Archive for February, 2011

Xoomタブレット

Friday, February 25th, 2011

Motorolaは、昨日、Androidの最新版であるHoneycomb (ハニコーム、Android 3.0) を搭載したXoom (ズーム) という名称のタブレットの販売を開始した。Honeycombは、タブレット向けに開発されたOSで、MotorolaがXoomに搭載して、他社に先駆けて出荷を開始した。今まで、スマートフォン向けに開発されたAndroidを搭載したタブレットが、数多く市場に投入されたが、Honeycombを搭載したXoomは、iPadと互角に戦える最初の機種と見られており、その動向が注目されてきた。

g197a_motorola_xoom

Xoomの販売開始

早速、自宅近くのBest Buy (上の写真、出展:VentureClef) という、家電量販店に出向き、Xoomを試して見た。発売翌日で、Xoomのデモ機には行列ができていることを覚悟して、店内に入った。コンピュータ売り場で、ラップトップが並んで展示されている中に、一台だけ、Xoomが置かれていた。 (下の写真、出展:VentureClef) 予想に反して、Xoomの前には、客はだれもいなかった。店舗のスタッフに操作してもいいかと尋ねると、「Go for it!」と、待ってましたとばかり、快諾してくれた。他には誰も客がいなくて、充分Xoomを試してみることができた。

g197b_motorola_xoom

Xoomの概要について

Xoomは、先月、ラスベガスで開催されたConsumer Electronics Show (CES) で、発表されており、その内容は既によく知られている。実際に、自分の手にとって使ってみると、Xoomの形状は、iPadとほぼ同じであるが、Xoomのほうが、少し横長の画面である。上の写真が示している通り、ユーザ・インターフェイスはHoneycombそのままで、Motorola独自のデザインは見られなかった。画面操作やビデオ再生は非常に軽快で、高速プロセッサーの威力を実感した。Xoomは、プロセッサーにNvidia Tegra 2 (デュアル・コア、1 GHz)を搭載し、メモリ容量は32GBである。ネットワークは、Verizonが対応しており、今年の第二四半期からは、LTEでの通信が可能となる。

g197c_motorola_xoom

Xoomを使ってみて、その最大の特徴は、ユーザ・インターフェイスが一新されていることである。前述の通り、Honeycombは、タブレット向けに開発されたOSで、Gingerbread (Android 2.3) やFroyo (Android 2.2) など、スマートフォン向けのOSから、デザインが一新されている。初期画面はHome Screenと呼ばれ、ここにWidgetとApp Shortcutが表示される。上のスクリーンショット (出展:Google) がその様子を示している。画面中央部にカレンダーとGmailのWidgetが表示されており、アプリケーションを開かないで、Widgetにタッチしてメールをスクロールできる。(Honeycombはマルチタスキングで、カレンダーとGmailを同時にスクロールできる。) 画面下部にはApp Shortcutのアイコンが並び、ここからアプリケーションを起動する。画面最下部はSystem Barで、ナビゲーション機能や通知機能を提供している。

g197d_motorola_xoom

Honeycombは、Xoom発売二日前に公開されたオープンソースで、Xoom向けのアプリケーションが、まだ充分には揃っていない。その中で、CNNは、Honeycombのビデオ機能を使ったアプリケーションを開発した。これは、CNN App for Android (上の写真、出展:Android Market) という名称で、利用者は、CNNニュースをタブレットの大型モニターで閲覧し、また、写真やビデオをiReportというサイトに、視聴者が取材したニュースとして投稿できる。他にも、Accu Weather.comという天気予報のアプリケーションがあるが、Honeycomb向けアプリケーションの総数は20本弱といわれている。

市場の反応

Motorolaは、今月始めに行なわれたスーパーボールで、Xoomのコマーシャル (下の写真、出展:YouTube) を60秒間放送した。これは、Appleがマッキントッシュを発売した際に、スーパーボールで放送した「1984」というコマーシャルを連想させる構成となっている。Xoomがタブレットの常識を覆す、というメッセージが込められている。

g197e_motorola_xoom

Xoomはマスコミで話題となっているものの、Motorolaのメッセージとは裏腹に、市場での盛り上がりに欠ける。iPadが発売になったとき、アップル・ストアーに長い行列ができたのと比べると、静かなデビューとなった。

