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Apple Payの使い心地は快適!この安心感は日本人の心を掴むか?

Tuesday, October 28th, 2014

Apple Payの運用が始まり、早速使ってみた。決済処理はスムーズで、あっけないほど簡単に使えた。Apple Payは高度なセキュリティー機能を搭載しており、安心してカードで買い物ができる。アメリカはオバマ大統領の号令でカードセキュリティー強化を急いでいる。Apple Payの役割に期待が寄せられている。モバイル決済先進国の日本でも、Apple Payの安心感は消費者の心を掴むかもしれない。

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Apple Payを使ってみる

Apple Payの機能は良く知られているが、実際に使うと、製品コンセプトを実感できる。iPhone 6でApple Payを利用したが、操作性は快適で、完成度の高い製品デザインに驚かされた。Apple PayはiOS 8.1から利用できる。iPhone 6にインストールすると、設定画面に「Passbook & Apple Pay」という項目(上の写真左側、三段目) が追加となり、ここでApple Payの設定を行う。この項目にタッチするとApple Pay設定画面に移り (同右側)、クレジットカードやデビットカードを登録する。

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クレジットカードを登録

カード登録画面でApple IDによる本人認証を行った後、カード情報の入力を行う。上の写真はAmerican Expressを登録している様子で、名前、カード番号、有効期限、セキュリティー番号を入力していく (上の写真左側)。カメラアイコンにタッチしてカードの撮影を行うと (同右側)、カード番号と有効期限が、自動で入力される。

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登録が完了すると、サムネールとカード名称が表示される (上の写真左側)。この画面で利用するカードを選択し、住所、メールアドレス、電話番号などを設定する。登録されたカードはPassbookに格納される (同右側)。

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店舗で買い物をする

カード登録が完了したApple Payで買い物をした。ドラッグストアー「Walgreens」でハロウィン用にチョコレートを購入。レジにはクレジットカードを読み込むリーダーが備え付けてある (上の写真)。リーダー上部の楕円形の部分がNFCリーダー。スマートカードなどで利用される。支払いの際にiPhone 6をNFCリーダーにかざすと、ロック画面にApple Pay画面が表示される (上の写真、iPhone画面)。ここに登録したカードが表示され、「Pay with Touch ID」と操作の方法が示される。リーダー側にはApple Payのロゴが表示され、正常に処理が進んでいることを確認できる (リーダー画面右下)。

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ここで親指をホームボタンにあて本人認証を行うと、支払いプロセスが稼働 (上の写真)。支払処理に要した時間は瞬間的で、通常のカード処理と変わらない。支払いが完了すると、そのログがPassbookのApple Payに表示される。ここでリアルタイムに支払い金額をチェックできる。

実はApple Payで支払いが完了した直後、後ろで「ウァーオー」と歓声が上がった。振り向くと年配の婦人が、一連の様子を見ており、「電話で買い物ができるの?」と話しかけてきた。日本では馴染みの方式であるが、婦人には衝撃的な光景に映ったようだ。アメリカではなじみの薄い”おサイフケータイ”であるが、Appleの参入で認知度が上がり、状況は一変する兆しを感じた。

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アプリ内決済でも利用できる

Apple Payはアプリ内での支払いにも利用できる。対象アプリは、Groupon、OpenTable、Starbucks、Target、Uberなど。上の写真は共同購入型クーポン「Groupon」で買い物をしている様子。アプリでクーポンを購入する際は、最下部のApple Payボタンにタッチして支払いする (上の写真左側)。実際にApple Payで支払いを行ったが、決済処理は非常にスムーズ。ボタンにタッチすると、Touch ID画面が表示され、ここに指をあてて認証を行った。認証が完了すると購買完了画面が表示された (同右側)。一連の流れは店舗での買い物と同じで、ワンタッチで安全に買い物ができ、大変便利。Amazonの1-Click注文と同等の便利さだ。Apple Payのアプリ内支払いはバグが多いと聞いていたが、全く問題なく進んだ。ここでもApple Payの完成度の高さを感じた。アプリ内支払いは最新のiPad (iPad Air 2とiPad mini 3) でも利用できる。店舗での決済はiPhone 6 Plusでも利用できる。

