Archive for February, 2008

ソーシャル・コミュニケーター (DEMO 08より)

Friday, February 29th, 2008

今年は、ユニファイド・コミュニケーションズ (Unified Communications) が加速しそうな年である。DEMO 08では、ノキア (Nokia) の拠点であるフィンランドから、Movial (モービアル) という会社が、ユニファイド・コミュニケーションズの最新作を発表した。

Social Communicatorという製品

ユニファイド・コミュニケーションズとは、電話、電子メール、IM、電話会議、ビデオ会議、プレゼンスなど、一連のコミュニケーション機能を統合して、ダッシュボード上で提供するものである。通信機能を統合すれば使い勝手が良くなるだけでなく、企業内でコラボレーションが進み、生産性が向上することが期待されている。またソーシャル・ネットワークのように、社員間でのネットワーク効果で、新製品を生み出したり、開発期間を短縮するなどの効果を狙っている。

g023_movial_a.jpg左はMovialがデモを行った「Social Communicator(ソーシャル・コミュニケーター) という製品で、このダッシュボードに電話からビデオ会議まで、様々な通信機能が統合されている。(出展: Movial)

Movialが他社と異なるのは、ユニファイド・コミュニケーションズにソーシャル機能を取り入れていることである。ワンクリックで受信したニュースを共有したり、ワンクリックでユーチューブ・ビデオを共有できることである。更に、Social Communicatorはパソコンだけでなく、携帯電話も稼動し、携帯電話がユニファイド・コミュニケーションズのダッシュボードになる点がこれからのトレンドを示唆している。

携帯電話でのWeb 2.0

今回のDEMO 08では実演しなかったが、Movialは携帯電話Linux (Mobile Linux) 向けに、インターネット・アプリケーション・スイートを開発している会社で、「Internet Experience Suite (IXS)」という名称で出荷している。

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IXSには、ブラウザー、メディア・プレーヤーとこのSocial Communicatorが含まれており、携帯電話メーカーは、IXSを自社向けにカストマイズして使う。(上の写真は携帯電話への実装事例。) つまり、携帯電話の性能がパソコンに近づくにつれて、デスクトップ上での処理が携帯電話にオフロードされていく。IXSFlashAjaxをサポートし、次世代の携帯電話では操作性が大幅に向上する。Social Communicatorをデスクトップと携帯電話の両方で使えることにより、社外からは勿論、社内で席を外していても携帯電話経由で即座にテレビ会議ができることになる。Social Communicatorはノキア本社の隣町で生まれた製品であるが、日本における成長が期待される製品である。

パソコン組み込み型携帯電話 (DEMO 08より)

Friday, February 29th, 2008

DEMO 08で一番目を引いたデモがRibbit (リビット) の「Amphibian(アンフィビアン) という製品である。この製品を一言で表現するなら、デスクトップへの組み込み型携帯電話である。文字通り、携帯電話機能をソフトウェアでエミュレーションし、ウインドウズで稼動させたもので、携帯電話にかかってきた通話をパソコンで受信でき、同時に、パソコンから携帯電話の発信ができる、というものである。

Amphibianの機能概要

Amphibianとは両生類という意味で、携帯電話がハードウェアとソフトウェアの二つの形態で存在することを、この名称は示唆している。

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これはAmphibianのスクリーン・ショットで、左上のアイコンは、着信電話のボイスメッセージを示している。アイコンをクリックすればメッセージを聞くことができるだけでなく、メッセージをテキストに変換した画面 (中央) が表示される。これは音声をテキスト変換したもので、Amphibianは過去のボイスメッセージを記録しており、利用者は電子メールを見るように、過去のボイス・メッセージにアクセスしたり、キーワードでメッセージを検索することができる (出展: Ribbit)

また、電話の着信においては「Call ID」機能で、電話発信者の氏名、電話番号、メールアドレスなど個人情報を表示するだけでなく、発信者が掲載しているブログ、ビデオ、写真など、また、加入しているソーシャル・ネットワークの情報など幅広く表示する。コールセンターのオペレーターのように、電話の受信者は発信者のプロフィールを把握しながら会話できる。また、電話の発信においては、デスクトップから携帯電話、及び、Skypeなどのソフトフォンを発信できる。

