Archive for the ‘ビジネス・インテリジェンス’ Category

カメラで店舗内顧客を追尾・解析~バーの込み具合と性別比率も

Friday, September 6th, 2013

アマゾン化する小売店舗(2)

小売店舗がAmazon.comの手法を参考に、急速にデジタル化している。RetailNextというベンチャー企業は、店舗に設置されている監視カメラの映像を解析し、顧客の線動を把握し、売上向上のためのソリューションを提供している。

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監視カメラを顧客動向解析に利用

RetailNextはSan Jose (カリフォルニア州) に拠点を置く企業で、店舗内に設置されている監視カメラで顧客の動きをモニターし、販売促進のソリューションを提供する。上の写真がその様子で、監視カメラで顧客の動きを追尾する。写真左手が入口で、顧客の出入りをカウントする。入店した顧客については、店内での動きを追尾し、どの棚で立ち止まったかなどを記録する。顧客の特定商品への関心の度合いを把握できる。線動を重ね合わせるとヒートマップとなり、顧客全体の流れを把握できる。これを元に、プロモーション結果を検証し、ショーケースのレイアウトを最適化することができる。RetailNextで計測した顧客数を、売り上げデータと統合すると、入店した顧客のうち、何人が買い物をしたのか、コンバージョン率を計測できる。人事システムと連動すると、店舗内の込み具合とスタッフの配置人数を解析し、人員の最適化を行う。オンライン・ショッピング・サイトは、アナリティックス・ツールを利用して、訪問者数、ページ閲覧回数、購買者数などの基礎情報を収集しているが、RetailNextはリアル店舗向けに、監視カメラの画像を解析して、これらの情報を収集する。RetailNextは、大手衣料品店であるAmerican Apparelなどで利用されている。RetailNextの特徴は、既設の監視カメラを利用することで、機器の設置が不要な点にある。

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顧客の表情に応じたクーポン発行

SynqeraはSt. Petersburg (ロシア) に拠点を置くベンチャー企業で、小売店舗向けにショッピング・ソリューションを提供している。同社はNew Yorkにオフィスを構え、アメリカでの展開を計画している。SynqeraはSimplate (上の写真右側) という、決済端末を提供している。顧客はレジに設置してあるSimplateで、クレジットカードをスワイプし支払処理を行う。おサイフケータイのように、NFC機構を搭載したスマートフォンからも利用できる。その際に、Simplateに搭載されたカメラが、顧客の顔を読み取り、性別・年齢・感情を判定し、最適なクーポンを発行する。顧客が店舗を出ると、Simplateは、クーポンを顧客のSMSに送信する。年配の男性で少し機嫌が悪い人に対しては、ウィスキーのクーポンを送ると、購買される確率が高いとの報告もある。Synqeraは、顧客情報 (性別、年齢、感情、購入履歴) と店舗情報 (プロモーションや在庫状況) 、及び天気などの外的要因を解析し、顧客に最適な情報を提供するプラットフォームである。会員登録では自分の年齢を実際より若く入力する人が多いが、Synqeraのカメラには偽りは通用しない。一方で、アメリカ市場では顔認識技術に対して、消費者の抵抗感は高い。Synqueraが、このハードルを如何に乗り越えるのか、今後の展開が期待される。

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どのバーに若い女性が多いのか

顔認識技術を応用したシステムは、日常生活の中に入り始めている。SceneTapはAustin (テキサス州) に拠点を置くベンチャー企業で、ビデオカメラの画像を解析し、店舗内の顧客数、性別、年齢を把握するシステムを提供している。SceneTapは同名のアプリを公開しており、消費者はこれを利用して、活気あるバーを探すことができる。上のスクリーンショットがSceneTapアプリを使っている様子である。左側はSan Franciscoのバーを検索した結果で、地図上にバーの位置がピンで表示される。ピンの色はバーの込み具合を示している。オレンジ色はHot Spotで、8割以上の込み具合で、バーが活気に溢れていることを示している。一方、水色はChillで、二割以下の込み具合で、盛り上がりに欠けている。ピンをタップすると、バーの詳細情報が表示される。右側がその画面で、Tope – Hoppinというバーの概要と、顧客の性別比率、性別ごとの年齢が表示される。また、店舗内の写真やコメントも掲載される。このケースでは、来店者の性別は、36%が女性で、64%が男性。それぞれの平均年齢は、27歳と29歳となっている。利用者はこれらの情報を元にバーを選択することができる。

