Archive for October, 2007

iPhoneの光と影

Friday, October 5th, 2007


iPhoneは出荷後二ヵ月半で、販売台数100万台を突破し、好調な売れ行きを見せている。iPhoneのクールなデザインに引かれiPhoneを使っている。使い心地は期待通りで、とても満足している。その一方で、iPhoneを使い始めてから、アップルiPhoneが抱えている潜在的な問題が見え始めた。iPhoneについては、非常に高く評価すべき点と、大きな問題点が並存しており、決して順風満帆の船出とはいえない。

 

iPhoneの光

iPhoneを使って一番満足している機能が、指先での操作である。指先で「タップ」するとマウスでのクリック操作になり、二つの指で「フリック」すると画面の拡大で、「ピンチ」すると縮小になる。指先で、ページをめくったり、スクロールするのも快適である。iPhoneの目玉機能であるソフト・キーボードは、思った以上に正確にタイプできる。

 

ブラウザー画面では、iPhoneを縦にしても横にしても、上下を判断して、画面が切り替わる。これは加速度計(Accelerometer)が搭載されていて、画面の上下を認識するためである。iPhone通話中には、ディスプレイがオフとなり節電を行う。これは距離センサー(Proximity Sensor)iPhoneを耳に当てているのを判断するためである。

 

搭載されている機能は、iPhoneのホーム・スクリーン (SpringBoardと呼ばれている) に配列されており、アイコンをタップするとその機能が起動する。iPhoneの機能は電話、iPod、ブラウザーの三系統に区分けされている。

g055a_iphone.jpg

インターネット系では、サファリ・ブラウザー以外に、ユーチューブ、メール、グーグル・マップス等の専用アイコンがあり、タップするとその機能に直行できる。電話系は必要最小限の機能だけを搭載し、iPod系は従来の機能に「Wi-Fi Store」機能(後述)が追加された。(出展: Apple Inc.)

 

 

iPhone機能が示している通り、iPhoneは携帯電話というよりは、パソコンと連携して稼動するコンピューターである。電話機能は携帯端末の一機能に過ぎず、生活で必要な機能が取捨選択されて搭載されている。別の観点からすると、従来のiPodに通信機能が搭載されたというイメージである。従って、iPod利用者からみると、iPhoneの操作性や機能は、抵抗なく直感的に受け入れられる。また、実際にiPhoneを使ってみると、一番頻繁に使う機能はiPodである。

 

Wi-Fi Store

iPhoneの中で一番便利な機能は「Wi-Fi Store」である。これは、iPhoneから直接、Wi-Fi経由で、iTunes Storeにアクセスできる機能である。従来は、パソコン上のiTunesから、iTunes Storeにアクセスして音楽を購買し、それをiPhoneにダウンロードしていた。この操作が、Wi-Fi Store機能により、iPhoneからWi-Fi経由で直接iTunes Storeにアクセスできるようになった。ただこれだけの機能であるが、使ってみるとその便利さに驚く。

 

g055b_iphone.jpg

Wi-Fi Store」アイコンをクリックすると、Wi-Fi経由でiTunes Storeにリンクする。そこで音楽やビデオを試聴できる。音楽のタイトルをタップすると、20秒程度のデモテープが流れる。気に入れば、そのまま値段ボタンをタップすると購入画面に進む。ここでパスワードを入力すれば処理が完了する。はまってしまいそうなくらい良くできた設計である。 (出展: Apple Inc.)

 

購入した音楽は、iPhoneの「Purchased」というフォルダーにダウンロードされ、これ以降の操作はiPodと同じである。USBケーブルでiPhoneをパソコンに接続して、同期させる必要がなくなり、全ての処理がiPhoneで完結する。iPhoneがパソコンから独立し自由の身になり、独り立ちできるようになった。iPhoneのこれからのアーキテクチャを示唆しているような機能である。

 

iPhoneの功績

iPhoneを突き詰めれば何であるのか。iPod利用者からみれば、iPhone iPod拡張機能ということになるが、一般的にはiPhoneはパソコン機能の一部をオフロードした携帯端末に見える。パソコンから携帯端末への道は、多くの企業が模索してきた。パソコン・ベンダーはノートパソコンを小型化し、一方、携帯電話ベンダーはハンドセットにキーボードを埋め込んだ。どちらの方式も一長一短で、幅広い普及までには至っていない。シリコンバレーでは、それでは何が次世代の携帯端末となるのかに関心が集まっていた。多くの人は、ここは日本企業の出番で、日本で便利な携帯端末が登場すると見ていた。予想に反して、iPhoneがその役目を担いそうな勢いである。iPhoneがパソコン機能の多くを携帯端末に搭載できたのは、指先で操作できるインターフェイスに負うところが多い。この操作性の良さが、次世代携帯端末のあるべき姿を映している。

 

Firmware 1.1.1」の衝撃

iPhoneは多くの利用者を魅了すると同時に、多くの利用者の不満の原因になっている。先週「Firmware 1.1.1事件」が起こった。このFirmware 1.1.1というのは、iPhoneへの最新のソフトウェア・アップデートであり、その版数が1.1.1でありこう呼ばれている。アップルはソフトウェア・アップデートでOSなどのソフトウェアを改版し、前述のWi-Fi Storeなどの新機能を提供した。これと同時に、アップルはFirmware 1.1.1iPhoneハッキングを防止するための強硬手段に出た。

 

iPhoneハッキングとは、iPhoneに第三者が作製したソフトウェアを、アップルの承認を得ることなくインストールして、iPhoneを本来の意図とは異なる方法で使うものである。iPhoneハッキングには二種類あり、AT&T以外の電話会社でiPhoneを使えるようにするもの (ネットワーク・ハッキング) と、第三者ソフトウェアをインストールして、新機能を追加するもの (ソフトウェア・ハッキング) がある。パソコンの世界とは異なり、アップルは、iPhoneに第三者が作製したソフトウェアをインストールすることを禁止している。Firmware 1.1.1を適用することで、ネットワーク・ハッキングされたiPhoneは、再起動するとシステムがフリーズする(Bricked: レンガのように固まる)こととなった。ここにきて、利用者の不満が頂点に達した。