Archive for the ‘マルチメディア’ Category

ニュース報道から映画撮影まで、無人飛行機を使ったビジネスが本格始動

Friday, October 10th, 2014

個人が趣味で使うだけでなく、企業は早くから無人飛行機「ドローン」を活用したビジネスに着目してきた。アメリカは規制が厳しく出遅れていたが、「ドローン解禁」を睨んで、大手企業が動き始めた。日常生活との関わりが深まったドローンビジネスをレポートする。

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大手メディアがドローン報道

ニュース報道でドローンから撮影した映像を放送するケースが急増している。これは「ドローン・ジャーナリズム」とも呼ばれ、ドローンをニュース報道で活用する手法だ。上の写真は香港の民主派によるデモの様子をドローンから撮影したもので、Wall Street Journalが電子版で放送した。市の中心部を映したもので、デモの規模が一目でわかり、空撮の威力を感じる。ドローンによるニュース報道は数年前から始まり、CNNが竜巻の被害状況などを報道してきた。しかし、アメリカにおけるドローンの商用利用は規制されているため、報道各社はドローン報道を自粛してきた。ドローン解禁を前にして、Wall Street Journalなど大手メディアは、再度、ドローン報道に意欲を見せている。

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テレビ局もドローンから撮影

テレビニュースでもドローンの利用が始まった。サンフランシスコ地区のテレビ局NBC Bay Areaは、Apple新本社の建設現場を、ドローンで撮影した映像を使って報道した (上の写真)。新本社は「スペースシップ」とも呼ばれ宇宙船を思わせる形状をしている。ドローンで撮影したビデオから、この形状が確認できる。このビデオはLocusLabs (インドアマップ開発企業) 創業者がDJI Phantom 2で撮影したもの。NBCはヘリコプターによる撮影を行っているが、視聴者がドローンで撮影したビデオも積極的にニュース番組で報道している。テレビ局はドローンを使った撮影はできないが、個人だと規制に抵触しない点を利用している。少し苦しい言い訳であるが、テレビ局もドローンに注目している。

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映画撮影でドローン使用を認められる

アメリカにおいてドローンを商用で利用するためにはFAA (アメリカ連邦航空局) の認可が必要となる。FAAはBPがドローンを使ってオイルパイプラインの検査を行うことを認めたが、事実上、アメリカにおいてはドローンの商用運行は規制されている。しかし、FAAは9月25日、映画製作会社に対し、ドローンを使ったビデオ撮影を認めた。規制の例外措置という位置付けとなる。

対象となったのはAstraeus Aerialなど映画撮影会社六社。Astraeus Aerialはドローンを使った撮影技術を開発している会社で、ドローンを高精度で制御し撮影できる点に特徴がある。被写体に10センチまで接近して撮影できる技術がある。上の写真はドローンを使って撮影したビデオのワンシーンで、主人公が岩山に登る様子を、上空から追尾しながら撮影している。

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アメリカ企業はドローンを使った映画撮影を国外で行ってきた。007シリーズ「Skyfall」で、James Bondがオートバイで追跡するシーン (上の写真) はトルコで撮影された。他に「Star Trek: Into Darkness」、 「The Hunger Games」、「Iron Man 3」などが国外でドローンを使って撮影された。これからはドローンを使った撮影をアメリカ国内で行え、大幅にロジスティックスが改善される。FAAはドローンに関する法令整備と並行して、企業からの申し立てに対して事案ごとに審査する方針を取っている。今後も特例措置が続くと期待されている。

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ドローンからスポーツ中継

ドローンでスポーツ報道が大きく変わった。ソチ冬季オリンピックで、スノーボードやスキー・フリースタイルなどの競技が、ドローンで撮影されたことは記憶に新しい。ドローンはコースに沿って飛行し、選手を上空から撮影した。今までにないアングルで迫力のある映像を見ることができた。ソチ・オリンピックで使われたドローンには、HDカメラの他に、撮影した映像を送信するトランスミッターも搭載された。視聴者は競技をライブで見ることができた。競技では固定カメラやワイヤーに吊るしたSpider Cameraなども使われた。またヘリコプターからの撮影も行われた。ドローンは低コストで安全に競技を撮影することができる。今後はゴルフ、フットバール、F1モータースポーツなどに利用が広がると言われている。

