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Goldman SachsがFintechへ逆襲、これからの銀行はハイテク企業!

Friday, August 14th, 2015

米国で銀行がFintech (ITベースの金融サービス) ベンチャーに侵食されている。銀行側は事態を静観している訳ではなく、名門投資銀行Goldman Sachsは逆襲に転じた。同行はFacebookよりハイテクな会社と言われ、銀行の体質を大きく変えている。更に、Uberなど新興企業に幅広く投資し、ベンチャーの手法を学んでいる。米国経済の中枢を支えるGoldman Sachsが次世代の銀行の姿を示す。

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株主総会をサンフランシスコで開催

Goldman Sachsは、2015年5月、株主総会を本社のあるニューヨークからサンフランシスコに場所を変えて開催し、地元で話題となった。今回が二度目のケースで、会長兼CEOのLloyd Blankfeinは、「銀行にとって一番重要な場所はシリコンバレー」と、その理由を説明した。「役員をこの地に連れてきて、何が起こっているかを身をもって体験させる」とし、経営陣のマインドセットをテクノロジーに転換する狙いを示した。技術系企業だけでなく銀行にとっても、シリコンバレーで生まれる技術やカルチャーが大きな意味を持つことを示している。上の写真は、株主総会を開催したビルで、Goldman Sachsがオフィスを構えている。ここはBank of Americaの旧本社ビルで、今でも「Bank of America Center」と呼ばれている。(現在はノースカロライナ州に移転。) 多くの銀行がオフィスを構え、この地区は「Financial District」と呼ばれ、サンフランシスコの金融街を形成している。

テクノロジー企業でないと生き延びれない

Blankfeinは「Goldman Sachsはハイテク企業」と公言している。同行は投資銀行であるが、そのコア・コンピテンシーはテクノロジーであることを意味する。事実、同行の社員数は35,000人で、そのうち9,000人がエンジニアだ。Facebookの社員数が1万人で、Goldman Sachsはそれに匹敵する技術力を持つ。この発言は、銀行はテクノロジー企業でないと生き延びれないという意味で、Goldman Sachsのロードマップを示している。

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ベンチャー企業を社内に招く

それでは9,000人のエンジニアがディスラプティブな技術を開発したのかという質問に対しては、Blankfeinの言葉は歯切れが悪い。各部門で技術開発が急ピッチで進められているが、まだ目に見える成果はない。しかし、Goldman Sachsが転身していることを示す興味深い事例がある。同行はFintech企業を社内に招聘し、共同開発という形式で、ベンチャー企業の手法やスピリットを学習した。

具体的には、人工知能ベンチャー「Kensho」をGoldman Sachsに招き、共同開発を実施。Kenshoはデータ解析ソフトウェアを開発しており、株取引の自動化システムへの統合を目指している。Kenshoは株式市場、気象、選挙、戦争、自然災害など、ビッグデータを解析し、株式売買の判断をサポートする。トレーダーはKenshoの解析データを参照に取引する。

このためKenshoは、実際の株取引で発生するデータを読み込んで試験する必要がある。Goldman Sachsは、Kenshoに同行のシステムにアクセスすることを認め、開発を全面的にサポートした。法令の規定により、顧客データや機密データにはアクセスできなかったが、Kenshoはトレーディングシステムに統合するための貴重な情報を得た。

Kenshoの開発が完了すると、Goldman Sachsがこのシステムの顧客となるというストーリーも描かれた。Kenshoにとっては事業展開の絶好の機会となる。一方、Goldman Sachsとしては、ベンチャー企業を社内に招くことで、技術開発の手法や、開発者たちの考え方を学習した。Goldman Sachsのエンジニアにとって、Kenshoが変革への起爆剤となった。上の写真はGoldman Sachsのオフィス内で、両社エンジニアがパーカーを着て記念撮影をした模様。厳格な社風が変わりつつあることをパーカーが象徴している。

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Fintechベンチャーへの投資

Goldman Sachsのもう一つの戦略は、Fintechベンチャーへの積極的な投資である。上述のKenshoには4780万ドル投資し、会社経営を支えている。Google Venturesなど大手ベンチャーキャピタルも出資しているが、Goldman Sachsが実質的な親会社となっている。Goldman Sachsは、Kenshoの他に、人工知能ベンチャーに集中的に投資している。具体的には、「Antuit」、「Context Relevant」、「DataFox」など、ビッグデータ解析技術に焦点を絞っている。また、決済技術ベンチャー「Square」や「BillTrust」などへの投資を進めている。上の写真はSquareの最新リーダー「Square Contactless +Chip Reader」で、NFC機構を備えApple Payに対応している。

投資の目的はベンチャーの手法を学習すること

Goldman Sachsの投資先をみていくと、Fintechを超える大きな構想が浮き上がる。Goldman Sachsは、2009年から積極的に投資を始め、累計132ラウンドに参加。ここ2年半は投資のペースが上がり、77ラウンドに参加。ここにはUber、Dropbox、Pinterest、Spotify、Squareなど、時価総額が10億ドルを超える企業が含まれている。これらはSquareを除き金融サービスとは無関係で、運輸、クラウド、ソーシャルメディア、音楽分野の企業となる。これら業界でもディスラプティブな技術が登場し、従来型企業の存続が危ぶまれている。

Goldman Sachsがこれら分野に投資する目的は、リターンを得ることではなく、先端技術と関わることを目的としている。具体的には、これら市場で生まれる新技術を学び、既存産業を破壊するビジネスモデルを理解することにある。米国経済を支えるGoldman Sachsとしては、クライアント企業をリードしていくためにも、産業を破壊する技術を第一線で把握するという使命を担っている。