SceneTapは全米15の主要都市で使われている。San Franciscoでは2012年5月からサービスが始まり、20店舗余りがこのシステムを導入している。店舗では、入口や内部にビデオカメラを設置し、撮影した画像をSceneTapに送信し解析を行う。店舗側としては、バー内部の情報を公開することで、集客効果を期待している。また、他店舗と比較して、自社の営業状態を把握するためにも使われている。一方で、SceneTapのサービスは、プライバシー保護団体から問題視されてきた。顧客は知らないうちにビデオ撮影され、その情報がプロモーションに利用されている。これに対してSceneTapは、顧客のプライバシーは保護されていると主張。SceneTapは、システムで採用している画像解析手法はFacial Detection (画像中に顔があることを検知) でありFacial Recognition (顔から名前を判別) ではないと釈明している。個人を識別できる情報はなく、物理的な顔を統計処理しているという主張であるが、苦しい見解である。

ビデオ・アナリティックスといえばTom Cruseの映画「Minority Report」で登場する、古典的な手法である。今ではカメラ解像度と解析技法が飛躍的に向上し、身近なところで使われている。個人のプライバシーを如何に守るかについて、改めて問われている。

個人向け遺伝子解析からデータ解析サービスへ

Friday, February 22nd, 2013

Google Venturesが投資している企業の中で、一番知名度が高いのは23andMe (テウエンティスリー・アンド・ミー) と言って間違いない。23andMeはMountain View (カリフォルニア州) に拠点を置き、個人向けに遺伝子解析サービスを提供している。利用者は唾液 を試験容器に入れ (下の写真、出展はいずれも23andMe) 23andMeに郵送すると、解析結果が専用ウェブサイトに示される。

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遺伝子解析で何が分かるのか

23andMeは遺伝子解析により、個人が病気に罹るリスクの程度と身体特性、及び、人種的特性を解読する。前者は、病気に罹るリスクの度合い、遺伝子病の有無、身体の特性、身体の薬に対する反応 について解析結果が示される。下のグラフィックスが解析結果の事例で、被験者が罹りやすい病気を示している。この事例では被験者は前立腺がんを発症する確率が高いとされている。ここでは、前立腺がんを発症する割合は平均で100人中17.8人であるが、この被験者のケースでは29.3人と、発症する可能性が高いことを示している。

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下のグラフィックスは前立腺がんに関する被験者の遺伝子構成を示している。前立腺がんに関連する遺伝子変異 (SNP、スニップ) は12個発見されており、赤色の棒グラフが発症リスクが高くなるSNPで、緑色の棒グラフが発症リスクが低くなるSNPである。前立腺がんを発症するのは生活環境も関与しており、発症にかかる遺伝子の寄与の割合は42%から57%であると評価している。

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この他に、23andMeは、病気発症に関連する遺伝子変異が存在しているかどうかを解析する。また、被験者が薬に対してどのように反応するかについて解析する。更に、被験者の母系と父系の先祖を追跡する解析も行っている。解析結果は円グラフで示され、被験者のDNAを構成している人種が色分けして表示される。人種は22種から構成され、Sub-Saharan African(38.6%)、European(24.7%)、East Asian & Native American(20.5%)、Arab (0.1%) という形式で示される。これら遺伝子は母系と父系から受け継いだもので、500年前に被験者の祖先がどこに住んでいたかを示している。

遺伝子情報の公開に向かう

23andMeは被験者に遺伝子解析結果を提供するだけでなく、解析結果を研究機関と共有することで、ライフサイエンスの進化に寄与することを目指している。現在、18万人がここのサービスを利用しており、被験者は、遺伝子解析結果を受け取るだけでなく、身体に関する調査票 (下のスクリーンショット) に回答する。調査票は44の科目からなり、被験者はPain Survey(痛みに対する反応) やCancer Family History (家族の癌発症の履歴) などに答えていく。質問は広範囲に亘っているだけでなく、病歴など個人のプライバシー深部までに及んでいる。23andMeは被験者の遺伝子解析情報と調査票への回答を組み合わせ、世界で最大規模の遺伝子データベースを構築している。

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DNAシークエンシング技術の発達で、低価格で大量の遺伝子解析が可能となり、多くのVariant (変異体) の存在が明らかになり、この解明が行われている。23andMeが紹介している事例に、すい臓がんとその変異体がある。すい臓がんを引き起こす変異体はP603Rと言われてきた。これを検証するために、研究機関は国に予算申請を行い、フィールド試験を実施する。結論が出るまでに2年の期間を要す。一方、23andMeのデータベースを検索すると、56人の会員がP603Rのキャリアであるが、すい臓がんを発症した人は無いことが分かった。23andMeのデータ解析により、P603Rがすい臓がんを発症する因子でないことが短時間で判明した。大規模なフィールド試験を実施する代わりに、23andMeのデータベースを解析することで同等の結果を得ることができる。現在、データベースは限られた研究者だけが利用しているが、将来はResearch Portalとして、情報を研究機関に公開するとしている。これに先立ち、23andMeは、2012年9月に、データベースのAPIを公開している。開発者はPersonal Genome APIを使って革新的なアプリを開発することが可能となった。Facebookから個人情報を利用したアプリが提供されているが、今後は、個人遺伝子情報を統合したアプリが登場することになる。

