Archive for the ‘ビデオ’ Category

バーチャルリアリティはゲームから映画に進化!Zuckerbergの構想が形となる

Friday, September 26th, 2014

バーチャルリアリティー (VR) 映画の製作が始まった。VR端末で360度全方向の3D画像を体験できる。体を捻れば、後ろの映像が見える。VR端末はゲームだけでなく、映画でも威力を発揮する。映像メディアがVRに進化している。

g386_jaunt_01

Zuckerbergのビジョン

ゴーグル型VR端末を開発しているOculus VRは、新世代のゲーム機として、急速に普及する勢いをみせている。Facebookが同社を買収した際に、CEOのMark Zuckerbergは、「VRは次世代のコミュニケーション媒体」と述べている。自宅にいながら世界を体験できるという意味である。Zuckerbergのこのビジョンが形を成してきた。

シリコンバレーのベンチャーがVR映画の製作を始めたのだ。これはJauntという企業で、VR映画製作のためのカメラ (上の写真) やソフトウェアを開発。視聴者は「Oculus Rift」などVR端末を着装して映画を楽しむ。VR映画は360度全方向に3D画像を映し出し、視線を変えるとその方向の画像を見ることができる。この方式は、「360/3D VR」と呼ばれている。

g386_jaunt_02

VR映画撮影カメラ

VR映画制作のためのカメラはJauntカメラと呼ばれる。先頭の写真は開発中のもので、上の写真が現行モデル。現行モデルは14台のGoProカメラを搭載し、HD (1080p) で毎秒60フレーム撮影。カメラは市販製品であるが、Jauntの技術はソフトウエアにある。撮影された映像をソフトウェアで繋ぎ合わせて、一つの画像とする。具体的には、14のイメージを繋ぎ合わせ、一つの360/3D VRイメージを生成。このため、色調、ホワイトバランス、レンズの歪みなどを補正する。1秒のイメージを生成するために20秒かかる。

g386_jaunt_03

VR映画で何を表現するか

Jauntは既にVR映画製作に乗り出している。同社は映画プロダクション「New Deal Studios」と共同で、第二次世界大戦を舞台とした映画「The Mission」を制作中。アメリカ軍の落下傘部隊がロシアで敵地に降下し、ドイツ軍に囚われるというストーリー。撮影ではJauntカメラが使われ、落下傘にも搭載して撮影された (上の写真)。観客は敵地内での戦闘を360度のアングルで見ることができる。振り返ると、背後にはドイツ軍が迫り、現実と仮想の垣根が低くなる。オーディオも360度で再生され、顔を向けた方から音が聞こえる。

g386_jaunt_04

Jauntはミュージックビデオでも威力を発揮する。8月14日、 Paul McCartneyのコンサートがサンフランシスコのCandlestick Parkで行われた。ビートルズが48年前、コンサートを行った会場である。コンサートの模様はJauntカメラで撮影された (上の写真)。ステージに複数のJauntカメラを設置してバンドの演奏を撮影。このビデオでは、視聴者がステージ上で、360度の視野でコンサートを楽しめる。ビデオはまだ公開されていないが、隣でポールがギターを弾き、視線を移せば熱狂した観客のリアクションを見れるのかもしれない。

Cinemtic VRがキーワード

CEOのJens ChristensenはJauntの戦略を明らかにし、「Cinematic VR」がビジネスチャンスと述べている。Cinematic VRとは、映像を360/3D VRで表現する手法を示す。Christensenが注目している分野は、上述の映画と音楽に加え、スポーツ、旅行、ニュースである。スポーツでは試合を360/3D VRイメージで中継し、視聴者は応援しているチームの中で観戦できる。

g386_jaunt_05

観光では、自宅にいながら世界旅行ができる。世界遺産を360/3D VRイメージで体験し、あたかもその場所にいるような仮想旅行ができる。上の写真は観光地をJauntカメラで撮影している様子。ニュースでは事件の最前線に立つことができる。シリアでの戦闘の激しさを実感できるのかもしれない。