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ドローンによる盗撮問題

ドローンを使ったスポーツ報道が始まる一方で、スポーツ競技をドローンから盗撮する事件が続発している。    全米オープンテニス会場でドローンを飛ばしたとして逮捕さる事件が発生。女子シングルス準々決勝でSerena WilliamsとFlavia Pennettaの試合がArthur Ashe Stadium (上の写真、中央のコート) で行われていた。Daniel Feigheryという男性は17番コート (右下隅のコート) 近辺でドローンを飛行したとして逮捕された。理由は危険な行為であるが、試合の盗撮が目的であったと言われている。他に、ドローンで映画ロケ現場を盗撮する事件なども発生し、社会問題となっている。企業はドローンを使ったビジネスに乗り出しているが、ドローンによる盗撮への対応も必要となってきた。

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舞台芸術でドローンを使う

舞台の上で人間と一緒にダンスをするドローンが話題となっている。Cirque du Soleilはカナダのモントリオールに拠点を置く芸術性の高いサーカス団で、ドローンを取り入れたショーを公開した。これは「Sparked」というショーで、10台のドローンが人間と共演する (上の写真)。ドローンはランプの傘に入っていて、音楽に合わせてフライング・ダンスを行う。Phantom 2が使われ、音楽に合わせて10台が飛行するようプログラムされている。主人公が腕を上げればランプが上昇し、腕を下げれば下降する。人間のダンスとシンクロナイズしてストーリーが展開する。ドローンの動きが神秘的で、独自の雰囲気を醸し出している。舞台芸術でドローンを使った最初のケースと思われる。

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警察・消防から民間利用へ

FAAは警察や消防のドローン使用については許可しており、犯罪捜査、消火活動、災害救助などに早くから利用されてきた。上の写真は地元San Jose警察が導入したドローンで、人間が近寄れない危険物処理に活用するとしている。一方、前述の通り、FAAはドローンの商用利用には慎重で、アメリカにおける利用は大きく制限されてきた。アメリカ議会や民間企業からの圧力で、FAAはドローンを航空管制システムに統合すべく、準備を始めた。FAAはタイムラインは示していないが、早ければ来年末にも骨子が決まると言われている。それまでは、FAAは個別に対応する姿勢を示し、企業のドローンビジネスが大きく動き始めた。

無人ヘリの操縦を体験、衝撃的に簡単!大流行の兆しを感じた

Friday, October 3rd, 2014

アメリカで無人ヘリの利用が広がっている。消費者向けの無人ヘリはカメラを搭載し、上空からの撮影で使われる。所謂「フライングカメラ」である。こう聞かされてもピンとこなったが、実際に無人ヘリを操縦してみてその理由が分かった。いまブームとなっている無人ヘリをレポートする。

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無人ヘリを飛ばしてみる

無人ヘリは「Unmanned Aerial Vehicle」 (無人航空機、通称「ドローン」) の一形態で、複数枚のプロペラを搭載した小型航空機。四基のプロペラを搭載した機種は「クワッドコプター」と呼ばれ、一番普及が進んでいる。サンフランシスコでこのフライトレッスンを受け、操作方法を学んだ。これは「Photojojo」という新興企業が行っているプログラムで、インストラクターが分かり易く説明してくれた。

使用機種はDJI社の「Phantom 2」 (上の写真) 。シンプルなデザインで「空のiPhone」と言われ人気が高い。Phantom 2にアクションカメラ「GoPro Hero3+」 (機体下部のボックス) を搭載し、上空からビデオ撮影を行った。無人ヘリの魅力は実際に操作して分かった。操作は簡単で、空からみる映像は新鮮で、異次元の体験となった。初めてカメラで撮影した時の衝撃を思い出した。

無人ヘリのセットアップ

フライト前に無人ヘリのセットアップを行った。まず、Phantom 2にプロペラ4枚を装着する。プロペラは2基が対になり、それぞれ反対方向に回転する。このため、プロペラによりボルトを締める方向が異なる。次にバッテリーを装着し、ライト・インディケーターで容量を確認。フル充電で30分のフライトができる。最後にリモコンの電源を入れ、機体との無線通信のキャリブレーションを行い、セットアップが完了。