電話アプリケーション

Amphibianの特徴は、このプラットフォームのAPIを公開しており、開発者はAmphibian上で自由にアプリケーションを開発できることである。

g022_ribbit_b.jpg左の写真 (出展: Ribbit) Adobe AIRで開発されたAmphibian上のアプリケーション「AIR iPhone」である。AIR iPhoneは実物のApple iPhoneと外見がそっくりなだけでなく、iPhoneと同じ機能を搭載している。AIR iPhoneを横向きにすれば、画面も自動的に横向きになる。これを、デスクトップ上に貼り付けたり、Facebook上で電話機能として使うことができる。Amphibianのプラットフォームを公開することで、コミュニティーの頭脳を結集して、面白い電話アプリケーションが登場することが期待されている。携帯先進国である日本で、ハードウェアだけでなく、Amphibian上にソフトウェアとしての携帯文化が開花するのか、様々な可能性を秘めたウェブ・アプリケーションである。

インテリジェントなテレビ会議 (DEMO 08より)

Saturday, February 23rd, 2008

インターネットとテレビ会議は相性が悪い。究極の分散システムであるインターネットを利用して、中央集権型システムであるテレビ会議を構築するためには、専用回線や特殊システムを導入する必要があり、その費用が嵩み普及が進んでいないのが現状である。更に、テレビ会議システムが高画質 (High Definition) に移るにつれて、その導入がますます難しくなってきた。ここに新しいビジネス・チャンスがあり、低価格で高画質なテレビ会議システムを提供するベンチャー企業が登場した。

Vidyoというベンチャー企業

Vidyo (ビディオ) は一般に普及しているブロードバンドを使って高品質なテレビ会議システムを低価格で提供しているベンチャー企業である。DEMO 08では、会場から三ヶ所を結んだテレビ会議の実演が行われた。

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上記がその三ヶ所で、上から時計回りに、専用テレビ会議室、オフィスのPCDEMO会場のPCからの画像である。(出展: DEMO)

それぞれのサイトは回線速度やプロセッサーの処理能力が異なるが、Vidyoテレビ会議システムは、それぞれが処理できるだけのビデオ画像を送信する。つまり、専用テレビ会議室では高画質で、また、DEMO会場のPCでは低画質なビデオ画像を、送信エラーなく見ることができる。また、PCモニターでビデオ・ウインドウの大きさを小さくすれば、それに併せて送信画像のデータ量を低下させるなど、ダイナミックな制御を行っている。こうすることで、限られたバンド幅で滑らかな動きの画像をみることができる。

Vidyoを支えている技術

現在、一番普及しているビデオ圧縮技術はH.264/AVC (Advanced Video Coding)である。ユーチューブは投稿されたビデオを全てH.264/AVCで圧縮するなど、インターネット・ビデオサイトで幅広く採用されている。しかしH.264/AVCは通信エラーに対してセンシティブで、ビットストリームの欠落がそのまま画質に跳ね返り、ぎこちない画像になる。そのためVidyoH.264の拡張機能であるH.264/SVC (Scalable Video Coding) を採用している。

H.264/SVCは基本ビットストリームのほかにサブビットストリームを持っており、通信条件に併せてビデオの画質を変えることができる。この役割を担っているのがVidyoRouterで、このルーターは端末の回線速度や性能、また、ウインドウの大きさを把握し、それに最適なビットストリームを配信する。ブースではマーケティング副社長のMarty Hollander (マーティ・ホランダー) から、「Vidyoはこの技術をシスコにライセンスしており、Vidyo技術はCisco Unified Communications製品に組み込まれ出荷されている」と説明を受けた。Vidyoとは少し可笑しな名前であるが、名前とは裏腹に、コーディック最新規格を先行して取り入れて、画期的な製品を開発している。

ビデオ内視聴率の計測 (DEMO 08より)

Saturday, February 23rd, 2008

今年のDEMOでは、インターネット・ビデオの「視聴率」を測定するサービスが色々と登場してきたが、その中でひときわ目を引いたのがVisible Measures (ビジブル・メジャーズ) である。

Visible Measuresのアプローチ

Visible Measuresは、特定のビデオ・クリップの視聴率を、時間とともに計測する。ビデオ・クリップを構成するそれぞれの画面が、どれだけ視聴者を引き付けるのか、ミクロな視聴率を計測する。

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左に示されたビデオ・クリップをクリックするとビデオが開始し、視聴回数が右のグラフ(青色の実線)で示される。赤色の縦棒が表示されているビデオ画面の位置を示す。赤色の実線は最後までビデオを見た人の数を示す。このグラフが意味することは、ビデオ開始直後に視聴者を引き付けるシーンがあること。更に、このビデオは視聴者を飽きさせることなく、最後まで高い視聴率を維持している。(出展: Visible Measures)