Fintechをどう評価する

Goldman SachsはFintechをどのように評価しているのか、興味深い発言がある。同行Global Investment Research責任者Heath Terryが、Fintechに関する見解を公表した。因みに、Goldman Sachsは、Fintechという用語は一切使用しないで、多くの場合「Shadow Banking」と表現する。本来、Shadow Bankingとは規正法の対象となっていない金融機関を示す用語として使われる。Goldman Sachsは、Shadow Bankingとして表現することで、Fintechが”未公認”金融機関であることを強調する狙いがある。このレポートでは用語を統一し、Fintechと記載している。

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Fintechが誕生した背景

米国でFintechが登場したのは、リーマンショック (Financial Crisis、世界金融危機) が引き金となった。これ以降、米国政府の規制が強化され、銀行の活動が大幅に制限されてきた。更に、銀行の社会的な信用度が低下し、ここにぽっかりと大きな空白地帯が生まれ、Fintechベンチャーが登場した。

Facebookの株式公開もその要因として挙げている。ソーシャルネットワークが巨大ビジネスになることに刺激され、ベンチャーキャピタルは次のFacebookを探した。そこで狙いをつけたのが金融産業で、多くの金融新興企業に資金を投入した。この結果、Fintechベンチャーが数多く登場し、次のGoogleやFacebookを目指し、革新的な技術を開発している。Fintech分野への投資金額は、2014年度が122億ドルで、前年から3倍以上に拡大した (上の写真)。このうち米国市場は99億ドル (棒グラフのオレンジ色の部分) と、Fintechが米国に集中していることも分かる。

銀行がFintechに苦戦する理由

銀行がFintechに苦戦する理由についても述べている。銀行は米国政府の法規制が重い足かせになっている。金融危機以降、規制が大幅に強化され、銀行はより厳格な資本の定義が求められ、融資のために十分な資金を有しておくことが義務付けられた (「Basel III」という法令などの規定による)。同時に、Fintechの優位性はテクノロジーであることも認めている。特に大規模データ (ビッグデータ) とアルゴリズム (人工知能) に着目しており、Fintechは潜在顧客を特定する技術や特定領域での予測モデル (ローン審査など)で優れている。更に、Fintechは店舗を持たず、顧客獲得のコストを低く抑えられるなどの特長がある。規制法とテクノロジーで銀行が苦戦していることが分かる。

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銀行が脅威に感じるFintechベンチャー

更に、Goldman Sachsが注目しているFintechベンチャーについて述べている。企業名は出さなかったが、脅威に感じる技術を公表した。一つは「Socialization」で、金融サービスの普遍化を意味する。富裕層だけでなく、一般消費者も自由に資産管理などを利用できるようになった。もう一つの意味はソーシャルネットで、金融情報を消費者が共有する。これはピアツーピア送金「Venmo」を念頭に置いている。Venmoは手数料ゼロで送金できるだけでなく、若者世代はお金の貸し借りについても書き込み、広く世間に公開する。上の写真がその事例で、Venmoアプリには、お金の貸し借りの情報が氾濫している。このソーシャル機能が若者層を惹きつける。

二つ目は「Transparency」で、これは文字通り透明性を示す。これはピアツーピア融資「Lending Club」を念頭においている。債務者の状況やデフォルトに関する情報をオープンにし、出資者はリアルタイムで投資の状況を把握できる。商品がシンプルで、手数料構造が分かり易い点も評価される。Lending Clubのような透明性が消費者を惹きつける大きな要因となっている。Lending Clubのような企業の登場で、融資市場の収益1300億ドルのうち、10%をFintechが奪うといわれている。

ミレニアル世代について

Goldman Sachsはミレニアル世代 (1980年から2000年の間に生まれた世代) が重要な客層であるとの認識を持っている。ミレニアル世代後半は社会で成功してい人が多く、金融企業にとって大きな収入源となる。しかしミレニアル世代の63%はクレジットカードを持っていない。この理由は、クレジットカードを信用していないためで、ローンの金利 (22%程度) を不合理だと感じる。更に、クレジットカードでの送金手数料についても納得がいかない。上述のVenmoで送金すると、デビットカードは無料だが、クレジットカードだと2%の手数料がかかる。ミレニアル層はVenmoのようなFintechに慣れ、送金は無料のサービスだと思っている。クレジットカードで手数料を取られる仕組みが納得できない。Goldman Sachsは、これら新世代の顧客を如何に取り込むのか、その手腕が問われることとなる。

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先進的な金融機関の対応

Goldman Sachsだけでなく、先進的な金融機関はFintech対応戦略を着々と実施している。サンフランシスコに拠点を置く投資銀行「Charles Schwab」は、投資アプリ「Intelligent Portfolios」の提供を始めた (上の写真)。これはインテリジェントな投資サービスで、自分に合うポートフォリオを設定すると、その後はシステムが自動で売買する。更に、売買手数料は無料とPRしている。このアプリはFintechベンチャー「Wealthfront」にヒントを得て開発されたもので、消費者がどう反応するのか注目を集めている。

サンフランシスコに拠点を置く銀行「Wells Fargo」は金融サービスのアクセラレーター「Startup Accelerator」を立ち上げた。Wells Fargoがエンジェルとして新興企業に出資し、Fintechサービスの開発を後押しする。既に一期生が育ち、光彩認証システム「EyeVerify」など、六社からFintech技術が登場した。しかし、大多数の銀行はFintech対応が遅れているのが実情で、銀行の保守的な体質や巨大なシステムを変革することの難しさも窺える。