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リモコン操作は直観的

実際にリモコン (上の写真) を操作し無人ヘリを飛ばした。左右のジョイスティックを下方内側に引くと、これがパワーオンの操作で、プロペラが回転を始める。左側のジョイスティックで上昇と下降を操作する。上に押すと上昇し、下に引くと下降する。指を離すとその場所でホバリングする。風が吹いていても自動で補正し、その場所で静止する。通信が途絶えても、自律的に元の場所に戻り着陸する。右側ジョイスティックで水平方向の操作を行う。前後左右に押すと、その方向に飛行。先頭の写真の赤色の目印が前に当たる。言葉にすると長くなるが、実際の操作は直観的で、衝撃的に簡単。インストラクターはしきりに、あなたは操作が上手いと褒めてくれたが、これはソフトウェア技術の威力。誰が操作してもうまく飛ぶように設計されている。

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無人ヘリからビデオで撮影

フライトの様子は搭載したGoProカメラでビデオ撮影した。カメラはジンバルでPhantom 2に搭載され、常に前方の景色を撮影する。機体が傾いてもカメラは正面を向いている。リモコン背後のレバーを動かして、カメラを下方向に向けることもできる。上の写真は上空80フィート (24メートル)で、静止している状態。風が強かったが、Phantom 2は自律的に制御し、ほぼ静止の状態。目の前にサンフランシスコの街並みが見える。

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上の写真はカメラを真下に向けて、地上で操作している様子を映したもの。無人ヘリは子供たちに大人気で、フライト中にたくさんの親子が集まってきた。1時間弱のレッスンでPhantom 2の操作を学習できた。リモコン操作は心地よく、直観的に操作できる。ジョイスティックへのレスポンスは速く、無人ヘリは機敏に反応する。初めてのフライトは感動的だった。

無人ヘリはフライングカメラ

GoProカメラから撮影したビデオはクリアーで、上空から見る景色は素晴らしい。無人ヘリはほぼ例外なくGoProカメラを搭載しており、無人ヘリは「フライングカメラ」としての使い方が定着してきた。

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ウェブサイトには無人ヘリから撮影したビデオが数多く掲載されている。今までに見たことのないアングルから撮影されている。Jos Stiglinghはアメリカ独立記念日 (7月4日) に、フロリダ州のウエストパームビーチにおいて、DJI Phantom 2で花火を上空から撮影した (上の写真)。

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Stiglinghは少し無謀にも、無人ヘリを花火に近づけ、内側からの撮影を試みた (上の写真)。無人ヘリは花火が破裂する中を飛行しその様子を撮影。花火から飛び散る火の粉が無人ヘリをかすめ飛ぶ様子が写っている。無人ヘリは360度回転しながら花火を撮影し、三次元で花火を楽しめる。花火は上空で見ると大迫力で迫って来る。

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無人ヘリで自分撮り

無人ヘリを使って空からSelfie (自分撮り) をするケースが増えている。結婚式の記念写真やゴルフでの集合写真などで使われている。また家族が集まった時の記念写真にも使われる (上の写真)。

無人ヘリは自分のパフォーマンスを撮影するツールとしても使われている。「Follow Me」という機能を使うと、無人ヘリが自動で追いかけ、自分のプレーを空から撮影する。この機能はHEXO+というベンチャー企業などから提供され、利用者を自動で追尾してビデオ撮影する。

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上の写真は、スケートボードで公園内を滑走している様子を無人ヘリが追尾し、上空からビデオ撮影したもの。

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HEXO+はスポーツ競技で人気がある。上の写真はオートバイでジャンプ台から飛び出した様子をビデオ撮影したもの。撮影条件は専用アプリで設定する。アプリで撮影する大きさ (被写体にどれだけ接近するか) やカメラのアングルを設定。無人ヘリは被写体が動くまで上空で待機。被写体が動くと無人ヘリが追尾して設定された条件で撮影を行う。アドベンチャー・フィルムの製作では、ヘリコプターやハングライダーが使われ、パイロットが被写体に接近して撮影する。HEXO+を使うと自分一人で迫力ある映像が撮れ、誰でも手軽にアドベンチャー映画の製作ができる。

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無人ヘリを旅行にもっていく

最近では旅行する時に、カメラに加え、無人ヘリを持参する人が増えてきた。無人ヘリを専用バッグに入れて持ち運ぶ。綺麗な景色をカメラで撮影するだけでなく、無人ヘリで上空からも撮影する。上の写真はアフリカでキリンが草原を走っている様子を撮影したもの。カメラと交換レンズを持参する感覚で無人ヘリを携行する。