g386_jaunt_06

VR端末の急速な普及

Jauntで製作されたコンテンツはVR端末で楽しむ (上の写真)。このため、Jauntはコンテンツ再生のソフトウェアを開発している。JauntはVR端末サポート対象機種については明らかにしていないが、Oculus RiftやSony Project Morpheusなどがリストに入ると思われる。また、JauntはSamsungとGear VR向けに、コンテンツを共同開発している。Gear VRとはSamsungがOculus VRと開発したVR端末で、SamsungはVR技術に集中的に投資している。JauntはiPad向けにもコンテンツを供給する。この場合、iPadを移動すると、その方向の映像を見ることができる。FacebookのOculus VR買収で、消費者のVRへの関心が高まり、VR端末の普及が急速に進むとみられている。

g386_jaunt_07

上の写真はNASAで行われた、SpaceX打ち上げ成功を記念するイベント。Jauntは打ち上げを支えた技術を360/3D VRで捉えている。

VR映画特有の課題もある

一方、VR映画特有の検討課題も見えてきた。VR映画は360度全方向を撮影するため、撮影クルーはカメラに映らないよう、隠れている必要がある。撮影現場でのスタッフ配置など、撮影手順が大きく変わる。観客は360度の映像を楽しめるが、どこでストーリーが展開しているかを掴む必要がある。観客は何処を向けばいいのか、切っ掛けを示す工夫が必要となり、映画製作の手法も大きく変わる。更に、カメラを移動すると「VR Sickness」 (VR酔い) になるため、カメラの位置を固定してストーリーを展開する工夫も必要となる。新しいメディアには新しい検討課題も出てくる。

メディア企業の期待を背負っている

Jauntは2013年にJens Christensenなどが設立し、イギリス大手放送事業者BSkyBから出資を受けた。その後、Google Venturesなど主要ベンチャーキャピタルが投資。アドバイザーにはGoogle Glass開発者のBabak Parvizが入っている。Dolby会長Peter GotcherやSling Media創設者Blake Krikorianなど、メディア関係者が投資に加わっている。メディア企業から将来性を期待されていることが窺える。また、Christensenは、ハリウッドの映画プロダクションが興味を示していると述べ、共同で映画制作を進めることを示唆している。Zuckerbergのビジョンが示している通り、消費者のエクスペリエンスがVRに向い、メディアの役割が大きく変わろうとしている。

デジタルカメラは消えつつあるがアクション・カメラは人気爆発

Saturday, April 5th, 2014

デジタルカメラはスマートフォンに押されて、市場から姿を消しつつある。一方、アクションカメラ「GoPro」は、若者層を中心に絶大な人気がある。GoProの将来性は高く評価され、近く株式を公開する予定である。GoProは体に装着して利用するカメラで、ウエアラブル・カメラとも言われている。スマートフォン全盛時代に何故ウエアラブル・カメラは好調なのか、その秘密に迫る。

g363_wearable_gopro_01

誰でもプロになれるカメラ

GoProはシリコンバレーを拠点に、アクション・カメラを開発するベンチャー企業。カメラはスポーツなどのアクションを撮影する目的で利用され、専用ケースに入れて使用する。カメラにはファインダーは無く、身体や用具に装着し、シャッター・ボタンを押してビデオ撮影を開始する。再びボタンを押して撮影を終える。上の写真 (出典はいずれもGoPro) はGoProをサーフボード先端に固定し、波の壁を下っているシーンを撮影したものである。元々マリンスポーツを撮影するために開発され、GoProで撮ると誰でもプロ選手に見えることからこの名前が付いた。

g363_wearable_gopro_02

GoProはシンプルなカメラ

本格的なアクション・シーンの撮影ができるGoProであるが、その構造はシンプルである。GoPro最新モデルは「HERO3+」で、前モデルを小型軽量化している。上の写真はHERO3+のハイエンド・モデル (Black Edition)。ビデオ撮影では1080p60などのモードに対応している。写真撮影もでき、解像度は12メガ・ピクセルで、一秒間に30フレームのバースト機能がある。GoProを手動で操作する他に、Wi-Fi Remote (上の写真左側) を使って遠隔操作できる。

g363_wearable_gopro_03

GoProはカメラ・マウント装置を多数取り揃えている。上の写真は胸部とヘルメットにカメラを装着し、スキー滑降を撮影している様子である。スキーのポールにカメラをマウントし、自分撮りをすることもできる。この他に、自動車、オートバイ、ボートなどにマウントする装置を販売している。シリコンバレーでは、自転車通勤者の数多くがヘルメットにGoProをマウントしており、ロードバイク必須のアイテムとなっている。