Apple Payを利用できるカード

Apple Payは主要銀行やカード会社から支持を集めている。Apple Payで利用できるカードはVisa、MasterCard、及びAmerican Express。対象となるカード発行銀行はBank of America、Citi、Chaseなど五行。Apple Payを使える小売店舗は、Macy’s、Walgreens、Whole Foods、Apple Storeなど22万店舗。これら店舗は、前述のWalgreensの事例の通り、スマートカード向けにNFCリーダーを搭載したターミナルを設置している。一方、アメリカのNFCリーダー普及率は高くなく、Apple Payを使える店舗はまだ少ないというのも事実。

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カード会社は積極的

American ExpressはApple Payを積極的にプロモーションしている。American ExpressからApple Payの利用を促すメールを受信した (上の写真)。また、Apple PayにAmerican Expressカードを登録すると、その確認メールを受信し、関連サービスも充実している。American Expressは、Apple Payは非接触型決済でスマートに買い物ができる点のほか、リアルタイムで支払い監視ができ、安全である点をアピールしている。カード会社にとっては、Apple Payの安全性が売りになっていることを窺わせる。

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銀行はApple Payでイメージアップ

カードを発行する銀行もApple Payを積極的にプロモーションしている。 上の写真はBank of Americaの事例で、専用サイトで製品をアピールしている。多くの銀行はApple Payの採用で売り上げが増える他に、マーケティング効果があると見ている。銀行はApple Payで決済を行うと、決済金額の0.15%を手数料としてAppleに支払うが、それに見合う効果があると期待している。アメリカの銀行は先進技術の導入に消極的との印象があるが、Apple Payの採用でイメージアップを目指している。

一番安全な決済方式

Apple Payはアメリカで一番安全な決済システムとも言われている。カード番号などはデバイス固有の番号「Device Account Number」に変換され、Secure Elementに格納される。支払処理ではトランザクション毎に固有な番号が生成され、Device Account Numberと共に決済システムに送信される。所謂ワンタイム・トークンによる決済方式で、カード情報が送信されることは無く、カード情報の盗聴や窃取による犯罪を防止できる。また利用時にはTouch IDを使った指紋認証で本人を確認する。三重に安全対策が取られている。

アメリカで多発するカード犯罪

アメリカでは昨年末から、サイバー攻撃によるカード情報流出事件が多発している。ディスカウント百貨店「Target」から昨年12月、4000万件のクレジットカードとデビットカード情報が流出した。百貨店「Neiman Marcus」は、今年1月、110万人のクレジットカード情報が流出したと発表。ホームセンター「Home Depot」は今年9月、5600万件のクレジットカード情報が流出したと発表。これが最大規模のカード情報流出事件となった。

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カードに対する信頼は失墜

上述Neiman Marcusの事件では筆者宅も被害に合った。American Expressからレターを受け取り、「カードを使用した小売店でデータファイルへの不正アクセスを検知した」と説明を受けた (上の写真)。店舗名は記載されていないが、ニュース報道などでNeiman Marcusと特定できる。「貴方の氏名とカード情報が影響を受けたが、不正使用は検知されていない」とも説明されているが、心中は穏やかでない。この事件以来、月々のステートメントは細かくチェックし、不正使用が無いか確認している。またこの事件以来、American Expressの使用は控えている。著者だけでなく多くの人が被害に合っており、アメリカ社会のカードに対する信頼は失墜したと言っても過言ではない。

