Archive for February, 2007

グーグル・カフェテリアで

Friday, February 23rd, 2007

グーグルの受付は「Building 42」にあり、ここで両家族が合流し、カフェテリアに向かった。

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キャンパス内の中庭は、芝生や草花が植えられており、典型的な企業のキャンパスである。その脇には、何故か恐竜の骨格の原寸大の模型が備え付けられていた。友人によると、これはLarry Pageの趣味で、Pageが自費でこの迫力ある模型を設置したとのこと。

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昼時のカフェテリアはたいへん混むとのことで、少し早めに行ったので、ゆっくりと食事ができた。カフェテリアでの驚きは、アメリカ料理の代表選手であるハンバーガーが無いことである。

その代わりに、エスニック・フードが充実しており、中華料理は言うに及ばず、インド料理やベトナム料理など民族色豊かであった。そのほかに、日本料理やイタリア料理もあった。

カフェテリアの内装はどこにでもある企業のカフェテリアで、シンプルで派手なところは無い。しかし、食事をしてみて驚いたのは、その味のよさである。イタリア料理でポレンタを選んだが、並みのレストランよりは、遥かに美味しかった。

ついでに家内が選んだ中華料理のデザートのライチを食べたが、フレッシュで甘くて、味は飛び切りよかった。グーグルでは一流のシェフが世界各国の料理を用意してくれる。それを社員は無料で堪能できる。

食事しながら、20年前にこれと同じ経験をしたことを思い出した。オラクル本社でのカフェテリアである。ちょうどLarry Ellisonの指揮するオラクルが急成長しているとき、カフェテリアでは目の前のグリルで、一流のシェフが、最高の料理を出してくれる。

時代は繰り返すのか。いつまでグーグルが健在なのか。グーグルの次はどこなのか。と考えながら食事をしていると、突然、獅子舞が入ってきた。。。

グーグル・キャンパス訪問記

Thursday, February 22nd, 2007

友人のRichがシアトルからベイエリアに戻ってきて、いまグーグルに勤務している。家族同士の付き合いで、今日は、グーグルのカフェテリアで一緒に昼食をとることにした。友人夫妻と生後一年のMariaと、うちの家族でランチをした。

グーグルのキャンパスは慢性的な駐車場不足で、少し早めに行って空いている場所を探したが、以外に早く見つかった。

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Visitor Lobby」の表示に従って受付を目指した。このキャンパスは、もともとSilicon Graphicsの本社ビルであったが、Silicon Graphicsの業績不振に伴い、グーグルが入居することになった。

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グーグルの受付があるBuilding 42

時代の趨勢を映しているキャンパスである。コンピューター・グラフィックスのトップであったSilicon Graphicsが設計したため、建物の配色や形状はユニークで、芸術的でもある。グーグルのカラフルなロゴとマッチする。

ジュースト

Friday, February 2nd, 2007


スカイプ (Skype) が電話事業のありかたを根底から変えたように、ジュースト (Joost) がテレビ事業を覆そうとしている。ジューストとはスカイプ創設者であるニコラス・ゼンストローム (Niklas Zennström) らが進めているインターネット・テレビ事業である。

 

ジューストという無料のテレビ

ジュースは、スカイプと同じように、ピアツーピア形式でコンテンツを配信するインターネット・テレビ放送局である。スカイプが無料の電話サービスを提供しているように、ジューストは宣伝広告入りのテレビ番組を無料で配信する。利用者は場所や時間を問わず、好みのテレビ番組を見ることができる。画面上の制御ボックスでチャンネルを切り替えたり、テレビ番組を停止・巻き戻し・早送りすることができる。検索機能で目的の番組を探し、見ている番組にコメントを書きこみ、視聴者間で意見交換ができる。ジューストを一言で表すと、無料オンデマンド・インターネットテレビということになる。

 

ジューストはユーチューブ (YouTube) とは異なるアプローチをしている。ジューストはビデオのアップロードを認めていない。ジューストは、プロが作成した高画質の映像を対象とし、著作権を順守した運営を目指している。ユーチューブは素人作成の短編・低画質ビデオが中心で、また、テレビ番組などが違法にアップロードされ、大きな社会問題を引き起こしている。これに対して、ジューストはインターネット上でのテレビ局を目指している。技術的には、ストリーミングビデオをピアツーピア方式で配信する。ナプスター (Napster) などピアツーピア・サービスでは、コンテンツを一旦パソコンにダウンロードしてから再生したが、ジューストはコンテンツをリアルタイムで配信して再生するストリーミング方式である。ここが最大の技術的ハードルとなる。

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ジュースト画面と制御ボックス  (写真:Joost)

