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Apple Payの使い心地は快適!この安心感は日本人の心を掴むか?

Tuesday, October 28th, 2014

Apple Payの運用が始まり、早速使ってみた。決済処理はスムーズで、あっけないほど簡単に使えた。Apple Payは高度なセキュリティー機能を搭載しており、安心してカードで買い物ができる。アメリカはオバマ大統領の号令でカードセキュリティー強化を急いでいる。Apple Payの役割に期待が寄せられている。モバイル決済先進国の日本でも、Apple Payの安心感は消費者の心を掴むかもしれない。

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Apple Payを使ってみる

Apple Payの機能は良く知られているが、実際に使うと、製品コンセプトを実感できる。iPhone 6でApple Payを利用したが、操作性は快適で、完成度の高い製品デザインに驚かされた。Apple PayはiOS 8.1から利用できる。iPhone 6にインストールすると、設定画面に「Passbook & Apple Pay」という項目(上の写真左側、三段目) が追加となり、ここでApple Payの設定を行う。この項目にタッチするとApple Pay設定画面に移り (同右側)、クレジットカードやデビットカードを登録する。

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クレジットカードを登録

カード登録画面でApple IDによる本人認証を行った後、カード情報の入力を行う。上の写真はAmerican Expressを登録している様子で、名前、カード番号、有効期限、セキュリティー番号を入力していく (上の写真左側)。カメラアイコンにタッチしてカードの撮影を行うと (同右側)、カード番号と有効期限が、自動で入力される。

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登録が完了すると、サムネールとカード名称が表示される (上の写真左側)。この画面で利用するカードを選択し、住所、メールアドレス、電話番号などを設定する。登録されたカードはPassbookに格納される (同右側)。

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店舗で買い物をする

カード登録が完了したApple Payで買い物をした。ドラッグストアー「Walgreens」でハロウィン用にチョコレートを購入。レジにはクレジットカードを読み込むリーダーが備え付けてある (上の写真)。リーダー上部の楕円形の部分がNFCリーダー。スマートカードなどで利用される。支払いの際にiPhone 6をNFCリーダーにかざすと、ロック画面にApple Pay画面が表示される (上の写真、iPhone画面)。ここに登録したカードが表示され、「Pay with Touch ID」と操作の方法が示される。リーダー側にはApple Payのロゴが表示され、正常に処理が進んでいることを確認できる (リーダー画面右下)。

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ここで親指をホームボタンにあて本人認証を行うと、支払いプロセスが稼働 (上の写真)。支払処理に要した時間は瞬間的で、通常のカード処理と変わらない。支払いが完了すると、そのログがPassbookのApple Payに表示される。ここでリアルタイムに支払い金額をチェックできる。

実はApple Payで支払いが完了した直後、後ろで「ウァーオー」と歓声が上がった。振り向くと年配の婦人が、一連の様子を見ており、「電話で買い物ができるの?」と話しかけてきた。日本では馴染みの方式であるが、婦人には衝撃的な光景に映ったようだ。アメリカではなじみの薄い”おサイフケータイ”であるが、Appleの参入で認知度が上がり、状況は一変する兆しを感じた。

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アプリ内決済でも利用できる

Apple Payはアプリ内での支払いにも利用できる。対象アプリは、Groupon、OpenTable、Starbucks、Target、Uberなど。上の写真は共同購入型クーポン「Groupon」で買い物をしている様子。アプリでクーポンを購入する際は、最下部のApple Payボタンにタッチして支払いする (上の写真左側)。実際にApple Payで支払いを行ったが、決済処理は非常にスムーズ。ボタンにタッチすると、Touch ID画面が表示され、ここに指をあてて認証を行った。認証が完了すると購買完了画面が表示された (同右側)。一連の流れは店舗での買い物と同じで、ワンタッチで安全に買い物ができ、大変便利。Amazonの1-Click注文と同等の便利さだ。Apple Payのアプリ内支払いはバグが多いと聞いていたが、全く問題なく進んだ。ここでもApple Payの完成度の高さを感じた。アプリ内支払いは最新のiPad (iPad Air 2とiPad mini 3) でも利用できる。店舗での決済はiPhone 6 Plusでも利用できる。

