Archive for April, 2010

小額投資プラットフォーム (DEMO Spring 10より)

Friday, April 30th, 2010

Invested.in (インベスティッド・イン) は、カリフォルニア州サウザンド・オークスに拠点を置く企業で、小額の投資を募るマーケットプレイスを開設して運用している。個人や団体はこのサイトにプロジェクトの概要を掲載し、投資家から資金を募っている。

Invested.inの機能概要

プロジェクト概要が掲載されたページは、下のスクリーンショット (出展はいずれもInvested.in) の通りで、ここにプロジェクトのタイトルとその内容、目標金額、現在までの投資金額、投資募集終了日等が記載される。投資家はこれらのプロジェクトの中から、プロジェクトの内容や投資へのリターンなどを分析し、投資先を選定する仕組みとなる。

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このページのトップに掲載されている「Help us pay for our #DEMOspring10 launch!」というプロジェクトをクリックすると、プロジェクトの詳細が表示される (下のスクリーンショット)。このプロジェクトは、Invested.inのCEOであるAlon Goren (アラン・ゴラン) が実施しているもので、その内容はDEMO Springに出展した経費を補うために、出資者を募っているものである。目標金額は$10,000で、現時点で$7,331の資金が集まっていることを示している。出資者は出資金額に応じて、 Invested.inのロゴ入りTシャツ ($25) などを受け取ることができる。

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考察

Invested.inには、この他に、「Epitaph」 (エピタフ) というプロジェクトが登録されている。Epitaphは、Rodney Smithのクルーが製作しているウェブ向けの映画 (Webisode) で、このプロジェクトでは映画製作の資金として、$5,000を目標に投資を募っている。投資へのリターンは、映画のDVDとニューヨークでの試写会チケットである。オバマ大統領が選挙運動で、ウェブサイトで資金を募り、寄付金の額に応じて、オバマ・グッズを配布していた。Invested.inも同じ発想で、幅広く個人や団体に、このプラットフォームを提供している。Gorenに会社設立の目的など、詳しく話を聞くことができた。Invested.inはGorenが友人と始めたスタートアップで、審査を経てDemoに出展することができた。ここで全米のメディアに知られることになり、事業展開への大きな一歩を踏み出せたと述べた。Demoのように、ベンチャー企業の登竜門が、イノベーションを生み出す役割を担っていることを、改めて実感した。

嗜好を理解するホームページ (DEMO Spring 10より)

Friday, April 30th, 2010

Genieo Innovation (ジニオ・イノベーション) のCEOであるSol Tzvi (ソル・ツァヴィ) は、我々は情報に縛られていると、両手に掛けられた手錠を示して、ステージの上で聴衆に訴えた。(下の写真、出展:Demo)

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Genieoの機能概要

Genieo Innovationは、イスラエルに拠点を置くベンチャー企業で、同名のGenieoというサービスを開発している。Genieoはデスクトップ上のアプリケーションで、ブラウザーに個人向けのホームページ (Genieo Homepage、下のスクリーンショット、出展:Genieo Innovation) を構成する機能を提供している。Genieo Homepageは個人に特化したポータルで、利用者の嗜好に沿ったニュースを配信する。配信されたニュースには、タイトルと概要が表示され、タイトルをクリックすると元のサイトにリンクする。ニュースに対するフィードバックとしてNot Interesting、Block Feedなどのタグがあり、利用者は必要に応じて意思表示を行なうことができるが、Genieoの特徴は、利用者は何もアクションを取ることなしに、読みたい記事が配信される点である。また、Genieo Homepageには、便利なツールが揃っている。Favorite SitesはGenieoが自動で生成するブックマークである。利用者が頻繁にアクセスするページが表示される。Feedsは利用者の好みのRSS フィードで、このリンクをクリックするとニュース・フィードやフォローしているTweetsが表示される。また、Genioeは、iPhone上にGenieo Homepageを表示する機能もあり、上述のサービスをiPhoneで受けることができる。

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Genieoの仕組み

Genieoのブースにて、TzviやJacob Tenenboem (会長、ジェイコブ・タネンボーム) が、Genieoの仕組みについて解説してくれた。Genieoはパソコンや携帯電話などのマルチ・プラットフォームに、Generic Personalization (汎用的な個人化) 技術を開発している。Genieoは、利用者のウェブサイト閲覧履歴などを参照して、利用者の嗜好をモデル化 (User Behavioral Modeling) する。Geneioは、このモデルに沿って、利用者が望んでいるニュースを配信し、利用者が関心を持っているトピックスを表示するとしている。Genieoは、ニュース配信社や広告エージェントが、利用者の嗜好に沿ったニュースや広告を配信することでビジネスを形成すると説明してくれた。最近はGenieoでニュースを読んでいるが、インストールしたソフトウェアで、非常に深いレベルまで嗜好を解析していることが分かる。

