昨日、Cuil (クール) という新しい検索エンジンが幕を開けた。会議中、知人から、Cuilの発表をブラックベリーで見せてもらいこのニュースを知った。家に帰ると、ちょうど夕方のテレビ・ニュースで、Cuil創設者の一人であるAnna Patterson (アナ・パターソン) のインタービューを放送していた。今日のニューヨーク・タイムズは、「Former Employees of Google Prepare Rival Search Engine[1]」 (元グーグル社員が対抗検索エンジンを開発) という見出しで記事を掲載している。Cuilはマスメディアに大きく取上げられ、昨日その姿が明らかになった。
Cuilというベンチャー企業
Cuilは、サイトを公開する直前までは、Cuillと綴っていた。Cuilによると、これはゲール語 (Gaelic) で「知識」を意味する言葉であるが、最後のLを取り除いて、利用者に分かりやすい名前にしたとのこと。Cuil創設メンバー[2]は、Anna PattersonとRussell Power (ラッセル・パワー) はグーグル出身で、TeraGoogle (テラ・グーグル、大規模な検索インデックス) の開発に携わっていた。Tom Costello (トム・カステロ) はIBM出身で、IBMの検索エンジンであるWebFountain (ウェブ・ファウンテン) の開発に従事していた。また、プロダクト担当副社長であるLouis Monier (ルイス・モニアー) は、一世を風靡した検索エンジンであるAltaVista (アルタビスタ) の創設者である。Cuilは検索エンジンの頭脳が集結してできたベンチャー企業で、各方面から注目されていた。
Cuilを使ってみて
昨日、Cuil[3]は、ベータ版を飛び越して、一気にプロダクション版として公開された。
初期画面は、黒を背景に、シルバーと青色でお洒落なデザインである。キーワードを「indiana jones」と入力すると、上のスクリーンショット (出展は全てCuil) の通り、Cuilが検索キーワードをサゼッションしてくれる。
キーワードを入力すると、Cuilは、上のスクリーンショットの通り、検索結果を返す。グーグルの検索結果表示形式とは異なり、Cuilは画面をパラグラフで区切り、そこに文字と写真を埋め込んで、検索結果を表示する。このデザインは魅力的で、雑誌で記事を読んでいる感覚で、とても親しみやすい。
検索結果の表示順序であるが、左上が一番重要な記事であると思われるが、二番目はその下なのか、その右なのかが判明できない。記事を読んでみると、ページ・ランキングは、左上から下に進み、それから一つ右のカラムに進む方向で下がっていくと思われる。ただし、次のページを見ると同じ内容の記事がダブって掲載されており、検索結果表示では、まだバグがある。
このスクリーンショットは検索結果画面の右上のボックスを拡大したものである。ここに「indiana jones」というキーワードの分類が示される。因みに「Indiana Jones Characters」という項目にカーソルを当てると、上の通り、映画の登場人物のサジェッションが登場する。Cuilのサジェッションから目的の言葉に辿り着くこともできる。
Cuilの問題点と特徴
Cuilの第一印象はとても良かったのだが、実際に色々なキーワードを入れて使っていくと、検索結果の精度がバラバラであることが分かってきた。「who is the father of indiana jones」と入力すると、次のスクリーンショットの通り、「Batman Universe」というような意味不明の回答が返ってきた。「cheap flight from san jose to los angeles」では、「We didn’t find any results」と検索不能との回答で、まだまだ日常の検索で使うまでにはこなれていないとの印象である。
Cuilのプレス・リリース[4]によると、Cuilの特徴は検索インデックスが1200億ページと、グーグルの三倍の規模であるとしている。一見よさそうに見えるが、「indiana jones」で探しているページがグーグルには含まれてなくて、Cuilだけが拾っているケースがどれだけあるのか。また、Cuilは検索結果がカテゴリーにより異なるとしている。つまり、Cuilは、映画とかゲームなどのカテゴリーごとに検索結果の重み付けを変えていることを示している。これはとても興味深いランキング技法であるが、グーグルでも既に採用しているという噂あり。
トレンド
ついに姿を現したCuilであるが、その検索結果は素晴らしいとはいいがたい。一方、巨人グーグルに立ち向かうCuilを心情的に応援している人は少なくない。Cuilが機能を改良して、どこまでグーグルに近づき、追い越すことができるのか。Cuilのこれからの成長に期待が寄せられている。