Archive for August, 2008

オープンソースと女性 (OSCON 2008より)

Sunday, August 31st, 2008


オレゴン州ポートランドで開催されたOSCON (オスコン) からの最後のレポートは、オープンソースと女性についてである。OSCON基調講演で、Open Source Initiative (OSI) の女性ボードメンバーであるDanese Cooper (ダニーズ・クーパー) が、「Why Whinging Doesn’t Work (駄々をこねるだけでは良くならない理由) と題して興味深い講演を行なった。 (下の写真、出展:O’Reilly Media, Inc)

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なぜ女性はWhingeするのか

この基調講演はCooperという女性が、アメリカ社会の女性に向かって呼びかけた内容である。しかし講演を聴くに連れて、男性に対しても強いメッセージが発せられているということが伝わってきた。最初にCooperは、「オープンソースのエンジニアの中で女性の割合は2%である」と、女性エンジニアが極めて少ない事実を紹介した。次に、Whinge (ウィンジ) という言葉について、Cooperは、「女性や子供が、つまらない事に対して、繰り返し愚痴を言う意味」であると解説した。Cooperによると、女性がWhingeする理由は、「歴史が始まって以来続いており、惨めな思いを共有して欲しい」からであると説明した。アメリカ社会で女性が、優秀なエンジニアになれない理由をWhingeしている現状を暗示している。

 

改善のメッセージ

次にCooperは、講演のタイトルの通り、「不平を言っているだけでは状況は改善されない」とし、どうすれば前に進めるのかを紹介した。それらは、「Think Differently(一つの考えに固執しない) と「Be the Change(改善の一歩を踏み出す) と提案した。アメリカ女性に対して、もう少し柔軟に考え、現状を変えていく勇気をもつようにと、ユーモアを交えながら呼びかけた。

 

なぜ日本からオープンソースが登場しないのか。世界のオープンソースのエンジニアの中で日本のエンジニアが占める割合は2%あるのか。仕事の問題点を、お酒を飲みながらWhingeする。日本のソフトウェアが海外で売れないのは、日本固有のビジネス・プラクティスであるとWhingeする。基調講演を聞きながら、Cooperが提示している問題は、まさに日本のIT産業にも当てはまると思い始めてきた。

 

すこし前に進むために

Cooperの改善策の提案が日本IT産業にそのまま当てはまる。Think Differently。今までの慣習から外れて、すこし違う視線、かつ、ポジティブに見てみること。Be the Change。やはりおかしいと思えば自らそれを改善する。直せないまでもトライはしてみる。これらのメッセージを深刻に実行するのではなく、すこし余裕を持って実践してみる。Cooperはこのように、我々に問いかけているように聞こえた。

電話交換機でのイノベーション (OSCON 2008より)

Sunday, August 31st, 2008


オレゴン州ポートランドで開催されたOSCON (オスコン) で、一番新鮮であったのが「Open Source’s (VoIP) Call for Change(オープンソースでの革新的VoIP通話の提案) という分科会である。この分科会は、オープンソース電話交換機であるAsterisk (アスタリスク) 開発者のMark Spencer (マーク・スペンサー) によって行なわれた。Spencerは、いつものように、Tシャツに半ズボンとサンダルという格好で講演を行なった。お洒落だとは言い難いが、とても好感の持てるスタイルである。

 

Asteriskとは

Asteriskは、余りにも有名で説明する必要は無い\が、オープンソースのPBX (Private Branch Exchange) である。Spencerにより開発され、Digium (ディジアム) 社が有償でサポートしている。Asteriskは余りにも有名なため、 電話交換機としてのイメージが強く、技術的に新鮮味が無い。ところが、Spencerは、「Asteriskは電話交換機というアプリケーションではなく、電話アプリケーション向けのプラットフォームである」と説明し、Asterisk上で開発された斬新なアプリケーションを紹介した。下記に、そのいくつかを示す。

 

Botanicalls

Asterisk上のアプリケーションで一番有名なのが、「Botanicalls(ボタニコールズ) である。これは家庭の鉢植えの水が無くなると、鉢植えが主人に電話して、水が欲しいと音声で伝えるアプリケーションである。主人が水をあげると、鉢植えからお礼の電話がかかってくる仕組みである。実際、Botanicallsの鉢植えに電話すると、鉢植えから「自己紹介」や「健康状況」を聞くことができる。因みに電話番号は、212-202-8348で、この番号に電話すると上記を聞くことができる。

