Archive for the ‘モバイル’ Category

モバイル決済事業で激動の予兆!Googleは「Android Pay」で”おサイフケータイ”に再挑戦

Friday, March 13th, 2015

「Google Wallet」で苦戦しているGoogleは、モバイル決済基盤「Android Pay」を投入し、“おサイフケータイ”事業の再構築を目指す。モバイル決済基盤とは分かりにくいコンセプトであるが、Android PayはGoogle Walletというアプリを稼働させるプラットフォームとして機能する。Google Walletだけでなく、他社が開発した決済アプリを稼働させるのが狙いだ。Apple Payという巨人に対抗するため、Samsung Payを含め、Android陣営の力を結集することを狙っている。更に、ここでフィンテック (FinTech) イノベーションが起きることを期待している。激動が予想されるGoogleのモバイル決済戦略をレポートする。

g404_android_pay_01

モバイル決済基盤とフィンテック

Googleの上級副社長Sundar Pichaiは、バルセロナで開催されたWorld Mobile Congressで、モバイル決済基盤「Android Pay」を開発していることを明らかにした (上の写真)。この模様はMobile World Liveで放送された。Android Payは噂が先行していたが、今回初めてその一端が明らかになった。詳細については、開発者会議Google I/Oで発表される予定。

Android Payは、Google Walletとは異なり、モバイル決済基盤で、Android OSで稼働するアプリに、決済機能を提供する。Google Walletは、Android Payで稼働する、一つのアプリとして位置づけられる。具体的には、アプリはAndroid Payが提供するAPIを使い、決済機能を利用できる。Android Payがアプリの背後で、NFC (Near Field Communication) 通信、セキュアーな通信 (トークンを使った通信)、更に、将来は指紋認証による本人確認を行う。つまり、Android Payを使うと、誰でも簡単に”おサイフケータイ”を開発し、事業を始めることができる。決済アプリ開発の敷居がぐんと下がり、フィンテックと呼ばれる斬新なモバイル決済サービスが登場すると期待されている。

Samsung Payとの関係は複雑

Samsungは、同じ会場で前日に、「Samsung Pay」を発表している。これはGoogle Walletと正面からぶつかり、Googleの対応が注目されていた。Pichaiはこの発表に関し、Samsung PayはGoogleのタイムラインと異なるスケジュールで進んでいる、と述べている。具体的な内容には言及しなかったが、Samsung PayもAndroid PayのAPIを使うことができることを意味している。つまり、Samsung PayをAndroid Payで稼働する一つのアプリとして位置づけ、Googleのコントロール配下に置きたい、という意図がうかがえる。Googleとしては、Android陣営内で内輪争いをするのではなく、リソースを共有し、理路整然とおサイフケータイ事業を展開することを目指している。

g404_android_pay_02

Apple Payが”黒船”になった

Google Walletは2011年にサービスが始まったが、利用者数は伸びなかった。しかし、Apple Payの登場で米国市場が一変した。Apple Payが決済方式のスタンダートとなり、それに伴い、Google Walletの人気が出てきた。Google Walletの処理金額が50%増加したと言われている。Apple Payが米国モバイル決済市場の”黒船”になった。

Apple Payを使うためにiPhone 6を購入する人も多いと言われている。店舗により普及率が異なるが、健康食品スーパーマーケット「Whole Foods」(上の写真) では、カード決済の20%がApple Payという統計がある。サービス開始当初はApple Payで支払いをすると珍しがられたが、今では普通の光景になった。レジでiPhoneを手に持っていると、「Apple Payですね」と言って、会計処理をしてくれる。Google Walletではこのような現象は起こらなかったが、Appleの影響力の甚大さを改めて認識した。

g404_android_pay_03

Google Wallet苦戦の理由

Google Walletが市場に受け入れられなかった理由は多々ある。最大の理由は通信キャリアとの関係で、これが事業展開の障害となってきた。通信キャリア三社 (Verizon、AT&T、T-Mobile) は、ジョイントベンチャー「Softcard」(当初の名前はISIS) を立ち上げ、モバイル決済事業を目指した。Google Walletと正面から競合する関係にあった。

このため、通信キャリアは販売するスマートフォンに、Google Walletをプレロードすることを受け入れなかった。更に、通信キャリアは、Google Walletの機能を技術的に制限した。具体的には、Google Walletで決済する時には、セキュアーエレメントに格納しているカード情報を、決済システムに送る必要がある。通信キャリアはこの通信を遮断して、Google Wallet事業を制限した。(セキュアーエレメントは通信キャリアのSIMカードにある。)

