Archive for January, 2010

iPad

Wednesday, January 27th, 2010

Appleは、本日 (1月27日) 、噂されていたApple Tabletを発表した。製品名称はiPad (アイパッド) である。この製品発表は、サンフランシスコ市内のYerba Buena Center (下の写真、Apple社のロゴがデザインされた会場、出展:londonist@Flickr) で、午前10時から行なわれた。この製品発表は、全米のメディアが揃って報道し、Apple iPadの話題で、過熱気味な一日となった。この製品発表の模様は、CNNビデオで見ることができる。

(http://www.cnn.com/2010/TECH/01/27/apple.tablet/index.html?hpt=T1)

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iPadの概要

会場のステージの上で、AppleのCEOであるSteve Jobs (スティーブ・ジョブズ) が、iPadをセンセーショナルに紹介した。Jobsは、iPadを、ラップトップとスマートフォンの中間に位置する製品として紹介した。この領域の製品は、Mobile Internet Device (MID) と呼ばれ、ネットブックなどの製品が出荷されている。Jobsは、ネットブックは両製品より劣ると評価し、iPadが両製品より優れていると説明した。下の写真 (出展:New York Times) は、JobsがiPadを手に持っている様子で、その大きさは9.6 x 7.5インチ (24.3 x 19.0 センチ) で、重さは1.5ポンド (680グラム) である。おおよそB5サイズの大きさである。また、幅は0.5インチ (1.3センチ) で、噂されていたように、大型のiPhoneというイメージである。

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iPadの機能についても、iPhoneの機能をそのまま大きなスクリーンで実行するイメージである。下の写真 (出展:Apple Inc.) は、写真アルバムを指で操作している様子である。スクリーンは、マルチタッチ機能を実装しており、iPhoneのように指で画面を操作することができる。但し、iPadは大型の画面を搭載しており、ウェブページ全体を表示することができ、スクロールや拡大操作を頻繁に行なうことなく、スムーズに記事を読むことができる。

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iPadの入力機能など

iPadへの入力は、これもiPhoneと同様に、ソフト・キーボードから行なう。iPadのキーボードの大きさは、ラップトップに搭載されているキーボードと同じ位で、入力操作が大幅に楽になるものと思われる。ただ、キーを押したときの反応 (Tactile Perception) が無いため、どれだけ使い易いかは、実際に使ってみる必要がある。下の写真 (出展:Apple Inc.) は、メール・アプリケーションを起動した様子である。写真右側が、受信メール・リストから、特定のメールを選択したところである。写真左側が、メールを作成している場面である。ここで、ソフト・キーボードが表示され、メールへの入力を行なう。

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下の写真 (出展:Apple Inc.) は、iPadからiTunes Storeにアクセスしている様子である。ここでもiPhoneと同様に iTunes Storeにおいて音楽を購入し、App Storeからアプリケーションをダウンロードする仕組みとなっている。Jobsは、現在、アプリケーションの本数は14万本あり、ダウンロード回数が30億回を超えたと説明した。また、iPhone向けに開発されたアプリケーションは、変更することなく、そのままiPadで使用できると説明した。更に、iPadのハードウェア機能をフルに活用するために、iPhone SDK最新版をリリースしたと述べた。

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iBooks機能概要

iPadの特徴は、iPadがAmazon Kindleのような、ブック・リーダーとなることである。AppleはiBooksというアプリケーション (下の写真、出展:Apple Inc.) を開発し、利用者は、App StoreからこのアプリケーションをiPadにダウンロードして使用する。書籍等のコンテンツは、Appleが新しく開設するiBookstoreで購入し、iPadにダウンロードして読む方式である。ちょうど、iTunes Storeで音楽コンテンツを購入すると同じ方式で、iBookstoreで書籍コンテンツを購入する。

