Archive for the ‘ネット宣伝’ Category

人工知能がヒトの視覚に近づく、広告からロボットまで応用範囲が一挙に広がる

Friday, July 3rd, 2015

人工知能の進化は急で、写真だけでなくビデオに何が写っているかを理解できる。ライブで配信されるビデオをリアルタイムで解析し、内容に応じて区分けする。この技術は既に大手企業の広告事業で使われている。ビデオ解析の究極の目的はロボットの視覚となることで、その応用範囲は広大だ。ヒトの目に近づきつつある最新のコンピュータービジョンをレポートする。

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写真からビデオ解析へ

コンピュータービジョンでトップを走っているのは、ニューヨークに拠点を置く「Clarifai」というベンチャー企業だ。人工知能の技法を使いイメージ解析技術を開発している。同社は2013年、イメージコンテスト「Large Scale Visual Recognition Challenge」でトップ5に入賞し注目を集めた。イメージコンテストでは写真に写っているオブジェクトを識別するが、今ではこの技術をベースに、ビデオ解析技術を開発している。ビデオに写っているオブジェクトを1万のカテゴリーに分類することができる。

上の写真がその事例で、自動車から撮影したビデオを解析し、そこに何が写っているのかをグラフで表示している。上段は入力したビデオで、ゴールデンゲートブリッジを自動車で走行している様子である。下段が解析結果で、時間ごとに登場するオブジェクトをグラフで表示している。Clarifaiはビデオに登場するオブジェクトを把握し、それを区分けして、出現頻度を時間ごとにプロットする。

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ビデオの内容をグラフで表示

グラフの一部を拡大したのが上の写真である。下段にはClarifaiが把握したオブジェクトを示し、上段にその出現頻度をプロットしている。グラフ最上部が「Vehicle」で、「自動車」の出現頻度を示す。グラフは常に高い値を示しており、自動車が定常的に登場していると判定した。実際に走行した時は道路は込んでいて、常に他車と一緒に走行した。最下部の黄色い線は「Suspension Bridge」を示す。Clarifaiはゴールデンゲートブリッジは、橋の中でも「吊り橋」というタイプであると認識している。ゲートの下を通過するときは、これが見えなくなり、中央部でグラフが大きく下がっている。

Clarifaiが認識したオブジェクトは下段左側に示される。このケースでは110件程度のオブジェクトを認識した。ここからグラフ化したいオブジェクトを選ぶと、下段右側に表示される。ここでは他に、「Road」や「Sky」などのオブジェクトを選択した。更に、抽象的な表現である「Travel」も選択した。上から三番目のグラフがそれで、具体的な定義は公表されていないが、乗用車や観光バスや歩行者などを「旅行」と定義しているようにも思える。

ビデオ解析の利用方法

Clarifaiはビデオの中で特定シーンを検索する時に利用される。グラフから見たいシーンを簡単に探し出せる。例えば上述グラフで「City」の最大値の部分を選ぶと、サンフランシスコ市街が写っているシーンを見ることができる。更に、出版社のようなビデオ所有者は、コンテンツを体系だって整理できる。ジャンルごとに区分けするだけでなく、ビデオへのタグ付けを効率的に行える。これらビデオを配信する際に、最適な広告を挿入・付加することで、コンバージョン率の向上が期待できる。例えば上述のケースでは「Travel」の値が高いので、このビデオの隣に旅行関係の広告を配信するなどの利用法が考えられる。

このサービスはクラウドから提供され、企業はClarifai APIをシステムに組み込んで利用する。サービスはフリーミアムと有料サービスがあり、無償サービスでは解析するデータ量に制限がある。一方、有償サービスでは制限なしに利用できる。

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ライブビデオストリームを解析するサービス

コンピュータービジョン開発会社「Dextro」が注目を集めている。ニューヨークに拠点を置き、ビデオ認識技術を開発している。人工知能の技法を使ってビデオを解析し、その内容を把握する。Dextroは2015年5月、ライブビデオストリームを解析するサービス「Stream」を公開し話題を集めている。

これは人気ライブストリーミングアプリ「Periscope」で放送されるビデオを解析するサービスで、若者を中心に利用が広がっている。Periscopeとはサンフランシスコに拠点を置くベンチャー企業で、手軽にビデオ放送できる機能を提供している。スマホカメラからライブでビデオを発信し、視聴者はこれらの放送をアプリで閲覧する。2015年3月にTwitterが買収し、米国だけでなく世界各国で利用されている。いま一番ホットなアプリで、日本の人気アプリ「ツイキャス」(TwitCasting) に相当する。