考察

XoomとiPadを比較すると、ハードウェア仕様 (カメラ、プロセッサー、LTEなど) では、Xoomが勝る。OS機能やUIでは、両者互角である。決定的な違いはアプリケーションで、iPadが6万本と先行している。更に、Xoomの価格は800ドル(携帯電話契約無し) と強気の値付けである。これらに加え、個人的には、Appleがデザインする、色調、形状、操作性には、数字で表せないファッション性を感じる。3月2日には、iPad 2が発表されると噂されており、Honeycombタブレットを迎え撃ち、iPadは進化を続けている。

モバイル・プロセッサー

Friday, February 18th, 2011

Nvidia (発音はインヴィディア) は、今週、携帯端末向けのプロセッサーであるTegra (テグラ) の次世代製品を公表した。また、Nvidiaは、この製品のベンチマーク・テストをビデオで公開し、モバイル・プロセッサーの性能が、パソコンの領域に入ってきたことを、強く印象付けた。

Nvidiaについて

Nvidiaは、よく知られているように、グラフィックス処理を中心とした半導体の製造会社である。本社ビルはシリコンバレーにあり、通りを走ると、高速艇の船首を思わせるデザイン (下の写真、出展:VentureClef) が目に留まる。Nvidiaは1993年に創業し、1999年にGeForceというブランドで、グラフィック処理向けのシングル・チップを世に出した。この際に、GPU (Graphics Processing Unit) というコンセプトを発表し、CPU (Central Processing Unit) に対比する言葉として、市場に定着している。現在では、グラフィックス技術以外に、スマートフォンやタブレット向けに、Tegraというブランドで省エネ型のプロセッサーを提供している。

g196a_nvidia_tegra

TegraはARMベースのプロセッサーで、SoC (System-on-a-Chip) 構成をしており、消費電力が小さいというのが最大の特徴である。現行製品であるTegra 2 (下の写真、以下出展はNvidia) は、デュアル・コア構成で、マルチ・タスキングによる高速化を実現している。前述のGeForce GPU機構をチップの中に組み込んでおり、高速でグラフィックス処理を行なうことができる。また、携帯端末でフルHD画像を再生する機能を搭載している。チップの周波数は1GHzで、メモリは最大1GBをサポートしている。Tegra 2は、多くの携帯端末で採用されており、スマートフォンでは、LG Optimus 2Xで、タブレットでは、Motorola XoomやToshiba Tabletなどで使われている。

g196b_nvidia_tegra

Project Kal-Elについて

Nvidiaは、上述の通り、Tegraの次世代ロセッサーの発表を行なった。このプロセッサーはKal-El (キャルエル) と命名され、その概要とベンチマークの様子をブログ (http://blogs.nvidia.com/2011/02/tegra-roadmap-revealed-next-chip-worlds-first-quadcore-mobile-processor/) の中で明らかにした。Kal-Elは、現行のTegra 2の次に位置する製品で、Tegra 3と見られている。また、併せて、Tegra製品ラインのロードマップも明らかにした。Kal-Elは、クアッド・コアのプロセッサーで、周波数は最大1.5GHz。グラフィックス機構には、12コアのGeForce GPUを搭載しており、ビデオのアウトプットはExtreme HDで2560×1600のモニターに対応している。現在サンプリングが行われており、出荷は今年夏の予定である。

g196c_nvidia_tegra

Nvidiaはビデオで、Kal-Elの性能測定の様子を公開している。NVbenchとCoremark 1.0という、ベンチマーク・プログラムが、Androidタブレット上で実行された。NVbenchは、ブラウザーでウェブサイトを閲覧するプログラムで、タブレットにウェブページが表示され、モニター下部には4つのコアのCPU稼働率がグラフで表示された。4つのコアで異なるウェブページが処理され、ウェブページを高速に切り替える様子が実演された。次に、 Coremark 1.0はプロセッサー・コアのベンチマーク・プログラムで、コアの性能を測定するために実施された。上の写真はその結果で、プロセッサーに対応する測定値が、棒グラフで示されている。グラフにおいて、数字が大きいほうが性能が高いことを示している。 この結果、Kal-Elの性能は、Tegra 2の1.94倍で、Intel Core2Duoの1.12倍である。このベンチマークが示しているように、携帯端末のプロセッサーの処理速度は、パソコンで使われるプロセッサーの領域に入ってきた。