g363_wearable_gopro_04

GoProビデオ専用チャンネル

利用者はGoProで撮影したビデオをYouTubeなどに公開し、アクションを通じて自己主張を行う。視聴者は息をのむビデオを楽しんでいる。GoProはYouTubeに専用チャンネルを設け、幅広い分野のビデオを公開している。ここには一般利用者が撮影したビデオだけでなく、提携しているアスリートや企業が撮影した、高品質のビデオが掲載されている。上の写真はその一例で、Bombsquadというスタント・チームが、断崖からベースジャンプした様子を、ヘルメットに装着したGoProで撮影したものである。パラシュートが開く前のダイビングで、鳥のように滑空しているところを捉えている。プロが撮影したビデオは、圧倒的な迫力で見る者に迫って来る。

g363_wearable_gopro_05

GoProで撮影されたビデオはスリリングなものだけではなく、海中を泳ぐ優雅なシーンも捉えている。(上の写真) これはPerformance Freedivingというフリーダイビング運営会社が撮影したもので、インストラクターがトンガの海で素潜りをしている様子である。深くダイブしてクジラに遭遇するシーンも記録されている。これらのシーンは同僚が装着しているGoProで撮影した。これがGoProチャンネルの一番人気のビデオで三千万回閲覧されている。

GoProは映画配信サイト

YouTubeに開設しているGoProチャンネルには、1700本近いビデオが公開されている。アマチュア・ビデオを綺麗に編集したものから、提携しているプロのアクションを撮影したものまで、多彩なコンテンツが揃っている。ジャンルごとに整理されたビデオ・ライブラリーとなっており、アクション映画として十分に楽しめる。Netflixで映画を楽しむように、GoProは映画配信サイトとして機能している。Netflixは有償であるが、GoProは無償でコマーシャルが入った映画を楽しむ構成となっている。

g363_wearable_gopro_06

コンテンツを航空会社に配給

GoProはアクション・ビデオをサイトに掲載するだけでなく、Virgin America航空へ提供している。同航空は機内エンターテイメントで、テレビ番組や映画に加え、GoProアクション・ビデオを放送している。乗客は機上でもGoPro放送を楽しむことができる。またGoProはこれらビデオをMicrosoft Xbox 360とXbox One向けに配信すると発表した。これによりXbox Live GoldメンバーはGoProアクション・ビデオをゲーム機で楽しむことができる。(上の写真) 利用者は家庭のテレビでアクション・ビデオを楽しむことができる。

GoProはコンテンツ企業

GoProはウェブサイトに高品質アクション・ビデオを公開し、映画ストリーミング事業を展開しいる。同時に、製作したコンテンツは航空会社に配信し、今後はXbox利用者にストリーミングする。GoProはカメラ・メーカーではなく、事業の中心は映画プロダクションである。GoProカメラは簡単に真似できるが、ユニークなアングルで撮影されたコンテンツで事業を展開するにはノウハウがいる。創設者でCEOのNicholas Woodmanは、GoProは「コンテンツ企業」であると述べている。更に、Woodmanは、GoProカメラは事業推進のための「Enabler (支える道具)」であるとも発言している。

高度な技術を有す日本の光学機器企業がスマートフォンに押されデジタルカメラ事業を縮小しているのとは対照的に、GoProはシンプルなカメラで急成長している。GoProでは、ウエアラブル・カメラを基盤とする独自事業が成長の原動力となっている。いま多くのウエアラブル製品が登場しようとしているが、成功の鍵はハードウェア基盤上のビジネスであることをGoProが示している。高度技術をEnablerとし、如何に魅力的な事業を構築できるか、日本企業の実力が問われている。

「Chromecast」 劇的に小さくなりブラウザーで動くGoogle TV~次世代スマート・テレビのすがた

Wednesday, July 31st, 2013

テレビの未来が大きく変わろうとしている。Googleは、2013年7月24日、記者会見でChromecastを発表した。Chromecastとは、Google TVをスティック状に実装したもので、テレビ端子に差し込むだけで、スマート・テレビとして機能する。手軽に使えるだけでなく、ここにはGoogleが描く、次世代テレビの姿が隠されている。