膨大なビデオの中から好みのコンテンツを探す

Periscopeでは興味深いビデオがライブで放送されるが、ストリームの数が膨大でその選択に苦慮する。そこでStreamはPeriscopeのライブストリームを分析し、ビデオを区分けする機能を公開した。上の写真がその事例で、ストリームは「Talking Heads」、「Cats & Dogs」、「Green Fields」などに分類される。バブルの大きさはストリームの数を示す。バブルをクリックすると、そのカテゴリーのビデオを見ることができる。Periscopeが発信する大量のビデオの中から、面白いビデオに容易に辿りつける。

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上の写真がStreamを使ってPeriscopeを見ている様子である。左側は「Nightclubs & Concerts」を選択したところで、コンサートのライブ演奏を楽しめる。このバブルを選ぶと、自宅にいながらライブでコンサートを楽しめる。右側は「Rooftops」を選択したところで、屋上からニューヨークの景色を楽しめる。誰かのパーティーにリモートで参加して、その雰囲気を味わえる。知人同士はリアルタイムでメッセージを交換し、バーチャルに出席する。ビデオ区分はこの他に、「Morning」、「Afternoon」、「Night」などがあり、膨大なビデオの中から好みのコンテンツを探すことができる。

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システムをどう教育するのか

StreamはDeep Learningの手法でビデオに写っているオブジェクトを学習する。事前に撮影した大量のビデオとタグ (オブジェクト名などを記入) をStreamに入力し、システムを教育する。具体的な手法は公開していないが、上の写真のようなビデオストリームを入力し、例えば「Buildings at Sunset」などと教育するものと思われる。「Buildings」や「Sunset」など、単一オブジェクトだけでなく、その関係を示しシーンを理解させる。

Periscopeを解析することの難しさは、記入されているテキストがビデオの内容と異なるためと言われる。製作者がタグ付けに注意を払っていないことの他に、ライブビデオ特有の難しさがある。タグを入力して撮影を始めると、意図した内容と異なる方向に進むことが多々ある。このため、Streamはテキストや音声データは参照せず、イメージデータだけを利用する。

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Dextroの本当の目的は何か

Streamが話題になっているが、Dextroの狙いは別のところにある。Dextroは既に大手企業と事業を展開している。大手ブランドはこの技術を使い、自社商品が市場でどう受け止められているかを把握する。商品はPinterestやInstagramのビデオの中に数多く登場する (上の写真、Pinterestのケース)。Dextroはこれらビデオを解析し、商品がどこに登場しているかを把握する。ロゴだけでなく、オブジェクトの形状から商品を特定する。更に、消費者が商品をどう使っているのかまでを把握する。写真と異なりビデオでは、消費者と商品のインタラクションまで理解できる。

市場ではDeep Learningの手法を使った広告技術が登場している。具体的な手法は企業秘密で殆ど明らかになっていないが、GoogleとBaiduが既にシステムを運用しているといわれる。消費者のプロフィールを把握するだけでなく、Deep Learningの手法でコンテンツを解析し、ターゲッティング広告の精度を上げている。Baiduは人工知能を広告配信に適用し、売り上げを伸ばしている。広告配信で人工知能の効果が数字として表れてきた。

究極の目的はロボットの視覚

Dextroは将来を見据えた開発に取り組んでいる。ビデオの中で何が起きているのかを把握し、そのサマリーを書き起こす技術を開発している。今まではマニュアルでビデオ概要を制作していたが、これからはソフトウェアの仕事となる。Dextroの究極の目的はロボティックスと言われている。ビデオ解析はロボットの基本技術で、ロボットの視覚として移動やアーム操作でオブジェクトを認識する。災害救助ロボットが屋内に入る時、扉を認識し、ノブを掴み、それを回して開ける。この背後ではコンピュータービジョンが使われ、ここでの開発競争が激化している。

メンズウェアを組み合わせて販売~男性は単純な生き物だから

Thursday, August 8th, 2013

500 Startups Demo Dayレポート (1)

「男性は単純な生き物だから、単純なソリューションが必要なの」と語るのはSeat 14aのCEOであるJas Banwait (最後の写真) である。Seat 14aはNew Delhi (インド) に拠点を置く新興企業で、男性向け衣料品をお洒落に組み合わせて販売するビジネスを展開している。