トレンド

以前にレポートした通り、MicrosoftのCEOであるSteve Ballmerは、Consumer Electronics Showにおいて、次世代のWindowsは、ARMベースのプロセッサーをサポートすることを明言した。ARMプロセッサーでは、Android、Symbian、iOSに加えて、Windowsが稼動することになる。プロセッサー市場では、Intelが独占的な立場にあるが、スマートフォンやタブレット市場では、TegraをはじめARMベースのプロセッサーが急速にシェアを広げている。更に、上述のベンチャーマーク・テストが示しているように、モバイル・プロセッサーの性能はパソコンの領域に入ってきた。

g196d_nvidia_tegra

Nvidiaは、Tegraを携帯端末向けに提供するだけでなく、今後は、パソコンやサーバー市場に、更には、スパコンの領域に進出しようと目論んでいる。Nvidiaは、先月、Project Denverという、高速サーバ開発プロジェクトの概要を公開した。Project Denverは、ARMベースの高性能プロセッサーを開発するプロジェクトで、省エネ型プロセッサーであるARM技術と、NvidiaのGPU技術を統合して、パソコンからデータセンター、及び、スパコン領域をカバーする技術を開発している。データセンターにおいては、高性能・高集積化が進むに連れて、発熱の問題が緊急の課題になっている。Project Denverは、Intel x86プロセッサーの代替技術として、ARMベースのプロセッサーを高密度に実装し、省エネでスパコン並みの性能を提供することを目指している。Nvidiaは、現在、Teslaというプロセッサーをスパコン向けに供給している。Teslaは中国のShenzhen Supercomputing Centerにおいて、Nebulaeというスパコン (上の写真) で使われている。今度は、ARMベースのモバイル・プロセッサーで、大規模サーバやスパコンの開発に挑んでいる。

スターバックス・カード

Friday, February 11th, 2011

日本が先行している、携帯電話でのNear Field Communication (NFC) 機構を、GoogleやAppleが製品化を急いでいる。スマートフォンによる、アメリカ版のおサイフケータイが登場する日は遠くないが、多くの企業は、今ある技術で小額決済システムを構築している。

Starbucks Card Mobileについて

シアトルに本社を置くStarbucksは、先月から、Starbucks Card Mobileという、スマートフォンによる支払いサービスを開始した。Starbucks Card Mobileは、iPhoneとBlackBerry向けのアプリケーションで、利用者はスマートフォンで支払いができる。

g195a_mobile_starbucks

店舗での会計の際に、このアプリケーションを起動すると、上のスクリーンショット (出展:VentureClef) の左側の画面が表示される。この画面では、カード残高 ($15.00) が表示され、中央右側のTouch to Payボタンを押すと、右側の画面の通り、バーコードが表示される。バーコードが表示されたiPhoneを、リーダーにかざすと、支払いができる。簡単に支払いができるだけでなく、カードに特典が加算される。

Starbucksはこのサービスを全米で展開を始め、近所のStarbucks (下の写真、出展:VentureClef) でもiPhoneで会計をすることができる。支払いカウンターには、レジが二台あり、それぞれ、リーダーが接続されている。店員さんに、Starbucks Card Mobileで支払いを行なうことを告げて、iPhone画面をこのリーダーにかざすと、支払いが完了する。便利なだけでなく、クールな支払い方式で、利用者に人気のサービスである。

g195b_mobile_starbucks

Starbucks Cardの普及

Starbucksでは、多くの利用者は、現金ではなく、Starbucksが発行しているカード (Starbucks Card) を使って、支払いを行なっている。上述のアプリケーションは、カードをiPhoneに格納した構造となっている。利用者は、最初に、カード番号とカードに記載されている暗証番号をアプリケーションに入力する。またStarbucks Cardのウェブサイトで、会員登録しておけば、カードの管理を行なえる。このウェブサイトにおいて、カード残高の照会、カードへのお金の補充、カード間でのお金の移動、また、購入履歴を閲覧することもできる。ウェブサイトで購買履歴を確認しておくことで、不正使用が起こった際は迅速に対応できる。又、iPhoneを紛失したり、盗難にあった際は、新しいカードを発行し残高を新カードに移行してくれる。

