Archive for March, 2011

携帯電話のリサイクル (DEMO Spring 2011より)

Thursday, March 31st, 2011

ecoATM (エコATM) は、携帯電話をリサイクルするための、キオスクである。利用者は、自動販売機で買い物をする要領で、ecoATMで携帯電話を下取りしてもらう。

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ecoATMの機能概要

ecoATMの外観は、上の写真 (出展:DEMO) の通りで、利用者は、キオスクのディスプレーの案内に沿って、操作をしていく。ecoATMのブースにて、実際に、ecoATMを使って、自分のiPhoneを下取りしてもらうプロセスを試してみた。最初に、ecoATMのディスプレーで、操作開始のボタンを押し、次に携帯電話かMP3プレーヤーかの選択ボタンを押した。そして、ディスプレー横のドアを開けて、iPhoneをトレイの上に置いた。ecoATMは、置かれた装置をカメラで撮影し、データベースの中から該当の機種を探し出し、機種名と価格をディスプレーに表示した。ここで、「Apple Original iPhone,,, worth up to $46.00」と機種を正しく判定した。また、価格は最大46ドルとの査定であった。次に、ecoATMは、携帯電話の機種に応じたケーブルをトレイに伸ばしてきた。再び、ドアを開け、このケーブルをiPhoneに接続した。ecoATMは、接続したiPhoneの機能を検証し、正常に動作することを確認した。また、前述のカメラでの撮影において、iPhoneに損傷がないことを確認している。最後に、ecoATMは、下取り価格をディスプレーに表示 (下の写真、出展:VentureClef) し、Cash Outボタンを押すと、紙幣が出てきた。因みに、最終下取り価格は、20ドルとの判定であった。査定価格に不満は残るものの、マシン操作は快適で、ディスプレーの案内に沿って、簡単に使うことができた。

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ブースでは、Drew Spaventaが、ecoATMの開発コンセプトなどについて、説明してくれた。ecoATMは、下取りした携帯電話を、中古市場で販売するか、または、部品回収業者に販売するとしている。大量の携帯電話が販売され、大量の使用済み携帯電話が出ているが、ecoATMは、これらを再利用するエコなサービスである。消費者にとってみると、eBayで販売するより、ecoATMを使うことで、商品発送などの手間が省ける。Spaventaによると、ecoATMは、このキオスクを、家電量販店やショッピング・モールなどに設置する予定である。アメリカ国内では、今年第四四半期からサービスを開始する予定であるとしている。計画停電で電力消費量を抑えることが、国民的な課題になっている中、エコな生活を日常から心がける必要がある。この観点から、ecoATMはヒントとなるアイディアである。

家族のためのクラウド (DEMO Spring 2011より)

Thursday, March 31st, 2011

AboutOne (アバウト・ワン) は、家庭向けのクラウド・サービスで、家族の情報を、一元的に管理する機能を提供している。主に、お母さんが、家族の管理をすることを念頭において設計されているクラウドである。

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AboutOneの機能概要

AboutOneは、家族の健康管理を行い、家計をやりくりするための機能を提供している。上のスクリーンショット (出展:AboutOne) は、AboutOneの初期画面で、ここから、AboutOneの機能を利用する。主な機能は、Family Newsletter (家庭内の掲示板)、Caregiver Report (両親の介護の履歴)、Education History (子供の就学記録)、Home Maintenance (家の改築記録)、Health History (家族の健康の記録)、Capital Gains (固定資産の記録) などである。

具体的には、Health Historyにおいては、家族の健康に関する基本情報を記録する。家族の健康状況や、アレルギー症、処方してもらっている薬、飲んでいるサプリメントを記録する。また、ホーム・ドクターの連絡先や診察予約日、更に、緊急の際の連絡先などを記録しておく。医療保険については、保険証書をスキャナーで読み込んで、ここにアップロードしておく。Health Historyは、家庭における電子カルテの役割を果たしている。緊急の際に、病院などから、Health Historyにアクセスして、治療に必要な情報を取り出す。AboutOneは、このように、病気や事故に備えて、必要な書類を一元管理する機能を提供している。このサービスは有償で、月額5ドルまたは、年間で30ドルとなっている。創設者のJoanne Langは、以前SAPに勤務しており、その時の経歴を生かして、家庭向けのクラウド・サービスを、女性の視点から開発した。