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スタイリストがコーディネーション

一般的に、男性はファッションの感度が低く、自ら洋服をコーディネートするのが苦手な人が多い。そこでSeat 14aは、衣料品を単品で販売するのではなく、スーツ、シャツ、パンツをコーディネートして、トータル・ソリューションとして販売している。上の写真がその事例で、モデルが着ているジャケット、シャツ、ポケットチーフをパッケージで販売している。

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Seat 14aは商品を特定のテーマに沿ってアレンジしている。上の写真は「A Newport Summer」というテーマの商品で、ブレザー、Tシャツ、ポケットチーフから構成される。価格は199ドルである。このテーマは、真夏の夕べのNewport (ロスアンジェルスの高級住宅が立ち並ぶ海岸) をイメージしており、かさかさした手触りの淡黄色のブレザーが主役である。アクセントはポケットチーフで、ネット織 (上の写真) と水玉模様の二種類がコーディネートされている。

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上の写真は「Clark」というテーマの商品で、スーパーマンのClark Kentにヒントを得たものである。この商品はブルーのジャケットとチェックのシャツを組み合わせている。ジャケットには赤色のインナーが施され、スーパーマンのマントの色を暗示し、大人のClark Kentを表現している。チェックのシャツは農場の作業着で、袖を捲りあげて着る。これは、カンサス州の農場で暮らしていた子供時代のClark Kentをイメージしている。「Clark」は子供から、大人への成長の軌跡を表現している。価格は249ドル。

Seat 14aは垂直統合型ビジネス

Seat 14aは、1-2週間おきに最新モデル (Current Collection) を発表し、ウェブサイトに掲載する。最新モデルは定価の30-50%引きで買うことができ、期間が過ぎるとアーカイブ (Previous Collections) に掲載され、定価で購入する。利用者は注文すると2-3週間後に商品を受け取る。Seat 14aは、衣料品のデザイン、縫製、出荷まで、一連のサイクルを手掛けている。商品デザインでは、Seat 14aの専門スタッフが行うほかに、著名デザイナーとも提携している。縫製プロセスは、New Delhiの工場で行い、ここから全国に出荷する。New Delhiは、縫製工場が集約しており、Seat 14aはここに拠点を置き、プロセスを管理している。Seat 14aは、垂直統合型ビジネスで、仲介企業を経由しないため、市価の1/4で商品を提供するが、利益率は50%を確保できるとしている。

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シリコンバレー・ファッションは何故ダサい

シリコンバレーはテクノロジーで世界をリードするが、そのファッションでは見る影がない。男性向け雑誌であるGQ Magazineは「The 15 Worst-Dressed Men Of Silicon Valley」と題して、シリコンバレー・ファッションのワースト15を発表した。不名誉なトップは、Facebook CEOのMark Zuckerberg (上の写真・左側) である。受賞の理由は「ネクタイとジーンズが旧式で、時代のトレンドと相いれない」と評価している。Zuckerbergと言えばパーカを連想するが、ジャケットを着てもさまにならない。二位はSteve Jobsで、「iPhoneは頻繁にアップグレードされるのに、Jobsのファッションは更新されない」と評価している。華やかなWWDCのステージで、華麗な演出で世界を驚かせてきたが、黒のタートルネックと旧世代のジーンズは、会場の華やかさとは対極にある。

ファッション・ソリューションというアイディア

Banwaitに、なぜシリコンバレーの男性はお洒落でないのか、尋ねてみた。これは気候が良くてカジュアルな服装になり、テクノロジーがファッションに優先するためであると、解説した。「ここでは見かけはインテリジェンスに適わないの。Zuckerbergがその代表よ。」と彼女の視点を語った。確かに、生活実感として、シリコンバレーを含むカリフォルニアでは、お洒落に関心の無い男性は数多い。反対に、ここがSeat 14aの潜在市場となる。Banwaitは、このようなお洒落に関心の無い人に、どうやって衣類を販売するかについて、「単純なソリューションが鍵で、メールボックスにコーディネートした洋服を送り、Buyボタンをクリックするだけで、衣料品一式が届く仕組み」とアイディアを語ってくれた。「日本の男性も注文することができる」とのことで、買い物に行く時間がない忙しい人などは、このサイトを覗いてみるのもいいかもしれない。センスのいい洋服が、手ごろな価格で掲載されており、見るだけでも楽しくなるサイトである。

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ギークな表現であるが、Seat 14aはファッションのLAMP (Linux, Apache, MySQL, PHP) スタックで、メンズウェアは製品販売からソリューション販売に向かい始めた。