筆者はVerizonから購入したスマホで、Google Walletを使ってきた (上の写真)。サービス開始当初は使えたが、途中から使えなくなった。Googleから説明は無かったが、この時点でセキュアーエレメントの通信がブロックされたと思われる。信頼性が第一の決済サービスで、方式の変更は利用者に不安を抱かせる。Google Walletのブランドイメージが大きく低下した。

g404_android_pay_04

通信キャリアを迂回する方式

Googleは通信キャリアに依存しない方式を模索した。その結果、Googleはセキュアーエレメントのカード情報を送信する代わりに、これをソフトウェアでエミュレーションする方式に変更した。この方式はHost Card Emulation (HCE)と呼ばれ、セキュアーエレメントをクラウド上に構築する方式である。HCEは、カード情報をクラウドに保存し、決済処理の際に情報をスマホに読み込み、NFCリーダーに送信する。セキュアーエレメントを使わないので、通信キャリアが通信をブロックすることはできない。

これに先立ち、Googleは2013年10月、Android 4.4 (KitKat) の発表で、OSにHCE機構を搭載することを明らかにした。HCEはOSの追加機能として実装された。KitKat以降のNFC搭載スマートフォンで、Google Walletの”おサイフケータイ”機能を使うことができる。

今ではGoogle Walletは、クラウド・ワレットとしての機能も充実している (上の写真)。店舗での買い物だけでなく、オンラインショッピングの支払いもできる。Google Walletに入出金が纏められ、家計簿としても利用価値がある (左側)。また、いま流行の送金機能もあり、アプリから簡単にお金を送ることができる (右側)。

カード会社もHCE方式を推進

一方、カード会社もセキュアーエレメントを使わないHCE方式を積極的に推進している。昨年2月、MasterCardとVisaは、HCE方式での決済サービスを提供すると発表した。MasterCardはこれを「Cloud Based Payments」と呼び、米国を含む世界15カ国でプロジェクトを展開している。カード会社としては、HCE方式を採用することで、パートナー企業が簡単に”おサイフケータイ”システムを構築でき、モバイル決済事業が拡大するという目論見がある。カード会社のお墨付きで、HCE方式が世界の主流になる可能性も出てきた。

通信キャリアとの和解

技術的な側面だけでなく、Googleと通信キャリアの関係が大きく前進した。Googleは今年2月、Softcardから技術や知的財産を買い取ることに合意した。Softcardは2010年にジョイントベンチャーを設立し、システム開発を始めたが、開発は難航した。2012年にサービス開始にこぎつけたが、その普及は芳しくなかった。Softcardはサービス停止を決定し、上述の通り、Googleが資産や事業を継ぐ形式となった。

この和解により、通信キャリア三社は、Google Wallet事業に全面的に協力することを表明。販売するスマートフォンにGoogle Walletをプレインストールし、Googleはこれ対し料金を払うとしている。また、Google検索に連動する広告手数料を上げるとも言われており、通信キャリアは広告収入増加が見込まれる。一方、GoogleはGoogle Walletで生成されるデータを解析し、広告コンバージョン率を上げ、引いては広告収入向上を目指している。

Android Pay経済圏が出現するか

Googleは大きな障害をクリアーし、Google Wallet事業を再構築する環境が整った。今回は単におサイフケータイ事業だけでなく、パートナー企業がモバイル決済サービスを展開するのを支援する。まず、Samsung Payがこの基盤を利用するのかが注目される。HTCやLGも独自のモバイル決済事業を展開する道が開けてくる。ベンチャー企業からは、クールなモバイル決済アプリが誕生するかもしれない。Android Payはフィンテックのインキュベーターとなる可能性を秘めている。

Samsungが”おサイフケータイ”事業開始!Apple Pay追撃の奥の手を公開

Friday, February 27th, 2015

Samsungは最新モデルGalaxy 6Sの発表イベントで、モバイル決済機能「Samsung Pay」を公表した。Samsungが”おサーフケータイ”事業へ参入することが明らかになった。Samsung Payは、Apple Payを上回る機能を打ち出し、コピーではなくその独創性を強調した。この発表は、SamsungはGoogle Wallet路線には乗らず、独自サービスを展開する道を選んだことを意味する。急成長しているモバイル決済市場で、仁義なき争いが始まった。

g402_samsung_pay_01

磁気カードリーダーで使えるおサイフケータイ

Samsungは3月2日、バルセロナで開催されたMobile World Congressで、モバイル決済サービス「Samsung Pay」を発表。一連の発表イベントはYouTubeで公開された。Samsung Payは、日本で普及しているおサイフケータイで、スマホをリーダーにかざすだけで、カード決済ができる。Samsung PayはこのNFC (Near Field Communication) 方式に加え、MST (Magnetic Secure Transmission) という新方式をサポートすることを明らかにした (上の写真)。