 

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分科会でSpencerは、鉢植えの水が無くなると、今度は、鉢植えがTwitter(トゥイッター)というブログにお願いのメッセージを投稿するシステムを紹介した。ブログのメッセージは主人に配信され、これを読んで主人が水を上げるという手順となる。両者とも仕組みは同じで、鉢植えのセンサーが水不足を感知すると、それに応じた音声メッセージまたはテキストメッセージ(上の写真、出展:Botanicalls Twitter) Asterisk経由で、電話で発信するというものである。

 

通話ソリューションの進化

柔軟で機知に富む若い世代のエンジニアが、半分遊び心で、Asterisk上にユニークなアプリケーションを開発している事例である。一方、以前紹介したように「Voiceroute (ボイスラウト) は、Asterisk上でユニファイド・コミュニケーションという企業向けシステムを開発している。電話という閉じた社会で、オープンソースによるイノベーションが進行している。

次世代ウェブのプロトコールは (OSCON 2008より)

Friday, August 22nd, 2008


オレゴン州ポートランドで開催されたOSCON (オスコン) で、一番人気であったのが「Beyond REST?, Building data services with XMPP PubSub (RESTを超える?XMPP PubSubで構築するデータサービス) と題する分科会であった。会場の部屋は満杯で、立ち見スペースも一杯になり、通路に座り込んで見る盛況振りであった。OSCON主催者のTim O’Reilly (ティム・オライリー) もこの分科会を中央通路に座り込んで聞いていた。

 

RESTの次はXMPPなのか

この講演は写真サイトでお馴染みのFlickr (フリッカー) Kellan Elliott-McCrea (キーラン・エリオット・マクリー) らによって行なわれた。Elliott-McCrea30代半ばのエンジニアで、FlickrでのタイトルHackr(ハッカー)が示しているように、業界トップクラスのウェブ開発者である。この分科会ではRESTXMPPが議論された。

 

RESTとは「Representational State Transfer」の略で、ウェブのような分散環境におけるソフトウェアのアーキテクチャを示している。これがRESTの一般的な定義であるが、ここではRESTHTTPというプロトコールでデータの送受信を行なうウェブという意味で使われている。Flickrのように写真の閲覧や掲載をブラウザー経由で行なう、一番標準的なウェブを指している。

 

これに対してXMPPとは「Extensible Messaging and Presence Protocol」の略で、インスタント・メッセージングのプロトコールを表している。XMPPはインスタント・メッセージングのサーバーであるJabber (ジャバー) Google Talkで使われている。Jabberはオープンソースであり、誰でも自由にダウンロードして使うことができる。この分科会では、RESTの代わりにXMPPを使って、次世代のウェブサイトを構築する技法が紹介された。

 

RESTの問題点

講演の中でElliott-McCreaFlickrが直面しているRESTに起因する問題点を説明した。人気ウェブサイトの一つに「Friedfeed (フレンドフィード) がある。このサイトに加入すれば、友人や著名人が投稿した写真やブログ等を纏めて読むことができる大変便利なサービスである。

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上のスクリーンショット(出展:FriedFeed)Friedfeedの画面で、知人がFlickrに掲載した写真をここで纏めてみることができる。これらの写真はFriedfeedFlickrに頻繁に(11秒ごとに)アクセスして収集している。

 

これは利用者にとって便利なサービスで、いちいちFlickrTwitter(トゥイッター、マイクロブログ)などに行かなくても、Friedfeedに入れば事前に登録しておりた会員の写真やブログを収集して表示してくれる。一方、このサービスの背後では、システムに大きな負荷がかかっている。Elliott-McCreaは、721日の24時間にFriedfeedFlickrにアクセスした履歴を紹介した。「Friedfeed298万回Flickrにアクセスし、45,745人の会員の写真をチェックした。しかしその中で6,721人の会員しかFlickrを利用していなかった」と説明した。つまり6,721人の会員が掲載したであろう写真を集めるために、290万回もFlickrにアクセスしていた。これが現在のRESTによるウェブサービスであり、限りあるリソースが浪費されている実態が明らかにされた。

 

