Archive for the ‘マルチメディア’ Category

Google Glassを使うともうスマホには戻れない ~ ウインクして写真撮影し、買い物の支払いを行う

Friday, January 24th, 2014

Google Glass完全ガイド:イメージング編】

Google Glassをかけて生活すると、めっきりスマートフォンを使わなくなった。写真撮影に関しては完全にスマートフォンからGoogle Glassに乗り換えた。ポケットからiPhoneを取り出し、ボタンを押し、カメラ・アイコンをスライドする代わりに、見た瞬間にウインクするとGoogle Glassで写真が撮れる。ハンズフリーで右目でシャッターを切れる。写真だけに留まらず、ウインクしてデバイスを操作する「瞬きインターフェイス」となり、ヒトとマシンの関係が根底から変わろうとしている。

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(シリコンバレーのコンピュータ歴史博物館は歴史に名を残す機器を展示している。Street Viewのコーナーでは自動車に乗ってスクリーンを見ながら街並みを走る。)

シャッター・チャンスに遭遇するとウインクして写真撮影

Google Glassを使い始め、スマートフォンと比べ、写真撮影量が10倍になった。Google Glassで写真撮影を瞬時に行えるため、いいと思った光景をカメラに収めていくと、気が付くと大量に写真が溜まっていた。写真撮影には四つの方法がある。「ok glass, take a picture」と語りかけるか、「Take picture」カード (上の写真右上部分) にタッチするか、グラス・フレーム上部のボタンを押すか、右目をウインクすると撮影できる。使ってみて圧倒的に便利なのがウインクで、見た瞬間にシャッターを切れる。手に鞄を持って歩きながら、撮りたいシーンに遭遇すると、ウインクするだけでハンズフリーで撮影できる。Google Glassがオフ (待機状態) でも、ウインクするだけでいきなり撮影できる。スマートフォンではアプリを起動するまで手間がかかり、シャッター・チャンスを逃がすこともしばしばであった。

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写真撮影のコンセプトが根本から変わる

スマートフォンではディスプレイで対象イメージを確認してシャッターを切るが、Google Glassではファインダーは無く、おおよその目分量でシャッターを切る。Google Glassでは写真を撮るというよりは、印象に残った光景を記録する感覚に近い。カメラ・レンズはヒトが見ているイメージに近く、正面を向いて撮ると足もとまで写る。上の写真がその事例で、Google Glassを買って最初に撮影した写真で、弓矢の上部が途切れ、足元の花壇が写ってしまった。対象物を中心に入れるためには、頭を30度程度上に傾ける必要がある。また、ファインダーが無いので、画面を水平に保つためには、少し練習が必要である。またカメラの性能は初代iPhone程度で、画像の美しさや機能ではかなわない。愛用していたiPhoneカメラを使わなくなり寂しさを感じるが、利便性から写真撮影は完全にグラスに移行してしまった。

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(コンピュータ歴史博物館にはメガネ型コンピュータの展示があり、1968年、Ivan Sutherlandによりヘッドマウント・ディスプレイが開発された。)

ウインクしてもシャッターが下りないことがある

Google Glassで瞬時に写真撮影できる反面、ウインクしてもシャッターが下りないことがある。打率八割くらいで、ウインクの仕方が悪いのか、センサーが良くないのか不明であるが、検討が必要な部分である。Google Glass内側に赤外線カメラが内蔵され、両目の動きをセンシングし、ウインクを検知する。通常の瞬きより、大きく少し長めにウインクすると、その意味を認識しシャッターを下ろす仕組みである。シャッター・チャンスを逃さないためにも、ここしかないという写真を撮る際は、当面はボタンを押す方式と併用する必要がある。

プライバシー問題をどう解決するかが最大の課題

Google Glassでウインクし、ハンズフリーで写真撮影できる手軽さと、被写体のプライバシー問題は両刃の剣である。ウインクして写真を撮ると、いつ撮影したかが分からず、盗撮につながる危険性をはらんでいる。この問題にどう対処すべきか、Googleスタッフに尋ねてみたところ、「対面した相手に、写真撮影の方法を説明することに尽きる」とのアドバイスを受けた。相手に上述の写真撮影の方法を説明し、「ディスプレイが灯ると写真撮影した証拠で、反対に、ディスプレイがオフのときは写真撮影していない」ことをきちんと説明すべきとのことであった。製品についての理解を深めてもらうことが重要であると同時に、Google Glass利用者は今以上にマナーを守ることが求められる。