このサービスを利用してみると

23andMeの検査料金は、当初は、999ドルと高額であったが、徐々に値段が下がり、今では99.99ドルである。23andMeは、検査価格の値下げを行って、被験者を増やし、遺伝子解析結果のデータベースを拡充している。Googleが世界のウェブサイトのデータを読み込み、インデックス化しているように、23andMeのモデルも同様に、世界の人の遺伝子情報を収集し、インデックス化している。23andMeは、バイオサイエンス企業から、IT企業に色彩が移りつつある。値下げを機にサービスを購入し、23andMeで遺伝子解析を行っているところである。まだ解析中で、その結果が気になるところである。結果を受け取ると、その内容を公開・非公開するオプションを選択することになる。公開のオプションを選択すると、情報はデータベースに格納され、上述の遺伝子研究で利用される。遺伝子情報という個人のプライバシーそのものを公開するには抵抗があるが、同時に、病気の解明に寄与するかもしれないとの思いもある。検査結果をどう受け止めるのか、調査票に回答し、解析結果を公開すべきか、少し考えさせられるテーマである。

ビッグデータ;公開データと企業データを統合して解析

Friday, February 15th, 2013

Google Venturesは情報通信部門の中で、ビッグデータへの投資を加速している。その代表がClearStory Data (クリア・ストーリ・データ) で、Palo Alto (カリフォルニア州) に拠点を置き、ユニークな方式でビッグデータ解析技術を開発している。

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公開データの大量発生

多くの企業は、Hadoopなどのツールを利用して、業務で発生する大量のデータを収集し、解析するシステムを構築・運用している。これはビッグデータ解析と呼ばれ、多くのベンチャー企業から新技術が登場している。一方で、企業外では、ソーシャル・メディアを中心に、膨大な量のデータが生まれている。これらデータの多くは一般に公開されており、企業はAPIを通して自由に利用することができる。現在、APIを公開しているウェブサイトの数は急速に増えており、その数は8000を超えている (上のグラフ、出展:ProgrammableWeb.com)。

その代表がTwitterやFacebookで、企業はTwitterやFacebookのAPIを利用して、会員データにアクセスすることができる。この他にも、映画ストリーミング・サービスのNetflix (ネットフリックス) は、2008年からAPIを公開しており、企業は無料でAPIを利用できる。プログラムからAPI経由で、Netflixの映画情報にアクセスし、ユーザの映画に対する評価やコメントを読むことができる。更に、希望する映画を閲覧予定リストに追加することができる。

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実際に、NetflixのAPIは、多くの企業で利用されている。上のスクリーンショットはinstantwatcher.comというサイトで、Netflixの映画タイトルを容易に検索することができる。このサイトで利用者は、Netflixが提供している映画タイトルを、様々なカテゴリーで閲覧できる。上の事例は、1980年代の映画タイトルを検索し、その結果をサムネールで表示しいる様子である。利用者は検索した映画のQueueボタンを押すと、その映画をNetflixの閲覧予定リストに追加でき、Netflixでその映画を見ることができる。

ClearStory Dataの解析技術

ClearStory Dataは、Twitter、Facebook、Netflixなど、公開されているデータを分かりやすいインターフェイスで提供し解析する技術を開発している。ClearStory Dataは、公開データを提供する、データマートとして位置づけられる。更に、公開データと企業データを統合して解析する技術を提供する。両者を組み合わせることで有益な情報を抽出できる。データ解析においては、利用者が客観的判断と主観的判断をバランスよく行うことが重要で、ClearStory Dataは、ビッグデータ解析と人間の知恵を組み合わせた構造であるとしている。