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でもICカードへの移行は緩やか

アメリカはICカードの適用が大きく後れている。ICカードの正式名称はEMV (Europay, MasterCard, and Visa) カードで、カードにICチップを搭載した形式で、安全性が大幅に向上する。利用者はICカードをリーダーに差し込み、ディスプレイの指示に従って操作する (上の写真)。ICカードはワンタイムコードを生成し、なりすましを防ぐことができる。利用者は四桁のPINを入力し認証を行う。Visaなどは2015年10月1日より、ICカードに移行することを発表している。これ以降は、ICカードに対応していない小売店舗はなりすまし不正に対して責任を負うこととなる。ヨーロッパや日本で普及しているICカードであるが、アメリカはようやく動き始めた感がある。

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オバマ政権が普及を後押し

上述のカード情報流出事件を受け、オバマ政権が動き出した。オバマ大統領は、10月17日、「BuySecure Initiative」というプロジェクトを発足し、EMV仕様カードへの移行を促した (上の写真)。連邦政府が発行するクレジットカードはICを搭載し、PINで本人認証を行う。この方式を「Chip & PIN」と呼んでいる。連邦政府内のリーダーはICカードに対応する。このプロジェクトは、民間企業の取り組みについても規定している。Home Depot、Target、Walgreens、 及びWalmartは2015年1月までに、Chip & PIN対応のターミナルを導入する。オバマ大統領の号令で、小売店舗とカード会社は、安全なカード決済に向けて歩みを速めた。

アメリカで一気に普及するか

オバマ政権の後押しで、事件当事者の小売店は一斉に、ICカード対応に向い始めた。このようなタイミングでApple Payの運用が始まった。カード決済でのセキュリティーの重要性を理解したアメリカの消費は、一気にApple Payの利用を始める可能性を含んでいる。著者自身も、使用を控えていたAmerican Expressを、Apple Payで安心して利用できる。

この安心感を日本の消費者はどう評価

おサイフケータイが普及している日本はモバイル決済先進国であり、Apple Payに新鮮さを感じない向きもある。また、Apple Payの無線通信規格はType A/Bで、FeliCaとは非互換であり、これが参入障壁になるとの見方もある。しかし、実際にApple Payを使ってみると、この安心感は日本の消費者の心を掴む可能性を秘めているとも感じた。セキュリティー技術とアップルブランドで、Apple PayはGoogle Wallet (Google版モバイル決済) を使ったときと比べ、格段に安心感が高い。圧倒的にリードしているおサイフケータイであるが、再度、日本の先進技術が国際標準で置き換えられる事態も想定され、予断は許されない。Apple Payはアメリカだけでなく、世界市場を巻き込んで展開する可能性を秘めている。

Apple Watchの健康管理機能は意外に普通?既に次期モデルが話題に!

Friday, September 12th, 2014

Appleはウエアラブル端末「Apple Watch」を発表。お洒落なデザインで話題となっているが、健康管理に限ると、画期的な機能は登場しなかった。Apple Watchは高機能ウエアラブルと言われてきたが、基本機能の搭載に留まった。しかし、これは出発点で、次期モデルに搭載される高機能センサーが、既に話題となっている。

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二つの健康管理アプリ

Apple Watchは健康管理機能を二つのアプリで提供。それらは「Activity App」 (上の写真左側、出典はいずれもApple) と「Workout App」 (同右側)。Activity Appは活動状態をモニターする。アプリは三つの機能で構成され、活動状況がグラフで表示される。「Move」は消費カロリー量を、「Exercise」は運動量を、「Stand」は立っている時間を示す。一日の目標値を設定し、それに到達すると円グラフとなる。

Standとは聞きなれないコンセプトであるが、一時間のうちに一回以上立ち上がった回数を記録。仕事中に椅子に座ったままでなく、立ち上がることを奨励している。最近では、長時間座っていることは、喫煙と同じくらい健康に悪いと言われている。Standは、一日12時間のうち、各時間で立ち上がることを目標値としている。