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Fintech最大の課題

続々と新技術を生み出しているFintechベンチャーだが、避けて通れない大きな課題がある。Goldman SachsがShadow Bankingと表現するように、Fintechベンチャーは法規制を受けないで事業を展開しているが、ついに米国政府は規制の第一歩を踏み出した。2015年7月、米国財務省は「Treasury Seeks Public Comments on Marketplace Lenders」と題したメモを発行 (上の写真)。これはFintechに対し一般からの意見を求めるもので、オンライン融資サービスを安全に運用し、産業の成長を支えることを目的とする。

同時に、Fintech規制について、検討を始めたということでもある。市場からは、Fintechというイノベーションの芽を摘むべきではないと、懸念の声が上がっている。一方、消費者からすると、Fintechの安全性を担保する構造は必要である。Fintechの経営が破たんし、出資した資金が戻ってこないのでは困る。Fintechの社会的な責任が重くなるにつれ、法規制なしで運用することは考えにくい。Fintechイノベーションを継続しつつ、規制は最小限に留めることが求められ、米国財務省の手腕に注目が集まっている。

米国の東西バランスが変わる

従来、大学を卒業した優秀な人材はニューヨークのウォールストリートに就職していたが、金融危機以降はこの流れが変わり、シリコンバレーのハイテク企業に就職している。新卒者だけでなく、GoogleのCFOであるRuth Poratはニューヨークの名門銀行「Morgan Stanley」から移ってきた。米国の優秀な人材は、ニューヨークからシリコンバレーに移り、西側の重要性が相対的に増している。これら優秀な人材がFintechを含むディスラプティブな技術の開発に従事している。Goldman Sachsがサンフランシスコで株主総会を開くように、シリコンバレーの役割が増し、破壊的技術の誕生が続きそうだ。

もう銀行は不要?Fintechベンチャーが金融業を侵食する

Friday, August 7th, 2015

米国で街から銀行が消えようとしている。銀行機能がオンラインバンキングに移るという意味ではなく、銀行自体がベンチャー企業にとって代わられる。この背後にはFintechと呼ばれるファイナンス革新がある。思いもよらない新技術が登場し、消費者が銀行を離れていく (下の写真)。

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消費者が銀行となる

Fintechベンチャーは数千社にのぼり、斬新な技術がどんどん誕生している。その中で話題のサービスが「Abra」だ。Abraはシリコンバレーに拠点を置く新興企業で、送金サービスを開発している。米国から海外に送金できるだけでなく、送金手数料は限りなくゼロに近い。送金に際し銀行口座は不要で、入金したお金を引き出すときは、ATMではなく「Teller」と呼ばれる人物から受け取る。Tellerは銀行ではなく一般消費者で、市民が銀行ネットワークを構成する。個人タクシー「Uber」のモデルからヒントを受け、銀行というコンセプトが大きく変わろうとしている。

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Abra利用法

専用アプリからこのサービスを利用する。送金する時は、ホーム画面 (上の写真左側) の「Send」ボタンを押し、受取人氏名と金額を記入し送金する。受取人は入金を確認し、お金を引き出す際は、「Withdrawal」画面を操作する。ここで上述「Teller」の場所を確認し (上の写真右側、人型アイコン)、そこに出向きお金を受け取る。この事例は200ドルを引き下ろすところで、受取人はMaria NarezというTellerに出向く。手数料はTellerが任意で設定でき、ここでは1%となっている。多くの場合、コンビニなどがTellerとなり、ネットワークを支えている。

背後でBitcoinが使われる

この背後ではBitcoinが使われ、実際の送金はBitcoinでトランザクションが進む。専用アプリをインストールすると、Blockchainベースの住所録が導入される。(Blockchainとは分散型データベースでBitcoinなど仮想通貨のトランザクションをログする。) 送金では指定した相手にBitcoinが送られるが、利用者からはこのトランザクションは見えない。お金を引き出すときはTellerに利用者のQRコードを示し、本人の認証をする。AbraはBitcoinを媒介としたピアツーピア送金のためのプラットフォームを提供しているだけで、お金には全くタッチしていないし、手数料も取らない。Abraはビジネスモデルを明らかにしていないが、送金トランザクションのビッグデータ解析による広告収入などを目指しているのかもしれない。

二度のクラッシュを経験したミレニアム世代

Fintechの波は銀行だけでなく、証券会社にも押し寄せている。シリコンバレーに拠点を置くベンチャー企業「Wealthfront」は、顧客資産を運用・管理する独自のアルゴリズムで、投資サービスを展開する。ミレニアム世代を対象としており、会員の60%が35歳未満という若い顧客層を抱えている。この世代は、インターネットバブル崩壊とリーマンショックという、二度の市場クラッシュを経験し、投資に自信を失っている。このデモグラフィックスに敢えて狙いを絞り、独自のアルゴリズムで資産運用を始めた。このアプローチが技術志向のミレニアム世代に好評で、TwitterやGoogleを始めとするハイテク企業の社員の間で利用が爆発的に広がっている。更に、サンフランシスコのプロフットボールチーム「49ers」の若い選手の資産運用を任されている。

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ノーベル経済学の理論を取り入れたアルゴリズム

Wealthfrontの資産運用アルゴリズムは、ノーベル経済学の理論「Modern Portfolio Theory」を取り入れ、話題となっている。このアルゴリズムは公開されており、だれでも閲覧し検証できる。更に、Wealthfrontは運用方法を公開しており、この透明性が若い投資家に好まれている。また、クラウドで資産管理を行うことで、最低運用金額が低く設定され、手数料が安いことも人気の理由。