遺失物捜査デバイス (DEMO Spring 10より)

Friday, April 23rd, 2010

Phone Halo (フォン・ヘイロー) という会社のCEOであるJacques Habra (ジャック・ヘイブラ) は、ステージで開口一番、「You are all losers」 (あなた達はみんな負け犬だ) と述べて、製品のデモを行なった。

Phone Haloとは

Phone Haloは、カリフォルニア州サンタバーバラに拠点を置くベンチャー企業で、同名のPhone Haloという製品を開発している。Phone Haloはスマートフォンに搭載するアプリケーションと、Halo Device (下の写真でHabraが左手に持っている、消しゴム大のデバイス、出典:Demo) である。

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Halo Deviceを身の回りの忘れ物し易いアイテム (キーチェインや財布など) につけて使用する。Halo Deviceとスマートフォンが設定した距離以上離れると、Halo Deviceとスマートフォンが、両方とも警告音を発する。会社に行くため家を出るときに、携帯電話を忘れた場合は、キーチェインに付けたHalo Deviceから警告音が発せられ、携帯電話を忘れたことに気付く仕組みである。Phone Haloは、無くしたアイテムを探す際にも利用できる。家の中でHalo Deviceを付けたキーチェインが見当らない際は、スマートフォンのFind Buttonを押すと、Halo Deviceから音が出て、場所が分かる仕組みである。反対に、Halo Deviceのボタンを三秒間押し続けると、スマートフォンから音が出て、場所が分かる仕組みである。

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更に、Halo Deviceを街の中の何処かに置き忘れた際は、スマートフォンのGoogle Maps上にその位置を表示する。(上の写真左側、出典:Phone Halo) GPS搭載のスマートフォンが、Halo Deviceの位置を記録しており、最後に両社のコンタクトが途切れた場所をGoogle Mapsに表示して、利用者に遺失物の位置を知らせる構造となっている。

考察

Habraが冒頭に述べた「You are all losers」 とは、みんな持ち物を置き忘れて困った経験があるね、という意味であった。そして、Habraは自分もその一人であると、付け加えた。このステージの後、昼食でHabraと隣り合わせになり、Habraから資金を募った経緯などの話を聞いていた。話しが終わりHabraが席を立ったが、そこに彼の自動車のキーが置き忘れられていた。もうHabraの姿はなく、キーをPhone Haloのブースに届けたというハプニングがあった。出来過ぎた状況であるが現実のシーンで、Habraのような落し物をし易い人物には、Phone Haloは必需品かと意外な局面で納得した。因みにキーにはHalo Deviceは付いていなかった。

iPhoneで契約書に調印 (DEMO Spring 10より)

Friday, April 23rd, 2010

DEMO Spring 2010初日の最初のデモは、ABJK NewCo共同創設者のJoshua Kerr (ジョシュア・カー) が、バットを振り下ろして、ファックス・マシンを叩き割るシーンから始まった。

Zoshというアプリケーション

ABJK NewCoは、テキサス州オースティンに拠点を置き、Zosh (ゾシュ) というiPhoneアプリケーションを開発しているベンチャー企業である。Zoshは、下のスクリーンショット (出典:Apple) 右側のように、iPhone上で契約書に署名できるアプリケーションである。利用者は、iPhone上で契約書をメールで受信し、そのファイルを開いて、署名欄に直接サインすることができる。

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上のスクリーンショット左側の画面で、「Insert Signature」機能を選択し、契約書署名欄に指を当てると、下のスクリーンショットのように、署名用のウィンドウが開く。この横長の大きな画面で、指をペン代わりにして署名をしていく。名前が長くて、この署名用のウィンドウに収まりきらない場合は、画面が右から左にスクロールして、余白が登場する。利用者は、この画面がスクロールする速さを調整することができ、自分の好みの速度で、サインできる仕組みである。この画面で行なった署名イメージが、上のスクリーンショット右側のように、契約書に貼り付けられる。よく見ると、サインが大きくて、調印欄からはみ出しているのが分かる。この場合は、署名イメージの大きさを調整し、更に、これを動かして位置を合わせることができる。

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また契約書に調印日を書き込むには、「Insert Date」という機能を選択し、日付を指定すると、日付イメージが契約書に張り付けられる。調印者の氏名については、「Insert Text」機能を選択して、ソフト・キーボードから入力する。調印が終了した契約書は、PDFファイルとして生成され、これを相手方にメールで送信する仕組みである。

考察

契約調印においては、受信した契約書を印刷し、ペンで署名して、それをファックスで送信しているのが現状である。Zoshを使えば、この一連のプロセスを、すべてiPhoneで実行できる。これにより、契約書調印での手間が省けるだけでなく、紙やトナーが不要となり、省エネでもある。もう面倒なファックスでの送信は不要となり、ファックス・マシンを叩き割って鬱憤をはらし、廃却することができる。iPhone は企業の中で使われ始めているが、Zoshは多くのビジネスマンが欲しいと思っていたアプリケーションである。