Work Appはトレーニングのためのアプリ。ランニング、ウォーキング、サイクリングなどで使う。アプリは過去の履歴を参照し、目標を自動で設定する。目標値は走行距離や走行時間など。勿論、利用者がマニュアルで変更できる。トレーニングをしている最中は、途中経過情報を表示し、目標を達成すると本物そっくりのバッジを貰える。

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センサー情報を解析

Apple WatchはiPhoneとペアリングして利用する。Apple Watchは加速度計と光学センサー (上の写真、四つの円形の部分) を搭載しており、それぞれ、体の動きと心拍数を計測する。iPhone側に搭載されているGPSとWiFiで位置を把握する。またiPhone 6に搭載されるM8コプロセッサーは気圧差の測定ができ、垂直方向の移動(階段の上り下りなど) を測定できる。Activity AppやWorkout Appは、これらセンサーで収集した情報を利用する。アプリで解析した情報は健康管理プラットフォーム「HealthKit」で管理され、医療機関と共有することができる。

光学センサーに特徴あり

Apple Watchは、上述の通り、背面に光学センサーを四基搭載している。センサーは可視光と赤外線のLED光源を持ち、フォトダイオードで反射波を読み取る。腕表面の血管に光をあて、その反射波から心拍数を測定する。心拍数測定では、ECGのように電気信号を読み取るのが一般的で、病院などで使われている。ウエラブルでは、心拍数測定に、可視光か赤外線のどちらかを使う。これに対しApple Watchは、両者を併用する点に特徴がある。

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リアルタイムで心拍数が測れるか

Apple Watchは腕の血管の血流を読み取り、心拍数を算定する。高機能スマートウォッチBasisも同じ方法で心拍数を測定する。但し、Basisは赤外線だけでセンシングする。Basisは心拍数を測定する際は、静止状態である必要がある。運動しながら測定することはできない。つまり、トレーニング中にリアルタイムで心拍数を把握できない。Appleは前述の通り、二つの光源で心拍数を測定する。Appleは詳細機能については公開しておらず、運動しながらApple Watchで心拍数を測定できるのか、関心が集まっている。因みに、BasisはIntelに買収され、高機能ウエアラブルでは、Apple対Intelの構図が生まれた。

Apple Watchは心拍数の測定結果をコミュニケーションで利用している。これはDigital Touchという機能の一つで、利用者の心拍を相手に送ることができる (上の写真)。受信者は送信者の心臓の鼓動を腕で感じることができる。離れているカップルが使うのか、今の気持ちを振動で伝えることができる。

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以外に標準的なセンサー

これらの機能は概ね他社から提供されており、革新的センサーと言う訳ではない。なぜ、Apple Watchは標準機能に留まったのか、議論が起こっている。その一例がスリープトラッカー。これは睡眠状態をモニターするセンサーで、FitBitなど多くのウエアラブルに搭載されている。Apple Watchにスリープトラッカーが搭載されなかった理由は、バッテリー容量と言われている。バッテリーは一日しかもたず、毎晩充電する必要がある。このためApple Watchをつけたまま寝ることはできない。一方、Appleは睡眠研究の第一人者Roy Raymannを採用し、開発を重ねている。この問題が解決すると、スリープトラッカー機能が搭載されると言われている。

センサーよりファッション性を優先

Apple Watchは、フィットネス情報だけでなく健康情報を収集し、HealthKitに格納する。Appleはこれらの情報を病院と共有し、治療に役立てる構想を打ち出している。そのためには、Apple Watchで身体情報を幅広く収集する必要がある。前述の通り、このための高機能センサーは、搭載が見送られた。今回は光学センサーで心拍数計測だけに留まった。これはファッション性を優先し (上の写真)、高機能センサーを無理やり実装することは避けたためと思われる。まずは、ファッションや使い易さを優先したデザインとなっている。また一説では、AppleはFDA (アメリカ食品医薬品局) の認可が必要な医療機器としてのセンサーを、あえて搭載しなかったとも言われている。