g328_google_chromecast_01

Chromecastを使ってみる

Chromecastは、Google Playで35ドルで販売されており、早速購入し、使い始めた。ChromecastはUSBメモリ・スティックを一回り大きくした形状で、インターフェイスはHDMIである。上の写真はChromecastをテレビのHDMI端子に差し込んで使用している様子である。Chromecastへの電力は、USB端子から供給する。Chromecastを使うと、スマートフォンやタブレットで、アプリの出力をテレビにすることができる。YouTube、Netflix、Google Play Movies & TVアプリを起動して、テレビでビデオや映画を見ることができる。Chromecastを使う際に、スマートフォンやタブレットに、Chromecastアプリをインストールして初期設定を行う。アプリを起動すると、Chromecastデバイスを認識し、WiFiなどの設定を行うだけですぐに使える。

g328_google_chromecast_02

YouTubeをテレビに出力する

上のスクリーンショットは、Nexus 7のYouTubeアプリで、オバマ大統領の演説を見ているところである。画面上部ツールバーに箱型アイコン(水色の箱) が現れ、ここにタッチして、出力先をChromecastとする。これでYouTubeビデオをテレビで見ることができる。

g328_google_chromecast_03

上の写真がその様子で、タブレットで起動したYouTubeを、テレビに出力している。タブレットから、ビデオを再生するだけでなく、停止、早送り、音量調整などを行うことができる。

Google Playで映画や音楽を楽しむ

スマートフォンからGoogle Playのテレビ番組や映画を起動して、テレビに出力することもできる。下のスクリーンショットがこの事例で、画面上段ツールバーの箱型アイコンにタッチして、出力先をテレビとする。コンテンツがテレビに出力されている際は、スマートフォン側のビデオは停止となり、テレビ側のビデオだけが更新される。

g328_google_chromecast_04

ブラウザー画面をテレビに表示

パソコンからブラウザー・タブをテレビに出力することもできる。Googleはブラウザー向けに、Google CastというExtensionを公開しており、これをブラウザーにインストールして利用する。使用法は、上記に同じで、ブラウザー・ツールバーに表示される箱型アイコンをクリックすると、画面がテレビに表示される。下のスクリーンショットは、パソコンのブラウザーで、出力先をChromecast_livingとし、テレビに表示する指定をしている様子である。

g328_google_chromecast_05

下の写真は、パソコンのブラウザーでニュースをみており、それをGoogle Castで、テレビに表示している様子である。この他にGoogle+に格納している写真などをテレビに映して見ることができる。また、Google TVでは見ることのできない、Huluや四大ネットワークのドラマなどをGoogle Castでテレビに出力できる。

g328_google_chromecast_06

Apple AirPlayと何が違うのか

Chromecastは画面をテレビにストリーミングするのではなく、モバイル・デバイスから、操作コマンド (再生、停止、早送りなど) をChromecastに送信しているだけである。コマンドを受信したChromecastが、自らウェブサイトにアクセスし、コンテンツをダウンロードする構造となっている。見かけはApple AirPlayのストリーミング方式であるが、その仕組みは根本的に異なる。

メッセージ送信のメカニズム

画面を出力する技術はGoogle Castと呼ばれている。Google Castは、送信側をSenderと呼び、Android・iOSのスマートフォン・タブレット、及び、Chrome OS、Mac、Windowsパソコンをサポートしている。これらモバイル・デバイスのアプリ (Sender App) を起動して、Chromecastと交信を行う。受信側はReceiverと呼ばれ、現在はChromecastだけである。ReceiverであるChromecastには、Chrome OSとアプリ (Receiver App) が稼働している。受信したデータはHDMI経由でテレビに送信される。(Chromecastの仕組みを理解するにはGoogle Cast Developer Previewが役に立つ。)  Chromecastは、スマート・テレビなのかブラウザーなのか、理解しずらい製品である。Chromecastという名前は、スティック状のChrome OSプロセッサーであると捉えると、製品の位置づけが見えてくる。Chromecastは、Chromebookと構造的に近い関係にある。ChromebookはChrome OSを搭載したラップトップで、本体がChromecastに相当し、モニターがテレビに、キーボードがモバイル・デバイスという関係になる。スマートフォンを遠隔キーボードとして、Chromecastを操作し、その出力をテレビに行うという構造となっている。