Visible Measuresの利用目的

Visible Measuresはビデオのホスティング・サイトや宣伝広告企業によって活用される。ホスティング・サイトでは、サイトへのトラフィックを増やすために、魅力的なビデオを掲載して、如何に人目を引くかを分析する。掲載したビデオが視聴者からどう評価されているかを測定するためにこのサービスを活用する。宣伝広告企業としてはVisible Measuresを使って、誰が何処でビデオを見ているのかを把握する。つまり、対象のビデオはどの年齢層で好評なのか、また、どの国や都市で見られているかなど、ビデオの視聴者情報を幅広く収集できる。

DEMOの会場で、開発部門の副社長であるKyle Mashima (カイル・マシマ) に話を聞いた。Mashimaは、Visible Measuresの使用目的について、「プロモーション・ビデオの人気度をビデオ・フレームごとに把握し、宣伝効果を実測するために使用する」と熱心に説明してくれた。インターネットはテレビと異なり、「視聴者の反応が敏感であるため、視聴者を如何に最後までビデオ広告に繋ぎ留めるかが鍵になる」と解説してくれた。MashimaはブースのPCで、DEMO08参加企業のビデオ視聴率解析デモを行い、どの参加企業が人気を集めているのか、グラフで紹介してくれた。

Visible Measuresの仕組み

Mashimaによると、ビデオ視聴率を測定するために、「ビデオ・プレーヤーに軽量のプラグインを搭載し、視聴者が行うプレーやリワインドの操作を計測する」とのこと。「人気のある場面ではリワインドされ繰り返し見られ、興味のない場面では、視聴者は別のビデオに移る」ため、視聴者数の山や谷ができるとのこと。従来の測定方式であるページビューの計測では、ページ閲覧回数は分かっても、ビデオ視聴者数は正確に把握できない。Visible Measuresはこのギャップに目をつけて、プライバシーに配慮しながらサービスを提供している。YouTube時代に必須のツールである。

インターネットビデオ視聴率調査 (DEMO 08より)

Friday, February 15th, 2008

今年のDEMOの大きな流れは、インターネット上で拡大を続けるビデオに関連する技術が、数多く登場してきたことである。ユーチューブ (YouTube) を代表するインターネット・ビデオは、テレビと肩を並べる重要なメディアになったきた。

TubeMogulのサービス

多くの企業は、ウェブサイトでビデオ宣伝広告流すことに加え、ビデオ共有サイトで「オーガニック」な宣伝広告を行っている。ユーチューブにおいて「IBM」で検索すると、IBMが流しているPRビデオが数多くヒットする。企業はビデオ共有サイトで無料の宣伝広告を流しているものの、その効果を計測するツールが無かった。TubeMogul (チューブモーグル)というベンチャー企業は、ビデオ共有サイトに掲載しているPRビデオが、どのくらいの「視聴率」を集めているのか、その情報を収集し分析するサービスを行っている。

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利用者はPRビデオを一旦TubeMogulサイトにアップロードする。TubeMogulから複数のビデオ共有サイトに一括してビデオをアップロードできる。複数サイトのログインIDとパスワードを登録しておけば、一回の操作で登録サイト全てにアップロードできる。(出展: TubeMogul)

各サイトへPRビデオをアップロードしたあとは、TubeMogulがビデオ閲覧回数、ビデオへのコメント、更に、ビデオのレーティングなどを時系列でトラックしてくれる。

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利用者は掲載したビデオの閲覧回数がどのように推移しているかをグラフで見ることができる。 このデータはExcel形式でパソコンにダウンロードすることもできる。TubeMogulは毎日、閲覧回数測定結果を電子メールで送信してくれる。(出展: TubeMogul)

TubeMogulの利用目的

DEMOの会場でTubeMogulのマーケティング責任者のMark Rotblatに話を聞いた。Rotblatによると、TubeMogulは「マーケティング・キャンペーンの効果や、ビデオの好感度を把握」するために利用されているとのこと。また、「競合他社のビデオを登録しておけば、手軽に市場調査を行うことができる」と説明してくれた。また、TubeMogulは、「視聴者の性別、年齢、所在地などの統計情報を提供する」とし、ブースでそのデモを見せてもらった。TubeMogulはインターネット上のニールセン(Nielsen) の役割を果たしている。このサービスは個人でも無料で利用でき、自分が掲載したビデオの反響 (または無反応) をモニターできる。