次期モデルで血圧、心電図、血糖値などの測定ができるのか、すでに議論となっている。今回の発表で、Apple Watchのスタートラインが明らかになり、これからの技術進化に期待が寄せられている。

「Apple Pay」で決済サービス事業に参入!Apple Watchから利用できる

Wednesday, September 10th, 2014

Appleは9月9日、スマートフォン「iPhone 6」とウエアラブル端末「Apple Watch」を発表。更に、Appleは決済サービス「Apple Pay」を発表。iPhone 6やApple WatchのNFC (近距離無線通信) 機構でカード決済ができる。Apple Watchは洗練されたデザインで、アップルらしい製品仕立てとなった。

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お洒落な製品

Apple Watchは三つのモデルから成り、それぞれ、「Watch (標準)」、「Watch Sport (スポーツ)」、「Watch Edition (ハイセンス)」。使う目的によりデザインが異なる。上の写真 (出典はいずれもApple) はWatch Edition。フレームは18Kイエローゴールドでバンドは赤色レザー。

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このモデルを身に付けると上の写真のようなイメージとなる。お洒落な製品で消費者の心に訴求する。ディスプレイサイズは38mmと42mmで大小二つのモデルを投入。出荷は2015年初頭で、価格は349ドルから。

Apple Payとは

iPhone 6とApple Watchに次ぐ発表ハイライトはApple Pay。Apple PayはNFCによる決済サービスで、おサイフケータイのアップル版と言える。但し、通信プロトコールは異なる。Apple PayはiPhone 6とApple Watchで利用できる。

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iPhone 6でApple Payを使う際は、指をTouch IDにあて、デバイスをリーダーにかざす (上の写真)。Touch IDで本人認証を行う。支払いが完了すると、デバイスが震えて知らせる。

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Apple Watchで支払いする際は、下側のボタンをダブルクリックし、リーダーにかざす (上の写真)。Appleは認証方式については言及しなかった。(Watch背面のセンサーでバイオメトリックな情報を読み、これを認証で利用するのか。) 読み込みが終わると、Watchが震えて知らせる。

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アプリ内でも利用できる

Apple Payはアプリ内の支払いに利用できる。アプリで買い物して支払いする際は、「Apple Pay」ボタンにタッチし、指をTouch IDにあてる。上の写真左側は、レストランPanera Breadでランチをオーダーしている様子。中央は大手デパートTargetでの買い物。右はライドシェアUberで車を呼んでいるところ。いずれも画面最下部のApple Payバーにタッチして支払いする。

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カードの登録

Apple Payのセットアップはシンプル。クレジットカードやデビットカードをPassbookに格納する (上の写真左側)。チケットなどを入れておくPassbookが財布となる。iTunesにカードを登録している場合は、カードのSecurity Codeを入力し、Passbookに移す。新規にカードを登録する際は、カードの表面をカメラで撮影して、カード情報を読み込む (同右側)。

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Apple Payのセキュリティ

カードをPassbookに格納する際は、カード番号ではなく、デバイスに固有の番号「Device Account Number」が生成される。これを暗号化して、デバイスのSecure Elementに格納する。Device Account Numberはデバイス内に留まり、Appleサーバーには格納されない。

支払処理では、トランザクション毎に固有な番号が生成される。Device Account Numberとこの番号が決済システムに送信される。所謂、ワンタイム・トークンによる決済方式で、クレジットカード番号やデビットカード番号が送信されることは無い。

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iPhone 6やApple Watchにカード番号が格納されないため、デバイスを紛失してもカード情報は洩れない。デバイスを紛失した際は、「Find My iPhone」機能を使って (上の写真)、デバイスを「Lost Mode」にする。これでApple Payなどの機能が使えなくなる。