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ウインクは次世代のマンマシン・インターフェイス

Googleはウインクを写真撮影だけでなく、幅広く応用することを計画している。その一つが決済システムで、「タクシーを降りるとき、Google Glassでメーターを見てウインクすると支払でき」、また、「ウィンドウ・ショッピングで、気に入ったハイヒールがあれば、Google Glassでウインクすると支払いができ、自分のサイズの商品が家に届く」というものである。ウインクして支払いをするとは異様な光景に思えるが、Google Glassで世界を見ると、これは自然なインターフェイスである。Google Glassをかけて、レストランで食事をした後、支払いをする際に、同席の学生から「なぜGoogle Glassで支払いできないの?」と聞かれた。上の写真がその瞬間で、Google Glassで請求書のQRコードを読み込んで支払いできるようになれば便利である。Google Glassが両目の動きを把握できることで「瞬きインターフェイス」が生まれ、それを利用したユニークなアプリの登場が期待される。

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(Google Glassでビデオ撮影すると、ゆっくり走っているのに、再生するとF1レースのような迫力になる。)

Google Glassがアクション・カメラに

Google Glassはアクション・カメラとなり、利用者の視点でビデオ撮影ができる。「ok glass, record a video」と語りかけるか、「Record video」カードをタップするか、ボタンを長めに押すとビデオ撮影ができる。     多くの若者がGoPro Heroのようなアクション・カメラを自動車に搭載したり、自転車のヘルメットに装着して、ドライブやサイクリングの様子を撮影している。Google Glassはアクション・カメラの代用となり休日の楽しみ方が広がる (上の写真)。

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(コンピュータ歴史博物館に展示されているCray-1。スパコンの礎を築いただけでなく、コンピュータ・アーキテクチャに多大な影響を与えた。)

Google Glassで実況中継を行う

Google GlassはGoogle Hangouts機能を搭載しており、テレビ会議として利用できる。但し、Google Glassでテレビ会議を行うと、グラスに搭載しているカメラで捉えた映像を送信することになり、グラスを通して見ている光景が実況中継される。上の写真がその様子で、Google Glassから送信されたビデオ映像をiPhoneで見ているところである。利用法は様々で、シリコンバレーの「コンピュータ歴史博物館」の展示場を巡りながら、往年のスパコン「Cray-1」の姿を日本にビデオ中継できる。テレビ局のニュース・キャスターのように、シリコンバレーのいまをグラス目線でライブ中継できる。

Google Glassで撮影した写真は自動でGoogle+にバックアップされる。Google+で写真アルバムを作り、イベントごとに整理してきたが、グラス生活が始まり、写真撮影枚数が一桁増え、写真整理が追い付かない。撮影した写真をどう整理するのか、またそれ以上に、大量の写真をどう活用するのか、まだ模索中である。

ベトナムから世界に挑戦~シリコンバレーに頭脳が集結する理由

Friday, August 16th, 2013

500 Startups Demo Dayレポート (2)

GreenGarはHo Chi Minh City (ベトナム) で起業した新興企業で、スマホ・タブレット向けのコラボレーション・アプリを開発している。500 StartupsのDemo Dayで、CEOのThuy Truongは、ベトナムの民族衣装アオザイを着て、「Whiteboard」アプリをアピールした (下の写真)。

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ホワイトボードでコラボレーション

このアプリはスマホ・タブレット画面に作画する機能を提供する。下のスクリーンショット左側が初期画面で、色や線の太さなどを選択し、画面をタップして作画を行う。同右側が作画している様子で、指を筆の代わりに文字や絵を描くことができる。

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Whiteboardの特徴はコラボレーション機能で、他のスマホ・タブレットと共同して作画することができる。下のスクリーンショットがその様子で、Nexus 4でWhiteboardを起動し、Nexus 7を認識したところである (左側画面)。Nexus 7で連携をAcceptして、コラボレーションが始まる。右画面がコラボレーション作画をしているところで、両デバイスから共通のホワイトボードに書き込むことができる。