Apple Payを利用できるカード

Apple Payは主要銀行やカード会社から支持を集めている。Apple Payで利用できるカードはVisa、MasterCard、及びAmerican Express。対象となるカード発行銀行はBank of America、Citi、Chaseなど五行。Apple Payを使える小売店舗は、Macy’s、Walgreens、Whole Foods、Apple Storeなど22万店舗。これら店舗は、前述のWalgreensの事例の通り、スマートカード向けにNFCリーダーを搭載したターミナルを設置している。一方、アメリカのNFCリーダー普及率は高くなく、Apple Payを使える店舗はまだ少ないというのも事実。

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カード会社は積極的

American ExpressはApple Payを積極的にプロモーションしている。American ExpressからApple Payの利用を促すメールを受信した (上の写真)。また、Apple PayにAmerican Expressカードを登録すると、その確認メールを受信し、関連サービスも充実している。American Expressは、Apple Payは非接触型決済でスマートに買い物ができる点のほか、リアルタイムで支払い監視ができ、安全である点をアピールしている。カード会社にとっては、Apple Payの安全性が売りになっていることを窺わせる。

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銀行はApple Payでイメージアップ

カードを発行する銀行もApple Payを積極的にプロモーションしている。 上の写真はBank of Americaの事例で、専用サイトで製品をアピールしている。多くの銀行はApple Payの採用で売り上げが増える他に、マーケティング効果があると見ている。銀行はApple Payで決済を行うと、決済金額の0.15%を手数料としてAppleに支払うが、それに見合う効果があると期待している。アメリカの銀行は先進技術の導入に消極的との印象があるが、Apple Payの採用でイメージアップを目指している。

一番安全な決済方式

Apple Payはアメリカで一番安全な決済システムとも言われている。カード番号などはデバイス固有の番号「Device Account Number」に変換され、Secure Elementに格納される。支払処理ではトランザクション毎に固有な番号が生成され、Device Account Numberと共に決済システムに送信される。所謂ワンタイム・トークンによる決済方式で、カード情報が送信されることは無く、カード情報の盗聴や窃取による犯罪を防止できる。また利用時にはTouch IDを使った指紋認証で本人を確認する。三重に安全対策が取られている。

アメリカで多発するカード犯罪

アメリカでは昨年末から、サイバー攻撃によるカード情報流出事件が多発している。ディスカウント百貨店「Target」から昨年12月、4000万件のクレジットカードとデビットカード情報が流出した。百貨店「Neiman Marcus」は、今年1月、110万人のクレジットカード情報が流出したと発表。ホームセンター「Home Depot」は今年9月、5600万件のクレジットカード情報が流出したと発表。これが最大規模のカード情報流出事件となった。

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カードに対する信頼は失墜

上述Neiman Marcusの事件では筆者宅も被害に合った。American Expressからレターを受け取り、「カードを使用した小売店でデータファイルへの不正アクセスを検知した」と説明を受けた (上の写真)。店舗名は記載されていないが、ニュース報道などでNeiman Marcusと特定できる。「貴方の氏名とカード情報が影響を受けたが、不正使用は検知されていない」とも説明されているが、心中は穏やかでない。この事件以来、月々のステートメントは細かくチェックし、不正使用が無いか確認している。またこの事件以来、American Expressの使用は控えている。著者だけでなく多くの人が被害に合っており、アメリカ社会のカードに対する信頼は失墜したと言っても過言ではない。