既に多くのパートナー

Apple Payは、Visa、MasterCard、American Expressに対応している。Apple Payを使える小売店舗は、Macy’s、Walgreens、Whole Foods、Apple Storeなど22万店舗。Apple Payを利用できるアプリは、Groupon、OpenTable、Starbucks、Target、Uberなど10アプリ。カード会社はApple Payでカードが使われる毎に、Appleに手数料を支払うと言われている。iPhone 6やApple Watchでカードを使うことで、消費者の購入金額が増えるとみている。

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アメリカ市場に受け入れられるか

日本では馴染みのおサイフケータイ機能であるが、アメリカではほとんど使われていない。Googleは「Google Wallet」でおサイフケータイ機能を提供しているが、あまり人気が無い。このためGoogleは、Google Walletをオンライン決済を中心に展開している。

このところTargetなどが攻撃に合い、クレジットカード情報が盗まれる被害が続出している。Apple Payは決済処理でカード情報を使わないため、このような問題を回避できる。また、Apple Watchで支払いができ、ポケットやバッグからスマートフォンを取り出す必要はない。AppleがNFC決済ビジネスに参入することで、市場が活性化するか、期待が寄せられている。

Appleはデジタルヘルスへ事業拡大! iWatchは他社ウエアラブルと共棲路線か?

Wednesday, July 23rd, 2014

Appleは、2014年6月、「HealthKit」を発表した。今回の発表を検証すると、Appleのウエアラブル戦略が読み取れる。AppleはHealthKitと、期待が高まるiWatchで、デジタルヘルス事業構築に向けて走り出した。

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デジタルヘルス事業の骨格

AppleはWorldwide Developers Conference (WWDC) で次期基本ソフトiOS 8を発表。多くの新機能が登場したが、AppleはHealthKitを発表し、デジタルヘルス事業の骨格を示した。Appleは既に、iPhoneとウエアラブルを連携した健康管理手法をテレビコマーシャルで放送している (上の写真、Misfitを水着に着装し運動量を測定している様子、出典はいずれもApple)。

Healthアプリで健康データ管理

iOS 8で「Health」と呼ばれる健康管理アプリが登場。市場には数多くのウエアラブル製品が登場しており、利用者はこれらを使って運動量を測定し、健康管理を行っている。FitBitのようなアクティビティ・モニターで、歩行数や消費カロリー量を計測する。Withingsで血圧を測定し健康管理を行う。しかし、これらの情報はアプリ毎に格納され、それぞれのアプリを起動して断片的に利用しているのが現状である。Healthはこれらデバイスと連携し、情報を一元的に管理するダッシュボードとして機能する。更に、HealthKitという機能を利用すると、病院などの医療機関は、利用者の承認のもと、Healthに格納されている健康データにアクセスできる。患者が測定した健康管理データを利用して、担当医師が効果的な治療を行うことを目指している。

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Healthアプリの機能

HealthはiOS 8に組み込まれているアプリで、上述の通り、健康管理のダッシュボードとして機能する。Healthは、四つの画面から構成される。

「Dashboard」は文字通り健康管理ダッシュボードで、健康に関するデータを統一して表示する。ここには消費カロリー量や睡眠時間など、ウエアラブルや専用機器で計測されたデータが表示される (上の写真左側)。カラムにタッチすると、それぞれの項目の設定画面が表示される (同右側)。

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「Health Data」は計測したデータを七つのカテゴリー別に格納する (上の写真左側)。例えば、「Fitness」のカラムにタッチすると、ボディマス指数 (BMI)、体脂肪率、走行距離、カロリー消費量などを見ることができる。

「Medical ID」は、利用者の個人情報を格納したページで、氏名、既往症、特記事項、アレルギー、服用薬、緊急時の連絡先などが記録される (同右側)。Medical IDが利用者のミニ・カルテとなり、緊急時に医療情報にアクセスできる。

