Archive for October, 2008

グーグル向けセマンティック検索 (DEMOfall 08より)

Friday, October 31st, 2008


DEMOfall 08では、「次世代ウェブを定義する」として、ウェブがどこに向かって進化しているかを示唆する企業が登場した。 DEMOfall 08からの最後のレポートは、Semanti (セマンティ) というセマンティック・ウェブ技術を分かりやすい形で提供しているカナダのベンチャー企業である。

 

Semantiの概要

DEMOではCEOBruce Johnson (ブルース・ジョンソン) らが、SemantiFind (セマンティ・ファインド) という検索サービスを実演した。

g052a_semanti.jpg

SemantiFindは、Firefoxのプラグインとしてグーグル検索エンジンと連携して動作し、入力した検索キーワードに対して、ドロップ・ダウン・ボックスで選択肢を示す。上のスクリーンショット (出展はいずれもGoogle) は、グーグル検索エンジンに「indiana jones」と入力したところである。この検索キーワードに対して、グーグルではなくて、SemantiFindが、Indiana Jonesに関連する様々な異なる意味の選択肢を示しているところである。この画面でSemantiFindは、キーワードの意味は、映画の登場人物なのか、馬の名前なのか、ゲームの名前なのかを利用者に問いかけている。

 

Semantiでの検索結果

これに対して入力した検索キーワードの意味は映画の登場人物であるとして、ドロップ・ダウン・ボックスの最初の項目を選択すると、下記の検索結果が表示される。

g052b_semanti.jpg

通常のグーグル検索結果ページ上部に、SemantiFindのカラムが追加される。SemantiFindの検索結果は、コミュニティーが編集したもので、グーグルよりも正確な検索結果を目指している。つまり、SemantiFindは、検索キーワードの意味を確認し、それに厳密に対応する検索結果を示すことを目指している。デモの後でブースにて、CEOJohnsonに話を聞くことができた。Johnsonによると、SemantiFindは「セマンティック技術とウィキ技術を掛け合わせたもの」であると、そのエッセンスを端的に紹介してくれた。現在は英語版のサービスを開始しているが、「次はフランス語版と日本語版を開発する」と説明してくれた。SemantiFindは、実績のあるウィキ技術と、こらからの進化が期待されているセマンティック技術を採用し、ウェブ技術の進行方向を示唆している。

脳科学に基づく英語学習サイト (DEMOfall 08より)

Friday, October 31st, 2008


DEMOfall 08では、日本企業からの参加があり、東京・渋谷に拠点を置くCerego (セリゴ) というベンチャー企業が、ユニークでお洒落な英語学習サービス・サイトを披露した。

 

iKnowというサイト

DEMOではCEOEric Young (エリック・ヤング) らが、iKnow (アイノウ) という英語の学習サイトを紹介した。(下のスクリーンショット、出展:Cerego)  Ceregoは日本のベンチャー企業であるが、その創業者であるEric YoungAndrew Smith (アンドリュー・スミス) はアメリカ人である。また社員は、日本人スタッフのほかに、世界各国から集まっており、国際的な企業である。

g051_cerego.jpg

 

iKnowは認識科学 (Cognitive Science) とソーシャル・ネットワークを融合した、英語の学習サイトである。Ceregoによると、人間が学習する際には、Ebbinghaus Forgetting Curve (エビングハウスの忘却曲線) によって、時間の経過とともに学習した内容を忘れていく。学習効果を最大にするためには、忘却する直前にそれを再度提示することである。学習した内容を良く覚えているときや、完全に忘れてしまったときに、その内容を提示されても効果はないとしている。

 

iKnowは、「おしごとの英語」、「まずは!TOEIC基礎・リスニングセクション」など、様々なプログラムを提供している。その中から自分に適するプログラムを選択し、ウェブ上で学習していくことになる。英単語の学習では、ウェブページで「hand out」は「~を配る」などと意味の説明があり、次に、先生がこれを発音し、一回のセッションで10個の単語を学習する。これが終了すると、次のセッションに進み、また新しい単語の勉強が始まる。しかし、このセッションでは、学習している最中に、前のセッションの試験が急に始まる。つまり、先の理論に従って、勉強した単語をすこし忘れかけたときに試験があるという仕組みである。

 

