Archive for May, 2011

自動車運転スタイルと都市計画 (Green:Net 2011より)

Thursday, May 26th, 2011

サンフランシスコで開催されたGreen:Net 2011のBig Ideasというセッションにおいて、自動車が環境に及ぼす影響を、iPhoneを使って計測し、それを都市計画に役立てる技術が紹介された。

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Virtual Vechicleというベンチャー企業

Virtual Vehicle Coは、Berkeley (カリフォルニア州) に拠点を置き、自動車向けのクリーン・エネルギー技術を開発しているベンチャー企業である。カンファレンスでは、同社創設者であるLaura Schewel (ローラ・シュウェル) が、Virtual Test DriveというiPhoneアプリケーションを紹介した。利用者は、このアプリケーションを搭載したiPhoneを持って自動車を運転すると、アプリケーションは、利用者の運転ルートや立ち寄った場所などをトラックする。iPhoneは、これらのデータをサーバに送信し、システムは利用者の運転スタイルなどを把握することができる。利用者は、運転後に、My Vehicleというウェブサイト (上のグラフィックス、出展はいずれもVirtual Vehicle Co.)  にアクセスすると、自分が運転したルートを地図上で見ることができる。また、利用者は、画面左側の電気自動車やハイブリッド車のアイコンをクリックすると、自分の車と指定した車の運転コストや二酸化炭素排出量を比較できる。上のグラフィックスが、その様子を示しており、利用者は、San JoseからBerkeleyまで、44マイルを走行している。もし利用者が、Chevy Volt (電気自動車) で走行すると、二酸化炭素排出量はNewarkまでの13マイル分 (灰色の線) で、70%削減できることを示している。これらの情報を元に、Virtual Test Driveは、利用者に最適な電気自動車やハイブリッド車を推奨する仕組みである。

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Virtual Vehicleは、更に、これらのデータを社会基盤整備に利用することを計画している。VV Communityというサービスでは、地域利用者のデータを集約して、その地域の運転者の運転特性を把握する。この情報を元に、地域の社会インフラ (電気自動車の充電ステーション施設など) の整備に利用する。上のグラフィックスにおける赤色の点は、今後、ハイブリッド車が増える地区を示している。また、VV Impactというサービスでは、利用者が電気自動車を購入した際に、社会インフラにどのようなインパクト (運転ルートや充電ステーション利用予測など) があるかを予測する。ガソリン車と電気自動車では、運転パターンが異なると予想されるため、自治体などは、これらの情報を元に、今後の都市計画に役立てる。Virtual Vehicleは、運転者者の位置情報という、個人のプライバシーの保護に配慮しながら、システム開発を行なっている。自動車がクラウドと連携することで、環境保全に寄与するソリューションが登場している。

インテリジェントな電力管理 (Green:Net 2011より)

Thursday, May 26th, 2011

サンフランシスコで開催されたGreen:Net 2011では、Big Ideasというセッションにおいて、ベンチャー企業が、次世代の省エネ技術を披露した。その中で、BuildingIQ (ビルディングIQ) という企業は、オフィスビルの節電をインテリジェントに行なう技術を紹介した。

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BuildingIQのソリューション

BuildingIQは、オーストラリア国籍のベンチャー企業で、CEOであるMichael Zimmerman (マイケル・ジマーマン) が、同名のBuildingIQという製品を紹介した。BuidlingIQは、ビル管理システムとリンクして、空調設定をインテリジェントに行い、節電を行なうソフトウェアである。空調の様々な設定において、その日の天候や、時間ごとの電気代単価を考慮して、最小の電力で、効果的に空調を行なう機能を提供している。また、Demand Response機能を搭載しており、電力会社から、ピーク時の節電要請があれば、それに対応した空調設定を行なう。上のグラフ (出展はいずれもBuildingIQ) が、その様子を示している。青色の実線は、従来の電力消費量を示している。赤色の実線が、BuildingIQ導入後の電力消費量を示している。BuildingIQは、早朝、外気の気温が低い時は空調を切り、また、午前中は外気の温度上昇に併せて、徐々に空調のパワーを上げていく。電力会社から、電力需給が逼迫して、電力使用量を抑制するよう指令があると、事前に空調パワーを上げて、充分に冷却しておいて、ピーク時には空調のパワーを大幅に落として運転する。Demand Response方式で、ピーク時の消費電力抑制に、大きく貢献することができる。