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でもICカードへの移行は緩やか

アメリカはICカードの適用が大きく後れている。ICカードの正式名称はEMV (Europay, MasterCard, and Visa) カードで、カードにICチップを搭載した形式で、安全性が大幅に向上する。利用者はICカードをリーダーに差し込み、ディスプレイの指示に従って操作する (上の写真)。ICカードはワンタイムコードを生成し、なりすましを防ぐことができる。利用者は四桁のPINを入力し認証を行う。Visaなどは2015年10月1日より、ICカードに移行することを発表している。これ以降は、ICカードに対応していない小売店舗はなりすまし不正に対して責任を負うこととなる。ヨーロッパや日本で普及しているICカードであるが、アメリカはようやく動き始めた感がある。

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オバマ政権が普及を後押し

上述のカード情報流出事件を受け、オバマ政権が動き出した。オバマ大統領は、10月17日、「BuySecure Initiative」というプロジェクトを発足し、EMV仕様カードへの移行を促した (上の写真)。連邦政府が発行するクレジットカードはICを搭載し、PINで本人認証を行う。この方式を「Chip & PIN」と呼んでいる。連邦政府内のリーダーはICカードに対応する。このプロジェクトは、民間企業の取り組みについても規定している。Home Depot、Target、Walgreens、 及びWalmartは2015年1月までに、Chip & PIN対応のターミナルを導入する。オバマ大統領の号令で、小売店舗とカード会社は、安全なカード決済に向けて歩みを速めた。

アメリカで一気に普及するか

オバマ政権の後押しで、事件当事者の小売店は一斉に、ICカード対応に向い始めた。このようなタイミングでApple Payの運用が始まった。カード決済でのセキュリティーの重要性を理解したアメリカの消費は、一気にApple Payの利用を始める可能性を含んでいる。著者自身も、使用を控えていたAmerican Expressを、Apple Payで安心して利用できる。

この安心感を日本の消費者はどう評価

おサイフケータイが普及している日本はモバイル決済先進国であり、Apple Payに新鮮さを感じない向きもある。また、Apple Payの無線通信規格はType A/Bで、FeliCaとは非互換であり、これが参入障壁になるとの見方もある。しかし、実際にApple Payを使ってみると、この安心感は日本の消費者の心を掴む可能性を秘めているとも感じた。セキュリティー技術とアップルブランドで、Apple PayはGoogle Wallet (Google版モバイル決済) を使ったときと比べ、格段に安心感が高い。圧倒的にリードしているおサイフケータイであるが、再度、日本の先進技術が国際標準で置き換えられる事態も想定され、予断は許されない。Apple Payはアメリカだけでなく、世界市場を巻き込んで展開する可能性を秘めている。

あまり小さくないiPad Mini

Sunday, November 4th, 2012

Appleは、2012年11月2日より、iPadの小型モデルであるiPad Mini (下の写真右側、出展:Apple) の発売を開始した。同時にiPad第四世代モデルであるiPad with Retina display (下の写真左側) の発売を開始した。シリコンバレーにおいては、iPad Miniに対するフィーバーは無く、静かな船出となった。

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Apple iPad Miniの製品概要

iPad Miniの製品概要は、先月の発表イベントで公表されている通り、7.9インチのディスプレイを搭載し、解像度は1024 x 768ピクセルである。表示密度は163PPI (ピクセル/平方インチ)。厚みは7.2 mmでiPadより23%薄い。重さは0.68ポンド (308グラム) でiPadより53%軽い。App Storeには27万5千本のiPadアプリが登録されているが、これらがiPad Miniで稼働する。プロセッサーにはiPad 2と同じA5チップ (デュアル・コア) を搭載。カメラはFaceTime HD Camera (120万画素) とiSight Camera (500万画素) を搭載。通信はWiFiとLTE高速通信を含む携帯電話ネットワークに対応。米国においてはAT&T、Sprint、Verizonがサービスを提供する。コネクタはLightningを採用している。