XMPPによる新方式のウェブサービス

Elliott-McCreaは、この問題に対処するために、「Message Passing(メッセージ・パッシング)が重要である」と議論を展開した。FriedfeedFlickrに定期的にアクセスして、最新の写真があればそれを収集する仕組みである。これに対してMessage Passing方式では、新しい写真が掲載されれば、Flickrから通知する方式である。これがMessage Passingであるが、企業システムでは古くから使っている技術である。このMessage PassingXMPPのプロトコールで行なうというのが、今回の講演のポイントである。Elliott-McCreaは、XMPPでのデータの配信を「PubSub(パブサブ)と呼んでいる。これはPublicationSubscribeを合わせた造語で、コンテンツを「予約」しておけば「配信」されるという意味で、従来型の配信サービスであるRSSと区別している。

 

XMPPを使ったサービス事例

FlickrXMPPを実装したサービスを計画しているが、Elliott-McCreaは、新しいサービスの事例としてYahooの「FireEagle(ファイアー・イーグル)を説明した。FireEagleとは利用者の位置情報をアプリケーションに配信する機能である。次のスクリーンショット(出展:FireEagle)FireEagleの初期画面で、パソコンから自分がいまいる場所(Mountain View, CA)を入力したところである。GPS付きの携帯端末であれば、位置情報が自動的にアップロードされる。

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ここに他のウェブサイトがアクセスして、利用者の位置情報を読み込んで利用する仕組みとなる。「outside.in」というサイトは、利用者の周辺1000フィート (300メートル) 以内で発生しているニュースを送信するサイトである。利用者の位置情報については、FireEagleから手に入れる。outside.inが利用者の位置情報をFireEagleに定期的に問い合わせるのではなく、FireEagleは利用者の位置情報が更新された時にだけ通知する。この仕組みがXMPPで実装されている。利用者からすると場所を移動しても、常に自分の周り1000フィート以内で起こっているニュースを読むことができる。

 

トレンド

FireEagleと連携するアプリケーションが登場し始めている。outside.inのように、まだ単純な仕組みであるが、これからは位置情報を使ったアプリケーションが鍵を握る。先週のレポートで紹介したように、インターネット携帯端末が大きく普及しそうである。携帯端末と位置情報を組み合わせた領域でキラー・アプリケーションの登場が予感される。分科会の題名の通り、ウェブを支える技術は、RESTの次はXMPPとなるのか。

携帯端末向けオープンソース (OSCON 2008より)

Friday, August 15th, 2008


オレゴン州ポートランドで開催されたOSCON (オスコン) では、携帯端末向けオープンソースであるMoblin (モブリン) が参加者の関心を引き付けた。携帯端末向けのオープンソースがこれからのトレンドを形成しそうである。

 

インテルの携帯端末戦略

OSCONでは、インテルのDirk Hohndel (ダーク・ホンドゥル) が、「The Community for Linux on Mobile Internet Devices (MID), netbooks, nettops and More… (モバイル・インターネット・デバイス向けのリナックス・コミュニティー) と題して、Moblinの紹介を行なった。インテルは携帯端末 (Mobile Internet DevicesMID) 向けにAtom (アトム) プロセッサーを発表している。このAtomプロセッサーを採用したMIDが、Samsung (サムスン) などから出荷され始めている。

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HohndelMIDについて、「大型の携帯電話の大きさで、インターネットへのアクセスを主眼に設計されており、入力はキーボード、または、タッチスクリーンで行なう」と説明した。上の写真(出展:Intel)が標準的なMIDで、7インチ(17.5センチ)のモニターを搭載し、キーボードがその下にスライドする方式になっている。Hohndelは質疑応答の中で、「MIDはインターネット機能をフル実装しており、ネットワークではWiMAXに対応している」と説明した。MIDApple iPhoneの二倍程度の大きさで、小型ノートパソコンの半分程度の大きさの携帯端末となる。Apple iPhoneが携帯電話からパソコンに接近した設計であるとすると、MIDはノートパソコンを限りなく携帯電話に近づけた設計である。これが次世代の携帯端末の標準サイズを示唆している。

 

Mobilの概要

Moblinとは、Atomプロセッサー向けに最適化されたコア・リナックス・スタックである。コア・リナックス・スタックにはOSコア、ミドルウェア、ブラウザー、メール等の基本アプリケーションと、ユーザー・インターフェイス (Home Screen) が含まれる。このコア・リナックス・スタックをMoblinコミュニティー (Moblin.org) とインテルが開発している。Hohndelは、MIDシステム開発でオープンソースの手法を採用した理由を、「コミュニティーの英知を活用するためで、もはや企業が単独で開発する時代は終わった」、と説明した。またOSにリナックスを採用した理由について、「フットプリントが小さく、立ち上がり時間が短いためである」と説明した。

