場建設計画を撤回し、ミシガン州で製造規模を拡大する。この決断の背景には輸入税 (Border Tax) だけでなく工場の自動化技術があるのかもしれない。

工場は戻るが雇用は限定的

しかし、工場が米国に戻って来てもロボットによる自動化で従業員数は大きくは増えない。産業がアメリカに回帰するものの、雇用を生み出すという面ではその効果は限定的である。更に、AIやロボットにより米国産業全体で職が失われることになる。トランプ政権ではAIによる大失業時代を迎えることとなり、その対策で重い荷を背負うこととなる。

ロボット産業育成が重要

製造業を支える重要な基盤技術はロボットであるが、これら産業用ロボットは欧州と日本で開発されている。強いアメリカを取り戻すためには、ロボット技術を持つことが要件となる。トランプ大統領はロボット政策について見解を発表していないが、New York Timesとのインタビューでこれに触れている (下の写真)。New York Timesが「工場で職を奪うのはロボットでは?」との問いかけに対し、「その通りで、(米国で)ロボット開発を進める必要がある」と答えている。また、米国に産業用ロボット企業が無いことも認識しており、ロボット産業育成が重要であるとの見解を示した。

出典: New York Times

市場でもロボット産業育成の声

米国産業界でロボット開発を進める必要性について議論が高まっている。ロボットニュースサイトRobot Reportによると、ロボットの2/3が米国外で生産されている。更に、産業用ロボットについては全て海外製である。産業用ロボットは米国で生まれたが、今では米国は全てを輸入に頼っている。シリコンバレーに拠点を置くAdept Technologies社が米国における最後の産業用ロボット企業といわれてきた。しかし同社はオムロンに買収され、米国から産業用ロボット企業がなくなった。

トランプ大統領への提言

米国の産業用ロボットが衰退した理由は政府からの補助金が少ないためという意見が多い。米国の実業家で投資家であるMark Cubanは、トランプ大統領に対してロボット開発を推進するよう提言した。トランプ大統領は1兆ドル (100兆円) をインフラ整備に投資するとしているが、Cubanはその中で1000億ドル (10兆円) をロボット開発に投資すべきとしている。米国で生まれたロボットを復活させる必要があると主張する。政府はEVや再生可能エネルギー産業の育成で成功したように、今度はロボット産業に注力すべきとの見解を示している。

高度なAI技法をロボットに適用

ロボット開発ではGoogleが最新のAIを活用し研究開発を加速している。Googleのアプローチはコモディティ・ハードウェアに最新のAI技法を取り込み高度なロボットを開発するというもの。この背後では「Reinforcement Learning」といわれるAI技法が使われている。この技術は囲碁ソフトAlphaGoで使われ、人間のチャンピオンを破り世界の注目を集めた。今度はこれをロボットに応用する。

ロボットがお互いに教え合う

ロボットは学習したノウハウを他のロボットと共有する。数多くのロボットがReinforcement Learningの手法で学習するが、習得した知識はクラウド「Cloud Robotics」に集約される。ここで知識をポリシーに昇華し他のロボットと共有する。つまり、数多くのロボットが並列で学習することで、技能の習得が格段に早くなる。この手法は「Transfer Learning」と呼ばれ注目されている。(下の写真は4台のロボットがドアの開け方を学習している様子。それぞれのロボットが学んだことを4台で共有する。)

出典: Google

ロボットが人間のように学ぶ

人間や動物は試行錯誤で新しいスキルを学習するが、このモデルをロボットに応用したのが上述のReinforcement Learningである。ロボットは失敗を繰り返しながら、目的を完遂できるよう自ら学習していく。人間や動物はこれに加え、物に触るとそれがどう動くかを理解している。人間は内部にメンタルモデルを構築し、アクションを起こすとそれに応じて環境がどう変わるかを予想できるとされる。