Nexus 7とは異なる製品

Apple CEOのTim Cookは、iPad Miniは7インチ・タブレットとは異なる製品であり、異なる市場でビジネスを展開していることを強調している。 iPad Miniは7インチ・タブレットであるNexus 7と比較すると、ディスプレイ面積は35%大きく、ウェブページを表示した場合には、49% (縦方向)、67% (横方向) 広く表示でき、iPad Miniはワンランク上の製品であると説明している。iPad MiniはiPad 2とディスプレイ解像度が同じで、既存のiPadアプリがそのままiPad Miniで稼働できる構成となっている。

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iPad Miniを使ってみると

Palo Alto (カリフォルニア州) のApple Store (上の写真、以下出展はVentureClef) で、発売されたばかりのiPad Miniを使ってみた。iPad Miniを手にすると非常に軽く感じた。iPad MiniはiPadに比べ半分の重さであるが、それ以上に軽く感じた。iPad MiniのHome Screenは、iPadの画面がそのまま縮小されただけで、行・列の配置はiPadと同じである。画面が凝縮されているためか、文字やグラフィックスが濃くなったように感じた。iPad MiniでApple Maps、iTunes Store、Safari、Gmailなど様々なアプリを使ってみたが、当然、これらアプリの操作はiPadと同じである。iPad Miniへの入力は、デバイスを縦方向にすると、両手で抱えて親指でソフト・キーボードから入力するThumb Typingができる。デバイスの幅が小さく、また、重量が軽いので親指入力が可能である。一方で、iPad Miniを手にすると、Nexus 7より一回り大きく、Miniという名称に違和感を感じた。iPad Miniは、iPadと比較して2/3の大きさで、Miniというには大きすぎる。iPad Miniをジャケットのポケットに入れるには幅が広すぎる。iPadとiPad Miniの関係は、MacBookの13インチと15インチ・モデルの関係に近い。従って、製品価格もワンランク上となっている。

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iPadの製品ラインを振り返ると、2010年1月にiPad (第一世代) が出荷され、タブレットが登場した。2011年3月には、iPad (第二世代) が登場し、初代モデルが置き換わった。2012年3月にはiPad (第三世代) が登場したが、今回のiPad (第四世代) の登場とともに、世代交代した。同時にiPad Miniが登場した。現行iPadモデルは、iPad (第二世代) を加えて三機種となる。

ガラス箱の店舗

Appleは、先月、Palo Alto のApple Storeを改装オープンした。新店舗は旧店舗から数ブロック離れた場所で、前面ガラス張りとなっており、入口上部にAppleのロゴを掲示している (前頁の写真)。店舗内は奥に広くなり、屋根はガラス張りで、空が見える解放的な売り場となっている (上の写真)。テーブルが三列配置され、手間にはiPhone、iPad、Macが展示され、奥にはGenius Barが配置されている。 Genius Barとはテクニカル・サポートなど店舗スタッフが応対してくれるカウンター・バーである。

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上の写真はiPad Miniを展示してあるテーブルの様子である。発売初日の午後であるが、デモ機を手にしている顧客の数は、それ程多くはなかった。iPad Miniを展示してあるテーブルは二つあったが、顧客の姿はまばらで、iPad Miniに対する消費者の関心は、控えめであった。iPad with Retina display (第四世代) を展示してあるテーブルでも同様で、発売初日にしては、デモ機を手に取っている人は多くなかった。両機ともセルラー・モデルの出荷は二週間先で、まだ様子見の気配が強い。また、前述の通り、Miniという名称の割に価格が高いのも、理由であると思われる。

考察

新製品への盛り上がりに欠けるが、新装オープンした店舗は、天井がガラス張りで非常に明るく、開放感一杯である。横断歩道を渡る前に、ガラスの店舗が目に飛び込んで来る。ガラス越しに売り場一番奥のGenius Barまで見える。店舗スタッフは好感が持て、親切に質問に答えてくれる。Apple Store発祥の地であり、Appleの洗練されたテーストを感じる設計となっている。シリコンバレー出張の際は、必見のサイトである。