消費者の位置情報を正確に把握

Friday, January 4th, 2013

Under the Radarでは、ソーシャルとモバイルの分野で斬新な技術が登場し、後者では消費者の位置情報を解析する、ローケーション・インテリジェンス技術の進展が目立った。

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モニターを募集して消費者位置情報収集

Placed (プレイスト) はSeattle (ワシントン州) に拠点を置くベンチャー企業で、消費者の位置情報を収集し解析するサービスを提供している。Placedは消費者の位置情報をGPSなどで収集しているが、2012年10月に、専用アプリであるPanel App (上のスクリーンショット、出展は断りがない限りVentureClef) をリリースした。消費者はPanel Appアプリをダウンロードしモニターになり、Placedはモニターの位置情報を収集する仕組みである。初期画面で、消費者は位置情報をPlacedに収集されることに同意する (上のスクリーンショット左側)。次に、消費者は、年齢、性別、収入、人種、学歴などの個人情報を入力 (同右側) して登録が完了する。

消費者は位置情報をモニターされることの見返りとして、ポイントを貯めて特典を得ることができる。消費者はPoints Panelで、現在のポイントや一か月後の予想ポイントを閲覧できる。消費者は貯まったポイントを特典と交換する。200ポイントでAmazonギフトカードの抽選会に参加でき、抽選に当たると100ドルの商品券を入手できる。

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消費者位置情報解析の仕組み

Placedは消費者の位置情報を追跡し、その消費活動をモニターするサービスを提供している。小売店舗などは消費者動向を把握するため、Placedが提供する位置情報サービスを利用する。小売店舗などはモバイル・ウェブやスマートフォン向けアプリにPlacedのコードを実装して消費者の位置情報をトラックする。家電製品量販店であるBest Buyがこのサービスを利用している。Best Buyは、同社が提供しているモバイル・ウェブ (上のスクリーンショット左側) やモバイル・アプリ (同右側) にPlacedのAPIを実装しており、消費者がこれらにアクセスすると、Placedは消費者の行動を位置情報とともに収集する。

位置情報はGPSのデータを使うが、GPSの精度は消費者が訪問した店舗を特定できるほど高くない。Placedは独自技術でこれを補完し、消費者が訪問した店舗を特定する。PlacedはGPSで収集した位置情報をClean UpしContextualizeする。Clean Upは収集した位置情報からノイズを除去する技術で、加速度計、コンパス、ジャイロなどのデータを利用する。次にクリーンアップした位置情報を周囲の店舗などと関連付ける操作を行う。これをContextualizeと呼び、消費者の近くにある店舗、人気のある店舗、店舗の種別などから、訪問した店舗を推定する。Placedは消費者が訪問した店舗をGPSの物理データだけで決定するのではなく、消費者の行動の意味を解して、複数の角度から訪問した店舗を推定する。

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Panel Appで位置情報を絞り込み

Placedは、上記の方式に加え、モニターから収集した消位置情報から、訪れた小売店舗を決定する方式を導入。Placedは前述のPanel App経由で、モニターの位置情報をGPSなどで収集し、消費者が訪問したと思われる小売店舗を算出する。更に、Panel Appは、モニターに質問を送信する (上のスクリーンショット) 。Panel Appは、モニターが滞在したエリアに関する質問を送付し、それにモニターが回答する。左側画面がその様子で、木曜日の3:00PM頃にどの店舗を訪問したかとの質問を受信。ここには訪問したエリアにある小売店舗の名称がリストされ、訪問した店舗を選択する形式となっている。ここで、Luckyというスーパーマーケットを選択し、回答している。右側画面は、別の日の質問で、この日はショッピング・モールではなく、多くの企業が入居しているオフィスビルを訪問したケースで、訪問先のSquire Sandersを選択して回答している様子である。この操作により、Placedはモニターが訪問した場所を正確に把握できる。

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消費者位置情報を何に使うのか

収集した位置情報は小売店舗などが展開するプロモーションなどで利用されている。Placedはサンプルとして様々な位置情報統計データを公表している。上のスクリーンショット (出展:Placed) は、Heat Mapという形式の統計情報で、条件を指定し消費者が訪問したセグメントを表示する。この事例では2012年11月に消費者が訪問した市場分野 (レストランやホテルなど) をヒートマップ形式で表示している。セグメントの大きさは訪問者数を表している。これにより店舗側は、消費者がどの店を訪問したかなど、消費者の挙動を把握でき、消費者に対して位置情報に応じた広告を配信できる。位置情報に応じたターゲッティング広告の配信は既に行われているが、Placedはこのベースとなるデータを高精度で提供する。テレビ視聴率調査ではNielsenが、ウェブサイト閲覧調査はcomScoreが有名であるが、小売店舗訪問者調査ではPlacedがPanel Appでサービスを開始した。消費者の位置情報に応じた様々なサービスが登場しているが、これらサービスの基礎情報となるローケーション・インテリジェンスが、益々重要な技術となっている。