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シンプルで楽しくて役に立つアプリ

「Whiteboard: Collaborative Draw」は無償の製品で、画面最下部に広告が配信される。「Whiteboard Pro: Collaborative Draw」は有償 (2.99ドル) で、広告無しで利用できる。有償オプション(0.99ドル) を購入すると、外部ネットワークと連携しコラボレーションできる。Whiteboardシリーズは800万回ダウンロードされているヒット商品である。この他にGreenGarは、Brain Tuner Xなどの教育ゲームを提供している。GreenGarの商品コンセプトは「simple・fun・useful」で、Lean UXを搭載し、楽しくて役に立つアプリの開発を目指している。

教育やビジネスで利用されている

Whitebaordは、個人で楽しむだけでなく、学校教育で利用されている。先生が資料を生徒のタブレットに表示するだけでなく、生徒がタブレットに書き込むことができる。ある自閉症の子供は、言語による会話ができないため、Whiteboardでコミュニケーションしていることも報告されている。また、GreenGar自身も、Whitebardを使って会議をおこなっている。同社は、ベトナム、シンガポール、アメリカの三か所にオフィスがあり、アプリを共通のホワイトボードとして、打ち合わせを行っている。

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シリコンバレーに移り世界に挑戦

CEOであるThuy Truongは、自身の会社をクローズし、GreenGarに加わった。Truongは、2009年に、University of Southern Californiaを卒業後、ベトナムに帰り、Parallel Frozen Yogurtというヨーグルト・ショップを起業した。Truongは、2012年、ヨーグルト・ショップをクローズし、GreenGarに加わることを決意した。その当時、GreenGarは、50万件のダウンロードがあり、人気アプリとなっていた。GreenGarで五か月間CEOを務め、会社をHo Chi Minh Cityからシリコンバレーに移すことを決めた。これが500 Startupsで、更に大きく成長するために、シリコンバレーでの開発を決めた。

500 Startupsで学んだこと

Truongに500 Startupsのアクセラレータ・プログラムの評価を尋ねると、「コワーキング・スペースでBatch Mate (同期生) と共に製品開発を行い、強い絆ができた」と説明した。この経緯については、Truongが投稿したブログ「5 things I wish I knew before 500 Startups」にも記載されている。この中で印象的なのは、コワーキング・スペースでの開発プロセスである。500 Startupsは入居企業にオフィス・フロアーを提供し、オープンスペースで隣り合って、製品開発を行っている(上の写真)。ここでは企業間の競争ではなく、お互いに助け合いながら製品開発が行われている。Truongは、GreenGarにサーバ技術者がいないので、Binpress社CEOがこれを援助してくれたと述べている。

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オフィスで一日14~16時間働き、大学時代に戻ったようだとも述べている。一日の殆どの時間をオフィスで過ごし、そこにはBatch Mateがいて、高速ネットワークをつかえ、冷蔵庫には食べ物が詰まっていて、幸せであったと回想している。上の写真は500 Startupsのキッチンで、冷蔵庫が置かれ、棚には飲み物があり、簡単な料理もできるようになっている。

500 Startupsで、メンターから有益な情報を得ただけでなく、Batch Mateからのアドバイスや励ましが、会社運営で役に立ったことが窺える。GreenGarは、投資家からの資金を元に製品開発をしており、相応の責任があるが、オープンな環境でのびのびと目標にチャレンジしている。世界の優秀な人材が活躍できるプラットフォームを、500 Startupsが提供している。

「Chromecast」 劇的に小さくなりブラウザーで動くGoogle TV~次世代スマート・テレビのすがた

Wednesday, July 31st, 2013

テレビの未来が大きく変わろうとしている。Googleは、2013年7月24日、記者会見でChromecastを発表した。Chromecastとは、Google TVをスティック状に実装したもので、テレビ端子に差し込むだけで、スマート・テレビとして機能する。手軽に使えるだけでなく、ここにはGoogleが描く、次世代テレビの姿が隠されている。