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安全性やプライバシー問題

無人ヘリが増えるにつれ、安全性やプライバシー問題も浮上してきた。グランドキャニオン国立公園で夕日を見ていた観光客が、無人ヘリに静寂を破られた、という問題がニュースとなった。このような問題に対応するため、アメリカ国立公園は公園内で無人ヘリの飛行を禁止すると発表した。しかし、発表の後も問題が発生している。イエローストーン国立公園では、無人ヘリがGrand Prismatic Spring (上の写真、アメリカ最大の熱水泉) に墜落するという事故が発生。無人ヘリ利用では、社会ルールを守ることが求められている。

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個人が利用できる空域

FAA (アメリカ連邦航空局) は趣味で楽しむドローンについては、ライセンス無しで運用できるとしている。但し、大中規模の空港や軍の空港から5マイル (8キロメートル) 以内は飛行禁止。高度は400フィート (120メートル) までで、常に視界に入っている必要がある。また前述の通り、国立公園内での飛行は禁止されている。これら条件を地図上にプロットすると、サンフランシスコ地区では上の写真のようになる。飛行禁止区域が赤のシェイドで示されている。四つの空港や国立公園があるため、多くの地域で飛行禁止となっている。このため、愛好者たちはバークレーのLake Merrittや、サンフランシスコ沖のTreasure Islandなどでフライトを楽しんでいる。もっとも、近くの公園で無人ヘリを飛ばしている光景を目にし、必ずしも厳格にルールが守られている訳ではない。

フライングカメラとしてブレークする兆し

無人ヘリはフライングカメラと呼ばれるが、これだけ簡単に飛ばせると、その意味を実感できる。Phantom 2の価格は829ドル (GoProカメラ付き) と安くはないが、一眼レフカメラの価格帯とオーバーラップする。一眼レフカメラを購入する感覚で無人ヘリを入手するオプションが生まれた。ソフトウェア技術の向上で格段に操作しやすくなった無人ヘリは、フライングカメラとしてブレークする兆しを感じた。

バーチャルリアリティはゲームから映画に進化!Zuckerbergの構想が形となる

Friday, September 26th, 2014

バーチャルリアリティー (VR) 映画の製作が始まった。VR端末で360度全方向の3D画像を体験できる。体を捻れば、後ろの映像が見える。VR端末はゲームだけでなく、映画でも威力を発揮する。映像メディアがVRに進化している。

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Zuckerbergのビジョン

ゴーグル型VR端末を開発しているOculus VRは、新世代のゲーム機として、急速に普及する勢いをみせている。Facebookが同社を買収した際に、CEOのMark Zuckerbergは、「VRは次世代のコミュニケーション媒体」と述べている。自宅にいながら世界を体験できるという意味である。Zuckerbergのこのビジョンが形を成してきた。

シリコンバレーのベンチャーがVR映画の製作を始めたのだ。これはJauntという企業で、VR映画製作のためのカメラ (上の写真) やソフトウェアを開発。視聴者は「Oculus Rift」などVR端末を着装して映画を楽しむ。VR映画は360度全方向に3D画像を映し出し、視線を変えるとその方向の画像を見ることができる。この方式は、「360/3D VR」と呼ばれている。

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VR映画撮影カメラ

VR映画制作のためのカメラはJauntカメラと呼ばれる。先頭の写真は開発中のもので、上の写真が現行モデル。現行モデルは14台のGoProカメラを搭載し、HD (1080p) で毎秒60フレーム撮影。カメラは市販製品であるが、Jauntの技術はソフトウエアにある。撮影された映像をソフトウェアで繋ぎ合わせて、一つの画像とする。具体的には、14のイメージを繋ぎ合わせ、一つの360/3D VRイメージを生成。このため、色調、ホワイトバランス、レンズの歪みなどを補正する。1秒のイメージを生成するために20秒かかる。