Apple iPad販売初日

Sunday, April 4th, 2010

Apple iPadは、今日 (4月3日) から販売が開始された。ウェブサイトの技術関連ニュースは、文字通りiPad一色に染まった。NBCの夕方のニュースでは、iPadの販売開始を大きく取上げ、ニューヨークのアップル・ストアーの大混雑を報道した。ここシリコンバレーでは、パロアルトのアップル・ストアーに、Steve Jobsが顔を出したことが話題となった。

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iPadを使ってみて

私も昼過ぎに、スタンフォード・ショッピング・センターにある、アップル・ストアー (上の写真、出典はいずれもApple) に行き、iPadのデモ機を使ってみた。アップル・ストアーの前には、iPadを試してみたいという人で、行列ができていた。店内中央の長いテーブルには、iPadが20台ほど展示されており、ここで実際に使ってみることができた。iPadの実物は思ったより小さく見え、思ったより重かった。デモ機ではホーム・スクリーンが表示されており、そこで写真アルバム (Photos、下の写真) にタッチして、アプリケーションを起動した。写真はサムネールを重ねて表示され、スタックにタッチすると、写真が画面一杯に表示され、最下部の極小サムネールで好みの写真を選択できる。写真表示の速さは噂どおりで、瞬間的に表示され、デスクトップと遜色ない性能である。

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次に、メール (Mail) を開いてソフトキーボードから入力した。iPhoneに比べて圧倒的に大きなキーボードで、入力操作は大幅に楽になった。デスクトップよりも大き目のキーで使い易い。一方で、キーからの反応が無く、ガラスの板を叩いているようで、慣れるまでに、少し時間がかかりそうである。このメールから自分宛にメールを発信したら、ちゃんと届いており、本文の最後にSent from my iPadと、お馴染みのシグナチャーが入っていた。

NY Timesアプリケーションを起動すると、iPhoneで使っている画面が、iPad中央に小さく表示された。これは、iPhoneアプリケーションをそのままiPadで動かしているためである。iPad右下のx2ボタンにタッチすると、アプリケーション画面の大きさが二倍になり、iPadスクリーン全面に表示された。これでNew York Timesを読んだが、画面が大きくてiPhoneより圧倒的に読み易い。CNN Mobileでは、マルチ・メディアを多用したニュースが表示され、iPadの性能が生かされて快適に読める。YouTubeを起動して、映画のトレーラーを観たが、画面が思った以上に綺麗で、iPadはマルチ・メディア・コンテンツを鑑賞するマシンであると確信を持った。アップル・ストアーを出ると、行列は更に長くなっており、通路の真ん中に中央分離帯ができたように、長く伸びていた。

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iPad向けアプリケーション

App Storeでは、iPad Appsとして、iPadアプリケーションの販売が始まっている。本日の人気iPadアプリケーション第一位は、やはりiBooks (上の写真) で、iPadがAmazon Kindleの脅威となるのは間違いない。二位はNetflixで、iPadが映画鑑賞のためのデバイスとなることを示している。三位はABC Player (下の写真) で、四位はUSA Today for iPadで、五位と六位は気象情報である。

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そして、七位はThe Wall Street Journal (下の写真) 、八位はNYT Editor’s Choice、九位はNPR for iPad、十位はShazam for iPadである。トップ10のアプリケーションは、気象情報も含めて、すべてメディア関連であり、これからのiPadの利用形態を示唆している。iPhoneでは、トップ10のうち九つがゲームであるのに対して、iPadはマルチ・メディア表示装置としての使い方が主流である。ABCのほかにも四大ネットワークや主要ケーブルテレビは、iPadアプリケーションをリリースしている。新聞だけでなく雑誌も、iPadアプリケーションをリリースしている。

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考察

iPad発売において一番驚いたのは、メディアの反応である。iPhoneやGoogle Nexus Oneなどに比べると、iPadの扱いは大きいだけでなく、製品評価が非常にポジティブである。それだけに、アメリカの消費者のiPadに対する期待は、非常に高まっている。多くのアナリストが、この週末のiPad販売台数を予想しているが、Piper Jaffrayは60万台から70万台とみている。iPhoneが27万台であったのと比較すると二倍以上である。

実際にiPadを使ってみて、iPadはマルチメディア表示装置であることを確信し、アップルらしい洗練されたデザインに惹かれた。iPadをテレビに例えると高画質薄型テレビとなる。iPadは映像が綺麗に表示されるのが特長である。iPhoneは小型ブラウン管テレビとなるが、ラジオから劇的な進化を成し遂げた。iPadを使ってみて、iPhoneからのクオンタム・リープはないことも実感した。iPhoneの衝撃が大きすぎたためか、iPadの評価は辛くなってしまうが、iPadは新しい時代を開く製品であることは間違いない。