タブレット向けパノラマ写真

Friday, June 22nd, 2012

iPadでパノラマ写真を楽しめる。TourWrist (トゥアーリスト) というベンチャー企業は、San Francisco (カリフォルニア州) に拠点を置き、タブレット向けに、Augmented Reality (仮想現実) 技術を使って、パノラマ写真を表示する技術を開発している。

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360度のパノラマ写真

TourWristはiPadやiPhone向けのアプリとして提供され、利用者はiPadやiPhoneを両手で持って、体を回転させながら、360度のパノラマ写真を見ることができる。上のスクリーンショット (出展:Jeff Handley) がその様子で、iPadにゴールデン・ゲート・ブリッジの写真を表示している。利用者は、iPadでTourWristを起動し、Browse Tourボタンにタッチして、ここに登録されているパノラマ写真の中から、希望の写真を選択する。上のスクリーンショットは、Landmark (名所) のカテゴリーから、Marin Headlandsという写真を選択したところである。この写真はカメラマンの周り360度の範囲で撮影されており、利用者はiPadを両手で持って、体を回転すると、その方角の写真が表示される。上のスクリーンショットは、ゴールデン・ゲート・ブリッジの北端の部分が写っている。ここからiPadを持って、時計回りに回転すると、下の写真 (出展:Jeff Handley) が登場し、ゴールデン・ゲート・ブリッジ全体が視界に入る。iPadを上に傾ければ空が、下に傾ければ地面が表示される。iPadが小窓となり、あたかもその場にいるような感覚で、観光地の景色を楽しむことができる。

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TourWristの利用法は様々で、名所旧跡などのパノラマ写真を見ながら「観光」することができる。不動産会社は、空き物件の建物や部屋をパノラマ写真で掲載し、消費者は気に入った物件を360度のアングルから見ることができる。ホテルは、室内やロビーの写真をパノラマで撮影し、消費者は予約する前に、ホテルの雰囲気を確認することができる。レストランは店内の様子をパノラマで紹介することができる。他に、テレビ放送局は、舞台から見た光景を、360度のアングルで、ファンに紹介することができる。

パノラマ写真の製作方法

パノラマ写真はiPadやiPhoneで簡単に作成できる。下のスクリーンショット (出展:VentureClef) は、iPhoneでパノラマ写真を作成している様子である。iPhoneでTourWrist初期画面のCreate toursボタンにタッチすると、スクリーンショット左側画面が表示される。画面には水色のラインが表示され、これに沿って時計回りに、iPhoneのカメラで、周囲360度の範囲の写真を撮影していく。一枚ずつ写真撮影をし、全体は8枚の写真で構成される。写真撮影で次のシーンに移る時に、撮影済み写真の右端が表示され、ここに撮影する写真の左端を重ねて位置合わせを行なう。写真撮影が終了すると、編集モードで、写真と写真の位置あわせの最終調整を行なう。下のスクリーンショット右側はその様子で、二枚の写真の左右と上下がぴったりと重なるように、写真を指でずらせながら調整する。

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完成したパノラマ写真はタイトルや位置情報を入力して、TourWristのサイトにアップロードすると一般に公開される。パノラマ写真作成においては、撮影時にカメラの位置や角度がずれるので、少しでこぼこなパノラマ写真となるが、これでも充分楽しむことができる。

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TourWristのサイトには、多くの優れたパノラマ写真が掲載されている。上のスクリーンショット (出展:Ryan Seacrest) は、人気テレビ番組American Idolの撮影現場の模様である。これはプロのカメラマンが、一眼レフカメラで撮影した映像で、ステージの上から360度のアングルで撮影されている。iPadで回転しながら見ると、American Idolのスターになった感触が味わえる。