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VR映画で何を表現するか

Jauntは既にVR映画製作に乗り出している。同社は映画プロダクション「New Deal Studios」と共同で、第二次世界大戦を舞台とした映画「The Mission」を制作中。アメリカ軍の落下傘部隊がロシアで敵地に降下し、ドイツ軍に囚われるというストーリー。撮影ではJauntカメラが使われ、落下傘にも搭載して撮影された (上の写真)。観客は敵地内での戦闘を360度のアングルで見ることができる。振り返ると、背後にはドイツ軍が迫り、現実と仮想の垣根が低くなる。オーディオも360度で再生され、顔を向けた方から音が聞こえる。

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Jauntはミュージックビデオでも威力を発揮する。8月14日、 Paul McCartneyのコンサートがサンフランシスコのCandlestick Parkで行われた。ビートルズが48年前、コンサートを行った会場である。コンサートの模様はJauntカメラで撮影された (上の写真)。ステージに複数のJauntカメラを設置してバンドの演奏を撮影。このビデオでは、視聴者がステージ上で、360度の視野でコンサートを楽しめる。ビデオはまだ公開されていないが、隣でポールがギターを弾き、視線を移せば熱狂した観客のリアクションを見れるのかもしれない。

Cinemtic VRがキーワード

CEOのJens ChristensenはJauntの戦略を明らかにし、「Cinematic VR」がビジネスチャンスと述べている。Cinematic VRとは、映像を360/3D VRで表現する手法を示す。Christensenが注目している分野は、上述の映画と音楽に加え、スポーツ、旅行、ニュースである。スポーツでは試合を360/3D VRイメージで中継し、視聴者は応援しているチームの中で観戦できる。

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観光では、自宅にいながら世界旅行ができる。世界遺産を360/3D VRイメージで体験し、あたかもその場所にいるような仮想旅行ができる。上の写真は観光地をJauntカメラで撮影している様子。ニュースでは事件の最前線に立つことができる。シリアでの戦闘の激しさを実感できるのかもしれない。

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VR端末の急速な普及

Jauntで製作されたコンテンツはVR端末で楽しむ (上の写真)。このため、Jauntはコンテンツ再生のソフトウェアを開発している。JauntはVR端末サポート対象機種については明らかにしていないが、Oculus RiftやSony Project Morpheusなどがリストに入ると思われる。また、JauntはSamsungとGear VR向けに、コンテンツを共同開発している。Gear VRとはSamsungがOculus VRと開発したVR端末で、SamsungはVR技術に集中的に投資している。JauntはiPad向けにもコンテンツを供給する。この場合、iPadを移動すると、その方向の映像を見ることができる。FacebookのOculus VR買収で、消費者のVRへの関心が高まり、VR端末の普及が急速に進むとみられている。

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上の写真はNASAで行われた、SpaceX打ち上げ成功を記念するイベント。Jauntは打ち上げを支えた技術を360/3D VRで捉えている。

VR映画特有の課題もある

一方、VR映画特有の検討課題も見えてきた。VR映画は360度全方向を撮影するため、撮影クルーはカメラに映らないよう、隠れている必要がある。撮影現場でのスタッフ配置など、撮影手順が大きく変わる。観客は360度の映像を楽しめるが、どこでストーリーが展開しているかを掴む必要がある。観客は何処を向けばいいのか、切っ掛けを示す工夫が必要となり、映画製作の手法も大きく変わる。更に、カメラを移動すると「VR Sickness」 (VR酔い) になるため、カメラの位置を固定してストーリーを展開する工夫も必要となる。新しいメディアには新しい検討課題も出てくる。

メディア企業の期待を背負っている

Jauntは2013年にJens Christensenなどが設立し、イギリス大手放送事業者BSkyBから出資を受けた。その後、Google Venturesなど主要ベンチャーキャピタルが投資。アドバイザーにはGoogle Glass開発者のBabak Parvizが入っている。Dolby会長Peter GotcherやSling Media創設者Blake Krikorianなど、メディア関係者が投資に加わっている。メディア企業から将来性を期待されていることが窺える。また、Christensenは、ハリウッドの映画プロダクションが興味を示していると述べ、共同で映画制作を進めることを示唆している。Zuckerbergのビジョンが示している通り、消費者のエクスペリエンスがVRに向い、メディアの役割が大きく変わろうとしている。