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Chromecastを使ってみる

Chromecastは、Google Playで35ドルで販売されており、早速購入し、使い始めた。ChromecastはUSBメモリ・スティックを一回り大きくした形状で、インターフェイスはHDMIである。上の写真はChromecastをテレビのHDMI端子に差し込んで使用している様子である。Chromecastへの電力は、USB端子から供給する。Chromecastを使うと、スマートフォンやタブレットで、アプリの出力をテレビにすることができる。YouTube、Netflix、Google Play Movies & TVアプリを起動して、テレビでビデオや映画を見ることができる。Chromecastを使う際に、スマートフォンやタブレットに、Chromecastアプリをインストールして初期設定を行う。アプリを起動すると、Chromecastデバイスを認識し、WiFiなどの設定を行うだけですぐに使える。

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YouTubeをテレビに出力する

上のスクリーンショットは、Nexus 7のYouTubeアプリで、オバマ大統領の演説を見ているところである。画面上部ツールバーに箱型アイコン(水色の箱) が現れ、ここにタッチして、出力先をChromecastとする。これでYouTubeビデオをテレビで見ることができる。

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上の写真がその様子で、タブレットで起動したYouTubeを、テレビに出力している。タブレットから、ビデオを再生するだけでなく、停止、早送り、音量調整などを行うことができる。

Google Playで映画や音楽を楽しむ

スマートフォンからGoogle Playのテレビ番組や映画を起動して、テレビに出力することもできる。下のスクリーンショットがこの事例で、画面上段ツールバーの箱型アイコンにタッチして、出力先をテレビとする。コンテンツがテレビに出力されている際は、スマートフォン側のビデオは停止となり、テレビ側のビデオだけが更新される。

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ブラウザー画面をテレビに表示

パソコンからブラウザー・タブをテレビに出力することもできる。Googleはブラウザー向けに、Google CastというExtensionを公開しており、これをブラウザーにインストールして利用する。使用法は、上記に同じで、ブラウザー・ツールバーに表示される箱型アイコンをクリックすると、画面がテレビに表示される。下のスクリーンショットは、パソコンのブラウザーで、出力先をChromecast_livingとし、テレビに表示する指定をしている様子である。

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下の写真は、パソコンのブラウザーでニュースをみており、それをGoogle Castで、テレビに表示している様子である。この他にGoogle+に格納している写真などをテレビに映して見ることができる。また、Google TVでは見ることのできない、Huluや四大ネットワークのドラマなどをGoogle Castでテレビに出力できる。

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Apple AirPlayと何が違うのか

Chromecastは画面をテレビにストリーミングするのではなく、モバイル・デバイスから、操作コマンド (再生、停止、早送りなど) をChromecastに送信しているだけである。コマンドを受信したChromecastが、自らウェブサイトにアクセスし、コンテンツをダウンロードする構造となっている。見かけはApple AirPlayのストリーミング方式であるが、その仕組みは根本的に異なる。

メッセージ送信のメカニズム

画面を出力する技術はGoogle Castと呼ばれている。Google Castは、送信側をSenderと呼び、Android・iOSのスマートフォン・タブレット、及び、Chrome OS、Mac、Windowsパソコンをサポートしている。これらモバイル・デバイスのアプリ (Sender App) を起動して、Chromecastと交信を行う。受信側はReceiverと呼ばれ、現在はChromecastだけである。ReceiverであるChromecastには、Chrome OSとアプリ (Receiver App) が稼働している。受信したデータはHDMI経由でテレビに送信される。(Chromecastの仕組みを理解するにはGoogle Cast Developer Previewが役に立つ。)  Chromecastは、スマート・テレビなのかブラウザーなのか、理解しずらい製品である。Chromecastという名前は、スティック状のChrome OSプロセッサーであると捉えると、製品の位置づけが見えてくる。Chromecastは、Chromebookと構造的に近い関係にある。ChromebookはChrome OSを搭載したラップトップで、本体がChromecastに相当し、モニターがテレビに、キーボードがモバイル・デバイスという関係になる。スマートフォンを遠隔キーボードとして、Chromecastを操作し、その出力をテレビに行うという構造となっている。