考察

アメリカのメディアは、今週は、リビア軍事介入の報道一色で、地震と津波による被災者の様子は置き去りにされた感がある。多くの人が家族や家を失って、悲痛な生活をしており、地震や津波などの災害に備えたシステムの重要性を再認識する。企業や地方自治体は、システムのバックアップが必須であるが、家庭においても、AboutOneのようなクラウドで、重要な書類 (保険証、契約書、処方箋、免許証、クレジットカード情報など) をバックアップしておく必要がある。非常事態には、スマートフォンから、これらのファイルにアクセスし、病院での治療や、役所での手続きに役立てる。更に、思い出の詰まった写真アルバムを、クラウドに退避しておくことも重要である。普段の生活では気が付かなかったが、家族の写真の多くは、Flickrだけでなく、写真アルバムに大事に収められている。今回の大災害を教訓に、家族向けクラウドで、バックアップ・サービスを準備しておく必要がある。地震国日本としては、民間企業からのサービスの提供が第一義であるが、防災の一環として行政がこれを支援することも検討に値する。

原発事故と米国エネルギー政策

Friday, March 25th, 2011

東北関東大震災で、被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。地震と津波による甚大な被害のほかに、福島原子力発電所での、復旧作業が難航しており、アメリカのエネルギー政策に大きな影を落としている。

GE Mark 1

福島原子力発電所の事故を受けて、アメリカ国内で稼動している原子力発電所の安全性について、一気に疑問が噴出した。NBCやNew York Timesは、事故直後、GE (General Electric) 社製のMark 1という原子炉について、その危険性を指摘した。Mark 1は、1960年代に、GEにより設計された原子炉で、冷却装置が停止し、燃料棒がオーバーヒートすると、原子炉格納容器が破壊される弱点があると報道している。この問題は、1972年から指摘されているが、福島原子力発電所で使用されていることから、再度、注目されることとなった。

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New York Timesによると、Mark 1は、アメリカ国内において、16箇所 (上のグラフィックス、出展:New York Times) で23基が運転されているとしている。国外も含めると、32基が運転されている。GEは、この原子炉を販売する際に、低価格で容易に建設できることをPRしていた。一方、GEはこれらの報道に対して、原子炉に対して必要な補強を実施済みである、とコメントを出している。

危険な原子力発電所

アメリカ国内では、旧式の原子力発電所が、数多く運転されており、その危険性が指摘されている。アメリカ国内で最も危険な原子力発電所は、Indian Point Energy Center (下の写真、出展:Orange County, New York) である、といわれている。この原子力発電所は、Entergy (エンタジー) という電力会社により運用されており、1962年に運転が開始された。現在は、Indian Point 2と3という二基の原子炉が運転されている。

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Entergyによると、福島原子力発電所は、地震ではなく津波による被害だと主張している。原子力発電所は、想定外の地震には耐えており、Indian Pointもこの地区で予想される地震には対応できるとしている。一方、メディアからは、Indian Pointの問題は、事故発生の際の非難区域であると指摘されている。Nuclear Regulatory Commission (NRC、原子力規制委員会) の規定に従って、避難範囲を50マイル (80キロ) と設定すると、ニューヨーク市を含み、二千万人が避難の対象となる。Google Maps (下のグラフィックス、出展:VentureClef) に発電所の位置を表示すると、ニューヨーク市の直ぐ北に位置していることが分かる。Indian Pointは、9/11事件の後、テロ攻撃の対象となる危険性があり、早急に運転を停止すべきとの意見が出されている。

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原子力発電所建設抑制論と推進論

アメリカ国内では、福島原子力発電所事故直後から、オバマ大統領が進めている、原子力エネルギーへの回帰について、賛否両論が激しくぶつかっている。アメリカ議会においては、民主党から、原子力発電所推進について、慎重な意見が出ている。3月17日に開催された、連邦議会委員会公聴会で、カリフォルニア州選出の上院議員であるBarbara Boxer (バーバラ・ボクサー) は、福島原子力発電所の問題の概要が分かるまで、国内の旧式の原子力発電所について、運転を停止すべきだとの見解を示した。一方で、この公聴会において、NRC会長のGregory Jaczkoと、Department of Energy (エネルギー省) 長官であるSteven Chuは、アメリカの原子力発電所は安全であることを強調している。公聴会とは別に、共和党は原子力発電所建設を支持しており、下院議長であるJohn Boehner (ジョン・ベイナー) は、CNBCとのインタビューの中で、日本の原子力発電所事故から学ぶ必要があるとしながらも、原子力発電所建設を推進していく考え方を示している。