ロボットがタッチ感覚を習得

Googleはこれと同じモデルを構築し、ロボットに物の扱い方を教える。テーブルに様々な文房具を置き、ロボットが特定のオブジェクトに触るとそれがどう動くかをこのモデルは予測する。このモデルで教育すると、ロボットは人間のように意図を持った操作ができるようになる。つまり、ロボットにオブジェクトと場所を指示すると、ロボットはそれを指定された場所に移動する。このモデルは「Deep Predictive Model」と呼ばれ、ロボットは人間のようにタッチ感覚を習得する。

Googleロボット開発の行方

先進技術を生み出すGoogleロボット開発であるが、この事業は中止されるとのうわさが絶えない。GoogleはBoston Dynamicsを5億ドルで買収したが、2016年にはこれをToyotaまたはAmazonに売却すると報道された。これに先立ち、プロジェクト責任者Andy RubinはGoogleを離れた。Alphabet配下の開発プロジェクトが相次いで中止される中、Googleのロボット開発がどこまで進むのか注視されている。

Boston Dynamicsの四つ足ロボット

先行きが見えない中でもBoston Dynamicsはロボット開発を積極的に進め、新技術を相次いで公開している。同社が開発するロボットは動物のように四本足で走行するのが特徴で、足場が悪くても歩けるため軍事への展開を目指していた。最近ではロボットを小型化し、家の中で移動し家事をこなす機能を実装している。下の写真は「SpotMini」というモデルで手 (頭に見える部分) で物を掴み操作できる。主人にビールを運び、シンクから食器を持ち上げウォッシャーに入れることができる。高度なインテリジェンスを持つが、外見は小型恐竜のようにも見え、家で使うにはデザイン面で工夫が必要かもしれない。

出典: Boston Dynamics

米国ロボット産業が再び花開く

Googleロボット事業の先行きが不透明なものの、ロボット開発はAIと密接に関係し、Googleの強みを生かせる分野である。GoogleはDeepMindと連携してロボット開発を進めており、世界最先端のAI技法を取り込むことができる。自動運転車と並んでロボット開発は将来の事業を支える柱に成長する可能性を秘めている。また、トランプ政権がロボット開発を国策として後押しする可能性もあり、開発が一気に加速するかもしれない。米国ロボット産業が再び花開く兆しを感じる。

トランプ新大統領はシリコンバレーの追い風となる、ハイテク企業経営者の新政権評価に変化の兆し

Wednesday, January 4th, 2017

シリコンバレーの企業経営者はトランプ氏の発言に強い抵抗感を示し、その考え方を批判してきた。しかし、トランプ氏が政策を示し始めると、シリコンバレートップの態度が変わってきた。選挙戦での過激な発言とは異なり、トランプ氏はテクノロジーの重要性を認識し、これを経済政策に活用する動きを示している。一方、ハイテク企業社員はこの動きに敏感に反応し、会社トップがトランプ氏にすり寄っていると嫌悪感を表している。

出典: Chance Miller

トランプ氏に警戒感を示してきた

トランプ次期大統領は選挙期間中、シリコンバレーのハイテク企業を批判してきた。FBI捜査に協力しないAppleの姿勢を問題視し、トランプ氏は国民にApple製品を購買しないよう呼び掛けた。また、Amazon CEOのJeff Bezosに対して、Amazonは独占禁止法に抵触する可能性があると警告した。これは同氏が経営するWashington Postがトランプ氏に批判的な記事を掲載するための対抗措置とされる。シリコンバレーの経営者はトランプ氏の発言は民主主義への挑戦と受け止め、危機感を募らせてきた。

シリコンバレー経営者の姿勢が変わった

しかし、トランプ氏が政権移行の過程で政策概要を示し始めるにつれ、シリコンバレーの企業経営者たちの姿勢が変わってきた。トランプ氏が打ち出す政策はIT企業にとって不合理ではなく、むしろ事業拡大のチャンスとなりそうだ。シリコンバレーの経営者たちは新政権に危機感を抱いていたが、それが期待に変わり始めた。