ポストGoogle TV戦略

Googleは何も表明していないが、ChromecastがGoogle TV新モデル、という格好になっている。Chromecastがスマート・テレビの方向性を示している。Google TVは2010年にSonyなどから出荷されたが、消費者の評価は芳しくなく、市場で苦戦している。不振の原因は、Google TVを操作するリモコンの形状と、Google TV向けの開発エコシステムが広がらなかったことにある。特に、Qwertyキーボードを搭載したリモコンは、使いづらいと不評であった。

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Chromecastでは、リモコンを提供する代わりに、スマートフォンやタブレットのアプリを使うのがポイントである。利用者は、専用リモコンではなく、馴染みのアプリ操作でテレビを見ることができる。上のスクリーンショットは、iPhoneのYouTubeビデオを、Chromecastに出力している様子である。馴染みの操作で直観的に行える。一方、開発者からすると、Google TVという専用デバイス向けにアプリを開発するのは、敷居が高い。Chromecastでは、スマートフォンやタブレット向けアプリを開発するだけで、参入のハードルがぐんと下がる。更に、テレビ・メーカーは、Chromecastを内蔵することで、簡単にスマート・テレビを開発できる。Chromecastで開発者のエコシステムを広げる環境が整いつつある。

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(上の写真はChromecastスタンバイ画面)

今年最大のヒットとなるか

Chromecastを使い始めたが、シンプルな構造で、直観的に操作でき、たいへん便利である。アプリを起動して、再生ボタンを押すという、馴染みの操作で、コンテンツをテレビに出力できる。ただ、アプリは、YouTube、Netflix、Google Playと、利用できる種類が限られており、今後の展開に期待している。特に便利な機能は、パソコンのブラウザーをテレビで見れる点である。ブラウザー経由なのでコンテンツの種類が一挙に広がり、Huluや人気番組をテレビで見れるのがうれしい。画面ストリーミングとは異なり、番組を見ながら、別のタブでTwitterやFacebookにコメントを投稿できる。Microsoft SkyDriveのPowerPointでプレゼンしながら、別のタブで情報検索ができるのもうれしい。これだけの機能が35ドルで手に入るので、Chromecastは今年最大のヒット商品となりそうである。

Google I/Oレポート(4) Google Play Music、音楽配信サービスへ向かう

Thursday, June 20th, 2013

Google開発者向けカンファレンスGoogle I/Oでは、Android部門エンジニアリング・ディレクタChris Yergaが、Google Play Music新機能について説明した。Google Play Musicは、All Accessという、音楽配信サービスを開始し、利用者は月額9.99ドルで、300万曲の中から、好きな音楽を選んで聴くことができるようになった。

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All Access音楽配信サービス

上のスクリーンショットは、Nexus 7タブレットで、Google Play Musicアプリを使っている様子である。左側画面はAll Access機能で、Googleが提供しているアルバムが表示されている。Recommendedタブは、利用者の嗜好に沿った音楽を推奨する機能で、この画面には、Recommended for Youとして、Demi Lovatoのアルバムなどが推奨されている。これらアルバムの中から好きな音楽を選ぶと、デバイスに音楽がストリーミングされる。タイトルにタッチすると、一呼吸、音楽がバッファリングされるが、その後は、途切れることなく音楽が流れ、ストリーミングされていることを意識することは無い。上のスクリーンショット右側は、My Libraryを選択したところで、利用者の音楽ライブラリーが表示される。これは従来から提供されている機能で、利用者がクラウドに格納している音楽を聴くことができる。Apple iTunes Matchに匹敵するサービスで、利用者は2万曲をクラウドに格納できる。

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好みのテーマでラジオ局を開設

All AccessはRadioという機能を提供している。これはPandoraのRadio Stationに相当する機能で、利用者は特定音楽のラジオ局を作成できる。上のスクリーンショットがその様子である。左側画面はNorah JohnsのCome Away With Meを聞いているところで、ここでStart radioボタンを押すと、ラジオ局を設定できる。同右側が設定したラジオ局で、ここにはNorah Jonesやこのアルバムと同じ嗜好の音楽がキューイングされ、連続して演奏される。

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All Accessではキーワードで音楽を検索できる。上のスクリーンショット左側は「Chris Botti」で検索し、To Love Againというアルバムを聴いている様子である。ここでMy Libraryボタンを押すと、このアルバムが利用者の音楽ライブラリーに追加される (同右側)。この他に、Add to Playlistボタンを押すと、音楽がプレー・リストに追加される。Add to Queueボタンでは、今演奏されている音楽のキューに追加される。Buyボタンを押すとGoogle Musicで音楽を購入できる。