「Sources」はどのデバイスからデータを収集しているかを表示する。更に、どのアプリがデータを参照しているかを示す。どのデバイスでデータを計測し、どのアプリにアクセス権を付与しているかを把握できる。このように、Healthは複数のウエアラブルで収集したデータを一元管理し、統合的に表示する。

病院での治療に活用

AppleはHealthに格納されている健康データを病院から閲覧し、患者の治療に活用するシナリオを示した。Appleは先端医療研究を行っているMayo Clinicと医療システムの開発を行ってきた。同病院は「Mayo Clinic」というアプリを提供しており、患者はこのアプリで健康管理を行う (下の写真左側)。一方、患者はHealthで血圧、体重、運動、食事の管理を行っている。もし血圧が限界値を超えると、Mayo Clinicアプリに警告メッセージが表示される。下の写真右側がその様子で、血圧が「高め」と警告メッセージが表示され、オレンジでシェイドされる。更に、このメッセージが担当医に送信され、適切な処置が施されることとなる。

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この仕組みの背後でHealthKitが使われている。病院が開発したMayo Clinicアプリは、HealthKitが提供するAPIを利用して、Healthアプリの健康データにアクセスする。上の事例では、事前に許可を得て、患者の血圧データを読み込んでいる。このように、病院が患者の健康データにアクセスすることで、健康状態を幅広くモニターし、異常を検知すれば適切な措置を行うことができる。

フィットネスアプリとの連携

HealthKitを使うと、病院以外のアプリとも連携することができる。例えば、Nike+ Rundownアプリは、利用者の健康データを読み込み、エクササイズの効果を判定する。Nike+ Rundownアプリとは、FuelBandなどウエアラブルから、歩行数や走行距離を計測する。Nike+ Rundownアプリが、利用者の許可を得て、睡眠時間、体重、栄養バランスなどの健康データを読み込む。これにより、エクササイズの量と体重の関係を統合的に把握し、運動の効果を検証できる。

iWatchは他社製品と補完関係か

HealthKitが示すように、Appleはウエアラブルや他の計測器と連携し、利用者の健康データを統合的に管理し、更に、第三者アプリからアクセスする仕組みを提供している。Appleがデジタルヘルスに向って大きく舵を切ったことを示している。

Appleはこの秋にも、健康管理モニターiWatchを投入すると言われている。iWatchは多くのセンサーを搭載したファッショナブルな製品と噂され、注目を集めている。iWatchが出荷されると、Healthアプリに連携するウエアラブルとして位置づけられる。今回の発表で、AppleはiWatchだけでなく、他社ウエアラブルを幅広くサポートする姿勢を示している。Appleは、iWatchで他社ウエアラブルを凌駕するのではなく、共棲の道を選ぶとのメッセージとも読める。Appleが健康データのハブとなろうとしているのか、新たなスキームに向って動き始めた。

衝撃の新技術!! WiFiではなく地磁気を利用し建物内でピンポイントに位置を特定

Thursday, April 24th, 2014

GPSシグナルの届かない建物内で位置を特定するためにはWiFiシグナルが利用される。IndoorAtlasというベンチャー企業は、WiFiシグナルではなく、建物の磁気特性を利用して位置を特定する技術を開発した。ピンポイントに位置を特定できるだけでなく、ハードウェア機器は不要である。インドア・ポジショニングと呼ばれる、屋内で位置を決定する新技術の登場が相次いでいるが、IndoorAtlasはこの市場で波紋を起こしている。

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小売店舗のショッピング・アプリで利用

IndoorAtlasは、Mountain View (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業である。創設者兼CEOのJanne Harverinen教授 (上の写真) は、DEMO Enterpriseカンファレンスで、製品デモを交えて、IndoorAtlas技術について説明した。同社が開発しているインドア・ポジショニング技術は、小売店舗におけるショッピング・アプリなどで利用が始まっている。