オバマ政権のポジション

オバマ大統領は、福島原子力発電所の事故の後も、原子力エネルギー開発の方針を維持している。オバマ大統領は、先に、原子力発電所建設のために、545億ドルのLoan Guarantee (負債保障) を行なっている。また、オバマ大統領は、国民に向けた演説 (下の写真、出展:The White House) の中で、NRCに対して、原発の安全性を再検証するよう指示を出していることを説明した。これを受けてNRCは、Callaway Nuclear Plant (ミズーリ州) など、安全性に懸念のある発電所にスタッフを派遣して、現地での点検を実施している。更に、NRCは、原子力発電所の安全基準の見直しに着手していることを明らかにしている。オバマ大統領としては、原子力エネルギーが、地球温暖化防止に寄与できるだけでなく、アラブ諸国に原油を依存する必要性から開放されるため、エネルギー政策を見直すことは痛手となる。

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調査会社であるPew Researchは、3月17日から20日にかけて、1,004人を対象に世論調査を実施した。これによると、アメリカで原子力発電に反対する人の割合が、前回調査の44%から52%に急増している。テレビのニュースは、福島原子力発電所の建屋が、大きく破損している様子を、連日報道しており、アメリカにおいて、原子力エネルギーに対する反対意見が大勢を占めてきた。今後、事故処理が難航するようであれば、オバマ政権としては、原子力発電への回帰路線を維持するのが困難となってくる。

エネルギー政策

政治を離れ、アメリカの識者の間で、これからのエネルギーはどうあるべきか、議論が活発になっている。もしアメリカが、全ての原子力発電所を停止して、石炭による火力発電に切り替えると、二酸化炭素排出量が14%増加するこという試算がある。火力発電だけに頼るのは、世界の時流に逆行する。それでは、2050年までに、アメリカのエネルギー需要を、全て再生可能なエネルギーで賄うためには、62万台のウインド・タービン (5MW)、14,000箇所の大型太陽光発電施設 (300MW) が必要となり、家庭においては2.6億戸の住宅で、屋根にソーラーパネル(3kW) を設置する必要があると試算している。(「Providing all global energy with wind, water, and solar power」より引用、アメリカ国内のケースに換算)

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世界の流れは、クリーン・エネルギーであるが、これも、今すぐに実現できる訳ではない。その代替案として、Shale Gas (シェール・ガス) を活用する方式が提唱されている。Shale Gasとは、岩石に含まれる天然ガスで、アメリカ国内で大規模な埋蔵量がある。天然ガスの価格上昇と、採掘技術の発達で、Shale Gas事業が進み始めている。また、Shale Gasは石炭に比べて、クリーンに燃焼できることから、次善の策として注目を集めている。長期的には、再生可能エネルギーに移ることは間違いないが、その中継ぎとしてShale Gasが登場し、アメリカ国内でブームを引き起こしている。(上の写真はChesapeake EnergyによるFayetteville Shale (アーカンソー州) での採掘の様子。)

分散型発電技術

以前にもレポートしたが、Bloom Energy (ブルーム・エナジー) は企業向けにFuel Cell (燃料電池) 技術を開発しているベンチャー企業である。Kleiner Perkins Caufield & Byersなどから、4億ドルの投資を集め、役員には元国務省長官のColin Powellなどが名前を連ねている。

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Bloom Energyの製品は、Bloom Boxと呼ばれ、天然ガスを燃料として、クリーンに発電する装置である。上の写真 (出展:Bloom Energy) は、eBay本社に設置されているBloom Box (黒っぽい箱の部分) である。他にも、GoogleやAdobeなどで導入されている。これらの企業は、二酸化炭素排出量を抑制するために、Bloom Boxを導入している。Bloom Energyは、電力会社の集中型発電から、分散型発電(Distributed Generation) に変えることを提唱している。分散型発電とは、電力消費地で発電する方式で、電力送電のためのインフラが不要となる利点がある。福島原子力発電所事故による計画停電対策として、従来のディーゼル発電に加え、Fuel Cellの導入も、遠い先の話ではなくなってきた。アメリカにおけるエネルギー政策論は、切り札はなく、現行技術を組み合わせて進んでいる。国難を切り抜けるためには、斬新な技術が必要で、日米両国ともその実力が試されている。