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Google Play Musicでは、アプリを起動するとListen Nowというページが表示される。ここには利用者の一番好きな音楽が表示され、すぐに音楽を聴くことができる仕組みになっている。上のスクリーンショット左側がその様子で、ここには、開設したNorah Jonesラジオ局、最近聴いた音楽、Google推奨の音楽が表示されている。Featured Playlistを選択すると、音楽専門家が作成したプレーリストを聴くことができる。右側画面はその様子で、「The World of Justin Timberlake」というプレーリストで、ここでTimberlakeの人気音楽を連続して聴くことができる。

Appleも音楽配信に向かう

Appleは、開発者向けカンファレンスWorld Wide Developers Conferenceで、iTunes Radioという音楽配信サービスを発表した。iTunes Radioは、Apple版音楽配信サービスで、利用者はStation (ラジオ局) から配信される音楽を聴く方式である。広告ベースの無料サービスである。下の写真 (出展:Apple) がiTunes Radioで、Featured StationはiTunesが推奨するラジオ局 (左側)。利用者は自分の好みのステーション (My Station) を設定することができる (右側)。ここではRihanna Radioを設定した様子である。

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音楽コンテンツ所有から配信に

この市場で先行しているSpotifyは、スウェーデンで誕生した企業で、2008年から、音楽配信サービスを提供している。アメリカでは、Pandoraが、Music Genom Projectで、音楽遺伝子解析ともいえる、音楽の特性を厳密に定義する作業を行った。音楽を構成する遺伝子は400あり、それぞれの音楽を聴き、どの遺伝子を有しているかを解析した。Pandoraはこの機能を、音楽配算サービスに取り入れ、事業を展開している。市場はApple iTunes StoreやGoogle Play Musicで音楽を購入し、デバイスに格納して利用する方式から、音楽配信サービスに向かい始めた。映画配信サービスNetflixのように、オンデマンドで音楽を楽しむ方式である。若い世代は、音楽を所有することなく、ラジオを聴く感覚で音楽を楽しむ方式が手軽で便利であると評価し始めた。

Google I/Oレポート(3) Google Glassはスマートフォンを置き換えるのか

Sunday, June 2nd, 2013

Google Glass完全ガイド:ベーシック編】

Google I/Oでは、参加者の多くが、Google Glassをかけていた。ざっと見た感じでは、10人から20人に一人が、Google Glassをかけており、開発者向けのカンファレンスであることを考慮しても、普及の速さには驚いた。会場には、Google Glassのブースが展示され(下の写真)、円形のテーブル内で、GoogleスタッフがGoogle Glassをかけて、製品の解説を行ってくれた。ブース周辺では、七人がGoogle Glassをかけているのが確認できる。このレポートでは、Google Glass基本機能をレビューし、Google Glassとスマートフォンの関係を考察する。

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Google Glassの基本操作

Google Glassについては、多くの報道がなされているが、ここで簡単にその機能を纏める。Google Glassの基本操作については、Glass How-to: Getting Startedとして、分かり易いビデオで公開されている。

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上のスクリーンショット (以下出展はGoogle) はGoogle Glassの着装法で、視線のすぐ上にモニターが位置するよう調整する。透明な四角の部分がモニターで、左横の黒丸はカメラ。

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Google Glass側面がTouch Padとなっており、ここに指で触ってGoogle Glassを操作する。上の写真はTouch Padを指でタップして、Glassを起動している様子。起動すると、Home Screen (右上角) が表示される。Home Screenには時間が表示される。

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Home Screen左右にはTimeline Cardが表示される (上のスクリーンショット)。Timeline Cardは、Google Glassに表示する単位で、カード形式で情報が掲載される。Home Screen左側が未来の事象で、予定表などが表示される。Touch Padを指で後ろ方向にスワイプしてカードを先送りする。

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上はカレンダーを閲覧している様子で、明日は12:30から友人とFarm Tableでランチが予定されている。