MST方式とは、磁気カードリーダーでおサイフケータイを使う技術を指す。スマホはカード情報を磁気カードリーダーに送信し、決済処理を開始する。スマホが磁場を生成し、あたかも磁気ストライプカードのように振る舞い、カード情報をリーダーに送る。リーダーは情報を受け取ると、カードをスワイプしたと思い、決済処理を起動する。

g402_samsung_pay_02

使い方はおサイフケータイと同じ

Samsung Payの使い方は、基本的におサイフケータイと同じ。ディスプレイを上側にスワイプしてSamsung Payを起動。(Apple Payと異なり、アプリは自動で起動しない。) 次に指をホームボタンにあて、指紋認証で本人を確認する。今までは、指紋認証で指をスワイプしていたが、これからはiPhoneと同じように、指をあてる方式に変更された。MST方式では、スマホをカードリーダーの側面にかざして交信する (上の写真)。MST方式はSamsungが買収したLoopPayの技術を使っている。

g402_samsung_pay_03

LoopPayの技術概要

Samsungは2015年2月、LoopPay買収を発表し、Samsung Payはこの技術を導入した。LoopPayはボストンに拠点を置く企業で、モバイル決済技術を開発し、今でも事業を継続している。「LoopPay CardCase」という名称で製品が提供され、iPhone 6やiPhone 5に装着するジャケット形状となっている (上の写真)。ジャケットに装着されているスライド式のカード (手前の写真)が、磁気カードリーダーと交信する。LoopPayとスマホはBluetoothで交信する。LoopPayを使うには専用アプリ「LoopPay」をダウンロードし、カードを登録する。店舗で支払いする際は、アプリを起動し、PINを入力し、使うカードを選択し、スマホをリーダーにかざす。若干操作手順は異なるが、決済処理技術はSamsung Payと同じ仕組みである。上の写真のように、ジャケットの中に運転免許証を入れておけば、財布を持たないで行動できる。

カード会社や大手銀行がサポート

Samsung Payは既に幅広いエコシステムを築いている。対応しているカードはMasterCard、Visa、American Express。カード発行銀行はJP Morgan Chase、Bank of America、Citi、US Bankなどが名前を連ねている。Samsung Payの強みは、上述の通り、幅広いリーダーに対応していることに加え、主要銀行が発行しているカードを使えること。Samsung Payは、Galaxy 6sとGalaxy 6s Edgeで利用でき、米国と韓国で今年夏からサービスが開始される。

モバイル決済向けセキュリティー技術

カード決済システムの観点からすると、Samsung PayはApple Pay向けに構築されたインフラをそのまま流用している。MasterCardは、Apple Payに対応するため、モバイル決済システム「MasterCard Digital Enablement Service(MDES)」を運用している。Samsung Payはこのネットワークに乗る形で展開される。MasterCardとしては、開発したモバイル決済システムを多くの企業が利用することは大歓迎である。

米国でモバイル決済が普及してきた背後には、不正防止のためのセキュリティー技術がある。利用者がスマホにクレジットカードを登録すると、カード番号に対応したトークンが生成される。これは16ビットの番号で、スマホに格納されているカードを特定するために使われる。店舗で買い物をすると、トランザクションコード (処理毎に固有な番号) が生成され、トークンと伴に暗号化され、決済ネットワークに送信される。カード会社とカード発行銀行で、認証と決済処理が行われる。Samsung Payもこのネットワークで稼働しており、カードリーダーや経路上での、カード情報の盗聴や窃取による犯罪を防止できる。

Samsung Payの優位性

Samsungは発表イベントで、Apple Payに対する優位はMST技術であることを繰り返し強調した。Samsungは、モバイル決済の問題点をNFCリーダーの普及率だとし、米国では90%のリーダーがNFCをサポートしていないと指摘。Samsung Payはこれらリーダーに対応し、利用できる店舗が広がる。MST方式とは奇抜なアイディアで、モバイル決済への敷居が一気に下がりそうだ。

g402_samsung_pay_04

この優位性を保てるか

一方、米国ではカード決済技術が大きく変化している。大規模なカード情報盗用事件が相次ぎ、オバマ政権はカード会社などに対し、磁気カードをEMVカード (ICカード) にアップグレードするよう指導している。これを受け、Visaなどは、今年10月としていたアップグレード期限を前倒しで実施している。米国の小売店舗はEMVリーダーの導入を急ピッチで進めている。EMVリーダーの多くはNFCリーダーも搭載しており、NFC方式でのモバイル決済環境が整ってきた。上の写真は大手ドラッグストアーの決済端末で、磁気カードリーダー (右端のスロット)、EMVカードリーダー (手前のスロット)、NFCリーダー (奥の楕円形の部分) を備えている。これが標準リーダーとなりつつある。このような環境でSamsung Payがどれだけ優位性を維持できるのか、今後の成り行きが注目されている。