オバマ政権の大地震への対応

Friday, March 18th, 2011

東北関東大震災では、日が経つに連れて、その規模の大きさに驚かされた。皆様のご家族、また、会社の方々は大丈夫でしたでしょうか。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。

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アメリカ・メディアの反応

地震と津波の様子は、アメリカのメディアで克明に報道され、人々は被害の甚大さに驚いた。一方、今は福島原子力発電所の災害の様子が、ニュースの主流となり、アメリカ人の関心は、原子力発電の安全性問題に集中している。被災地への支援活動は始まったばかりで、多くの人が助けを求めているが、アメリカでのニュース報道は、原子力発電所事故一色になっている。更に、事故を起こした原子炉と同じモデルが、アメリカ国内でも稼動しており、旧式の原子炉は停止すべきという意見が強まっている。オバマ大統領は、Green Economyとして原子力発電への回帰を決めたが、アメリカのエネルギー政策は見直しを迫られている。原子力発電所の事故は、日本の問題だけでなく、アメリカにとっても喫緊の課題となっている。

アメリカの主要ネットワークは、看板キャスターを日本に派遣して、東京から、原子力発電所事故のニュースを放送している。CNNは、戦争や災害現場からの中継を手掛ける、Anderson Cooper (アンダーソン・クーパー、上の写真、出展:CNN) が、東京から刻々と最新ニュースを送っている。地震発生当初は、津波による被害の惨状や、これに立ち向かう日本人の様子を報道してきたが、今では、原子力発電所のレポート一色である。CNNは、福島第一原子力発電所1号機と3号機の水素爆発の様子を、繰り返し放送し、専門家の解説を交えながら、事態が危機的な状況にあることを報道している。黒煙を上げて爆発する3号機のイメージが、アメリカ人の頭に焼きついた。

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オバマ大統領の対応

オバマ大統領は、地震発生直後から、日本への支援を表明し、国民に救援活動や復興のために、寄付をすることを訴えている。ホワイトハウスのウェブサイトでは、Foreign Policyの中に「Japan Earthquake and Tsunami」という項 (上のスクリーンショット、出展:The White House) を設けて、日本の災害に関する情報を発信し、日本への支援を呼びかけている。オバマ大統領の対応が一変したのが、3月17日である。この日、オバマ大統領は、「We Will Stand with the People of Japan」 (我々は日本の人々を支える) という演説を行なった。この演説は、アメリカ国民に、日本への援助活動の様子と、原子力発電所で起こっている問題を、説明する目的で行なわれた。更に、オバマ大統領は、アメリカ国内で多くの原子力発電所が稼動しているが、安全であることを強調し、Nuclear Regulatory Commission (NRC、原子力規制委員会) に、災害が発生した際の安全性を再検証する指示を出したことを説明した。オバマ大統領の異例の演説は、アメリカ国内で広がっている動揺を抑えることにあるが、アメリカ政府が事態の重大性を格上げしたことを窺わせるものである。

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原子力発電所事故の査定

その前日、3月16日に、NRCの会長であるGregory Jaczko (グレゴリー・ヤズコ) は、連邦議会の委員会公聴会で、原子力発電所事故について報告している。公聴会では、事故の現状と分析が報告され、これをアメリカで稼動している原子力発電所に、如何に反映すべきかが議論された。NRCは、アメリカ政府の独立機関で、1975年に設立され、現在では、原子力発電に関する安全性の管理を行なっている。また、NRCは、独自の調査で、福島原子力発電所からの、放射性物質の拡散の査定を公表している。NRCは、原子力発電所から50マイル (80キロ) 以内は退去するように勧告 (上のスクリーンショット、出展:NRC) している。その根拠は、人体が被曝できる放射性物質の許容量は1 rem (10 ミリ・シーベルト) であるとしている。日米間で退避勧告の距離が違う点について、メディアから追求されると、NRCはアメリカ国内の基準に準拠しており、日本政府の判断は理解できると、苦しい答弁で日本政府を擁護している。

アメリカ国内では、福島原子力発電所の放射性物質が、ジェットストリームに乗って、アメリカに到達することを恐れている。オバマ大統領の演説や、テレビのニュースで繰り返し、放射性物質は拡散して、アメリカにはまったく影響がないことを説明しているが、多くの人が薬局でPotassium Iodide (ヨウ素剤) を買い求めている。アメリカ国内の環境問題を担当しているEnvironment Protection Agency (EPA、環境保護庁) は、福島原子力発電所での事故を受けて、放射性物質の観測地点を、アラスカやハワイなど、7箇所を増設した。EPAは、従来から、全米100箇所余りで、大気中、飲料水、ミルクなどに含まれる放射線量を測定をして、ウェブサイトで公開している。