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このカードをタップすると、ランチに関する付随情報を閲覧できる。複数枚で構成されるカードをBundleと呼んでいる。上はランチ・スケジュールのカードをタップした様子で、Get directionsとして、レストランまでの道順を表示する。カードをタップしてドリルダウンする。Touch Padをスワイプ・ダウン (下方向にスワイプ) すると、Backspaceの意味で、元のカードに戻る。

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Touch Padを前方にスワイプすると、過去のカードを閲覧できる。上がその様子で、受信したメッセージや撮影した写真・ビデオなどを閲覧できる。

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Glass Glassに「ok, glass, take a picture」と語りかけると写真撮影ができる。「ok,glass」が音声コマンド入力の合言葉。撮影した写真をタップして、Shareコマンドを選択し、写真を共有できる。上は写真共有の相手を選択している様子。

Google Glass向けアプリの開発が進む

Google I/Oでは、開発責任者のTimothy Jordanが、Developing For Glassと題して、Google Glass向けのアプリ (Glasswareと呼ばれる) の開発について解説した。その中で、Jordanは、Google Glass向けに開発が進んでいるアプリを紹介した。

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CNNはGoogle Glass向けにニュースを配信するアプリを開発中。CNNウェブサイトで、Google Glass向けに、ニュースを配信する時間帯、ニュース・カテゴリーなどを設定しておく。上はGoogle Glassにニュースを受信した様子。ニュースは、タイトルとカバー写真で構成される。「(メキシコ料理の) Tacoの中に入っていた意外なもの」というタイトルが読者を記事に誘う。

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ニュースはBundleとなっており、カードをタップすると、記事が表示される。上がその様子で、「フロリダのあるレストランは、ライオンの肉をTacoに入れ、話題になっている」と表示されている。

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ここでTouch Padを前方にスワイプすると、ビデオが再生される(上)。Read aloud機能を選択すると、ニュースが読み上げられる。

FacebookもGoogle Glass向けにFacebookアプリを開発中である。下のスクリーンショットは、アプリが表示するカードの構成を示している。最上段は、Google Glassで、写真撮影をしたところ。このカードにタップすると、写真をShareまたはDeleteするオプションを選択できる(中段)。Shareを選択すると、友人と写真を共有できる(下段)。Google I/Oでは、Google Glass向けの最新アプリが紹介され、応用事例が見え始めた。

Google Glassはスマートフォンを補完する

Google Glassはクールな製品で、消費者向けに商品が出荷される前から、マスコミで話題が沸騰している。同時に、アメリカ市場では、Google Glassの評価が割れている。Google Glassが生活を便利にするという意見と、使ってみると、必ずしも便利ではないという意見である。後者では、スクリーンが近くてより目になる、また、明るい屋外ではスクリーンが見にくいとの指摘がある。Google Glassは、携帯電話通信機能がなく、屋外では結局、スマートフォンが必要となり、スマートフォンを超えられないという意見である。Google Glassは、Wearable Browserであると表現する人もあり、スマートフォンを見れば分かるのに、わざわざGoogle Glassをかけるのかとの指摘である。一般的な情報は、スマートフォンの大きな画面で見るほうが便利である。Google Glassでは、広告掲載が禁止されており、ビジネス・モデルをどう構築するかも、これからの課題である。プライバシー保護への配慮も必要となる。

一方で、Google Glassでなくてはならない使い方も多々ある。Googleは、Google Glassの代表的な使用法を、サイトで示している。旅行中に観光スポットに差し掛かると、Google Glassに案内が表示され、また、サイクリングをしている時に、Google Glassに道順が示される事例を挙げている。これらはGoogle Glassの将来像を示しており、製品の普及は、キラー・アプリの登場にかかっている。Googleが示した利用法を見ていくと、Google Glassはスマートフォンを置き換えるのではなく、スマートフォンで手の届かない分野を補完する関係に向っている。

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Mountain Viewのダウンタウンを歩くと、最近では、Google Glassをかけた人を見かけるようになった。人ごみの中で浮いた感じは無く、ファッションの観点からも、順調な滑り出しと言える。Google Glassへの評価は分かれるものの、最初の本格的なWearable Computerとしての意義は大きい。Google Glassのこれからの可能性に、わくわくするものを感じる。