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公開されているデータと企業が保有しているデータを組み合わせることで、どんな有益な情報が得られるかについて、ClearStory Dataは、過去に行われた訴訟問題を例示している。この訴訟においてClearStory Dataの技術が使われた訳ではないが、公開データと企業データを交配することで、何を生み出すことができるのかを示している。これはZanesville (オハイオ州) という市ににおいて、黒人住民が市当局を提訴したケースである。Zanesvilleは鉱業の町で、黒人居住地には水道パイプが施設されてなく、住人は地下水を汲み、雨水をためて生活していた。黒人住民は、市当局は白人居住地域には水道水を供給しているが、黒人居住地域には水道水を供給していないと、市を相手取って提訴を起こした。原告側弁護士は、水道パイプと住民の人種をプロットした地図 (上のグラフィックス、出展:Journal of Poverty Law and Policy) を示し、原告側が勝訴した。このケースでは、公開データは水道パイプ・ラインと居住地データ(青色の実線と家のアイコンの部分)で、企業データは住宅地における人種データ(家アイコンの白色・黒色の部分)である。これらを統合すると上のマップが出来上がり、問題を視覚的に理解できる。ClearStory Dataはまだ開発中で、インターフェイスや詳細機能は不明であるが、公開データと企業業務データを統合すると、上のマップのような有益な情報を得ることができることを示している。

Startups Labでのインキュベーション

Google Venturesは、ポートフォリオ企業のインキュベータであるStartup Labs (下の写真、出展:VentureClef) を運営している。新興企業はこのオフィスに入居し、Googleのハンズオン・チームの指導の下、新技術を開発し、事業を展開していく。

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Startup Labはポートフォリオ企業に、オフィス、セミナー・ルーム、UX Lab (インターフェイス開発センタ) 、ライブ・イベント放送設備などを提供する。ハンズオン・チームはポートフォリオ企業に対して、様々なアドバイスを行う。Design Studioは製品設計やデザイン、Recruiting Teamは人材採用、Marketing Teamは製品のマーケッティング、Engineering Teamは製品の大規模展開に関する教育を行う。ClearStory Dataもハンズオン・チームからのサポートを受けており、Google Venturesは新興企業育成プログラムが充実していると、その手法を高く評価している。Google Venturesの強みは、Google社内の人材を活用して、新興企業を育成することにある。

消費者の位置情報を正確に把握

Friday, January 4th, 2013

Under the Radarでは、ソーシャルとモバイルの分野で斬新な技術が登場し、後者では消費者の位置情報を解析する、ローケーション・インテリジェンス技術の進展が目立った。

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モニターを募集して消費者位置情報収集

Placed (プレイスト) はSeattle (ワシントン州) に拠点を置くベンチャー企業で、消費者の位置情報を収集し解析するサービスを提供している。Placedは消費者の位置情報をGPSなどで収集しているが、2012年10月に、専用アプリであるPanel App (上のスクリーンショット、出展は断りがない限りVentureClef) をリリースした。消費者はPanel Appアプリをダウンロードしモニターになり、Placedはモニターの位置情報を収集する仕組みである。初期画面で、消費者は位置情報をPlacedに収集されることに同意する (上のスクリーンショット左側)。次に、消費者は、年齢、性別、収入、人種、学歴などの個人情報を入力 (同右側) して登録が完了する。

消費者は位置情報をモニターされることの見返りとして、ポイントを貯めて特典を得ることができる。消費者はPoints Panelで、現在のポイントや一か月後の予想ポイントを閲覧できる。消費者は貯まったポイントを特典と交換する。200ポイントでAmazonギフトカードの抽選会に参加でき、抽選に当たると100ドルの商品券を入手できる。

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消費者位置情報解析の仕組み

Placedは消費者の位置情報を追跡し、その消費活動をモニターするサービスを提供している。小売店舗などは消費者動向を把握するため、Placedが提供する位置情報サービスを利用する。小売店舗などはモバイル・ウェブやスマートフォン向けアプリにPlacedのコードを実装して消費者の位置情報をトラックする。家電製品量販店であるBest Buyがこのサービスを利用している。Best Buyは、同社が提供しているモバイル・ウェブ (上のスクリーンショット左側) やモバイル・アプリ (同右側) にPlacedのAPIを実装しており、消費者がこれらにアクセスすると、Placedは消費者の行動を位置情報とともに収集する。

位置情報はGPSのデータを使うが、GPSの精度は消費者が訪問した店舗を特定できるほど高くない。Placedは独自技術でこれを補完し、消費者が訪問した店舗を特定する。PlacedはGPSで収集した位置情報をClean UpしContextualizeする。Clean Upは収集した位置情報からノイズを除去する技術で、加速度計、コンパス、ジャイロなどのデータを利用する。次にクリーンアップした位置情報を周囲の店舗などと関連付ける操作を行う。これをContextualizeと呼び、消費者の近くにある店舗、人気のある店舗、店舗の種別などから、訪問した店舗を推定する。Placedは消費者が訪問した店舗をGPSの物理データだけで決定するのではなく、消費者の行動の意味を解して、複数の角度から訪問した店舗を推定する。