Wealthfrontは、11種の「アセットクラス」を用意しており、利用者は嗜好 (リスク許容度など) に合わせてポートフォリオを決定する。Wealthfrontはこの中から、「米国株式」、「先進国株式」、「新興国株式」、「コモディティー」、「不動産」、「債権」という六種類のアセットクラスを使う。これら六種類のアセットクラスに「Mean-Variance Optimization (設定したリスクでリターンを最大にする)」手法を適用し、最適のポートフォリオを形成する。上の写真がその概念図で、円グラフがアセットクラスの配分を示し、右に行くほどリスクが増す。

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利用者は質問に答え、リスク許容度を算定し、アセットクラスの配分を決定する。上の写真は筆者のケースで、リスク許容度は10点満点中6.0と判定された。これに基づき、六種類のアセットクラスの配分が決定した (下段の棒グラフの部分)。Wealthfrontはこの配分で資産を運営し、配分が変わるごとに「Rebalance」と呼ばれる調整をする。

証券会社がFintechの影響を受ける

大手証券会社はアルゴリズムで資産を運用管理するベンチャー企業に警戒を強めている。Wealthfrontなどがミレニアム市場で急成長しており、その手法に大きな関心を寄せている。サンフランシスコに拠点を置く老舗証券会社「Charles Schwab」は、Wealthfrontの手法を模したアルゴリズムで、これに対抗している。証券市場にもFintechの波が激しく押し寄せている。

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Fintech最大規模の会社

Fintechはベンチャー企業だけでなく、株式を上場し大きく成長した企業もある。サンフランシスコに拠点を置く「Lending Club」がその代表で、2014年12月に株式を公開し、9億ドル募った (上の写真)。現在の時価総額は55億ドルで、Fintech最大クラスの企業に成長した。2006年に創業し、リーマンショック以後は、銀行でローンを組めない人に、ピアツーピア方式で融資した。今では融資を受ける借り手と、融資したい人を結びつけるプラットフォームを提供してる。

銀行やカード会社が債権者となるのが一般的だが、Lending Clubは一般消費者が債権者となる点に特徴がある。Lending Clubは店舗を持たず、低コストで融資できる点が評価されている。債務者の多くは、クレジットカードなどのローンを返済するために、Lending Clubを利用している。Lending Clubを使うと金利が7%安くなるという報告がある。

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Lending Clubの仕組み

融資を受けたい人は基礎データを入力すると、Lending Clubが融資の可否と条件を算定する。応募者のオンラインデータやクレジットレートなどを参照して、ほぼリアルタイムにこれらを算定する。融資金額は1000ドルから35000ドルまでで、ローン期間は原則3年間。

一方、消費者や企業は融資を提供することができる。株式に投資するように、債権者は複数の債務者に投資する。債務者はリスクを指標にポートフォリオ「A」から「G」まで用意されている (上の写真上段)。右に行くほどリスクが上がり、利回りも上がる。同時に、デフォルトに陥る可能性も高まり、利率が大きく変動することになる。Lending Clubは、これら「A」から「G」までの配分を事前にセットしたパッケージを用意している (上の写真下段)。投資者はこのパッケージから、安定したリターンが期待できるもの、または、大きなリターンが期待できるものなど、自分の投資戦略に沿ったポートフォリオを選択できる。

Lending Clubは銀行になる

ベンチャー企業が斬新なFintechを開発し、それが市場で試され、成長を遂げてきた。しかし、Lending Clubのような例外もある。既に大企業となり、市場からその技術が評価され、安定した存在となった。同時に、ベンチャーの時の勢いが影を潜め、急激な成長が見られなくなっているのも事実。Lending Clubは銀行の仲間入りをしたとの声も聞こえてくる。Fintechベンチャーは、会社規模が大きくなっても革新的であり続けられるのか、その課題も見えてきた。

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なぜFintechは米国で生まれるのか

Fintechが米国に集中している理由は、銀行に入ると分かる。筆者の取引銀行はCitibankで、一等地の立派なビルで営業している (上の写真)。しかし、一歩中に入ると空き家のようにガラガラで、人も機材も閑散としている。カウンターには10ほどの窓口があるが、2-3人のスタッフが対応しているだけ。顧客は殆どいなく、待つことなく窓口に直行できる。Citibankのリテール機能はインターネットに移り、スマホ・アプリやウェブサイトで事足りる。海外送金を含む入出金はATMででき、店舗内に入る必要はなくなった。銀行店舗は業務が目的というより、ステータスを表すシンボル的な存在になった。

銀行に行かなくなった米国では、Fintechを利用することに違和感を感じない。もともと店舗を持たないで営業している銀行も少なくない。リーマンショック以降、銀行の社会的ポジションが低下し、Fintechベンチャーとの差異が小さくなった。シリコンバレーで生活すると、銀行業務がFintechに侵食され、店舗が街から消えていく必然性を肌で感じる。

人工知能が次のリーマンショックを防ぐ、銀行融資のリスク評価が格段に進化

Friday, June 26th, 2015

銀行業務と人工知能は親和性がいい。新興企業は大手銀行に先駆けて、ローン審査で人工知能を取り入れた。オンラインでローンの申し込みを受け、それを瞬時に高精度で判定する。クレジットヒストリーがない場合でも、申請者の適合性を的確に査定する。対象市場は米国だけでなく、中国の巨大な潜在需要に注目が集まっている。人工知能が高度に進化することで、リーマンショックのような、世界規模の金融危機を回避できるとの期待も寄せられる。

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Affirmという支払いオプション

新興企業から人工知能を活用した金融商品が登場している。サンフランシスコに拠点を置く「Affirm」は、消費者向けに金融サービスを提供する。オンラインショッピングの決済で、消費者はクレジットカードで支払いできるほか、Affirmで分割払いができる (上の写真、左側)。この画面でAffirmボタンを選択し、「Checkout with Affirm」にタッチする。Affirmは決済プロセスで、利用者の信用度をリアルタイムでチェックし、分割払いを提示する (上の写真、右側)。クレジットカードがなくても買い物ができ、若者層に好評だ。