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現在、iPhoneにおいても、様々なブック・リーダー・アプリケーションが提供されており、利用者はAmazon.comなどのサイトから、書籍を購入して読むことができる。これからは、iPadの大きな画面で読書でき、iBooksがiPadの重要なアプリケーションであると言われている。Appleは、HachetteやPenguinなどの出版会社と、電子書籍の提供について準備を進めている。また、Appleは電子書籍をePubという、電子書籍標準形式で提供する。このため、ePub をサポートしているSony Reader やBarnes & NobleのNookで提供されている電子書籍を読むことができる。

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iPadのブック・リーダー機能に対して、出版業界が、大きな関心を寄せている。出版社は、iBookstore経由での電子書籍販売で、新しいビジネスを期待している。また、新聞・雑誌社は、ウェブサイトやアプリケーションを通しての、ニュースや記事の配信に期待をかけている。上の写真 (出展:Apple Inc.) は、Safariブラウザー上に、New York Timesのウェブサイトを表示している様子である。 New York Timesは、iPhoneと同様に、アプリケーション経由でiPadへ新聞記事の配信を行なう計画である。新聞をiPad上で読む習慣が定着すれば、ここに広告事業など新しい収入の道が開けることになる。また、出張の際には、電子書籍や新聞記事をiPadにダウンロードしておき、それを飛行機の中で読むという使い方も可能となる。Jobsは、iPadのバッテリー持続時間が10時間であり、サンフランシスコから東京へのフライトでも、充分使えると説明している。

その他の機能

iPadは、上記のほかに、HDでのビデオ再生、YouTube閲覧、地図の表示、カレンダー、住所録などの機能を備えている。通信機能としては、WiFiとBluetoothのほかに、3G携帯電話通信機能を備えている。iPadをサポートする携帯電話会社はAT&Tで、月額$29.99でデータ通信ができる。iPadは、アンロック・モードで3Gネットワークをサポートしており、SIMカードを挿入することで、他社ネットワークでも使用できる。iPadに搭載しているプロセッサーは、Appleが独自で開発した、Apple A4 (1GHz) というカスタム・チップである。これは、Appleが08年に買収したP.A. Semiという半導体企業のテクノロジーを使っている。P.A. Semiは、グリーン・チップとして知られており、10時間のバッテリー寿命を生み出す元となっている。iPadの販売開始時期は、60日後で、価格は$499からとなっている。

考察

iPadについては、昨日からNBCなどの主要メディアが報道を開始し、発表当日は、前述の通り、テレビとウェブでiPadについての報道が過熱気味であった。しかし、発表内容については、現行のiPhone機能から大きく進化しておらず、軽く失望したというのが、正直な感想である。iPadにおいては、クオンタム・リープはなかったが、現行ビジネスが確実に拡大していくという印象を強く受けた。開発者コミュニティーがiPhoneに対してイノベーションを生み出したように、iPadでの革新的なアプリケーションの登場が期待される。

Nexus One

Thursday, January 7th, 2010

Googleは、1月5日に、Googleのスマートフォン「Nexus One」 (ネクサス・ワン、下の写真、出展はいずれもGoogle) を発表した。Nexus Oneについては、事前に大量の情報がリークしており、発表内容について、サプライズはなかった。しかし、アメリカの主要なテレビや新聞は、この発表を大きく取上げて報道した。NBCは夕方のニュースで報道し、CNNはGoogle本社で行なわれた記者会見の模様を、ウェブサイトに掲載している。

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Nexus Oneの概要

上述の通り、Nexus Oneの発表は、カリフォルニア州マウンテンビューにある、Google本社のB43というビルで、午前10時から行なわれた。Nexus OneはGoogleと台湾ベンダーであるHTCが共同開発したスマートフォンである。GoogleはこれをSuperphone (スーパーフォン) と呼んでいる。Googleは、Nexus Oneの概要について、専用のウェブサイト (http://www.google.com/phone/) に掲載している。