 

インテルは、Moblinを中心とするエコシステムの形成を目的としており、Moblin上の通信、娯楽、情報分野のアプリケーションがISV(第三社ソフトウェア企業)により開発されている。また、Moblinには多くのリナックス・ベンダー(OSV: OSベンダー)が参加している。異なるOSベンダーが製品開発しても、アプリケーションの互換が保てるよう、「Moblin Compliance」が制定されている。参加OSベンダーがこれに準拠することで、Moblin上のアプリケーション互換が保障されている。現在Moblinに参加しているOSベンダーは、Ubuntu (ウブンチュ)Linpus(リンパス)Asianux (エージアナックス)Xandros (ザンドロス)Wind River (ウインド・リバー)などである。メンバーは欧米と中国企業が中心となっている。

 

Moblinの特徴

会場からMoblinLiMo Foundation (リモ・ファウンデーション) はどう違うのかとの質問が出た。LiMo Foundationとは携帯電話向けリナックスを開発する業界団体で、071月にMotorolaNTTドコモなどにより設立された。LiMo Foundationは携帯電話向けOS (LiMo Platform) の部分だけを参加企業が共同で開発する。この部分はMiddleware OSとも呼ばれ、上位のユーザー・インターフェイスやアプリケーションは、LiMoを搭載する携帯電話製造会社などで開発する。上記の質問に対してHohndelは「MoblinLiMo+コミュニティーである」と説明した。Moblinはオープンソースの手法を取り入れて、コミュニティーが主体となり開発する。更に、MoblinではOSは一つだけではなく、前述の通り、各社独自のリナックスをMoblinで採用することができる。

 

会場からの質問はなかったが、この他の携帯端末向けリナックスとしては、グーグルAndroid (アンドロイド) がある。AndroidOpen Handset Alliance (オープン・ハンドセット・アライアンス) でグーグルを中心に参加企業で開発されている。Androidはオープンソースとして公開され、携帯電話企業は自由にAndroidを改造し携帯電話に組み込んで販売することができる。AndroidMoblinと同じようにオープンソースとして公開される。また、Moblinと同様に、Androidは、リナックスからユーザー・インターフェイスからアプリケーションまでを含む統合スタックとして提供される。

 

Mobilの適用対象分野

MoblinはインテルのAtomプロセッサーを搭載したMIDだけでなく、Netbook (ネットブック、小型ノートブックパソコン)Nettop (ネットトップ、ネットに特化した小型パソコン)、更に車載コンピューターでも使われる。

 

会場からMIDは将来、携帯電話機能を搭載するのかとの問いに対して、Hohndelは明快な答えは示さず、また、否定もしなかった。MIDの主な用途は携帯インターネット・デバイスであるが、携帯電話にもなるということが予測される。

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Moblinのサイトにはアプリケーション事例が掲載されており、上のスクリーン・ショット (出展:Moblin.org) はマルチメディア・アプリケーションで、MID上での写真アルバムの画面を示している。これ以外にもOffice Document Reader (オフィス・ドキュメント・リーダー) やゲーム・ソフトウェアなどが開発されている。

 

トレンド

携帯端末向けソフトウェア開発は、インテル主導のMoblin、業界団体のLiMo Foundation、グーグルが仕切るAndroid、また、オープンソースとして公開したSymbian (シンビアン) がそれぞれ独自の方式で開発を進めている。多くの団体でオープンソースの手法が採用され、この基盤上でのイノベーションが期待される。Apple iPhoneに刺激されたのか、長いあいだ閉鎖社会であった携帯電話に新しい風が入り始めた。

オープンソース版ユニファイド・コミュニケーション (OSCON 2008より)

Friday, August 8th, 2008



OSCON (オスコン) 展示会会場では、オープンソースの手法でユニファイド・コミュニケーション (Unified Communications) 製品を開発している企業「Voiceroute (ボイスラウト) から話を聞くことができた。

 

Voicerouteという企業

Voicerouteのブースで、CEOMing Yong (ミング・ヤング、写真右側、出展:VentureClef) と、CTONavin Kumar (ナビン・クマー、写真左側) が対応してくれた。