最初にこのシステムを利用する際は、氏名、住所、生年月日、年金番号 (個人を特定する番号として利用される) を入力し、口座を開設する。入力情報を元に、Affirmは利用者の信用度を人工知能を駆使して調査する。Affirmは信用度が充分高いと判断すると、上の写真の通り分割払いの条件を提示する。支払い期間は、3ヶ月、6か月、12か月のオプションがある。このケースでは850ドルの買い物をし、3ヶ月の分割払いを選択した。毎月287.98ドル返済し、利率は年率換算で10%となる。利用者は毎月、デビットカードや銀行口座から返済する。小切手を郵送することもできる。

ビジネスモデルは仲介者

Affirmのビジネスモデルは、利用者と銀行を仲介するブローカーとして位置づけられる。Affirmが銀行業を営んでいる訳ではない。Affirmの取引銀行はニュージャージー州に拠点を置く「Cross River Bank」で、ローンは同行から提供される。Affirmが両者を仲介し、銀行に代わりローン審査を行いリスクを査定する。同時に、若者層を引き込むため、サイトはお洒落にデザインされている。

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Affirmと提携しているオンラインショッピング企業は100社に上り (上の写真、その一部)、消費者はこれらのサイトで分割払いで買い物ができる。ショッピングサイト側は、Affirmを利用することで、クレジットカードに変わる決済オプションを提供でき、売り上げが20%増加したとしている。

クレジットカードを持てない層を対象

Affirmは2015年5月、ベンチャーキャピタルから2億7500万ドルの大規模投資を受けた。ベンチャーキャピタルはフィンテックに集中的に投資しているが、特にAffirmのモデルを高く評価している。Affirmはデータサイエンスの手法で、利用者のクレジットリスクをより正確に査定する。現在は「FICO Scores」という手法が主流で、クレジットヒストリーをベースにリスクを査定する。しかし、大学を卒業したばかりの若者層や最近米国に移住した人たちは、クレジットヒストリーが無く、カード審査で不合格となる。Affirmは、これらクレジットヒストリーが限られる層を対象に、事業を展開している。

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人工知能を使った解析方法

Affirmはローン審査の具体的な手法を公表していないが、一般に、利用者に関する膨大なデータを人工知能の手法で解析する。具体的には、ソーシャルネットワークの友人関係、ウェブサイト閲覧履歴、オンライン購買履歴などが使われる。更に、利用者がオンラインでローン申込書に記入する際に(上の写真、個人情報記入欄)、大文字だけを使うのか、また、条件を読むのにどれだけ時間を要したかも考慮される。ソフトウェアは膨大なデータからパターンを割り出し、ローンの可否を判定する。経験的にリスクの低い利用者のパターンを定義し、それに近い応募者を探し出す。Deep Learningの手法を使うと、大規模なデータの中から、リスクの低いケースを学習できる。ただ、Affirmは詳細技法については事業の根幹にかかわるため開示していない。

多くの銀行で前世代のアルゴリズムを利用

米国ではローン審査に前述のFICO Scoreが使われる。これは消費者のクレジットリスク指標で、幅広く使われデファクトスタンダードになっている。この指標は1989年にFICO社が開発し、現在では、3億人の米国消費者を網羅している。銀行などが毎年100億件のFICO Scoreを利用しているとされる。

FICO Scoreのアルゴリズムは企業秘密で公開されていないが、消費者の過去の履歴を元に算定する。具体的には、消費者の支払い履歴、負債の状況、クレジットヒストリーの期間、クレジットの種類、最新のクレジット応募状況などを入力する。つまり、銀行のローン審査では、応募者の過去の履歴を入力とし、数学的にリスクを計算する。一方、Affirmなどの新興企業は、利用者に関する膨大なデータから、人工知能の手法でリスクのパターンを発見する。今では、FICOの数学的なアプローチより、人工知能による経験則のほうが正確に判定できる。

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ZestFinanceという企業

人工知能の技法でローン審査を行う新興企業が増えている。ロスアンジェルスに拠点を置く「ZestFinance」は、人工知能の手法で消費者金融サービスを展開している。リスクの高い低所得者層に、給与を担保に小口ローンを提供する。ZestFinanceは、通常の消費者ローンとは大きく異なり、データサイエンスの手法でローン審査を実行する。上の写真は創設者Douglas Merrillで、ZestFinanceは消費者金融のイメージとはかけ離れ、データサイエンス研究所として機能する。

中国のオンランショッピングで利用

ZestFinanceは事業の主軸を米国から中国に移している。大多数の消費者がクレジットヒストリーを持たない中国では、人工知能でリスクを査定するZestFinanceの手法に大きな期待が寄せられている。ZestFinanceはオンラインショッピング大手「JD.com」と提携し、中国で金融サービスを展開する。JD.comで購入した消費者の信用度を査定し、分割払いのオプションを提供する。JD.comの会員数は1億人で、売上金額は200億ドルを超える。

中国では金融サービスの普及が限定的で、クレジットカードヒストリーがある人は、人口の20%程度と言われている。一方で、中国政府は内需拡大のため、消費者が積極的に商品を購買することを推奨している。ZestFinanceはクレジットカードヒストリーがない消費者が、オンラインショッピングで買い物できるよう、リスクを審査し分割払いのローンを提供する。

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ローン審査方式

ローン審査では消費者のJD.comにおけるトランザクションデータが使われる (上の写真、ホームページ)。具体的には、購買した商品、購買した時間、商品のブランド、住所などを解析する。ZestFinanceはJD.comで試験運転を実施し、その結果、従来手法と比較して審査結果が正確であることが証明された。ZestFinanceがJD.comにおける金融サービスとして、正式に稼働することとなる。更に、今後はJD.com以外の企業との提携し、クレジットカード申込者のリスク審査で利用することも検討されている。