街中でレストランを見れば評価がわかる!Google Glassがリアルとデジタルを橋渡し

Sunday, June 22nd, 2014

拡張現実 (AR) 技術で市場をリードしているBlipparはGoogle Glass向けアプリ開発に重心を移している。Blipparは今月、「Glass Vision」として、Google GlassとARが結びつくことで、日々の生活が飛躍的に便利になるというビジョンを発表した。ここにはGoogle Glassでの新しいライフスタイルが描かれている。

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Google Glass向けAR開発

BlipparはLondonやSan Franciscoなどに拠点を置くベンチャー企業で、イメージ認識使ったデジタル広告技術を開発している。スマホでBlipparアプリを起動し、商品や雑誌を読むと、その上にマルチメディア・コンテンツが表示される。これがAR機能で、人目を引く広告方式として、市場で幅広く使われている。いまBlipparは、これをGoogle Glassに応用する取り組みを始めた。Glass Visionでは、Google GlassとARが結びつくことで、日々の生活が如何にインタラクティブになるかを示している。

手のひらがキーボード

Google GlassでBlipparを起動し、手のひらを見ると、そこがキーボードとなる (上の写真)。キーボード下段にはTwitter、Facebook、SMS、Saveのアイコンが並び、これらにタッチして利用する。キーボード上段には+アイコンが並び、これらにタッチすると、写真や情報をそのままFacebookなどに掲載できる。中段は着信メッセージで、アイコンにタッチしてメールを読む。ARを使うとGoogle Glassをキーボードで操作できる。

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Google Glassで時計を見ると、その周りに他国の時間が表示される (上の写真)。いまLondonにいて、腕時計は11:44 amを指している。この周りに時計アイコンが表示され、東京は2:44 pmであることが分かる。また今日の日付は10月21日。

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レストランの前で評価を読む

Google Glassでレストランを見るとディスプレイに店舗情報が表示される。上の写真がその事例で、通りから店舗を見ると、ここは「Tuttons」というイタリア料理店で、評価は四つ星で、美味しいが高い、ということが分かる。店内の様子や料理の写真も掲載されている。店の前でこれらの情報を読み、入るかどうかを決めることができる。勿論、スマホでアプリを起動し、「Tuttons」と入力すれば、同じ情報を読むことができる。しかし、Blipparを使うと、何も入力することなく、目の前にこれらが表示され、格段に便利である。

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商品を見ると値段が分かる

Blipparは買い物するのに便利なアプリである。ウインドウ・ショッピングをしていて、気になるスニーカーを見つけた。Google Glassで商品を見ると関連情報が表示される (上の写真)。この商品の価格はAmazonが31.99ドルで、Asos  (英国のオンラインストアー) は29.99ドルと表示されている。つまりこの店で買うより、Asosで買う方が安いことが分かる。+アイコンを押すとそのまま購入できる。また関連商品も表示される。

利用者は店舗で販売されているスニーカーでも、駐輪場に置かれている自転車でも、Google Glassで見れば、価格や商品情報が分かる。Amazon Fire Phoneのカメラで品物を読み込むと、Amazonで購入できるのと同じ原理である。しかし、Google Glassでは対象物を見るだけで処理が完了し、スマホを取り出してかざす必要はない。消費者にとってGoogle Glassは究極のショッピング・マシンとなり、買い物のコンセプトが根底から変わる。一方、小売店舗としては、商品は常にオンライン・ストアーと値段が比較され、今以上に、Showrooming (実物を店舗で見て買い物はオンラインで行う方式) が進行する。

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これは不動産物件を探している時にも利用できる。Google Glassで気に入った物件を見ると、その不動産情報が表示される (上の写真)。このケースでは物件価格は250万ポンドと表示され、建物内部の写真も掲載されている。アイコンにタッチすると間取りや詳細情報が表示される。

AR搭載の美術館ガイド

Google Glass向けAR機能はBlippar以外の企業も注目している。GuidiGOはNew YorkとParisに拠点を置くベンチャー企業で、スマホ向けに観光案内アプリを開発している。GuidiGOは今月、Google Glass向けアプリ「GuidiGO for Glass」を発表。これは美術館ガイドで、Google Glassをかけて絵画の前に立つと、アプリは作品を認識し、作品案内を音声と写真で行う。

