Archive for the ‘ゲーム’ Category

Google Glassのゲームは青空がタッチパネル ~ 現実と仮想を繋ぐ「グラス・ゲーム」は未来的

Friday, January 31st, 2014

Google Glass完全ガイド:ゲーム編】

Googleは「Mini Games」という、Google Glass向けのゲーム・アプリを公開した。Mini Gamesは五つのゲーム・アプリを含んでおり、「Tennis」は激しい動きのテニスゲーム。「Balance」は頭上に積み木を載せてバランスを取る。「Clay Shooter」はクレー射撃で、「Matcher」は神経衰弱で、「Shape Splitter」は手を刀にしてオブジェクトを切り裂く。Google Glassでゲームをすると、体の動きでプレーをコントロールし、周囲がゲーム空間となる。グラス・ゲームは、屋外でプレーでき、青空に並べられたカードにタッチしてゲームを進める。

g353_google_glass_game_01

体を張ってプレーするテニス

Mini Gamesの中で一番激しいゲームがTennis (上の写真、出典はいずれもVentureClef) で、頭をラケットにして、テニスの対戦を行う。相手が打ったボールを頭を左右に傾けて打ち返す。右に来たボールは頭を右に傾けてレシーブする。右端一杯に打ち込まれたボールは、頭を右一杯に傾け、かつ、右に移動してリターンする。ゲームはシンプルで、ディスプレイに破線の円が表示され (上の写真の右上部分)、ここがラケットになりボールを打ち返す。ボールはストレートだけでなくカーブもあり、手元で変化するので、最後まで目が離せない。ゲーム難易度は三段階で、初級、中級、上級を選択できる。上級を選択するとプロ選手並みの打球を打ち込まれる。頭を傾けるだけでは付いていけず、テニスをする時と同じ構えで、俊敏なフットワークが要求される。低いボールを拾う時は、膝が地面につく。激しく動き回るので、上級レベルをプレーする時は、家の中より屋外が適している。ゲームというよりはエクササイズそのものである。但し、他人がゲームをしている様子を見ると、異様な光景に映るので、プレーする場所は選ばなくてはならない。TennisはGoogle Glassのジャイロスコープと加速度計を使っており、頭の傾け度合いや移動を検出して、「ラケット」の位置を把握する。スマートフォンのゲームはタッチ・インターフェイスが中心であるが、ウェアラブルのゲームは体の動きがインターフェイスとなり、ゲームの構成が根本から変わる。

g353_google_glass_game_02

ちょっとした息抜きに最適のゲーム

BalanceはAndroid人形の半円形頭上に積み木を置き、頭をかしげてバランスを取るゲームである。頭の上に重なった積み木が下ろされ、これを一定時間安定に保つことが求められる。上の写真はLevel 4の事例で、四段の積み木を頭を左右に傾けながらバランスを取っているところである。成功するとメッセージが表示され、次のレベルに進む。Balanceは時間の合間に簡単にプレーでき、仕事につかれた時の息抜きにちょうどいいゲームである。

g353_google_glass_game_03

かなりリアルなクレー射撃

Clay Shooterはクレー射撃を行うゲームである。操作は音声で行い、「Pull」と言うとクレーが発射される。上の写真がその様子で、黄色の円がクレーで、レンジ・ファインダーで狙いをつけて射撃する。弾を発射する時は「Bang」と発声し、命中するとクレーがばらばらになり、虹の破片が飛び散る (最後の写真)。クレーはストレート、左及び右に放出され、放物線を描いて遠ざかりながら落ちていく。これをGoogle Glassで追いながら弾を発射する。Clay Shooterは家の中でプレーするより、屋外でプレーする方が臨場感がある。上の写真はサンフランシスコ・ベイの草原でClay Shooterをプレーしている様子で、飛び立った鳥を標的に射撃する感覚となる。Clay Shooterは、銃を構えてターゲットを追いかけていく要領で、体を上下左右に捻りながらクレーを追っていく。実物の鳥を射撃するのは残酷であるが、バーチャルにこれを体験できる。