リーマンショックは防げるか

米国ではフィンテックブームで新興企業が銀行業務に乗り出している。AffirmやZestFinanceはローン審査で、クレジットヒストリーがなくても、消費者の膨大な情報をデータサイエンスの手法で解析する。従来方法に比べ、ローンリスクを正確に把握できるようになった。AffirmやZestFinanceは新時代の銀行を開拓している。

ZestFinanceのDouglas Merrillはインタビューの中で、データサイエンスの役割について述べている。リーマンショックは米国のサブプライムローンが引き金となり、世界的な金融危機につながった。サブプライムローン応募者のリスク査定に問題があったとされる。人工知能の技術進化で、ローン審査の精度が大幅に向上している。人工知能が金融危機を回避する手段として期待が寄せられている。同時に、高度なツールを手に入れても、それを生かせるのは人間で、最終判断は経営者にかかっている。人間の果たす役割は小さくない

日本生まれのおサイフケータイが米国で急成長!Googleは「Android Pay」で再挑戦

Friday, June 5th, 2015

米国でおサイフケータイ技術の進化が止まらない。Apple Payがこのブームに火をつけ、Googleが「Android Pay」でこれを追う。Android Payは一見するとApple Payのコピーに見えるが、アーキテクチャーは全く異なる。Google Walletで挫折を味わったGoogleだが、Android Payでリベンジを狙う。日本で誕生したおサイフケータイだが、米国で大きく成長し、日本市場をうかがう勢いだ。

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Google版おサイフケータイ

Googleは2015年5月、開発者会議Google I/Oで「Android Pay」を発表した。これはGoogle版おサイフケータイで、Apple Payに匹敵する機能を備える。カード決済機能だけでなく、会員カードと連携するとポイントが貯まる (上の写真左側)。また、アプリ内での決済機能もある (同右側)。従来のGoogle Walletは、おサイフケータイ機能を抜き、ピアツーピア支払い (個人間での送金) サービスとして位置づける。これにより、Android PayとApple Payが正面から衝突する。

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Android Payの特徴

Android Payの使い方はApple Payと同じで、スマホをカードリーダーにかざすと、Android Payが立ち上がる。メッセージに従ってPINを入力するだけで処理が完了する。スマホをパワーオンしたり、Android Payを立ち上げる必要はない。別のアプリを使っている時でも、スマホをかざしてAndroid Payを利用できる (上の写真)。次期基本ソフトAndroid Mから指紋認証機能が導入され、Apple Payのように指を当てて認証を受ける。

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会員カードと連携

Android Payは会員カードと連動し、買い物をすると自動でポイントがたまる。これはApple Payには無かったが、先週のWWDCで、同等機能を搭載することを表明した。上の写真がその事例で、自動販売機でコカ・コーラを買うと、会員カード「MyCokeRewards」にポイントが貯まったことを示している。コカ・コーラを10本買うと1本無料でもらえる。貯まったポイント数はスマホのMyCokeRewardsアプリで確認できる。Android Payでは、会員カードを使ったマーケティングが、Googleの大きな収益源になると予想される。

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アプリ内決済

Android Payはアプリ内での決済にも対応している。アプリで買い物をした際に、「Buy with Android Pay」ボタンにタッチして決済する。上の写真はレストラン出前サービス「GrubHub」でハンバーガーを注文したところで、最下段のボタンにタッチするだけで支払いが完了する。1000以上のアプリがAndroid Payに対応している。

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Android Payの実装方式

Android Payはアプリとして提供され (上の写真、中央部のアイコン)、Google Playからダウンロードして利用する。対応している基本ソフトはAndroid 4.4 (KitKat) 以降のバージョン。主要キャリア (Verizon、AT&T、T-Mobile) が販売するスマホにはAndroid Payがプレロードされる。更に、店舗で購入する際は、専門スタッフが利用者に代わり、カードを初期設定する。

Google Wallet (初代おサイフケータイ) は、上述キャリア三社のサービス「Softcard」と激しく競合した。いまでは、GoogleがSoftcardを買収し、キャリア三社は一転して、Android Pay事業を支援する。この変わり身の速さにも驚かされる。

Android Payを使える店が増える

Android Payは全米の主要ストアー70万店で利用できる。米国では大規模なカード盗用事件が相次いだ。オバマ政権はカード会社に対し、2015年10月までに、EMVカード (ICカード) にアップグレードするよう指導している。小売店舗では、これに対応して、NFC (近距離無線通信) 機能も搭載したリーダーの設置が急ピッチで進んでいる。設置期限である10月までに、Android Payを利用できる店舗が急増する。

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三階層のアーキテクチャー

Android PayはApple Payのコピーのように見えるが、アーキテクチャーは全く異なる。Android PayはOSの機能として位置づけられ、三階層の構造をしている。リーダーとの交信はNFCがつかさどる。カード番号はデバイスに固有な番号に置き代えられ、暗号化して送信される。これは「Tokenization」と呼ばれ、カード情報盗用を防ぐことができ、安全性が大幅に向上した。ここまでがGoogleとAppleに共通した機能である。

カード情報をクラウドに格納

異なる点は、Android Payはカード情報をスマホではなくクラウドに格納する。Apple Payなど現行のおサイフケータイは、カード情報をSecure Element (SIMカードなどのハードウェア領域) に保存するが、Googleはクラウドに格納する方式を選択した。この方式は「Host Card Emulation」と呼ばれ、Secure Elementをクラウド上に構築する。カード情報をクラウドに保存しておき、決済処理の際にカード情報をクラウドからスマホに送信して利用する。このため、Android Pay使用時にはスマホはオンラインである必要がある。