ウェブ技術の意味

iKnowはプラットフォームを公開しており、英語教育に関する教育コンテンツを自社で開発するだけでなく、第三者からも幅広く採用している。ここでの英語教育は従来の堅苦しい内容ではなく、印象的な写真を使い、「BrainSpeed」というようなゲームを取り入れ、楽しく効果的に学べるように工夫がなされている。また、ソーシャル・ネットワークの機能を活用して、会員間で助け合いながら学習できるという機能もある。更に、今後は英語学習だけでなく、幅広い内容の教育を行なうべく、教育コンテンツを開発していく予定である。現在iKnowは無料で公開されているが、Ceregoは、今後はこのサイトで有償で教育コンテンツを提供していくとしている。ウェブは、ニュースやブログのような読み書きできるサイトから、高度な学習ツールなど、インテリジェントなサイトに向かおうとしている。iKnowがその片鱗を覗かせている。

携帯電話の位置情報セキュリティ (DEMOfall 08より)

Wednesday, October 22nd, 2008


日本だけでなくヨーロッパにおいても携帯電話の位置情報を活用したセキュリティ・システムが注目されている。UbiEst (ユビエスト) というイタリアに拠点を置くベンチャー企業は、携帯電話に搭載されているGPSを使って、子供の現在位置をリアルタイムで監視できるシステムを紹介した。

 

UbiSafeの概要

DEMOではCEONicola De Mattia (ニコラ・デ・マティア) らが「UbiSafe (ユビセーフ) という製品をデモした。UbiSafeは携帯電話に、別の携帯電話の位置を、リアルタイムで表示できるシステムである。

g050_ubiest.jpg

 

上は携帯電話モニターのスクリーンショットで、Tommyという人物の居場所を表示している様子である。(出展:UbiEst) UbiSafeは、監視している携帯電話の位置を、地図上に表示する機能に加えて、住所、時間、移動速度、標高などを表示する機能も備えている。DEMOでは、子供が午前9時までに学校に到着しないときは、警告メッセージを発信するデモが行なわれた。公園において、子供が親から300メートル以上離れると警告が発せられるデモも実演された。このようにUbiSafeは、携帯電話で、子供を中心とした安全ソリューションを紹介した。

 

UbiSafeの動作概要

ブースにおいて、MattiaからUbiSafeについて、もう少し詳しく話を聞くことができた。UbiSafeは三つの部分から構成されている。システム全体を管理するウェブサイト (Web Interface)、監視用携帯電話 (Master Client)、監視される携帯端末 (Slave Client) から成る。Web Interfaceで監視する携帯端末を登録し、監視する条件等を設定する。パソコンからこのウェブサイトにアクセスして、リアルタイムでSlave Clientの位置を追跡できる。Master ClientSlave Clientを監視するモニターとして機能する。先のスクリーンショットのように、携帯電話のスクリーンにSlave Clientの位置情報を表示し、問題が発生するとアラートを受信する機能を持つ。

 

Slave ClientGPS付きの携帯電話やページャーである。これを子供に持たせて、その位置を追跡する。Mattiaによると、「UbiEstは、従来から、GPSを利用した位置情報サービスを提供している会社である」と説明してくれた。また、Slave Client向けの「小型GPS製品もあり、これを子供のベルトやカバンに装着して使うこともできる」と説明してくれた。日本では既に出荷されているシステムであるが、ヨーロッパでも需要が高まっている。UbiEstは他にも携帯電話を道案内として使う「UbiNav」も出荷している。携帯電話の機能向上に伴い、位置情報サービス (Location-Based Services) が本格化してきた。

ウェブ・アプリ実行エンジン (DEMOfall 08より)

Wednesday, October 22nd, 2008


Google App Engine (グーグル・アップエンジン) に代表されるように、ウェブでアプリケーションの実行環境を提供するサービスがホットな話題となってきた。今ではこの形態がクラウド・コンピューティングと呼ばれ、自社でプロセッサーを購入する代わりに、インターネット上のインフラを利用する方向に向かっている。この流れに沿って、ウェブ・アプリケーションの実行環境を提供しているのが「Toolgather(トゥールギャザー) という会社である。

 

Toolgetherの概要

DEMOのステージでCEOLei Jin (レイ・ジン) たちが、Toolgetherの使い方を、リアルタイムでプログラミングしながら説明した。

g049_toolgether.jpg

開発者はウェブ・アプリケーションをToolgetherのサイトに登録し、一般利用者はToolgetherのサイトにアクセスして、これら登録されたウェブ・アプリケーションを使うという構造である。登録されているウェブ・アプリケーションは様々で、上のスクリーンショットは「SEO Link Analysis (出展:Toolgether) というツールである。SEO (Search Engine Optimization) を行なうウェブページのURLを入力して、Submitボタンを押すと、そのウェブページがリンクしているURLの一覧が表示される。また、「School District Locator」では、住んでいる住所を入力すると、その地域の学区が示されるというものである。まだシンプルなツールが多いが、教育、健康管理、レストラン情報など、日常生活で使う便利なツールが登録されている。