 

ピアツーピア・テレビとは

ジュースト創設者のゼンストロームは、あのカザー (KaZaa) の創設者である。カザーは、ピアツーピア技術を応用して音楽ファイルを配信するサービスで、ナプスターに代表されるように、インターネット上で音楽ファイルが違法に交換され大きな社会問題を起こした。ゼンストロームはカザーをシャーマン・ネットワークス (Sharman Networks) に売却し、二番目のプロジェクトである、ピアツーピア方式での電話サービス・スカイプを開始した。このスカイプが爆発的に成功して、今ではスカイプ会員数は17千万人に達し、電話通話の4.4%がスカイプであると言われている。スカイプは、0510月、イーベイ (eBay) 26億ドルで買収され世の中を驚かせた。

 

ジューストはゼンストロームの三番目のプロジェクトで、ピアツーピア方式でのテレビ番組配信事業である。テレビ視聴者は番組をインターネット経由で受信してテレビを見るが、同時に、テレビ番組を送信するサーバの役目も果たす。まさにナプスターと同じピアツーピア方式である。但し、ナプスターと異なり、ジューストは「ハイブリッド・ピアツーピア」と呼ばれる方式を取っている。これは、サーバとピアツーピアの混合形式で、基本はジュースト本社にあるサーバからコンテンツを配信するが、利用者のパソコンにキャッシュがある場合はそちらを利用する。つまり、人気番組は利用者のパソコンにキャッシュがありそちらから配信され、あまり人気のない番組はジューストのサーバから直接配信されることとなる。人気番組ほど番組に繋がりやすいということになる。

 

ジューストの事業

インターネット・テレビの構想はインターネットの登場とともに起こり、これからはインターネットとテレビが融合すると言われ続けてきた。ピアツーピアによるストリーミングビデオ配信技術も開発が進んでおり、ジューストはオープンソースでこの技術を取り入れていると言われている。基本技術は既に存在しているが、ジューストの役割はこれを商用製品に仕立てることである。最大の課題は送受信容量である。ジューストはスカイプとは異なり大容量ファイルを送受信することになる。ジューストはファイル圧縮技術や通信技術で、0.5MbpsDSLでこれを実現した。一般家庭に普及しているDSLでジューストを利用することを可能とした。

 

ゼンストロームによると、インターネットテレビ局の構想はスカイプ以前にあった。しかし、いまジューストが登場した理由は、DSLの速度が向上し、ピアツーピア方式でのストリーミングビデオの配信が可能になったことと同期している。また事業面からは、いかに魅力的なテレビ番組を集められるかに成否がかかっている。ジューストによると、中堅テレビ会社との提携を中心に事業を構築しており、これらテレビ局がテレビ番組をジューストにアップロードして配給する方式を計画している。更に、中堅の映画配給会社とも提携を進めており、テレビ番組だけでなく、オンデマンドで映画を配給する。

 

ジューストが変える社会

アメリカで上映される映画は、製作されたものの1%であるという統計がある。99%の映画は映画館で上映されることなく生涯を終える。ここに大量の画像コンテンツが埋もれており、ジューストの登場により、この構造が変わりそうな気配である。ロングテールのモデルで言えば、ヘッドの部分は大手テレビ・映画会社が配給し、ロングテールの部分をジューストが配信するというモデルが生まれそうである。アマゾン (Amazon) が世の中に埋もれている本に光を当て、ロングテールの世界を活性化させたように、ジューストは画像コンテンツのロングテールを開拓しようとしている。これに伴い、宣伝広告事業も大きく様変わりすることが予想される。グーグルのアドセンス (AdSense) がウェブサイトのロングテールでの宣伝広告で大きな利益を上げているように、ジューストの画像コンテンツ・ロングテールは宣伝広告事業にとっては宝の山となる。

 

ヨーロッパで生まれたジューストが、画像コンテンツ配信で巨大事業となりつつあるのとは対照的に、日本ではウィニー (Winny) の問題が尾を引いている。アメリカにおいて、ナプスターというピアツーピア問題の処理で、日本とは際立った違いをみせた。ナプスターという違法行為に対して処罰を行うと同時に、ピアツーピアと言う革新的な技術にたいして正当な評価も行われた。ピアツーピア技術を合法的に活用することで、新事業を展開すべきだとの機運が広がっていた。(この下りは「インターネット第二の波」で紹介。)この流れに乗って登場したのがスカイプでありジューストである。ウィニーは日本社会に甚大な被害を与え、マイナス面だけに焦点が当たっているが、技術の優秀さについて評価する人はごくまれである。同じ基本技術を持ちながら歩む道が異なるという結果となった。