おサイフケータイのプラットフォーム

これら基本機能を「Android Pay API」で提供する。Android PayアプリがこのAPIを使うだけでなく、パートナー企業が開発するアプリもAPIを使いおサイフケータイ・アプリを開発できる。Googleは自社のおサイフケータイ事業の成功だけでなく、このプラットフォームでフィンテック・イノベーションが生まれることを期待している。

手数料問題

上述のTokenizationという手法はApple Payで採用され、今ではMasterCardなどカード会社が標準化して、Googleなどに提供している。カード会社は決済処理の安全性を高めるため、Tokenization機能を無料で提供する。その見返りに、Googleに対しAndroid Payでカード発行銀行から手数料を取らないことを求めたとされる。GoogleはAndroid Payで決済手数料を手に入れそこなったことになる。一方、Apple Payはカード発行銀行から手数料を徴収しており、上述ルールと異なる運用となる。このため、MasterCardなどは、Appleに対しても同様な取り決めを求めていくとしている。

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顔パスで決済

Googleは秘密裏に、新しい決済技術を開発している。これは「Hands Free」と呼ばれ、文字通り、スマホを使わないで”顔パス”で支払いする方式だ。支払いをする際に、レジの前で「I would like to pay with Google」というだけで、決済が完了する。カードやスマホを取り出す必要はなく、赤ちゃんを抱えたお母さんにとって大変便利 (上の写真)。Hands Freeの仕組みは公表されおらず、謎が深まり話題となっている。GoogleはHands Freeをサンフランシスコ地区のMcDonnellとPapa Jonesで、今年から限定的に試験を開始する。

今度は成功するとの見方

おサイフケータイと無縁であった米国社会は、Apple Payの登場でその安全性と便利さにショックを受けた。Apple Payは米国からカナダや英国に広がり、中国ではAlibabaと交渉しているとされる。Apple Payが世界規模で広がる勢いを示している。この追い風のなか、Android Payが登場した。大苦戦したGoogle Walletであるが、Android Payは事業環境が整いつつある。市場の前評判は上々で、Android Payが一気に拡大する可能性を秘めている。

Apple Watchでの支払いは予想以上に便利!”おサイフウォッチ”がブレーク寸前

Friday, April 24th, 2015

Apple Watchを手に取ると写真以上に美しかった。実際に腕にはめてみると快適だった。Apple Storeで試着した印象で、これが決め手となり、ウェブサイトで購入した。Apple Watchで生活すると、一番便利な機能は断然「Apple Pay」(下の写真)。レジの支払いが、Apple Watchをかざすだけでできる。自動販売機にウォッチをかざすとコーラが買える。おサイフケータイの次は”おサイフウォッチ”の時代が到来すると強く感じた。

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Apple Watchでの支払いは快適

「Apple Pay」は米国版おサイフケータイで、iPhone 6で利用できる。Apple Watchもこの機能を備え、ウォッチをかざすだけで支払いができる。

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レジで支払いする際に、サイドボタンをダブルクリックすると、Passbookに登録しているクレジットカードが表示される (上の写真)。これリーダーにかざすと支払が完了する。上のケースでは、リーダーのディスプレイ部分にApple Watchをかざす。ポケットからiPhoneを取り出し、TouchIDで指紋認証する必要は無く、ウォッチで支払いができるのは格段に便利と感じた。

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クレジットカード登録と安全機能

Apple Payを使う前に、専用アプリ「Apple Watch」でカードを登録する。iPhoneの時と同じ手順で、カメラでカードを撮影し、カード番号など必要なデータを入力する。カード登録が完了すると、Apple WatchのPassbookに格納される (上の写真、左側)。

iPhoneでApple Payを使う際は、指紋認証で本人確認をする。これに対して、Apple Watchでは、PINを入力して本人確認をする。Apple Watchを着装する際に、四桁のPINを入力すると (上の写真、右側)、デバイスがアンロックされる。支払いの際には認証は必要なく、Apple Watchをリーダーにかざすだけで処理が完了。Apple Watchを外すとログオフした状態となり、ウォッチを盗まれても、他人が支払いをすることはできない。Apple Watchでも安心して買い物ができる。

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一気におサイフウォッチに移行するか

iPhoneと同様に、Apple WatchとリーダーとはNFC (Near Field Communications) 方式で交信する。支払いする際は、Apple Watchをリーダーに接触させるくらい近づけて使う (上の写真)。米国では大規模なカードデータ盗用事件が相次ぎ、多くの店舗がNFC機構を搭載したリーダーの設置を進めている。このため、Apple Payを利用できる店舗が増えてきた。便利になったのと同時に、プラスティックのカードを使うのと比べ、安心感が格段に向上した。

Apple WatchをiPhone 5とペアリングして使うことができる。つまり、iPhone 5でApple Payを使えるようになった。iPhone 5利用者はApple Watch側で支払いができる。これは、Apple Payに対応したデバイスが急増することを意味し、普及が一層進むこととなる。米国では、おサイフケータイが普及する前に、一気におサイフウォッチに移行する気配をみせている。

Apple Watchでコカコーラを買う

Apple Watchで自動販売機の支払いができる。Coca-Colaは北米で、Apple Payに対応した自動販売機の整備を進め、今年末までに10万台を導入するとしている。iPhoneやApple Watchをかざすだけで、清涼飲料水を購入できる。