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具体的には、利用者は作品の前に立ち、Google Glassで作品イメージを読み込む (上の写真)。アプリは画像認識機能を使って、この絵画はVincent Van Gogh作「Harvest in Provence」であると認識し、この作品についての解説を音声で行い、画像をGoogle Glassに表示する。利用者は作品解説をマルチメディアで楽しめるほか、作品番号などを入力する必要はない。このアプリはルーブル美術館などで絵画鑑賞ツールとして実証実験が始まっている。長い紐で音声ガイドを首に吊るし、片耳にヘッドセットを装着する、古風な方式から解放される日も近い。

AR市場で統合が始まる

Blipparは先週、AR老舗企業Layarを買収した。BlipparとLayarが統合することで世界最大規模のAR開発会社が誕生する。この買収により、両社の資源が統合され、消費者向けのAR技術開発が加速することとなる。Blipparは、前述の通り、Google Glass向けARに注力しており、グラスアプリ開発が本格始動する。

同社 CEOで共同創設者のAmbarish Mitraは、ARをGoogle Glass向けに展開する理由を次のように述べている。ウエアラブル市場でGoogle Glassの位置づけは 「ビジュアル層」で、素早く情報にアクセスできるのが特徴である。Blipparは、利用者が特別な操作をすることなく、必要な情報にアクセスできる方式を目指している。Mitraの発言を代表する事例は上述のレストランで、Google Glassで見るだけで、その店の評価が分かる。インターネット上には膨大な情報が集約されているが、Google GlassとARがこれをリアル社会にマッピングする役割を担っている。

Google Glassを使うともうスマホには戻れない ~ ウインクして写真撮影し、買い物の支払いを行う

Friday, January 24th, 2014

Google Glass完全ガイド:イメージング編】

Google Glassをかけて生活すると、めっきりスマートフォンを使わなくなった。写真撮影に関しては完全にスマートフォンからGoogle Glassに乗り換えた。ポケットからiPhoneを取り出し、ボタンを押し、カメラ・アイコンをスライドする代わりに、見た瞬間にウインクするとGoogle Glassで写真が撮れる。ハンズフリーで右目でシャッターを切れる。写真だけに留まらず、ウインクしてデバイスを操作する「瞬きインターフェイス」となり、ヒトとマシンの関係が根底から変わろうとしている。

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(シリコンバレーのコンピュータ歴史博物館は歴史に名を残す機器を展示している。Street Viewのコーナーでは自動車に乗ってスクリーンを見ながら街並みを走る。)

シャッター・チャンスに遭遇するとウインクして写真撮影

Google Glassを使い始め、スマートフォンと比べ、写真撮影量が10倍になった。Google Glassで写真撮影を瞬時に行えるため、いいと思った光景をカメラに収めていくと、気が付くと大量に写真が溜まっていた。写真撮影には四つの方法がある。「ok glass, take a picture」と語りかけるか、「Take picture」カード (上の写真右上部分) にタッチするか、グラス・フレーム上部のボタンを押すか、右目をウインクすると撮影できる。使ってみて圧倒的に便利なのがウインクで、見た瞬間にシャッターを切れる。手に鞄を持って歩きながら、撮りたいシーンに遭遇すると、ウインクするだけでハンズフリーで撮影できる。Google Glassがオフ (待機状態) でも、ウインクするだけでいきなり撮影できる。スマートフォンではアプリを起動するまで手間がかかり、シャッター・チャンスを逃がすこともしばしばであった。

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写真撮影のコンセプトが根本から変わる

スマートフォンではディスプレイで対象イメージを確認してシャッターを切るが、Google Glassではファインダーは無く、おおよその目分量でシャッターを切る。Google Glassでは写真を撮るというよりは、印象に残った光景を記録する感覚に近い。カメラ・レンズはヒトが見ているイメージに近く、正面を向いて撮ると足もとまで写る。上の写真がその事例で、Google Glassを買って最初に撮影した写真で、弓矢の上部が途切れ、足元の花壇が写ってしまった。対象物を中心に入れるためには、頭を30度程度上に傾ける必要がある。また、ファインダーが無いので、画面を水平に保つためには、少し練習が必要である。またカメラの性能は初代iPhone程度で、画像の美しさや機能ではかなわない。愛用していたiPhoneカメラを使わなくなり寂しさを感じるが、利便性から写真撮影は完全にグラスに移行してしまった。

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(コンピュータ歴史博物館にはメガネ型コンピュータの展示があり、1968年、Ivan Sutherlandによりヘッドマウント・ディスプレイが開発された。)