技術面とは別に、Samsung Payを普及させるためには、啓蒙活動が必要かもしれない。買い物をしてカード決済する時に、いきなりスマホを磁気カードリーダーに近づけると、店員さんは驚くかもしれない。カードをスワイプすると思っていると、顧客がスマホをかざすと決済が完了する。新たな詐欺行為と疑われる可能性があり、サービスを展開する前に、MST方式をPRする必要がありそうだ。

Googleとの関係が微妙になる

GoogleはApple Payに対抗するため、Android陣営のリーダーとして、モバイル決済で巻き返しを狙っている。Googleは、敵対関係にあったモバイル決済サービス「Softcard」 (Verizon、AT&T、T-Mobileのジョイントベンチャー) の技術買収で合意に至り、Google Wallet再構築を進めている。この流れの中で、SamsungはGoogle Walletには乗らないで、独自サービスを投入した。Googleと袂を分かつだけでなく、モバイル決済事業でGoogleと正面から競合する。Samsungとしは、スマホ事業の低迷を関連サービスで補うのは、順当な戦略である。SamsungとGoogleの関係が一層微妙になっている。

日本はモバイル決済維新?

Apple Payと同様、Samsung Payも世界市場進出を視野に入れている。Google Walletは、モバイル決済事業をゼロベースで見直し、雪辱を果たそうとしている。おサイフケータイ先進国の日本であるが、これからはApple PayやSamsung Payの上陸を意識する必要がありそうだ。Google Walletも秘策を練っていると思われる。日本ではリーダーの無線通信規格が、国際標準(Type A/B) に対応してきたとも聞こえてくる。新サービスに対応する環境が整いつつあり、今はおサイフケータイ事業が大きく変わる、モバイル決済維新かもしれない。

Amazonは”Siri”搭載スピーカー「Echo」を発表、狙いはスマートホーム!?

Friday, November 7th, 2014

Amazonは音声アシスタント機能を搭載したスピーカー「Amazon Echo」を発表した。Amazon Echoはインテリジェントな家電で、音声で操作する。質問すると人間の秘書のように音声で回答する。Amazon版”Siri”をスマホではなく、家電に搭載している点に特徴がある。家電が頭脳を持ち、Amazonのスマートホーム戦略の一端が見えてきた。

g390_amazon_echo_01

音楽を再生しニュースを聞く

Amazon Echoは円筒形スピーカーで、家の中に置いて利用する (上の写真)。Amazon Echoに語りかけ、音楽を再生し、最新ニュースを聞く。検索機能もあり、質問するとWikipediaなどを参照し回答する。Amazon Echoは常にオンの状態で、「Alexa」と呼びかけ、これらの機能を使う。

g390_amazon_echo_02

Amazon Echoをリビングルームに置くと、家族全員で利用できる (上の写真)。「Alexa, play rock music」と話しかけると、Amazon Echoはロックを演奏する。Amazon Echoは7台のマイクを搭載しており、全方向からの音声を聞くことができる。音楽再生中でも、ノイズ・キャンセレーション機能で、指示を聞くことができる。Amazon Echoはスピーカー二基を下向けに搭載しており、360度の方向に音が出て、部屋全体に音楽が流れる仕組みだ。

g390_amazon_echo_03

ショッピングリストに追加

お母さんは料理をしながらAmazon Echoを利用する (上の写真)。「Alexa, how many teaspoons are in a tablespoon?」と質問すると、Amazon Echoはテーブルスプーンはティースプーン三倍分と回答。更に、お母さんは「Alexa, set timer for eight minutes」と八分経ったら教えてと指示する。料理で両手がふさがっている時は音声インターフェイスのAmazon Echoは便利だ。