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Voicerouteはコネチカット州ノーウォーク (Norwalk) とシンガポールに拠点を置く若い企業である。Voicerouteが提供している製品は「Druid(ドゥルイッド)という名前で、オープンソースを基盤とするユニファイド・コミュニケーション機能を搭載したソフトウェアである。Druidは商用版とオープンソース版があり、オープンソース版は同社のサイトからダウンロードできる。Druidの開発は両者のほかに、Vikram Rangnekar (ヴィクラム・ラングニカー) が加わり三人で行なっている。Yongはシンガポール出身で、コーネル大学とミシガン大学で学んだ、若いエンジニアである。大学時代に知り合ったKumarと一緒にこの会社を創設した。

 

Druid製品概要

YongDruidについて「複数種類のメッセージを統一して扱うことができるユニファイド・コミュニケーション・ソフトウェアであり、オープンソースでCisco Call Manager (シスコ・コール・マネジャー) を目指している」と説明してくれた。

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これはDruid Open Source Edition (OSE) のスクリーンショットである。(出展:Voiceroute) この画面は利用者のウェブ・ポータルで、ここで各種通信を行い、また、システム設定を行なうことができる。この画面の「Unified Mailbox」をクリックすれば、ボイスメールやファックスを纏めて見ることができる。電子メールと同じ要領でボイスメールやファックスの一覧表から希望のメッセージを選んで再生できる。

 

Call Routing」は、電話を指定の宛先に転送する際に使用する。社外に外出する時は、オフィスへ掛かってきた電話を携帯電話に転送することができる。また、正午から午後1時の昼休みの時間に受信した電話は、自動的に留守番電話に接続するように設定することもできる。「Call Records」では、パソコンのログを見る要領で、電話のログを見ることができる。いつ誰から電話が入り、それに対してどのように対応したかが記録されている。

 

Druidの特徴は、携帯電話との連携を中心とした、ユニファイド・コミュニケーションである。ブースにおいて、Kumarが、上記の「Call Routing」を使って、オフィスに掛かってきた電話を携帯電話に転送するデモをみせてくれた。

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ブースのモニター(出展:VentureClef)では、BlackBerry (ブラックベリー) のスクリーン上に表示されたウェブ・ポータルを操作するデモが行なわれた。Druidはパソコンからだけでなく、ブラックベリーからも操作することができる。将来はApple iPhoneもサポートするとのことである。

 

Druidのアーキテクチャー

Druidは前述の通り、オープンソースを基盤とするユニファイド・コミュニケーション・ソフトウェアである。Druid内の交換機には「Asterisk(アスタリスク)を、インスタント・メッセージングには「Jabberd2(ジャバー・ディトゥー)、電子メールのプロトコール(IMAP)には「Dovecot(ダブコット)が、ファックス・サーバーには「HylaFAX(ハイラ・ファックス)が使われている。これらにより、Druidは、音声、インスタント・メッセージング、ビデオ、電子メール、ファックス、携帯電話通話を統合して扱うことができる。YongDruidのもう一つの特徴について、「SOAP APIを提供しており、第三者アプリケーションと簡単に連携することができる」と説明した。例えば、オープンソースのCRMである「SugarCRM(シュガーCRM)から簡単にDruidを呼び出すことができる。SugarCRMの電話番号をクリックすると、その顧客に電話を発信する機能を簡単に付加することができる。

 

なぜオープンソースなのか

Druidは前述の通り、オープンソースで構成されているだけでなく、Druid自身もオープンソースとして公開している。Yongに何故オープンソースとしたのかと尋ねると、質問の意味を理解するためか一呼吸おいて、「コミュニティの知恵を製品に取り入れ、このサイクルが繰り返され、息の長い製品とするため」と述べた。Yongのような若いエンジニアにとっては、プログラミングを始めた頃にはオープンソースが広まっており、これを利用して製品を作ることが当たり前のオプションとなっている。オープンソースという優秀な部品が揃っており、Voicerouteの付加価値は、オープンソースを部品として構築されたコミュニケーション・ソリューションである。YongのようなGeneration Yにとってはこれが当たり前の開発手法である。

 

トレンド

Yongに会社の最終目的はIPOかと尋ねると「そんな先までは考えていない」との答えが返ってきた。話を聞いていると、Yongは純粋にソフトウェアが好きであるということが伝わってくる。若い世代の優秀なエンジニアが、自分の好きなことに没頭して製品開発を行なっている構図が浮かび上がる。これからこの世代において、革新的な技術が登場しそうな予感を感じながら話を終えた。