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EPAのウェブサイト (上のスクリーンショット、出展:EPA) にて、Google Maps上に示された観測点をクリックすると、ほぼリアルタイムで放射性物質の量を閲覧できる。また過去の測定データも検索できる。因みに、3月19日のサンフランシスコでの観測データを見ると、ベータ線及びガンマ線を放出する放射性物質の数量はほぼゼロで、事故の影響は全く見られない。この放射線観測ネットワークは、アメリカが核実験を始めた際に構築された冷戦時代の遺物であるが、今回の事故では、貴重なツールとなっている。

国防省の支援活動

国防省は、地震と津波による被災者救済のために、日本の自衛隊の活動をサポートする形で、救助活動を展開している。この任務には、アジア・パシフィック地域で展開しているPacific Command (PACOM) が従事している。PACOMはこの任務を「Operation Tomodachi」(友達作戦) と命名し、地震発生直後から救援活動を展開している。この作戦で展開している艦船は、Ronald Reagan (空母)、Cowpens (巡洋艦)、Tortuga (揚陸艦)、Essex (揚陸艦) 等である。

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上の写真は、指揮艦であるBlue Ridgeで、シンガポールから被災地に向けて、北上している様子である。この写真は、FacebookのBlue Ridgeのページから引用した。Facebookのページには、任務に当たる兵士に、様々な人から激励のメッセージが届いている。PACOMによる救援活動は、ウェブサイトやFacebookやFlickrなどで紹介されている。アフガニスタン・イラン戦争で、世界から非難を受けているアメリカ軍であるが、ソーシャル・メディアを利用して、PR活動に力を入れ、人気回復を目指している。

国防省の放射能対策

国防省の発表によると、U.S Northern Command (アメリカ本土を管轄する部隊) から、9人の放射線専門要員が日本に派遣され、更に、450人の放射線対応部隊が待機しており、必要に応じて展開するとしている。被災地で展開している隊員は、Dosimeter (放射能吸収量測定装置) を携帯しており、隊員が被曝した放射線量を測定している。更に、この部隊はヘリコプターや飛行機に測定器を搭載し、放射線量をモニターしていると公表している。

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また、国防省は、RQ-4 Global Hawk (上の写真、出展:Department of Defense) という無人偵察機を、Andersen Air Force Base (グアム) から展開していると表明している。Global Hawkは、被災地の様子を高高度から高解像度の写真撮影を行なうことができ、ほぼリアルタイムで災害の様子を把握できる。Global Hawkは、イラクやアフガニスタンで軍事目的に使用されているが、ハイチ大地震から、災害復興のために利用されている。更に、U-2偵察機が、Osan Air Base (韓国) から展開しており、被災地の写真撮影を行なっている。

NBC Newsは、原子力発電所からの放射能について、WC-135 Constant Phoenix (下の写真、出展:Department of Defense) により測定されると報道している。WC-135は、Offutt Air Force Base (ネブラスカ州) を飛び立ち、日本に向かっているとしている。WC-135はBoeing 707を改造したもので、放射性物質を測定する機能を持っており、チェルノブイリ原発事故の後に投入され、大西洋上の放射線量をサンプリングした。また、最近では、2006年と2009年の北朝鮮の核実験による放射能を測定するために飛来している。PACOMは、独自のネットワークと機材で、放射性物質拡散のモニタリングを行なっている。

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民間企業からは、衛星写真を使って被災地や原子力発電所をモニターしている。Digital GlobeはLongmont (コロラド州) に拠点を置き、衛星からリモート・センシングを行なっている。この画像は、Google EarthやMapsなどで使われている。Digital Globeは、同社のウェブサイトで「Japan Earthquake and Tsunami」と題して、災害の状況を時系列に掲載している。この中には、福島原子力発電所の建屋の様子を高解像度で捉えて、一般に公開している。非常事態になってみると、危機管理技術はアメリカに依存していることに気付く。安全を担保するためにも、日本の独自技術が必要と痛感する。