ポストGoogle TV戦略

Googleは何も表明していないが、ChromecastがGoogle TV新モデル、という格好になっている。Chromecastがスマート・テレビの方向性を示している。Google TVは2010年にSonyなどから出荷されたが、消費者の評価は芳しくなく、市場で苦戦している。不振の原因は、Google TVを操作するリモコンの形状と、Google TV向けの開発エコシステムが広がらなかったことにある。特に、Qwertyキーボードを搭載したリモコンは、使いづらいと不評であった。

g328_google_chromecast_07

Chromecastでは、リモコンを提供する代わりに、スマートフォンやタブレットのアプリを使うのがポイントである。利用者は、専用リモコンではなく、馴染みのアプリ操作でテレビを見ることができる。上のスクリーンショットは、iPhoneのYouTubeビデオを、Chromecastに出力している様子である。馴染みの操作で直観的に行える。一方、開発者からすると、Google TVという専用デバイス向けにアプリを開発するのは、敷居が高い。Chromecastでは、スマートフォンやタブレット向けアプリを開発するだけで、参入のハードルがぐんと下がる。更に、テレビ・メーカーは、Chromecastを内蔵することで、簡単にスマート・テレビを開発できる。Chromecastで開発者のエコシステムを広げる環境が整いつつある。

g328_google_chromecast_08

(上の写真はChromecastスタンバイ画面)

今年最大のヒットとなるか

Chromecastを使い始めたが、シンプルな構造で、直観的に操作でき、たいへん便利である。アプリを起動して、再生ボタンを押すという、馴染みの操作で、コンテンツをテレビに出力できる。ただ、アプリは、YouTube、Netflix、Google Playと、利用できる種類が限られており、今後の展開に期待している。特に便利な機能は、パソコンのブラウザーをテレビで見れる点である。ブラウザー経由なのでコンテンツの種類が一挙に広がり、Huluや人気番組をテレビで見れるのがうれしい。画面ストリーミングとは異なり、番組を見ながら、別のタブでTwitterやFacebookにコメントを投稿できる。Microsoft SkyDriveのPowerPointでプレゼンしながら、別のタブで情報検索ができるのもうれしい。これだけの機能が35ドルで手に入るので、Chromecastは今年最大のヒット商品となりそうである。

映画ストリーミング配信

Friday, December 10th, 2010

サンフランシスコで開催された、NewTeeVee (ニュー・ティーヴィー) カンファレンスでは、テレビとインターネットの融合が進むに連れ、テレビ上でのキラー・アプリケーションは何かが話題となった。カンファレンスでの議論の中で、しばしばNetflix (ネットフリックス) という会社が引用され、同社が展開している、インターネット・テレビ向けの映画配信サービスに注目が集まった。

g188a_netflix

Netflix会社概要

Netflixは、上述の通り、インターネットで映画配信を手掛けている企業で、1997年に、DVDレンタル・サービスの会社として創業した。現在でも、映画DVDを郵送する方式で、映画レンタル・サービスを展開している。真っ赤な封筒でDVDが郵送され、アメリカで人気のDVDレンタル・サービスである。2003年には、インターネット・ブームに乗って、Netflixはインターネット経由で映画コンテンツを配信する技術を開発し、セットトップボックス形状の機器を300ドルで販売を始めた。この機器を家庭に設置して、映画のダウンロードを行なう方式であったが、一本の映画をダウンロードするのに6時間以上かかり、普及には至らなかった。2005年頃には、YouTubeが絶大な人気を集め、市場ではストリーミング方式でビデオを観る方式が定着してきた。Netflixは、映画をダウンロードする方式ではなく、今度は、ストリーミングする方式で事業を再構築した。会員はパソコンのブラウザーから、Netflixのサイト (上のスクリーンショット、出展:Netflix) にアクセスし、希望の映画を選択して閲覧する方式である。希望する映画のPlayボタンを押すと、映画コンテンツがストリーミングされ、そのまま直ぐに映画を観ることができる。利用者はパソコンのブラウザーで、手軽に映画鑑賞を楽しめるようになった。