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Panel Appで位置情報を絞り込み

Placedは、上記の方式に加え、モニターから収集した消位置情報から、訪れた小売店舗を決定する方式を導入。Placedは前述のPanel App経由で、モニターの位置情報をGPSなどで収集し、消費者が訪問したと思われる小売店舗を算出する。更に、Panel Appは、モニターに質問を送信する (上のスクリーンショット) 。Panel Appは、モニターが滞在したエリアに関する質問を送付し、それにモニターが回答する。左側画面がその様子で、木曜日の3:00PM頃にどの店舗を訪問したかとの質問を受信。ここには訪問したエリアにある小売店舗の名称がリストされ、訪問した店舗を選択する形式となっている。ここで、Luckyというスーパーマーケットを選択し、回答している。右側画面は、別の日の質問で、この日はショッピング・モールではなく、多くの企業が入居しているオフィスビルを訪問したケースで、訪問先のSquire Sandersを選択して回答している様子である。この操作により、Placedはモニターが訪問した場所を正確に把握できる。

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消費者位置情報を何に使うのか

収集した位置情報は小売店舗などが展開するプロモーションなどで利用されている。Placedはサンプルとして様々な位置情報統計データを公表している。上のスクリーンショット (出展:Placed) は、Heat Mapという形式の統計情報で、条件を指定し消費者が訪問したセグメントを表示する。この事例では2012年11月に消費者が訪問した市場分野 (レストランやホテルなど) をヒートマップ形式で表示している。セグメントの大きさは訪問者数を表している。これにより店舗側は、消費者がどの店を訪問したかなど、消費者の挙動を把握でき、消費者に対して位置情報に応じた広告を配信できる。位置情報に応じたターゲッティング広告の配信は既に行われているが、Placedはこのベースとなるデータを高精度で提供する。テレビ視聴率調査ではNielsenが、ウェブサイト閲覧調査はcomScoreが有名であるが、小売店舗訪問者調査ではPlacedがPanel Appでサービスを開始した。消費者の位置情報に応じた様々なサービスが登場しているが、これらサービスの基礎情報となるローケーション・インテリジェンスが、益々重要な技術となっている。

大統領選挙での投票先を推奨

Thursday, October 25th, 2012

新興企業が最新技術を紹介するカンファレンスであるDEMO Fall 2012は、Santa Clara (カリフォルニア州) のHyatt Regencyで開催された。アメリカ大統領選挙は投票日まで10日余りとなり、オバマ大統領とロムニー候補が支持率で拮抗しており、激しい競り合いが続いている。

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質問に答えて投票先を決定

ElectNext (エレクト・ネクスト) はNew York (ニューヨーク州) に拠点を置く企業で、ユニークなサービスを開発した。ElectNextは、大統領選挙で、利用者がどの候補者に投票すべきかを10の質問への回答から判定する。上のスクリーンショット (出展:ElectNext) がその事例で、利用者に対して10の質問が表示される。質問は政治的課題に関してで、利用者は各質問に賛成か反対かの意思を表明する。上の事例は、「自動車業界は新しい燃費基準に準拠すべきか」という質問で、利用者はこれに対して、賛成か反対かの意思表示を行なう。その結果が次ぎのグラフィックス (出展:ElectNext) である。これによると、私の意見はオバマ大統領の政策と80%マッチしており、投票先はオバマ大統領であると推奨している。一方で、ロムニー候補とは政策の共通点が47%である。この他にSenator (アメリカ議会上院議員) ではDianne Feinsteinを、Representative (同下院議員) ではAnna Eschooに投票すべきとの結果が下された。

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ElectNextのブースにて、CEOであるKeya Dannenbaumに、サービスの背景などを聞いた。Dannenbaum によると、「ElectNextは政治データと解析技術企業である」とし、「大統領選挙と上下院議員選挙での候補者の政策を収集し、データベースを構築している」と説明してくれた。

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このサービスは既にMSNBCのNBC Politicsというサイト (上のスクリーンショット右側、出展:MSNBC) で採用されている。各候補者のウェブサイトで政策を熟読し、投票先を判定する代わりに、このサイトで質問に答えて決定できる。投票先を決めるには、政策だけでなく、候補者の人柄も大きな要因であるため、最終的には両者を総合的に判断して決定することになる。ElectNextは、政治に関するビッグデータ処理を行う企業で、大規模な政治関連データベースの構築と解析を目指している。