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パノラマ写真を使ったビジネス

市場ではパノラマ写真を使った様々なサービスが登場している。Googleは2011年10月に、Google Business Photosというサービスを開始した。このサービスは店舗内の「ストリート・ビュー」で、利用者は店舗内を歩きながら、360度のパノラマ写真を見ることができる。Googleでレストラン検索をすると、検索結果にSee InsideとSee Outsideというサムネールが表示される。See Insideを選択すると、店舗内がパノラマ写真で表示される。上のスクリーンショット (出展:Google) がその事例で、Calafiaというレストランにて、調理場から客席まで、360度のパノラマ写真を見れる仕組みとなっている。Google Business Photosでは、専任スタッフが専用カメラを使って作成するが、TourWristはiPadやiPhoneを使って手軽にパノラマ写真を製作できる。See Insideは、パソコン上で画像をマウスでドラッグして回転するが、TourWristは体を回転してパノラマ写真を見る。この違いは大きく、体を回転しながらパノラマ写真を見ると、臨場感が大幅にアップする。

Apple iOS6:Googleとの決別とFacebookとの連携

Friday, June 15th, 2012

AppleはSan Francisco (カリフォルニア州) のMoscone CenterでWWDC   (World Wide Developers Conference、下の写真はカンファレンスのロゴ、出展はいずれもApple) を開催し、次世代基本ソフトであるiOS6を発表した。iOS6はGoogle Mapsではなく、Apple独自の地図を使い、Googleとの対決姿勢が鮮明になった。iOS6はFacebookとの連携機能を実装し、両社は協調路線に転じた。iOS6の新機能でサプライズはなかったが、iOS6はモバイル市場での相関関係を反映した形となった。カンファレンスの基調講演はApple Events (www.apple.com/apple-events/june-2012/)で見ることができる。

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Siriの進化

カンファレンス基調講演でCEOのTim Cookが、事業概況や新製品概要などを紹介した。Steve Jobsの後を引き継いだ、最初のWWDCとなったが、聴衆の反応はまずまずであった。iOS6については、iOSソフトウェア責任者であるScott Forstall (スコット・フォーストール) が、新機能について、デモを交えながら紹介した。iOS6の進化は、Siriの機能強化に現れている。Siriは六ヶ月の間に学習を重ねて、新サービスを追加してきた。機能強化が行なわれたのは、スポーツ、映画、レストランの分野である。スポーツでは、「サンフランシスコ・ジャイアンツの試合結果は?」と尋ねると、Siriは、「テキサス・レンジャーズに5対0で負けた」などと回答する。Siriはスポーツで博学となった。

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Siriはレストラン検索機能を強化した。レストラン検索では、Siriは指示された条件に沿ってレストランをリストする (上のスクリーンショット左側)。リストからレストランを選択すると、店舗概要の他に、利用者評価を表示する。SiriはYelpと連携しており、Yelpのレビュー・ページを表示する仕組みである。Make Reservationボタンを押すと、OpenTableのページが開き、そのまま予約できる (同右側) 。Appleが買収する前に、Siriが登場した時は、タスク完遂エンジンとして、ウェブサービスと連携して、処理を実行することを目指していた。フライト検索を音声で行なうだけでなく、フライトの予約まで実行する予定であった。少し時間が掛かったが、iOS6でSiriは、当初の目標に近づいてきた。

Apple Mapsという独自技術

AppleはMapsを自社で開発しiOS6に実装した。ローカル・サーチではMaps上で、ビジネスや名所などを検索できる。Appleは地図とローカル・サーチ技術でGoogleと決別し、自社路線を打ち出した。Apple Mapsでの検索結果は、Info Cardで表示され、レストラン情報や評判などが表示される。

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Turn-by-Turn Navigationでは、目的地まで地図と音声でナビゲーションを行なう。目的地を検索して、Quick Routeボタンにタッチすると、地図上に道順 (上のスクリーンショット左側) が表示される。ルートを指定するとナビゲーションが始まり (同右側)、トップには到着予定時間が表示される。道路が渋滞してくると、到着予定時間がアップデートされ、また、迂回路が提示される。MapsはSiriと連携しており、音声で指示を出すこともできる。Siriの音声インターフェイスはEyes Free技術として、自動車に搭載される予定である。BMW、GM、トヨタ、ホンダなど九社が製品化を予定している。