Starbucksは、このサービスを開始した理由として、多くの利用者がスマートフォンを持参しており、スマートフォンでの支払いの要求が強くなったことを挙げている。背景には、前述の通り、Starbucks Cardが普及しており、五人に一人がカードで会計をしているという事情がある。また、Starbucksは、スマートフォンでNear Field Communication技術が登場するまで待つ余裕はなく、現行技術を使って、サービスを開始したとしている。

g195c_mobile_starbucks

United Airlinesのモバイル・チェックイン

Starbucks以外にも、スマートフォンを用いた類似のサービスが登場している。United Airlinesは、今年から、iPhoneとBlackBerry向けに、搭乗券を配信するサービスを開始した。利用者は、スマートフォンで搭乗手続ができるようになった。搭乗者は、ウェブサイトにおいて、搭乗24時間以内に、チェックインできる。この際に、搭乗券を印刷して、ゲートに持参し、飛行機に乗っていた。このチェックインにおいて、Mobile Boarding Documentを選択すると、登録しておいたスマートフォンに搭乗券が配信されるサービスである。搭乗券を印刷する手間が省けるだけでなく、省エネでもある。上のスクリーンショットがその様子を示している。左側の画面 (出展:VentureClef) は、iPhoneのGmailにフライト情報を受信したところである。画面中央のGet mobile boarding documentというリンクにタッチすると、右側の画面 (出展:United Airlines) の通り、ブラウザー上に搭乗券とQRコードが表示される。このQRコードで搭乗手続きを行なう。空港においては、まず、セキュリティ・チェックにおいて、係官の前に設置されているリーダーにiPhoneをかざして、搭乗券を読みこませ、確認を受ける。そして、搭乗ゲートにおいては、入り口に設置してあるリーダーにiPhoneをかざして (下の写真、出展:Wayan Vota) 搭乗する手順となる。United Airlinesは全米の62の主要空港でこのサービスを展開しており、ベイエリアでは、サンフランシスコやサンノゼなどで利用できる。

g195d_mobile_starbucks

トレンド

日本では、おサイフケータイで支払いをし、搭乗手続きを行うのが、生活の一部になっているが、アメリカにおいては、上述のサービスは、画期的な出来事である。今後、スマートフォンを利用した、小額決済サービスは、幅広く展開されそうな勢いである。要素技術では、遅れを取っているアメリカであるが、サービス内容を見ると、ITの役割が大きいことが窺える。Starbucks Card Mobileでは、支払い処理はポイント・ソリューションではなく、決済システムというプラットフォームを構成している。将来は、ここでエコシステムが展開できる下地ができている。今後、NFCなどの要素技術の登場により、モバイル・ペイメント市場が急進しそうな勢いである。

モバイル・ペイメント

Sunday, February 6th, 2011

Appleは次世代のiPhoneとiPadで、Near Field Communication (NFC) 機構を搭載すると言われている。NFCとは、近距離の無線による交信で、買い物をした際の会計などで利用される。日本で普及しているおサイフケータイ機能が、iPhone 5とiPad 2に実装されることになる。

iPhoneのおサイフケータイ機能

Appleは次世代製品について、沈黙を守っているが、Bloombergは、11年1月24日付けで、「Apple Plans Service That Lets IPhone Users Pay With Handsets」 (アップルは携帯端末で支払いができるサービスを計画) という記事を掲載した。Bloombergは、Appleは次世代のiPhoneとiPadに、NFCチップを搭載するという見解を紹介した。これにより、近距離 (4インチ程度) の情報交換が可能となり、買い物の決済をiPhoneで行なえることになる。Appleはこのモバイル・ペイメントを、今年から開始する予定で、iTunesを改版してこのサービスに対応すると述べている。また、iAdでの広告配信について、位置情報に特化した広告内容とする計画であるとも述べている。Appleは既にNFCリーダ端末のプロトタイプを製作しており、この端末を低価格または無償で、小売店舗に展開する予定であるとしている。