Netflixのサービス拡大

Netflixは、コンテンツ配信先を、パソコンだけでなく、リビングルームのテレビを目指して、新しいサービスを開始した。Netflixは、家電メーカーと提携して、コンテンツのストリーミングを、ゲーム・コンソール (Microsoft Xbox等)、ストリーミング・プレーヤ (Apple TVやRoku等)、薄型テレビ(Sony BraviaやPanasonic Viera等)、DVR (TiVo) 向けに開始した。利用者は、これらの機器をインターネットに接続し、ストリーミングされた映画を受信し、それをテレビ画面に表示して、映画を楽しめるようになった。このストリーミング・サービスは、従来型のDVDレンタル・サービスとバンドルして提供されていた。しかし今月から、Netflixは、ストリーミング方式単独のサービスを、月額7.99ドルで開始した。利用者は、月額7.99ドル払うと、観たい映画を何本でも観れるようになった。この価格は、Hulu Plusの月額7.99ドルに対抗するもので、市場での競争が激化してきた。

この新価格を契機に、我が家でも、このストリーミング・サービスを契約して、テレビでNetflixを見る生活パターンが定着してきた。今までは、NetflixをiPad向けに契約しており、9.7インチの小さな画面で、一人で観ていた。新契約に更新してから、改めて、映画はみんなで、テレビの大画面で観るものであることを実感している。

g188b_netflix

映画閲覧の操作は簡単で、Netflixのウェブサイトで観たい映画を選択し、Playボタンではなく、Instant Queueボタンを押して、キューに登録する。次に、テレビ (上の画面、出展:VentureClef) でNetflixアプリケーションを起動して、キューに入っている映画のPlayボタンを押すと、映画のストリーミングが始まる (次の画面、出展:VentureClef) 。映画のストリーミングが始まるまでに、1-2分程度時間を要するが、一旦ストリーミングが始まると、映画は途切れることなく、スムーズに表示される。途中で映画をポーズして、後日観ることもできるし、また、異なるデバイスで観ることもできる。映画がストリーミングされるため、コンテンツは手元には残らないが、DVDを買って観る方式に比べ、格段に便利で、映画を観る本数が一挙に増えた。

コンテンツ配信企業

配信されるコンテンツは、映画とテレビ番組である。利用者は、それぞれのジャンルごとに、観たい映画やテレビ番組を検索できる。New Arrivalsのタブを選択すると、最新の映画やテレビ番組のサムネールを見ることができる。Netflixが配給を受けている映画会社は、ParamountやMGMなどである。映画会社としては、Netflixにコンテンツを供給すると、DVDなどの売り上げが落ちてしまう懸念がある。しかし、その一方で、映画会社は、不況で、DVDの販売不振が続いており、上述の映画会社は、Netflixにコンテンツを供給し、このチャネルでの販売増加を期待している。

g188c_netflix

Netflixの急成長

Netflixは事業拡大に伴い、システムも大幅にアップグレードしている。コンテンツ配信機能については、Netflixは、自社サーバからアマゾン・クラウドに移行している。また、コンテンツ配信ネットワークについては、Akamai、Limelight、Level3の三社を使っている。Netflixの通信性能は2.9Tbpsで、100万人の利用者に同時に、高画質コンテンツを配信できるとしている。アメリカにおいて、ゴールデンタイムのインターネット・トラフィックの20%が、Netflixのコンテンツ配信であるといわれており、Netflixが各家庭に浸透していることを物語っている。Netflixは、ケーブルテレビや衛星放送と、正面から競合することになり、Cord Cuttingという現象を引き起こした張本人とも言われている。Netflixは、今年に入り、急速に業績を伸ばし、いまでは映画レンタルの半分以上が、ストリーミング方式によるものであると公表している。NetflixをAmazon Video on Demand (アマゾンの映画ストリーミング・サービス) などが追撃しているが、その差は歴然としている。当分の間、Netflixの独壇場が続きそうである。

Google TV発売 (NewTeeVee Liveより)

Saturday, December 4th, 2010

サンフランシスコで開催された、NewTeeVee (ニュー・ティーヴィー) カンファレンスでは、Google TVの開発責任者であるRishi Chandra (リシ・チャンドラ) が、カンファレンス主催者であるOm Malik (オム・マリック) との対談で、Google TVの製品概要や製品戦略などについて議論した。

g187a_google_tv_release

Google TV製品概要

Google TVは、10年10月から販売が開始され、SonyとLogitechから、製品が出荷されている。製品はスタンドアロン型と、薄型テレビに接続するセパレート・ボックス型として提供されている。Sonyからは、Internet TV (スタンドアロン型、上の写真左側、出展:Google) と、Internet TV Blu-ray (セパレート・ボックス型、写真右下) が、また、LogitechからはRevue (セパレート・ボックス型、写真右上) が出荷されている。両社の製品には、テレビを操作するために、専用のキーパッドが添付されている。Sony製品では、上の写真のキーパッドを両手で持って、テレビを操作する方式である。