エネルギー政策論と情報の透明性

福島原子力発電所の事故を受けて、ドイツや中国では、原子力発電所の建設を停止するとの報道があり、世界のエネルギー政策が変わりつつある。アメリカも同様に、今後のエネルギー供給はどうあるべきかの議論が、一斉に沸きあがった。アメリカの場合は、ドイツのように明快ではなく、原子力発電所建設反対派と推進派が拮抗しており、様々な議論が起こっている。ざっくり表現すると、リベラル派は、従来から原子力発電の危険性を指摘しており、今回の事故を切欠に、原子力発電への回帰を中止すべきとしている。保守派は、BPのメキシコ湾での原油流出事故で、沿岸での採掘が停止となったうえに、原子力発電所の建設も中止すると、アメリカ経済への打撃が大きすぎると主張している。アメリカ国内では、両陣営とも、日本で発生した原子力発電所の事故に、衝撃を受けている。原爆の被爆国である日本は、原子力に対する安全性に、世界で一番敏感である。世界最高の技術を持っている日本が、原子力発電所を安全に運転できないことは、アメリカのリベラル派と保守派に、一様に衝撃を与えている。

これからアメリカのエネルギー政策論を展開していく上で、原子力発電所事故のデータが鍵を握る。事故が発生した原因、その対応策と結果、更に、放射能汚染の範囲や影響など、様々なデータが必要となる。オバマ大統領が進めている、Open Governmentをヒントに、菅内閣は、国防上の機密情報を除いて、全てのデータを開示する必要がある。これらのデータをマシンリーダブルとして、APIを公開し、各国の政府関係者だけでなく、一般市民にも公開すべきである。具体的な方法はともかく、政府関係者の人員は限られており、市民の優秀な頭脳も利用して、対応策やこれからのエネルギー政策を議論する必要がある。まだ数多くの被災者が、今日の食べ物と薬を求めているときに、明日のエネルギーを議論するのは心苦しいが、復興に向けて、日本の優秀な技術力を活用するときである。

消防署と市民の連携

Friday, March 11th, 2011

大地震での被災の様子をリアルタイムで見ると、防災のありかたや救助の仕組みについて、考えさせられるところが多い。救助活動の新しい方式として、サンフランシスコ近郊の消防署の事例を考察する。

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San Ramon Valley消防署

San Ramon Valley (サン・ラモン・バレー) 消防は、イーストベイの地域を管轄しており、San Ramonという街を中心に、隣接する街を加え、17万人の住民にサービスを展開している。上の写真 (出展はいずれもSan Ramon Valley Fire Department) は、消防署の司令室で、緊急事態へのディスパッチを行なっている様子である。この地域はシリコンバレーのベッドタウンであり、また多くの企業が事業所を構えている場所でもある。San Ramon Valley消防は、10箇所に消防署を構え、消防車、はしご車、救急車などを配備し、200人のスタッフで運用している。この消防署は、「Fire Department」という名称のiPhoneアプリケーション (下のグラフィックス) を開発し、話題となった。このアプリケーションは、消防署の活動をリアルタイムで閲覧できる機能に加え、市民と協調して、救助活動を行なう機能も備えている。アプリケーション利用者の中で、CPR (心肺蘇生法) の技術がある人は、ボランティアとして登録し、CPRを要する緊急事態の際には、消防署は救急車を発進させると供に、近辺にいるボランティアにアラート (左側の画面) を送信する。アラートを受信したボランティアは、その現場とAED (自動体外式除細動器) の場所を地図 (右側の画面) で把握し、現場に急行して救命処置を行なう。心臓発作を起こした人への救命措置は、六分以内に行なう必要があり、現場近くにいる人の援助が、非常に有効な手段となっている。

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考察

このアプリケーションはSan Ramon Valley消防が主導して、大学の学生によって開発されたものである。また、システムの運用は、Workdayのデータセンターを使っている。Workdayとは、人事管理クラウドを開発しているベンチャー企業である。同社のCEOであるDave Duffield (PeopleSoft創設者) は、無償でコンピュータ・リソースを消防署に提供している。テレビ番組の中で、消防所長であるRichard Priceは、このアプリケーションは、消防と市民が協力して、心臓発作を起こした患者を救う試みであると述べている。ボランティアとしては、責任の重い任務となるが、限られた予算で運用している消防を、市民が手助けを行なうという構造はヒントとなる。地震などの災害が発生した際の救助活動に、被災を免れた近辺の市民やボランティアが、それぞれの特技を生かして、参加するモデルを検討してみる価値がある。