Amazon Echoはショッピングリスト機能もある。お母さんが「Alexa, add wrapping paper to shopping list」と指示すると、Amazon Echoは包装紙をショッピングリストに追加する。後日、タブレットで更新されたショッピングリストを見ながら買い物ができる。便利な機能であるが、Amazonとしてはこの機能で、オンラインストアーの販売が増えることを期待している。

g390_amazon_echo_04

家族の一員

Amazon Echoは目覚まし時計の機能もある。起床時間になるとサウンドで知らせる (上の写真)。これに対し「Alexa, alarm off」と語りかけ目覚ましを止める。起き上がり「Alexa, give me my flash news briefing」と指示すると、Amazon Echoはニュース (NPR News) を読み上げる。AmazonはAmazon Echoが家族の一員となるストーリーを提示している。

g390_amazon_echo_05

専用アプリから操作

Amazon EchoはスマホやタブレットとBluetoothでペアリングして利用する。Fire OS (上の写真)、Android、iOSブラウザー向けに専用アプリが提供されている。このアプリでアラームのセット、音楽再生、ショッピングリストへのアイテム追加などができる。Amazon EchoはWiFiでインターネットと接続し、家庭のコンセントから給電する。価格は199ドル (Prime会員向けには99ドル) で、販売開始は数週間以内としている。但し、購入にはAmazonからの招待状が必要。

自然言語解析が鍵となる

Amazon Echoはモノがインターネットに繋がれたInternet of Things (IoT) とも捉えることができる。利用者とのインターフェイスは自然言語で、人間の秘書のような役割を担う。この自然言語解析技術が鍵を握る。AppleはSiriを、GoogleはGoogle Nowを、MicrosoftはCortanaを展開している。Amazonはアシスタント機能ではやや出遅れた感がある。Amazonは、2012年10月、「Evi」というイギリス企業を買収した。Amazonからのコメントは無いが、Amazon Echoのアシスタント機能はEviが中心となっていると思われる。Eviは知識ベースとセマンティック検索技術をベースとしたアプリで、音声で質問すると、答えをズバリ音声で返す。Siriのように利用者の場所や時間などを把握し、インテリジェントな回答をする。

g390_amazon_echo_06

EviはiOSやAndroid向けアプリとして提供されている。上の写真はiOS向けアプリの事例で、明日の天気 (左側) と東京時間 (右側) を質問したもので、正しく回答している。Eviはインターネット上で公開されている信頼できる情報を収集し、知識データベースを構築。更に、Eviは自然言語解析で質問の意味を理解し、最適な形式で回答する。因みに「Amazon Echoとは?」と質問すると、「音声で操作するデバイス」であるとして、製品概要を回答した。サイトへのリンクも示し、製品PRも忘れなかった。

スマートホーム事業へのステップか?

Amazon Echoはスピーカーとして機能するが、家庭内の家電と連携すると、新たな展開が生まれる。Amazon Echoからエアコンの温度調整を行い、電燈のオンオフが可能となる。つまり、スマートホームのハブとして機能する。この市場では、Appleは「HomeKit」を発表し、スマートホーム事業を始動した。Googleは傘下の「Nest Labs」でインテリジェントなサーモスタットを開発中。更にNest Labsはスマートホーム新興企業「Revolv」を買収し、開発を加速している。RevolveはGoogle Glassから音声で家電を操作するコンセプトを発表しており、インテリジェントな家電操作がトレンドとなっている。音声アシスタントや人工知能では出遅れた感があるAmazonであるが、Amazon Echoで巻き返しを図っている。

Apple Payの使い心地は快適!この安心感は日本人の心を掴むか?

Tuesday, October 28th, 2014

Apple Payの運用が始まり、早速使ってみた。決済処理はスムーズで、あっけないほど簡単に使えた。Apple Payは高度なセキュリティー機能を搭載しており、安心してカードで買い物ができる。アメリカはオバマ大統領の号令でカードセキュリティー強化を急いでいる。Apple Payの役割に期待が寄せられている。モバイル決済先進国の日本でも、Apple Payの安心感は消費者の心を掴むかもしれない。

g389_apple_pay_experience_01

Apple Payを使ってみる

Apple Payの機能は良く知られているが、実際に使うと、製品コンセプトを実感できる。iPhone 6でApple Payを利用したが、操作性は快適で、完成度の高い製品デザインに驚かされた。Apple PayはiOS 8.1から利用できる。iPhone 6にインストールすると、設定画面に「Passbook & Apple Pay」という項目(上の写真左側、三段目) が追加となり、ここでApple Payの設定を行う。この項目にタッチするとApple Pay設定画面に移り (同右側)、クレジットカードやデビットカードを登録する。

g389_apple_pay_experience_02

クレジットカードを登録

カード登録画面でApple IDによる本人認証を行った後、カード情報の入力を行う。上の写真はAmerican Expressを登録している様子で、名前、カード番号、有効期限、セキュリティー番号を入力していく (上の写真左側)。カメラアイコンにタッチしてカードの撮影を行うと (同右側)、カード番号と有効期限が、自動で入力される。