ウインクしてもシャッターが下りないことがある

Google Glassで瞬時に写真撮影できる反面、ウインクしてもシャッターが下りないことがある。打率八割くらいで、ウインクの仕方が悪いのか、センサーが良くないのか不明であるが、検討が必要な部分である。Google Glass内側に赤外線カメラが内蔵され、両目の動きをセンシングし、ウインクを検知する。通常の瞬きより、大きく少し長めにウインクすると、その意味を認識しシャッターを下ろす仕組みである。シャッター・チャンスを逃さないためにも、ここしかないという写真を撮る際は、当面はボタンを押す方式と併用する必要がある。

プライバシー問題をどう解決するかが最大の課題

Google Glassでウインクし、ハンズフリーで写真撮影できる手軽さと、被写体のプライバシー問題は両刃の剣である。ウインクして写真を撮ると、いつ撮影したかが分からず、盗撮につながる危険性をはらんでいる。この問題にどう対処すべきか、Googleスタッフに尋ねてみたところ、「対面した相手に、写真撮影の方法を説明することに尽きる」とのアドバイスを受けた。相手に上述の写真撮影の方法を説明し、「ディスプレイが灯ると写真撮影した証拠で、反対に、ディスプレイがオフのときは写真撮影していない」ことをきちんと説明すべきとのことであった。製品についての理解を深めてもらうことが重要であると同時に、Google Glass利用者は今以上にマナーを守ることが求められる。

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ウインクは次世代のマンマシン・インターフェイス

Googleはウインクを写真撮影だけでなく、幅広く応用することを計画している。その一つが決済システムで、「タクシーを降りるとき、Google Glassでメーターを見てウインクすると支払でき」、また、「ウィンドウ・ショッピングで、気に入ったハイヒールがあれば、Google Glassでウインクすると支払いができ、自分のサイズの商品が家に届く」というものである。ウインクして支払いをするとは異様な光景に思えるが、Google Glassで世界を見ると、これは自然なインターフェイスである。Google Glassをかけて、レストランで食事をした後、支払いをする際に、同席の学生から「なぜGoogle Glassで支払いできないの?」と聞かれた。上の写真がその瞬間で、Google Glassで請求書のQRコードを読み込んで支払いできるようになれば便利である。Google Glassが両目の動きを把握できることで「瞬きインターフェイス」が生まれ、それを利用したユニークなアプリの登場が期待される。

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(Google Glassでビデオ撮影すると、ゆっくり走っているのに、再生するとF1レースのような迫力になる。)

Google Glassがアクション・カメラに

Google Glassはアクション・カメラとなり、利用者の視点でビデオ撮影ができる。「ok glass, record a video」と語りかけるか、「Record video」カードをタップするか、ボタンを長めに押すとビデオ撮影ができる。     多くの若者がGoPro Heroのようなアクション・カメラを自動車に搭載したり、自転車のヘルメットに装着して、ドライブやサイクリングの様子を撮影している。Google Glassはアクション・カメラの代用となり休日の楽しみ方が広がる (上の写真)。

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(コンピュータ歴史博物館に展示されているCray-1。スパコンの礎を築いただけでなく、コンピュータ・アーキテクチャに多大な影響を与えた。)

Google Glassで実況中継を行う

Google GlassはGoogle Hangouts機能を搭載しており、テレビ会議として利用できる。但し、Google Glassでテレビ会議を行うと、グラスに搭載しているカメラで捉えた映像を送信することになり、グラスを通して見ている光景が実況中継される。上の写真がその様子で、Google Glassから送信されたビデオ映像をiPhoneで見ているところである。利用法は様々で、シリコンバレーの「コンピュータ歴史博物館」の展示場を巡りながら、往年のスパコン「Cray-1」の姿を日本にビデオ中継できる。テレビ局のニュース・キャスターのように、シリコンバレーのいまをグラス目線でライブ中継できる。

Google Glassで撮影した写真は自動でGoogle+にバックアップされる。Google+で写真アルバムを作り、イベントごとに整理してきたが、グラス生活が始まり、写真撮影枚数が一桁増え、写真整理が追い付かない。撮影した写真をどう整理するのか、またそれ以上に、大量の写真をどう活用するのか、まだ模索中である。