Google Nexus SNFC機能

NFC機構については、Googleが先行している。Googleは、Android 2.3 (コードネーム:Gingerbread) を搭載したスマートフォンNexus Sの販売を10年12月から開始した。Nexus SはNFC機構を内蔵しており、iPhoneに先行して製品化を行なった形となった。但し現行のGingerbreadは、NFCタグの読み込み機能だけをサポートしており、今後、NFCのフル機能を搭載する予定である。Nexus SはGoogleとSamsungとの共同開発で、プロセッサにはHummingbird (Samsungのチップ、1GHz) を搭載している。

g194a_mobile_payment

GoogleにおけるAndroidの開発は、本社キャンパスのBuilding 44 (上の写真、出展:VentureClef) で行なわれている。ビルの前には、緑色のAndroid人形が立っている。人形の左右には、Androidの版数に対応したオブジェクトが展示されている。写真右端はドーナツで、Android 1.6のコードネームであるDonutを表している。人形の反対側には、右から、カップケーキ (Cupcake:Android 1.5 )、その前にはエクレア (Eclair:Android 2.0/2.1)、人形が手を広げているのが上述のジンジャーブレッド (Gingerbread: Android 2.3)、左端がフローズン・ヨーグルト (Froyo: Android 2.2)である。因みに、今週発表したばかりの、Honeycomb (Android 3.0) は、まだ展示されていない。

NFCの応用事例

Nexus Sは、NFC機構の搭載により、近距離の情報を読み取ることがが可能となった。例えば、利用者がNexus SをNFCタグを内蔵したステッカーなどに近づけると、タグに埋め込まれている情報を読み込むことができる。Googleの会長であるEric Schmidtは、Web 2.0 Summitというカンファレンス (下の写真、出展:O’Reilly Media) で、Nexus Sの実機を使って、NFCを活用したアプリケーションを紹介した。Schmidtによると、NFCの機能を使って、広告配信、クーポン発行、各種プロモーションが可能となり、更に、スマートフォンが、クレジットカードを置き換えることになると述べている。

NFCを使ったプロモーションの事例がGoogle HotSpotである。HotSpotとは、Googleが展開しているレストラン推奨サービスであるが、Portland (オレゴン州) において、このサービスとNFC技術を連携した新サービスの試験運転を始めた。NFCタグを装着した表示板 (下の写真でSchmidtが掲げている白色の表示板) をレストランの入り口に掲示しておき、利用者がNexus Sを赤色のピンに近づけるとレストラン情報やレビューが携帯電話に表示される仕組みである。

g194b_mobile_payment

モバイル・ペイメント市場

いま、ベンチャー企業をはじめとして、様々な企業が、NFC機構を使ったサービスの開発に飛びついている。スタンフォード大学のStanford MobiSocial Lab (モバイルとソーシャル技術の融合領域の研究所) は、Nexus S同士を近づけることで、ファイルの送信やアプリケーションの共用を行なうシステムを開発している。これは、NFC機構を応用したP2P通信で、Nexus S間で写真を交換したり、アプリケーションを共用できる。またPayPalは、NFC技術を使った支払いシステムの開発を進めており、昨年から、Palo Altoにおいて、実証実験を行なっている。利用者は、携帯電話にNFCタグを貼り付けておき、買い物の際にNFCタグをリーダーで読み込ませ、支払いを行なう仕組みである。更にPayPalは、上述のGingerbreadのP2P機能を利用して、スマートフォン同士を近づけることで、両者間で送金を行なう仕組みを開発中である。PayPalは、Googleと共同で、スマートフォンでの決済システムを開発しているとも噂されており、アメリカ版おサイフケータイ事業が本格化しそうである。

GoogleとAppleは、このおサイフケータイ事業に向けて、技術開発を進めているが、そのアプローチは大きく異なる。Googleは、Gingerbreadなどの要素技術を無償で提供し、システム販売ではなく、広告収入でビジネスを構築している。一方、Appleは、iPhoneやApp Storeでのアプリケーションの販売で事業を構築している。Appleはスマートフォンの販売台数では、Androidに抜かれたが、売上高では他社を引き離してトップの座を守っている。前述の通り、Appleは、iTunesを使って、小額決済システムを構築すると報道されている。iTunesには、1億人の利用者が登録されており、これらの会員を対象に、iPhoneでおサイフケータイ事業を展開すると見られている。ウォールストリートでは、AppleはiBankという名前で、金融サービスを展開するとも囁かれている。IT企業から、iPodで音楽市場に入り、iPhoneで携帯電話市場を席巻したAppleであるが、次はアップル銀行として金融市場に参入しようとしているのか、サプライズを予感させる静けさである。