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上の写真はフィンランドのPrisma Storeというスーパーマーケットで、IndoorAtlasを利用したアプリのデモである。消費者が店舗で「Ben & Jerry」アイスクリームを買いたいが、売り場の場所が分からない。アプリの検索画面に「Ben & Jerry」と入力すると、売り場の場所が表示される (画面左上ポップアップ)。消費者の場所は青丸で示される (画面左下)。売り場に向って歩けば、画面上で青丸も移動し、目的地に到達できる。精度は1.8メートルで、売り場の場所を正確に把握できる。一方、小売店舗側としては、消費者がどの売り場の前に立っているのかを正確に捕捉できる。これにより、その売り場で販売している商品のクーポンを消費者にプッシュするなど、位置に応じたプロモーションが可能となる。WiFiを使ったインドア・ポジショニングは精度が低く、消費者がどの棚の前に立っているかまでは特定できない。IndoorAtlasを使うと高度な販売促進プログラムが可能となる。

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位置決定のメカニズム

Harverinen教授はブースでその背景技術について解説した。IndoorAtlasが屋内で場所を特定する仕組みは、建造物の磁気を読み取り、それをフロアプランにマッピングすることによる。建造物は固有の磁気特性を持っており、上の写真はそれをヒートマップで表示している。

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上の写真は同じ建造物のフロアープランを示している。上述の磁気特性をこのフロアープランにマッピングすることで、高精度で位置を特定できる。実際には、スマホ向け専用アプリでフロアープランに沿って歩き、磁気を計測し、測定したデータをフロアープランと共にIndoorAtlasクラウドに格納する。更に、店舗側でショッピング・アプリを開発し、IndoorAtlasが提供するAPIで、位置情報にアクセスする構造となる。

下の写真はIndoorAtlas専用アプリでフロアープランをHEREマップにアップロードしている様子である。この作業のあと、施設内でスマホを持ち、フロアープランに沿って歩き、磁気特性を計測する。

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iOS向けアプリ開発が加速する

Harverinen教授は新技術の特長について、IndoorAtlasは磁気特性を指標に位置を決定するため、スマホのコンパスをセンサーとして利用できると説明した。どのスマホもコンパスを標準搭載しており、そのままで利用できる。インドア・ポジショニングでは、前述の通り、WiFiシグナルを利用する方式が一般的である。これはWiFiポジショニングとも呼ばれ、受信シグナルの強度を測定し、三角測量のアルゴリズムから位置を決定する。測定結果は人の込み具合や温度に依存し、精度は3-10メートルと言われている。

それ以前に、AppleはiOS上でWiFi APIへのアクセスを制限しており、iOSクライアント上でインドア・ポジショニング・アプリを構築することができない。現在、iOSでWiFi位置情報を利用するためには、クラウド上にシステムを展開する必要がある。これに対しIndoorAtlasは、iOS上でインドア・ポジショニング技術を提供し、iOS上でのアプリ開発が可能となる。iOSにおける位置情報アプリ開発の道を開くことになり、その意義は極めて大きい。

ロボットが北に向って走らない

Harverinen教授はIndoorAtlas開発の切っ掛けについても説明した。教授は大学研究室でロボティックス研究に従事していた。屋内で北に向けてロボットを走らせたが、方向が頻繁に変わり真っ直ぐ進まない。二番目のロボットも同様に真っ直ぐ進まなかったが、一番目のロボットと同じ軌跡を辿った。これがヒントとなり、建物は固有の磁気特性を持つことを発見し、IndoorAtlasの開発に至った。

Harverinen教授はこちらの質問に丁寧に回答し、研究室で特別授業を受けているようであった。二階建ての建物で使えるかとの質問には、磁気特性は三次元であり問題ないと回答。教授はIndoorAtlasは地下でも使えるため、東京の地下街で実力を発揮するとも述べた。地磁気を使ったインドア・ポジショニングとは衝撃的な発想で、同時に、大学の基礎研究が事業に結びつくビジネス・センスの高さも感じた。