会員カードをカードレスで展開できるサービス

Friday, December 21st, 2012

Under the Radarでは、ソーシャルとモバイルの分野で斬新な技術が登場し、特に、モバイル・コマース分野での技術革新の速度が急であった。スマートフォン・エコノミーが急速に広がり、ユニークなビジネスがモバイル・デバイス上に登場している。

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クレジットカードで会員管理

Thanx (サンクス) はSan Francisco (カリフォルニア州) に拠点を置き、小売店舗向けに会員管理プログラムを提供しているベンチャー企業である。小売店舗は会員カードを発行する必要はなく、消費者がクレジットカードで買い物をすると、特典が貯まる構造である。消費者は、まず、スマートフォンにThanxアプリをダウンロードしておく。次に、Thanxアプリにクレジットカードを登録し、そのカードで買い物をするとポイントが貯まる。小売店舗は会員カードを用意したり、POSと連携するシステムの開発は不要で、手軽に会員プログラムを構築することができる。具体的には、消費者はiPhoneでThanxアプリを起動し、クレジットカードの写真撮影を行い (上のスクリーンショット左側、出展は断りがない限りVentureClef)、カード番号をThanxアプリに登録する (同右側)。これだけの前準備で、消費者は小売店舗において買い物をして、登録したクレジットカードで支払いをすると、自動的にThanxアプリにポイントが貯まる。クレジットカードを会員カードとして利用している。

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Thanxアプリで買い物をしてみると

上のスクリーンショットは、Mixt Greens (ミックスト・グリーン) というレストランでThanxアプリ (左側) を使っている様子である。Mixt Greensはサラダ専門店で、注文すると目の前でシェフが素材をブレンドし、ボールでシェイクしてくれる。出来上がったサラダを受け取り、会計する際に登録したクレジットカードを利用するとポイントが貯まる。右上がその様子で、登録したカードで支払いをし50%のポイントが貯まっており、もう一回来店すると無料のアイスティーをゲットできる。

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上のスクリーンショットはMixt Greensで貯まったポイントで、特典のアイスティーを貰っている様子である。左側画面で中央部のバーを右にスライドすると、特典画面 (右側) が表示される。支払の際にこの画面を提示し、表示された番号 (1852) を告げるとアイスティーが無料となる。Thanxは小売店舗で登録されたクレジットカードが使用されると、そのトランザクション・データを受信し、ポイントの加算などを行う。更に、これらトランザクション・データから、利用者の消費動向などを把握することも可能となる。

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Thanxの会員プログラムを利用できる店舗は、San Francisco地区で広がっている。このプログラムを利用できる店舗は、前述のMixt Greens (上の写真) やVocanova (南米料理) などで、チェーン・レストランを中心に採用が進んでいる。使ってみると、レジで支払いをする際にアプリを開いたり、メール・アドレスを入力する操作は不要で、普段通りの支払いで、自動的にアプリにポイントが貯まり便利である。

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汎用的なプリペイドカード・サービス

小売店舗向け顧客管理について、多くのベンチャー企業から斬新なサービスが登場している。Marqeta (マーケタ) はEmeryville (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、小売店舗向けにプリペードカード・サービスを提供している。消費者はMarqeta会員に加入すると、プリペイドカード (上の写真、出展:Marqeta) を受け取り、このカードで買い物の支払いを行う。

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消費者はカードにチャージするため、小売店舗が発行しているOfferを購入する。上のスクリーンショット (出展:Marqeta) がその様子で、iPhone向けアプリから行う。左側は、Marqetaに加入している小売店舗をマップ上で検索し、好みの店舗を選択している様子。ここではNorth Beach Pizzaというピザ・レストランを選択したところである。次に消費者はNorth Beach PizzaのページでOffer (右側) を閲覧し、Offerを購入する。ここには25ドルのクレジットを購入すると、5ドルのボーナスが付くOfferが示されている。25ドルチャージしたカードをNorth Beach Pizzaで使うと、30ドル分の買い物ができる。Marqetaに加入している小売店舗はSan Francisco地区のレストランやスーパーマーケットで、400店舗がこのサービスを利用している。消費者としては、各店舗のカードを持つ必要はなく、Marqetaカード一枚で複数の店舗で買い物ができる。Starbucksでは利用者の25%がプリペイドカードで支払いをしており、大きな成功を収めている。Marqetaはこのモデルを踏襲し、小売店舗向けに汎用プリペイドカードを提供している。