 

Toolgetherの仕組み

ウェブ・アプリケーション開発者は、パソコンでJavaアプリケーションを開発し、そのバイナリー・コードをToolgetherにアップロードする。そしてToolgetherでアプリケーションへの入出力インターフェイスを定義する。これらの作業を経て、このウェブ・アプリケーションがToolgetherのサイトに登録される。利用者はToolgtherのサイトでこれらツールを使用するほかに、これらツールをWidget (ウィジェット) として自分のウェブやブログに貼り付けることもできる。

 

ToolgetherCEOであるJinと一緒に食事をしながら、会社概要を教えてもらった。JinOracleに勤めていたときに、友人と一緒にこのサービスを立ち上げた。会社創設の目的について、Jinは、「コミュニティでアプリケーションを開発することでイノベーションを期待している」と説明した。また、Jinは、「自分の技術力をウェブサービスの形で世に出せることに魅力を感じている」とも説明してくれた。今後は登録されているウェブ・アプリケーションを有償販売すると、事業計画の一端を説明してくれた。クラウドという曖昧な言葉で市場は困惑気味であるが、ウェブ・アプリケーションの実行環境を提供するというビジネスが立ち上がりつつある。

盗まれた携帯電話の追跡 (DEMOfall 08より)

Wednesday, October 1st, 2008


ノートブック・パソコンが盗難にあって、顧客情報が流出するという事故が後を絶たないが、携帯電話の機能がパソコンに近づくにつれて、携帯電話で同じ問題が発生しつつある。Apple iPhoneMicrosoft OutlookSyncすると、パソコン上の住所録が全て携帯電話に書き込まれる。このような状況の中、携帯電話のセキュリティーにいち早く対応しているのが、Maverick Mobile Solutions (マベリック・モバイル・ソリューションズ) という会社である。

 

Maverick Secure Mobileの概要

DEMOではCEOSujit Jain (スジット・ジェン) が、Maverick Secure Mobile (MSM、マベリック・セキュアー・モバイル) という技術のデモを行なった。ステージ上で二台のNokia製携帯電話を使って、MSMの機能を披露した。

g048_maverick.jpg

MSMは上の写真の通り、通常の携帯電話 (右側、盗まれたという想定) とそれを監視する携帯電話 (左側、Reporting Deviceという名称) にインストールして使う。(出展:DEMO)  Jainは、携帯電話が盗まれて、その携帯電話のSIMカードが差し替えられたという想定で、SMS機能を紹介した。

 

Maverick Secure Mobileの機能

まず、盗難にあった携帯電話のSIMカードが差し替えられると、携帯電話にインストールされているSMSは、携帯電話に格納されている住所録などのデータを暗号化する。これにより機密情報が流出するのを防ぐ。次にSMSは、盗まれた携帯電話の新電話番号、場所(国名と市外局番)、携帯電話サービス会社名などを、テキスト・メッセージでReporting Deviceに送信する。(この電話代は携帯電話を盗んだ人物が支払う。) 一番の関心事である携帯電話内の住所録であるが、Reporting Deviceからの指示で、住所録をテキスト・メッセージの形でReporting Deviceに送信する。これで、住所録の流出を防ぐだけでなく、データもリカバリーすることができる。

 

次にJainは、盗まれた携帯電話をリモートで監視する機能を紹介した。盗まれた携帯電話での発信や着信記録を、Reporting Deviceから閲覧することができる。更に、Spy Callという機能では、盗まれた携帯電話のスピーカーとマイクをリモートでオンにすることができ、犯人の会話を「盗聴」できる。最後の極めは、盗まれた携帯電話のアラームをオンににして、大音量の警報を鳴り響かせる。犯人はバッテリーを抜くが、再び、バッテリーを入れると警報が鳴り、結局、盗んだ携帯電話は使えないというストーリーとなる。このデモは技術だけでなく演出も素晴らしく、会場から笑いと拍手が沸きあがった。

 

Maverick Secure MobileNokiaの携帯電話で採用される予定であるとのこと。ノートパソコンの失敗を繰り返さないためにも、これからの携帯電話はセキュリティー機能が必須となる。このデモはその必要性と対策を面白おかしく紹介した。