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BuildingIQは、ビル管理システムに、人工知能を付加した構造となっている。BuildingIQは、ビルのエネルギー特性 (冷房効率など) を学習し、外的要因 (天候、電気代単価、Demand Responseなど)、及び、内的要因 (温度設定、社員の反応など) を入力として、動的に空調の運転状態を調整する。つまり、事前に設定した条件 (室温26度など) を達成するために、最小の電力で運転できるポイントを探し出す。システム構成は上のグラフィックスの通りで、BuildingIQを既存の空調システムと接続し、計測されたデータを、インターネット経由で、BuildingIQクラウドに送信し、最適化エンジンを実行して、その情報をビル管理システムにフィードバックする。ソフトウェア技術が、節電に貢献し始めた事例である。

ピーク電力抑制ネットワーク

Thursday, May 19th, 2011

アメリカ国内では、伸び続ける電力使用量に、電力供給量が追いつかづ、しばしば夏場に停電が発生する。アメリカの電力会社は、夏場のピーク電力抑制のための解を探っており、ベンチャー企業をはじめ多くの企業が、この問題に挑戦している。

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EnerNOCという企業

この分野でトップを走っているのが、ボストンに拠点を置く、EnerNOC (エナノック) という企業である。EnerNOCは、Demand Responseという方式で、ピーク電力を抑制する技術を開発し、アメリカ東部地区を中心に、サービスを展開している。利用者は、企業や自治体で、EnerNOCは顧客サイトに専用サーバを設置して、オペレーション・センター (上の写真、出展:EnerNOC, Inc.) で、電力使用量をリアルタイムにモニターする。EnerNOCは、電力会社と連携して、このサービスを展開しており、夏場の暑い日に、電力需給が逼迫すると、電力会社から、その通知を受ける。EnerNOCは、通知を受信すると、今度は、これを顧客に連絡する。最終的に顧客が、この情報を元に、節電を実施するという仕組みである。電力会社は、電力ピーク時の節電の対価として、EnerNOCに報奨金を支払い、EnerNOCは、その一部を顧客に還元するという構造である。

EnerNOC導入事例

ボストン市 (下の写真、出展:City of Boston) は、EnerNOCのサービスを使って、ピーク時の電力消費量を抑制するプログラムを実施している。ボストン市の市庁舎、警察署、学校、図書館などを対象に、トライアル・プログラムとして、このサービスを開始した。電力会社が、電力需給逼迫のアラートを発令すると、ボストン市の対象施設は、EnerNOCから連絡を受け、事前に設定した手順で、節電プログラムを起動する。また、EnerNOCは、これらの施設について、24時間体制で、電力使用量を監視している。EnerNOCのサービスは、多くの企業や自治体で使われており、EnerNOCはこれら顧客をネットワークで結んで、最適なスケジュールで節電を指示している。ボストン市の各部門が、このプログラムに加入することを決めたのは、節電することにより、支払いを受けることができるためである。また、ボストン市として、このプログラムの採用を決定したのは、節電することで、市内での停電を防ぎ、市民や産業のために、安定した電力供給に寄与するという意図もある。

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アメリカの電力事情

EnerNOCは、2001年に、ベンチャー企業として創業し、2007年には、Nasdaqに上場している。EnerNOCは、ピーク時の電力使用抑制サービスの他に、顧客サイトにて省エネ・プログラムを展開したり、二酸化炭素排出量の管理などを行っている。アメリカは、電力使用量が、今後10年間で18%増加するが、電力供給量は8%の増加に留まると予測されている。このため、電力供給量の拡大が大きな課題であり、電力が慢性的に不足している。特に、夏場のピーク時の電力使用量の抑制が、喫緊の課題となっている。電力会社としては、大規模な投資を必要とする発電所の建設より、節電のためのシステム開発に力を入れている。このシステムの代表がDemand Responseである。