Google TVは、テレビ機能とインターネット機能とが、一つに融合された形式となっている。Google TVでは、テレビを観るだけでなく、ウェブサイトへのアクセス、検索、アプリケーションの実行を行なえる。ここで言うアプリケーションとは、Androidアプリケーションで、製品にプレロードして出荷されている。

g187b_google_tv_release

上の画面 (以下出展はいずれもVentureClef) は、Google TVの初期画面でApplicationsを選択した様子である。CNBC Real-Time (CNBCウェブ・テレビ番組閲覧、下の写真)、Google Chrome (ブラウザー)、Netflix (映画レンタル) などのアプリケーションが表示されている。その下には、Pandora (インターネット・ラジオ)、TV (テレビを観るアプリケーション)、Twitter (ツイッター) などのアプリケーションが続く。今後は、Android Marketからアプリケーションを、Google TVにダウンロードして、利用することができる。

g187c_google_tv_release

Google TVとウェブサイト

Google TVは、テレビ機能とインターネット機能が、一体化して実装されている点に最大の特徴があり、上述のGoogle Chromeから、ウェブサイトにアクセスすることができる。Google Chromeをクリックすると、初期ページではGoogle検索エンジンが表示され、ここにキーワードを入力して、目的のサイトに到達する仕組みとなる。テレビから任意のウェブサイトにアクセスできるようになった。YouTubeにも、専用のアプリケーション経由では無く、ブラウザーから直接アクセスできる。このサイトは、YouTube Lean Backという、Google TV向けにインターフェイスが最適化された構造となっている。初期画面には、検索ボックスなどなく、すぐにビデオが始まり、テレビ番組を見る感覚でビデオを閲覧できる。

g187d_google_tv_release

Google TVでは、このブラウザー経由で、ウェブサイトに掲載されている、テレビ番組を観ることができる。上の画面は、NBCの人気ニュース番組である「Nightly News with Brian Williams」をGoogle TVで閲覧している様子である。テレビで放送されるニュースがそのままウェブサイトに掲載されており、視聴者にとっては大変うれしいサイトである。一方、同じNBCであるが、人気コメディー番組「The Office」はブロックされていて観ることはできない。下の画面はGoogle TVからThe Officeにアクセスした様子で、画面に「Sorry, the content….is not available on this device.」と表示され、番組を配信できない旨を説明している。他に、Huluは全てのコンテンツをブロックしているが、Hulu PlusでGoogle TVに対応することを検討中である。その一方で、Time Warner (HBOなど) やTurner Broadcasting System (CNNなど) ほか、多くのネットワークは、積極的にGoogle TVに番組を供給している。Huluを含む四大ネットワークは、人気コンテンツをブロックしているが、その他のネットワークは、コンテンツを提供している構図となっている。

Google TVの製品戦略

カンファレンスでは、Chandraが、四大ネットワークの人気テレビ番組が、Google TV向けにブロックされていることについては、次の通り説明した。多くのコンテンツ供給者は、Google TVを歓迎しており、Google TV向けに番組を供給している。Google TVの狙いは、ケーブルテレビを置き換えるのではなく、テレビとウェブが共存することを目指しているとし、Chandraは、Google TVがコンテンツ供給者に、新しいビジネス・チャンスを与えていることを強調した。

g187e_google_tv_release

実際にGoogle TVを使って見ると、ウェブ・ビデオとテレビ番組が、同次元で閲覧でき、チャネル数が一挙に増えた感覚である。今までテレビ内に閉じ込められていたが、壁を破って、インターネットという自由を手に入れた感慨がある。テレビでウェブ・サーフィンすると、ウェブ上には、数多くのテレビ番組が掲載されていることを改めて認識した。更に、これらウェブサイトのインターフェイスは、テレビ向けに最適化され始めており、ソファに腰掛けて快適に閲覧できる。利用者がテレビでウェブ・ビデオを観る生活様式は、早くやって来そうである。これに会わせて、コンテンツ供給者としても、Google TV上で新事業が開けてくる。Google TVは、製品としては荒削りのところはあるが、テレビとウェブの融合を加速させる製品である。