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上の写真がその様子で、Apple Watchでコーラを買ったところである。自動販売機にはクレジットカードやNFCリーダーが装着されている。Apple WatchをNFCリーダー (上の写真の黄色の部分) にかざすと支払処理ができ、買いたい商品のボタンを押すとボトルが出る。

日本では駅構内に設置されている自動販売機で、Suicaを使って清涼飲料水を購入するのは、日常生活の一部になっている。米国ではNFC機構を搭載した自動販売機が、ホテルやスーパーマーケットなどに設置されている。Apple Watchで飲み物を買える社会が到来した。

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米国版SuicaもApple Watch対応へ

電車の改札でもApple Watchが使えるようになる。サンフランシスコ地区では公共交通機関「Caltrain」などで、米国版Suicaともいえる「Clipper Card」が使われている。上の写真は駅に設置されている検札機に、Clipper Cardをかざしている様子。乗り降りの際と、車内での検札で、カードをかざす必要がある (車内検札では車掌さんが持っているポータブルリーダーにかざす)。 いまClipper Card機能をiPhone 6とApple Watchに実装する計画が進められている。これからは改札でカードの代わりにApple Watchで乗車でき、通勤が格段に便利になる。

Appleは日本でのApple Payの展開についてはコメントしていないが、最重要市場と見ているのは間違いない。今後、日本においてApple Watchで支払いができ、電車に乗れるようになれば、生活がより一層便利になる。Apple Watchを使ってきて、おサイフウォッチ機能は、むしろ日本社会向きだと感じている。

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StarbucksもApple Watch対応

StarbucksではApple Watchでコーヒーを買える。Passbookに格納している「Starbucks Card」を使って支払いをする。レジで、Apple WatchにカードのQRコードを表示し、ウォッチをリーダーにかざして支払いする (上の写真)。今まではiPhoneにStarbucks Cardを表示していたが、Apple Watchをかざすだけでスマートに支払いができる。

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ただ、Apple Watchのアイコンは小さいので、Passbookアプリを探してオープンするのは、慣れるまでに時間がかかる。上の写真左側が筆者のホーム画面で、Passbookアイコンは中央最下部に位置している。レジでの支払いでは、事前にPassbookを開いて準備しておく必要がある (上の写真、右側)。Siriを使い、音声で「Hey Siri Open Passbook」と語りかけ、Passbookをオープンする方法もある。ただ、レジの待ち行列では他人の迷惑になり、控えた方がよさそうだ。

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ホテルのルームキーとなる

Apple Watchがホテルのルームキーとなるサービスも登場している。ホテルチェーン「Starwood Hotels & Resorts」は、iPhoneをルームキーとするサービス「SPG Keyless」を提供している。これをApple Watchに展開している。Apple Watchに部屋番号が表示され、ドアにウォッチをかざすと鍵が開く。ホテルカウンターで長い行列に並ぶ必要は無く、スマートにチェックインできる。

利用者は事前に、iPhoneで必要事項を記入しデバイスを登録をしておく。宿泊24時間以内に通知を受け、確認ボタンを押すとチェックインが完了する。アプリを起動すると部屋番号が表示され、そのまま部屋に向う手順となる。部屋だけでなくホテル施設でも利用できる。Apple Watchと鍵はBluetoothで交信する。SPG Keylessが利用できるホテルは「W Hotels」や「Aloft Hotels」など、ちょっとお洒落なホテルが中心となる。荷物を抱えながらiPhoneを取り出すより、Apple Watchで部屋に入れるのは便利そうだ。

「ウォッチ・ネイティブ」のアプリ

Apple Watchを使ってみて、便利な機能とそうでない機能がはっきり分かってきた。メール、テキストメッセージ、通話機能、カレンダーなどは、確かに便利ではあるが、なくてもそれ程困らない。一方、便利と感じる機能はApple Payや健康管理「Activity」などである。ざっくり区分けすると、iPhoneのセカンドスクリーンになっているアプリは余り便利と感じない。一方で、Apple Watch”ネイティブ”のアプリは便利と感じる。ネイティブアプリは、Apple Watchに搭載されているハードウェア機構を駆使し、有益な機能を提供する。Apple PayではNFC機構であり、Activityのケースでは心拍数計測などのバイオセンサーである。Apple Watchのアプリの数は3000本といわれているが、ほとんどがiPhoneアプリの焼き直しである。今後、ウォッチ・ネイティブのアプリが登場し、クールな機能を提供してくれることを期待する。

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Appleらしいお洒落なデザイン

機能面とは別に、いたるところにAppleらしいお洒落なデザインが施されている。Apple Watchを最初に起動して、iPhoneとペアリングするが、銀河星雲が回転しているようなイメージが登場した (上の写真)。ペアリングでは通常QRコードが使われるが、Apple Watchはポイントクラウドと呼ばれる、データポイントの集合体を使う。銀河星雲が四桁の数字を示し、iPhoneカメラで撮影してペアリングする。ポイントクラウドで機能が向上するわけではないが、単純作業も楽しくできる。

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ガジェットがファッションアイテムになる

やはりAppleの色彩感覚が気になる。スポーツモデル「Watch Sport」のバンドの色は五種類提供されている (上の写真、Apple Storeのショーケース)。実は、この五色の配色は、グリーンを除いて、すべてGoogle Glassのフレームの色に同じである。色調もコピーしたようによく似ている。AppleがGoogle Glassの色を参考にしたとも思えなく、消費者が好む色を絞り込むと、これら五色になるのかもしれない。

筆者はブルーのバンドと装着感に惹かれて、Apple Watchを購入した。このモデルを着装するとすがすがしい気分にな。着装するときは、袖を少しめくり、Apple Watchがチラッと見えるようにしている。Appleがスマートウォッチをデザインすると、ITガジェットからファッションアイテムになる。