g353_google_glass_game_04

天空に並べられたカードをめくっていく

Matcherは神経衰弱ゲームであるが、カードは巨大な球体内部に貼り付けてある。球体内部に入り、身の回り360度を見渡しながらゲームを進行する。上の写真がその様子で、六角形のカードが上空360度周囲に張り巡らされており、体を回転してカードを選択する。カードにタッチすると裏返り、黄色・緑色・紫色のカードが現れる。この色を覚えておき、別のカードを選び、同じ色になるとカードが消滅し得点を得る。上の写真は異なる色のカードをめくったところである。Matcherは自分の周囲すべてがゲーム空間で、全天空を使ってカード合わせを行う。家の中でも楽しめるが、広場などでプレーすると、青空をキャンバスにゲームが進み、壮大な気持ちでカードをめくることができる。ゲーム中に何人かが通り過ぎたが、特に気に留めている様子はなかった。

g353_google_glass_game_05

忍者のように刀で切り裂く

Shape Splitterは手を刀としてオブジェクトを切るゲームである。目の前に様々な形のオブジェクトが投げ込まれ、手を左右に振ってこれを切っていく。空振りしないで上手くオブジェクトを切ると得点となる。爆弾を切るとゲームオーバー。右手や左手を振る様子をカメラが捉え、オブジェクトを切る動作に置き換える。アメリカで大人気の「Fruit Ninja」というスマートフォン向けゲームをGoogle Glassにアレンジした形となっている。

g353_google_glass_game_06

屋外でゲームをすると楽しさが倍増

Mini GamesはGoogle Glassのジャイロスコープ、加速度計、カメラ、マイクなどのセンサーを活用したゲームである。これらのゲームはGoogleにより開発され、シンプルであるが体を動かしながらプレーするのが特徴である。Googleはこれらゲームを参照モデルとして位置づけており、簡単なコーディングで開発できることを強調し、ゲーム開発者が増えることを期待している。また、拡張現実機能を搭載したゲームはまだ無く、今後の開発に期待したい。

Microsoft Xbox Kinectは、利用者の体の動きを把握し、これをゲームに応用している。テニスやボーリングなど、体を動かすゲームのさきがけとなった。Google Glassは、これとは対照的に、ウェアラブルのセンサーが体の動きを感知し、これをゲームに生かしている。このため、Google Glassは屋内だけでなく、屋外でもプレーできるのが特徴である。屋外でプレーすると、ゲームが周囲の景色に溶け込み、楽しさが倍増する。

デジタル・ヒューマン (Launch:Silicon Valley 10より)

Friday, June 18th, 2010

先週、カリフォルア州マウンテンビューで、Launch: Silicon Valley 2010というカンファレンスが開催された。このカンファレンスは、SVASE (エスベース、Silicon Valley Association of Startup Entrepreneurs) が主催するイベントで、マイクロソフトのシリコンバレー・キャンパスを会場に開催された。

Launch: Silicon Valleyとは

Launch: Silicon Valleyは、新興企業が、ベンチャー・キャピタリストやメディアに、最新技術を紹介する場である。主催者であるSVASEは、初期投資などを通して、新興企業の立ち上がりを支援する団体である。新興企業は、会場のステージでデモを交えて最新技術を披露し、ベンチャー・キャピタリストからの投資獲得を目指す。一方で、ベンチャー・キャピタリスト側としても、資金の投入先を見つけるのに苦慮しているという事情がある。ここ最近、新興企業は少ない資金で、ウェブサービス事業を開始している。企業が立ち上がり、大量の運用資金が必要となる拡大期には、新興企業は大手ベンチャー・キャピタルから資金を調達する。そのため、中堅のベンチャー・キャピタルは、成長株への投資機会が少なくなっている。Launch: Silicon Valleyは、中堅ベンチャー・キャピタルが、有望な投資先を見つける場でもある。