Nexus OneはQualcomm Snapdragon (スナップドラゴン) プロセッサ (1GHz) を搭載し高速処理を実現している。ディスプレーは3.7インチのAMOLED (アクティブ・マトリックス有機発光ダイオード) を採用し、HTCのCEOであるPeter Chouによると、深い色が出せるとしている。この他に、カメラ (5Mピクセル)、WiFi、GPS、Bluetooth、音声入力機能などを備えている。Nexus Oneの特徴は、ソフト・キーボードでの入力のほかに、音声入力機能が充実していることである。SMSや電子メールで、音声認識技術により、音声をテキストに変換して入力する。また、Apple iPhoneでもお馴染みの、音声入力による検索機能を備えている。

ナビゲーション機能など

先月、Verizonが発表したDroid (ドロイド) の人気機能の一つがナビゲーションである。Nexus Oneでは、この機能をMapsとして標準提供している。Mapsアイコン (上の写真で画面左上のアイコン) にタッチするとGoogle Mapsが表示され、行き先を入力すると、その場所をピンで表示する。下の写真左側は、サンフランシスコの「de Young Museum」の場所を、Google Maps上にピンで表示したものである。

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更に、Navigateボタンを押すと、現在地からその場所までの、カーナビ機能を提供してくれる。上の写真右側が、カーナビ機能をサテライト・ビューで示したものである。また、また、Layerというオーバーレイの機能を使うと、経路上近辺のガソリン・スタンドや銀行のATMの場所を、地図上に表示する。

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アプリケーションをダウンロードするためには、Marketアイコン (冒頭の写真、画面右上のアイコン) にタッチすると、Android Marketにアクセスできる (上の写真左側)。このサイトにおいて、希望のアプリケーションやゲームを選択することができる。「Google Sky Map」というアプリケーションを選択すると (上の写真右側)、アプリケーションの概要が表示される。そして、Installボタンにタッチすると、アプリケーションがダウンロードされる。

携帯電話サービス

Nexus Oneは、上述のNexus One専用ウェブサイトで販売されており、Googleが消費者に直販する形式を取っている。アメリカにおいては、T-Mobileがサービスを提供しており、この場合のNexus Oneの販売価格は179ドルである。Googleは、アンロック版のNexus Oneも販売しており、その価格は529ドルである。アンロック版のNexus Oneは、契約している会社のSIMカードを差し込むことで、携帯電話として使用できる。例えば、AT&TのSIMカードを差し込むと、AT&Tのサービスを受けることができる。T-Mobile以外に、今年の春からは、Verizonがサービスを開始する。

考察

Googleは、発表記者会見の中で、Nexus OneはAndroid携帯電話のお手本(Exemplar) であると述べている。Androidを搭載した製品は、前述のDroidをはじめとして、その数が増えつつある。しかし、Android携帯電話に対する市場の評価は、あまり芳しくなく、iPhoneが一歩リードしている。Android開発推進者であるGoogleは、スマートフォンのあるべき姿をNexus Oneで実現しようとしている。まだ製品が市場に届いていないが、Nexus Oneについても、評価は分かれている。高速プロセッサーで処理速度が速い点は評価されているが、タッチ・スクリーンなどを含む総合評価では、まだiPhoneがリードしている。

Nexus Oneの発表と同じ日に、AppleはQuattro Wireless (クワトロ・ワイアレス) という、携帯電話向けの広告配信企業を買収することを表明した。この発表はQuattroのブログに掲載されただけで、マスコミには取上げられなかった。この買収は、AppleがGoogleの牙城である広告配信事業に参入することを意味している。事業規模としては、小さな一歩であるが、Appleは携帯電話事業から、広告事業に足を踏み込んだ形となった。一方で、同じ日に、Googleは広告事業から携帯電話事業に足を踏み入れており、両社の縄張りが重なり始めた。これでGoogleとAppleが全面戦争となるというには、時期尚早である。お互いに、本業から離れた副業で、様子見を始めたというのが実態である。アメリカで日本の干支が影響するのかは分からないが、寅年の今年は、両社の事業が大きく変化しそうである。