g389_apple_pay_experience_03

登録が完了すると、サムネールとカード名称が表示される (上の写真左側)。この画面で利用するカードを選択し、住所、メールアドレス、電話番号などを設定する。登録されたカードはPassbookに格納される (同右側)。

g389_apple_pay_experience_04

店舗で買い物をする

カード登録が完了したApple Payで買い物をした。ドラッグストアー「Walgreens」でハロウィン用にチョコレートを購入。レジにはクレジットカードを読み込むリーダーが備え付けてある (上の写真)。リーダー上部の楕円形の部分がNFCリーダー。スマートカードなどで利用される。支払いの際にiPhone 6をNFCリーダーにかざすと、ロック画面にApple Pay画面が表示される (上の写真、iPhone画面)。ここに登録したカードが表示され、「Pay with Touch ID」と操作の方法が示される。リーダー側にはApple Payのロゴが表示され、正常に処理が進んでいることを確認できる (リーダー画面右下)。

g389_apple_pay_experience_05

ここで親指をホームボタンにあて本人認証を行うと、支払いプロセスが稼働 (上の写真)。支払処理に要した時間は瞬間的で、通常のカード処理と変わらない。支払いが完了すると、そのログがPassbookのApple Payに表示される。ここでリアルタイムに支払い金額をチェックできる。

実はApple Payで支払いが完了した直後、後ろで「ウァーオー」と歓声が上がった。振り向くと年配の婦人が、一連の様子を見ており、「電話で買い物ができるの?」と話しかけてきた。日本では馴染みの方式であるが、婦人には衝撃的な光景に映ったようだ。アメリカではなじみの薄い”おサイフケータイ”であるが、Appleの参入で認知度が上がり、状況は一変する兆しを感じた。

g389_apple_pay_experience_06

アプリ内決済でも利用できる

Apple Payはアプリ内での支払いにも利用できる。対象アプリは、Groupon、OpenTable、Starbucks、Target、Uberなど。上の写真は共同購入型クーポン「Groupon」で買い物をしている様子。アプリでクーポンを購入する際は、最下部のApple Payボタンにタッチして支払いする (上の写真左側)。実際にApple Payで支払いを行ったが、決済処理は非常にスムーズ。ボタンにタッチすると、Touch ID画面が表示され、ここに指をあてて認証を行った。認証が完了すると購買完了画面が表示された (同右側)。一連の流れは店舗での買い物と同じで、ワンタッチで安全に買い物ができ、大変便利。Amazonの1-Click注文と同等の便利さだ。Apple Payのアプリ内支払いはバグが多いと聞いていたが、全く問題なく進んだ。ここでもApple Payの完成度の高さを感じた。アプリ内支払いは最新のiPad (iPad Air 2とiPad mini 3) でも利用できる。店舗での決済はiPhone 6 Plusでも利用できる。

Apple Payを利用できるカード

Apple Payは主要銀行やカード会社から支持を集めている。Apple Payで利用できるカードはVisa、MasterCard、及びAmerican Express。対象となるカード発行銀行はBank of America、Citi、Chaseなど五行。Apple Payを使える小売店舗は、Macy’s、Walgreens、Whole Foods、Apple Storeなど22万店舗。これら店舗は、前述のWalgreensの事例の通り、スマートカード向けにNFCリーダーを搭載したターミナルを設置している。一方、アメリカのNFCリーダー普及率は高くなく、Apple Payを使える店舗はまだ少ないというのも事実。

g389_apple_pay_experience_07

カード会社は積極的

American ExpressはApple Payを積極的にプロモーションしている。American ExpressからApple Payの利用を促すメールを受信した (上の写真)。また、Apple PayにAmerican Expressカードを登録すると、その確認メールを受信し、関連サービスも充実している。American Expressは、Apple Payは非接触型決済でスマートに買い物ができる点のほか、リアルタイムで支払い監視ができ、安全である点をアピールしている。カード会社にとっては、Apple Payの安全性が売りになっていることを窺わせる。

g389_apple_pay_experience_08

銀行はApple Payでイメージアップ

カードを発行する銀行もApple Payを積極的にプロモーションしている。 上の写真はBank of Americaの事例で、専用サイトで製品をアピールしている。多くの銀行はApple Payの採用で売り上げが増える他に、マーケティング効果があると見ている。銀行はApple Payで決済を行うと、決済金額の0.15%を手数料としてAppleに支払うが、それに見合う効果があると期待している。アメリカの銀行は先進技術の導入に消極的との印象があるが、Apple Payの採用でイメージアップを目指している。