Evolverという企業

カンファレンスでは、新興企業はステージの上で、六分間の持ち時間で技術紹介を行い、四分間でパネリストであるベンチャー・キャピタリストが、技術に対して評価を行なう形式で行なわれた。登場する新興企業は、個人投資家の資金で事業を開始したばかりのところが多く、また、製品の完成度はかなりのばらつきがあった。その中で、視覚的にアピールしたのが、Evolver (エボルバー) という企業であった。Evolverは、アバターを製作するためのウェブサービスを開発している企業で、利用者は、ソフトウェアは不要で、ブラウザー上で三次元のアバター(下の写真、出典はいずれもEvolver, Corp.) を製作することができる。

g161a_evolver

利用者は顔写真をアップロードして、アバターを簡単に製作できる。アバターは左の写真の通り、体全体で、立体的に構成される。顔は顔写真から生成され、身体は自動で生成される。利用者は、顔及び全身を回転させて、360度のアングルから閲覧することができる。Live Modeでは、アバターの動作を選択することができ、アバターが様々な動きを見せる。アバターが、お辞儀したり、息を吸い込み呼吸をする。また、アバターが、ダンスをしたり、ジャンプすることもできる。上の写真は、アバターが、手を振っているところである。アバターの動きは滑らかで、人間の動きに非常に近く、好感が持ている。利用者は、製作したアバターを、Facebookなどに貼り付けて、自己紹介として利用する。例えばFacebookのウォールに、お辞儀しているアバターを貼り付けて、本人に代わって、訪問者に挨拶をするシーンで利用する。

アバター製作のプロセス

アバター製作においては、利用者は、詳細な顔写真を、Evolverのサイトにアップロードする必要がある。アップロードした写真に対して、利用者は、顔のパーツの主要ポイントをマークして、クローンを製作する。クローンとは、顔の部分だけのアバターで、クローンがどれだけ本人に似ているかどうかで、評価が決まる。次に、Builderというツール (下のスクリーン・ショット) を使って、クローンを編集して、アバターを製作していく。アバターの編集では、顔つき、肌の色、目の形、頭髪などを選択し、次に、シャツ、ズボン、靴など、衣服の選択を行なう。

g161b_evolver

完成したアバターは、Galleryに公開して、他の利用者にその作品を見てもらうことができる。反対に、Galleryに掲載されているアバターは自由に利用することができ、アバターを自分の嗜好に沿って編集することもできる。またアバターを有償で販売することもでき、Galleryでは、アバターを1ドルから10ドル程度で販売している。Galleryには900余りのアバターが公開されており、Evolverのコミュニティーが広がりつつある。

アバターの利用方法

Evolverは、製作したアバターを活用する、様々な方法を紹介している。その一つが、前述の通り、アバターをソーシャル・ネットワークに掲載する方法である。その他に、Project Wonderlandという仮想社会で、製作したアバターを利用できる。Project Wonderlandとは、Sun Microsystemsが資金を提供している団体で、Second Lifeのような仮想社会を構成するプラットフォームを開発し、これをオープンソースとして公開している。Project Wonderlandは、仮想社会において、社員教育、顧客への製品紹介、社員とのコミュニケーションを行なう場として利用されている。製作したアバターを使って、仮想社会での動きを構築でき、アバターが新製品のプレゼンテーションを行なうという使い方が始まっている。Oracleの買収の後、Sun Microsystemsからの資金提供は中止となり、現在、Project Wonderlandは、Open Wonderlandと改名して、一般から資金を調達して活動を続けている。

考察

アバターは、コンピュータ技術の進化に連れて、人間に接近し始め、Digital Humanと呼ばれるようになってきた。アバターは、ゲームを筆頭に、ソーシャルメディア、仮想社会、携帯電話アプリケーションなどで使われている。Evolverはアバター技術を、大規模オンラインゲーム、企業でのコラボレーション、連邦政府の歴史紹介プロジェクトなどに展開している。今後は、国防省の軍事シミュレーションなどへの展開を計画している。また、民間では、小売店舗のファッション・ツールとして展開する計画である。オンライン・ショッピングで衣類を買う際に、自分サイズのアバターに試着をしてもらい、似合っているかどうかを判定する。アバターはゲームにおける表現手法から、今後は、分身として、社内コラボレーションやオンライン・ショッピングに広がる勢いである。アバターは企業システムにとって必須の機能となってきた。