サミットミーティングが切っ掛け

その切っ掛けはシリコンバレートップとのサミットミーティングであった。Trump Towerに米国を代表する経営者が招かれ、トランプ氏との意見交換の場が設けられた (上の写真)。会議の内容は非公開であるが、その一端が漏れてきた。トランプ氏はテクノロジーに耳を傾け、興味を示したとも伝えられる。また、トランプ氏に批判的だった経営者が招かれ、反対者からも意見を聞くというトランプ氏の寛容な態度も評価されている。更に、政権移行チームも胸襟を開き幅広く意見を求めており、オープンな姿勢が好感を呼んでいる。

規制緩和が進むか

企業経営者たちがトランプ氏に期待しているのは税制改定や規制緩和である。トランプ氏は規制緩和に向け大きく舵を切ることを表明している。金融やエネルギー産業を対象とすると述べており、関連企業の株価が上昇している。ハイテク産業については言及していないが、トランプ新政権はシリコンバレーと関わりの深いFDA (連邦食品医薬品局) やFAA (連邦航空局) の規制緩和に動くといわれている。

出典: VentureClef

新薬認可のプロセスを緩和

FDAはHHS (米国保健福祉省) の組織で食品や医療に関する行政を司る。FDAは国民の健康を守るため強い指導力を発揮することでも有名。FDAは新薬の認可で厳しいルールを設けているが、トランプ新政権はこれを緩和するとの見方が広がっている。医薬品企業にとっては承認プロセスが緩和されると事業を進めやすくなる。

遺伝子解析事業が大きく前進するか

FDAの規制緩和はシリコンバレーのベンチャー企業に大きな影響を及ぼす。Google配下の23andMe (上の写真) は個人向け遺伝子解析事業を進めてきたが、FDAの命令で事業停止に追い込まれた。23andMeは収集した遺伝子をAIで解析することで、遺伝子変異と病気の関係を紐づける技術を開発している。遺伝子データから知見を引き出す技術が新薬開発に大きき寄与すると期待されている。トランプ新政権になると遺伝子解析事業が大きく前進する可能性を秘めている。

ドローン飛行に関する厳格なルール

FAAはDOT (米国運輸省) の機関で民間航空機の運航を管轄する。航空機の管制業務やドローン運行ルールの設定などが主な任務となる。FAAはドローン飛行に関して厳格なルールを打ち出し、個人所有のドローンが航空機や住民に危害を与えないよう定めている。同時に、企業がドローンを商用飛行するためにも厳しい条件が定められている。

出典: Amazon

米国内でドローン産業を育成

このため、ドローン開発企業は米国を離れて試験飛行を展開することが多い。Amazonはドローン配送システムPrime Airを開発しているが、米国を離れ英国で配送試験を進めている (上の写真、Cambridgeshire (英国) での実証実験)。Googleは高速で飛行するドローンProject Wingの開発をオーストラリアで展開していた。トランプ氏はFAAの規制を緩和して米国でドローン産業を育てる意向を示している。ただ、FAAは厳しい規制を保持する姿勢を示しており、トランプ新政権との衝突は不可避だ。ドローン規制がどこまで緩和されるのか見通せないなか、産業界からはトランプ氏の指導力に期待が集まっている。

新政権が自動運転車運行ルールを策定

DOTは米国内の運輸を管轄する機関で自動運転車の運行ルールはここで制定される。DOT長官にはElaine Chao氏が就任したが、自動運転車についての運行指針は示されていない。オバマ政権で自動運転車に関する運行指針の策定を進めてきたが、トランプ新政権がこれを受け継ぐこととなる。