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Facebookとの連携

iOS6の最大の特徴は、Facebookとの連携機能が実装されたことである。撮影した写真をそのままFacebookに投稿できるようになった。上のスクリーンショットがその様子で、撮影した写真にコメントを沿えPostボタンを押すと、Facebookにアップできる。ウェブサイトにおいては、URLとコメントをFacebookに投稿できる。また、Mapsにおいては、位置情報をそのままFacebookに投稿できる。

iTunes StoreがFacebookとリンクした。iTunes Storeの音楽説明画面で、Facebook情報が表示される (下の写真) 。画面にFacebookのカラムが追加となり、ここにこの音楽が好きな友人の名前が現れる。右端にはLikeボタンが表示され、ボタンを押してこの音楽が好きであると意思表示できる。他に映画やテレビ番組やアプリも同様に、Facebookと連動している。

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トレンド

AppleはMapsやローカル・サーチでGoogleと決別し、独自の道を進み始めた。Androidとの競合が激化し、Apple独自技術で、Googleへの依存度を下げている。Facebookとは長年の交渉を経て、協調路線に転じた。ここ最近はFacebook利用者数の伸びが鈍っており、Appleと提携することで、iOSからのFacebook利用者が急増することを狙っている。更に、ソーシャル・ネットワークは写真を中心に回り始め、iOSのカメラ・ロールからのFacebookへの写真投稿は、大きな効果が期待できそうである。

iPadから安全に資料を閲覧

Friday, May 4th, 2012

新興企業が新技術を紹介するカンファレンスであるUnder the Radarでは、BYOD (Bring Your Own Device) ワーク・スタイルが広がる中、iPadで如何に安全に業務を行なえるかが議論の中心となった。

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Framehawkという企業

Framehawk (フレームホーク) は、San Francisco (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、タブレットから企業内のアプリケーションやウェブサイトに、安全にアクセスできるプラットフォームを紹介した。これはFramehawk Mobile Application Platformと呼ばれ、企業内で稼動しているアプリケーションやウェブ・アプリを、iPadなどの携帯端末から、セキュアにアクセスするシステムである。タブレット側には専用アプリ (上の写真、出展:Framehawk) が実装され、利用者はここから企業システムにアクセスする構成である。カンファレンスでは、同社のCEOであるPeter Badger (ピーター・バジャー) が、iPadを使ってデモをしながら、Framehawkの説明を行なった。下の写真 (出展:VentureClef) は、iPadからSalesforce.comにアクセスしている様子である。これはiPad上のSafariブラウザーからSalesforce.comにアクセスしているのではなく、専用アプリであるFramehawkからSalesforce.comにアクセスしている様子である。多くの企業は、機密データの漏洩を防ぐため、インターネット経由でSalesforce.comにアクセスすることを禁止している。これに対してFramehawkは、専用アプリからウェブサイトにアクセスする構造で、ウェブサイトのデータをダウンロードすることなく、ウェブページの画面イメージだけを送信する仕組みとなっている。iPad側にデータが蓄積されないため、安全に企業データを閲覧できる。一方、画面イメージを送信するリモート・デスクトップとは異なり、Salesforce.comはiPadアプリとして稼動するので、ネイティブなアプリを使う感覚で、快適に操作できる。

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トレンド

Badger によると、Framehawkは金融機関を対象に事業を展開しており、既に、大手銀行でFramewahkのトライアルが始まっている。スイスに拠点を置く世界最大規模の銀行であるUBSはFramehawkを使ってiPadから企業内データやソフトウェアにアクセスする仕組みを試験している。UBSのアナリストは、客先からiPadで、顧客情報など社内データへのアクセスが可能となった。Framehawkは社内の機密データを安全に表示できるため、応用分野が拡大中である。