一番安全な決済方式

Apple Payはアメリカで一番安全な決済システムとも言われている。カード番号などはデバイス固有の番号「Device Account Number」に変換され、Secure Elementに格納される。支払処理ではトランザクション毎に固有な番号が生成され、Device Account Numberと共に決済システムに送信される。所謂ワンタイム・トークンによる決済方式で、カード情報が送信されることは無く、カード情報の盗聴や窃取による犯罪を防止できる。また利用時にはTouch IDを使った指紋認証で本人を確認する。三重に安全対策が取られている。

アメリカで多発するカード犯罪

アメリカでは昨年末から、サイバー攻撃によるカード情報流出事件が多発している。ディスカウント百貨店「Target」から昨年12月、4000万件のクレジットカードとデビットカード情報が流出した。百貨店「Neiman Marcus」は、今年1月、110万人のクレジットカード情報が流出したと発表。ホームセンター「Home Depot」は今年9月、5600万件のクレジットカード情報が流出したと発表。これが最大規模のカード情報流出事件となった。

g389_apple_pay_experience_09

カードに対する信頼は失墜

上述Neiman Marcusの事件では筆者宅も被害に合った。American Expressからレターを受け取り、「カードを使用した小売店でデータファイルへの不正アクセスを検知した」と説明を受けた (上の写真)。店舗名は記載されていないが、ニュース報道などでNeiman Marcusと特定できる。「貴方の氏名とカード情報が影響を受けたが、不正使用は検知されていない」とも説明されているが、心中は穏やかでない。この事件以来、月々のステートメントは細かくチェックし、不正使用が無いか確認している。またこの事件以来、American Expressの使用は控えている。著者だけでなく多くの人が被害に合っており、アメリカ社会のカードに対する信頼は失墜したと言っても過言ではない。

g389_apple_pay_experience_10

でもICカードへの移行は緩やか

アメリカはICカードの適用が大きく後れている。ICカードの正式名称はEMV (Europay, MasterCard, and Visa) カードで、カードにICチップを搭載した形式で、安全性が大幅に向上する。利用者はICカードをリーダーに差し込み、ディスプレイの指示に従って操作する (上の写真)。ICカードはワンタイムコードを生成し、なりすましを防ぐことができる。利用者は四桁のPINを入力し認証を行う。Visaなどは2015年10月1日より、ICカードに移行することを発表している。これ以降は、ICカードに対応していない小売店舗はなりすまし不正に対して責任を負うこととなる。ヨーロッパや日本で普及しているICカードであるが、アメリカはようやく動き始めた感がある。

g389_apple_pay_experience_11

オバマ政権が普及を後押し

上述のカード情報流出事件を受け、オバマ政権が動き出した。オバマ大統領は、10月17日、「BuySecure Initiative」というプロジェクトを発足し、EMV仕様カードへの移行を促した (上の写真)。連邦政府が発行するクレジットカードはICを搭載し、PINで本人認証を行う。この方式を「Chip & PIN」と呼んでいる。連邦政府内のリーダーはICカードに対応する。このプロジェクトは、民間企業の取り組みについても規定している。Home Depot、Target、Walgreens、 及びWalmartは2015年1月までに、Chip & PIN対応のターミナルを導入する。オバマ大統領の号令で、小売店舗とカード会社は、安全なカード決済に向けて歩みを速めた。

アメリカで一気に普及するか

オバマ政権の後押しで、事件当事者の小売店は一斉に、ICカード対応に向い始めた。このようなタイミングでApple Payの運用が始まった。カード決済でのセキュリティーの重要性を理解したアメリカの消費は、一気にApple Payの利用を始める可能性を含んでいる。著者自身も、使用を控えていたAmerican Expressを、Apple Payで安心して利用できる。

この安心感を日本の消費者はどう評価

おサイフケータイが普及している日本はモバイル決済先進国であり、Apple Payに新鮮さを感じない向きもある。また、Apple Payの無線通信規格はType A/Bで、FeliCaとは非互換であり、これが参入障壁になるとの見方もある。しかし、実際にApple Payを使ってみると、この安心感は日本の消費者の心を掴む可能性を秘めているとも感じた。セキュリティー技術とアップルブランドで、Apple PayはGoogle Wallet (Google版モバイル決済) を使ったときと比べ、格段に安心感が高い。圧倒的にリードしているおサイフケータイであるが、再度、日本の先進技術が国際標準で置き換えられる事態も想定され、予断は許されない。Apple Payはアメリカだけでなく、世界市場を巻き込んで展開する可能性を秘めている。