トランプ氏は次世代交通網に関心を示す

トランプ氏自身も自動運転車についてはポジションを示していないが、新政権の意向を反映した規制をゼロから策定することとなる。トランプ氏のアドバイザーにUber CEOのTravis KalanickとTesla及びSpaceX CEOのElon Muskが任命された。これはトランプ氏が次世代交通網に強い関心を示していることを示唆している。新政権のもとでライドシェアや自動運転車の規制緩和が進み、技術開発が加速する環境が整うのか関心が集まっている。

(下の写真はSelf-Driving Uber。Uberはカリフォルニア州政府からサンフランシスコでの試験営業の停止命令を受けた。トランプ政権になると再び試験営業できるのか、それともカリフォルニア州は立場を変えないのか、せめぎ合いが続く。)

出典: Uber

インフラ整備に1兆ドル投資

トランプ氏はインフラを整備するために1兆ドルの投資を実施するとしている。道路整備を中心に交通ネットワークを近代化する。インフラ整備にはスマートシティや自動運転車も含まれるとみられる。既に、スマートグリッドなどネットワーク企業の株価が上昇している。インフラ整備には情報通信技術は必須でハイテク企業との関連が注目される。DOTはスマートシティ構築でGoogleや主要都市と連携し都市の近代化を進めている。

支出と予算のバランスが議会で審議される

一方、トランプ氏は就任100日以内に議会にインフラ整備の法案を提出するとしていたが、ここにきてトーンダウンしている。連邦議会が招集されたがオバマケア (医療保険制度改革法) 撤廃に向けた決議案や税制改正法案が先に審議されることとなる。インフラ整備に関しては1兆ドルの支出と予算のバランスが議会で審議されることになり紆余曲折が予想される。

諮問委員会から幅広く意見を聞く

トランプ氏は業界著名人から構成される諮問委員会「Strategic and Policy Forum」を設立した。トランプ氏は経済政策立案のため委員会から幅広く意見を聞く。委員会は18名で構成され会長は大手投資会社Blackstone CEOのSchwarzman。諮問委員会に上述のKalanickとMuskが加わった。次世代交通、自動運転技術、再生可能エネルギー、宇宙開発などについて助言するものと思われる。この他に、IT企業からはIBM CEOのGinni Romettyがメンバーに加わっている。

既成勢力を破壊するという共通点

シリコンバレーはクリントン氏を支持し、トランプ氏の信条や政策とは相いれないものがあった。しかし、トランプ新政権の輪郭が見え始めると両者の共通点も明らかになってきた。トランプ氏や主要閣僚の多くは政治家ではなく、いわゆる部外者である。門外漢がワシントンに新しい風を送り、政治を変えようとしている。シリコンバレーがディスラプターとして既成産業を破壊しているように、トランプ氏がワシントンの古い政治を破壊し、新しい価値を生み出すとの期待が高まる。創造的破壊がシリコンバレーとトランプ氏を結ぶ共通項となる。

シリコンバレーのエンジニアは失望

この一方で、シリコンバレーのエンジニアからは企業経営者はトランプ新大統領に投降したと失望の声が聞かれる。選挙期間中にトランプ氏を激しく非難しておきながら、サミットミーティングではトランプ氏に論戦を挑むものはいなかった。トップの変節ぶりに多くのエンジニアは失望している。同時に、新政権の下で企業は事業を拡大できるチャンスであることも社員たちは理解している。現実と理想の祖語に苦悶しているのがシリコンバレーの今の空気かもしれない。

最悪の事態は回避されそう

トランプ氏に対する根強い不信感があるものの、シリコンバレーは選挙直後の深い失望感から回復しつつある。トランプ新大統領の誕生でイノベーションが途絶えると危惧されたが、最悪の事態は回避されそうだ。むしろ、トランプ大統領がシリコンバレーの追い風となる勢いだ。米国企業だけでなく、日本企業にとっても新政権誕生はプラスに作用する流れとなってきた。ただ、トランプ新政権が発足し経済政策が示されるまでは予断は許されない。トランプ氏が打ち出す変化の激しい政策に臨機応変に対応することが求められる。