Pinterestでの新ビジネスとイメージ・アナリティックス

Friday, November 30th, 2012

ベンチャー企業が審査員の前で最新技術をアピールするカンファレンスであるUnder the Radarが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校 (下の写真、出展:VentureClef) で開催された。カンファレンスは、既存路線から大きく逸脱する技術を追求しており、ソーシャルとモバイルの分野で斬新な技術が登場した。今年のトレンドを一言で括ると、ソーシャル・メディアはビジュアルに向い、モバイルはコマースに向かっている。このレポートから数回に分けて、ソーシャル及びモバイルの最新技術を解析する。

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Pinterestを使ったプロモーション

ソーシャル・ネットワークは急速にビジュアル化している。Pinterest (ピンタレスト) は写真を媒体としたソーシャル・ネットワークで、会員は気に入った写真をボード (写真アルバム) にピン留し、コミュニケーションを行う場である。Pinterestには様々な写真が掲載されているが、女性ファッションなどが人気のジャンルである。下のスクリーンショット (出展:Pinterest) がその様子で、Pinterestのファッション・カテゴリーに掲載されている写真を閲覧しているところである。

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Pinterestは趣味の写真アルバムとしてスタートしたが、今ではPinterestを基盤としたビジネスが始まっている。多くの有名ブランドがPinterestで商品プロモーションを展開している。下のスクリーンショット (出展:VentureClef) がその様子で、左側はファッション・ブランドのdELiA*s (ディリアス) が、若い女性向けにジーンズの写真などを掲載している。利用者は気に入った写真にタッチすると、dELiA*sのショッピング・サイト (右側) にジャンプし、ここで買い物をすることができる。趣味の写真アルバムが製品プロモーションとしても利用されている。

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Pinterestは消費者動向を把握するに最適な場でもある。多くの利用者は、気に入ったファッションやアクセサリーの写真を自分のボードに掲載し、一般に公開している。Pinterestに掲載されている写真を閲覧すると、ファッション・ブランドの人気商品が見えてくる。しかしブランドは、Pinterestにどんな商品が掲載され、また、その商品がどのように伝達されていくのか把握できていないのが現状である。Pinterestの特性は写真でメッセージが主張されることで、テキストの記載は最小限に留まっている。利用者は「dELiA*sのSkinny Jeansが欲しい」とコメントする代わりに、写真を掲載し、「これ欲しい」とコメントする。このため、従来のテキスト解析では、商品を追跡することができない。

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Curalateというベンチャー企業

Curalate (キュラレイト) はPhiladelphia (ペンシルバニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、ブランド向けにPinterestにおけるアナリティックス機能を提供している。上のスクリーンショット (出展:Curalate) がその様子で、Pinterestの解析結果を表示している。これはH&Mブランドに対する解析結果で、Pinterestにおいて、利用者がH&M商品の写真に如何に反応したかを解析している。スクリーンショット上段は、Brand Activityとして、利用者が掲載したH&M商品の写真が閲覧された数、そこに記入されたコメント数、写真のフォロワーの数などが表示される。下段はYour Top Contentsとして、利用者が掲載及び再掲載した商品の写真一覧が表示される。このランキングを見ることで、H&Mは消費者動向や、消費者の間で話題となっている商品を把握することができる。

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Your Top Contentsでサンダルが上位にランクされていると、それと同じ商品をH&Mのボード (上のスクリーンショット、出展:Pinterest) に掲載することで、利用者がこの商品を購入する確率が大きく上がる。

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トレンド

CuralateのCEOであるApu Gupta (上の写真、出展:VentureClef) によると、「インターネットはVisual Webに向かっている。コンテンツの40%はイメージで、ソーシャル・メディアでは70%がイメージを介在したアクションである。」と述べている。その代表がPinterestであり、Tumblrである。「イメージは感情を刺激し商品購入に繋がりやすい」と述べ、「サイトでの購買金額は、Facebookが95ドルであるのに対して、Pinterestは169ドルである」としている。Visual Webが幅広く浸透し、ここで事業が発生するにつれて、Curalateのメージ・アナリティックスが重要な技法となってくる。