「Apple Pay」で決済サービス事業に参入!Apple Watchから利用できる

Wednesday, September 10th, 2014

Appleは9月9日、スマートフォン「iPhone 6」とウエアラブル端末「Apple Watch」を発表。更に、Appleは決済サービス「Apple Pay」を発表。iPhone 6やApple WatchのNFC (近距離無線通信) 機構でカード決済ができる。Apple Watchは洗練されたデザインで、アップルらしい製品仕立てとなった。

g383_apple_watch_01

お洒落な製品

Apple Watchは三つのモデルから成り、それぞれ、「Watch (標準)」、「Watch Sport (スポーツ)」、「Watch Edition (ハイセンス)」。使う目的によりデザインが異なる。上の写真 (出典はいずれもApple) はWatch Edition。フレームは18Kイエローゴールドでバンドは赤色レザー。

g383_apple_watch_02

このモデルを身に付けると上の写真のようなイメージとなる。お洒落な製品で消費者の心に訴求する。ディスプレイサイズは38mmと42mmで大小二つのモデルを投入。出荷は2015年初頭で、価格は349ドルから。

Apple Payとは

iPhone 6とApple Watchに次ぐ発表ハイライトはApple Pay。Apple PayはNFCによる決済サービスで、おサイフケータイのアップル版と言える。但し、通信プロトコールは異なる。Apple PayはiPhone 6とApple Watchで利用できる。

g383_apple_watch_03

iPhone 6でApple Payを使う際は、指をTouch IDにあて、デバイスをリーダーにかざす (上の写真)。Touch IDで本人認証を行う。支払いが完了すると、デバイスが震えて知らせる。

g383_apple_watch_04

Apple Watchで支払いする際は、下側のボタンをダブルクリックし、リーダーにかざす (上の写真)。Appleは認証方式については言及しなかった。(Watch背面のセンサーでバイオメトリックな情報を読み、これを認証で利用するのか。) 読み込みが終わると、Watchが震えて知らせる。

g383_apple_watch_05

アプリ内でも利用できる

Apple Payはアプリ内の支払いに利用できる。アプリで買い物して支払いする際は、「Apple Pay」ボタンにタッチし、指をTouch IDにあてる。上の写真左側は、レストランPanera Breadでランチをオーダーしている様子。中央は大手デパートTargetでの買い物。右はライドシェアUberで車を呼んでいるところ。いずれも画面最下部のApple Payバーにタッチして支払いする。

g383_apple_watch_06

カードの登録

Apple Payのセットアップはシンプル。クレジットカードやデビットカードをPassbookに格納する (上の写真左側)。チケットなどを入れておくPassbookが財布となる。iTunesにカードを登録している場合は、カードのSecurity Codeを入力し、Passbookに移す。新規にカードを登録する際は、カードの表面をカメラで撮影して、カード情報を読み込む (同右側)。

g383_apple_watch_07

Apple Payのセキュリティ

カードをPassbookに格納する際は、カード番号ではなく、デバイスに固有の番号「Device Account Number」が生成される。これを暗号化して、デバイスのSecure Elementに格納する。Device Account Numberはデバイス内に留まり、Appleサーバーには格納されない。

支払処理では、トランザクション毎に固有な番号が生成される。Device Account Numberとこの番号が決済システムに送信される。所謂、ワンタイム・トークンによる決済方式で、クレジットカード番号やデビットカード番号が送信されることは無い。

g383_apple_watch_08

iPhone 6やApple Watchにカード番号が格納されないため、デバイスを紛失してもカード情報は洩れない。デバイスを紛失した際は、「Find My iPhone」機能を使って (上の写真)、デバイスを「Lost Mode」にする。これでApple Payなどの機能が使えなくなる。

既に多くのパートナー

Apple Payは、Visa、MasterCard、American Expressに対応している。Apple Payを使える小売店舗は、Macy’s、Walgreens、Whole Foods、Apple Storeなど22万店舗。Apple Payを利用できるアプリは、Groupon、OpenTable、Starbucks、Target、Uberなど10アプリ。カード会社はApple Payでカードが使われる毎に、Appleに手数料を支払うと言われている。iPhone 6やApple Watchでカードを使うことで、消費者の購入金額が増えるとみている。

g383_apple_watch_09

アメリカ市場に受け入れられるか

日本では馴染みのおサイフケータイ機能であるが、アメリカではほとんど使われていない。Googleは「Google Wallet」でおサイフケータイ機能を提供しているが、あまり人気が無い。このためGoogleは、Google Walletをオンライン決済を中心に展開している。

このところTargetなどが攻撃に合い、クレジットカード情報が盗まれる被害が続出している。Apple Payは決済処理でカード情報を使わないため、このような問題を回避できる。また、Apple Watchで支払いができ、ポケットやバッグからスマートフォンを取り出す必要はない。AppleがNFC決済ビジネスに参入することで、市場が活性化するか、期待が寄せられている。