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Demand Responseとは、電力会社から発信される情報 (電力需給逼迫のアラートや電力需要ピーク時に設定されている高い電力料金単価) に応じて、消費者が電力消費量を削減する方式ある。上のグラフ (出展:EnerNOC, Inc.) は、Demand Responseの運用状況を示している。赤色のグラフは、利用者施設での、電力消費量を示している。この例では、利用者は午後1時過ぎに、電力会社からNotification (電力需給逼迫のアラート) を受信し、節電モードに切り替えている。午後2時過ぎに、ピーク電力抑制が開始され、午後6時過ぎに解除となっている。ピーク電力抑制が解除されると、利用者は、節電モードから通常モードに切り替えている。この事例では、電力ピーク時に、30%以上の節電を行なっており、電力使用量の抑制に貢献している。

プログラム参加のインセンティブ

消費者としては、Demand Response方式の節電プログラムに参加する理由は、経済的なリターンにある。ピーク時に電力消費量を抑制することで、報奨金を受け取ることができるためである。消費者が、節電した電力量は、Negawatt (ネガワット) と呼ばれている。Negawattは、Meagwatt (メガワット) の裏返しという意味があり、Megawattが発電量を示し、Negawattは節電量を表している。節電量は、勿論、実測することはできないので、ある仮定のもとで算出した値となる。いま、アメリカ国内で、Negawattの価値についての議論が進行中である。節電した努力をどう評価すべきか、議論されている。Federal Energy Regulatory Commission (電力・ガス売買を統制する連邦政府機関) は、Negawattは、Megawattと等価であるという指針を示している。つまり、節電した消費者には、その量に応じて、電気料金単価で支払いをおこなうべきであるとしている。Demand Response方式での節電事業への追い風になると期待されている。

考察

東京電力管内では、この夏は、一律に15%の節電が求められている。今は緊急事態で、国を挙げて、この目標にまい進するしかないが、これを長期的に継続するためには、システマティックなアプローチが必要となる。利用者が節電を行なうためには、電力使用量を把握でき、かつ、上述の節電に応じたインセンティブが必要となる。消費電力の可視化と、Negawattの評価が必要となる。多大な努力を重ね大量の電力を節約した企業と、そうでない企業が同等に扱われるのでは、公平性に欠ける。今年の夏を切欠に、日本においても、節電のための公式プログラムを導入する必要があると思われる。

次世代のスマートグリッド (Green:Net 2011より)

Thursday, May 12th, 2011

サンフランシスコで開催されたGreen:Net 2011では、カンファレンスを通して、次世代のスマートグリッドのあるべき姿が議論された。アメリカにおいてスマートグリッドのインフラが整備される中、いま求められているのは、スマートグリッドのユーザー・アプリケーションである、というのが議論の結論であった。

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Pacific Gas and Electricの事例

アメリカ国内において、スマートグリッドの施設が進んでおり、利用者が実際にその機能を使って、消費電力を把握できるようになってきた。北カリフォルニアにおいても、各家庭にスマートメーターの設置が進み、その利便性を体験できるようになった。同時に、スマートメーターに不足している機能も明らかになってきた。北カリフォルニアにおいては、サンフランシスコに拠点を置く、Pacific Gas and Electric (PG&E) が、電気とガスを配給している。PG&Eは、2009年から、電気とガスのスマートメーターの設置を開始し、2012年末までに1000万個を設置する予定である。2011年3月時点では、770万個の設置が完了し、作業は順調に進んでいる。ここMountain Viewでは、2010年12月に、スマートメーターの設置が行なわれ、家庭で使用している電力とガスの状況を詳細にモニターできるようになった。上の写真 (出展:VentureClef) は、設置されたスマートメーター (電気用) である。デバイスはGeneral Electric社製で、内部に無線通信機構を持っており、測定したデータを近くのアクセスポイントに送信する。このネットワーク関連機器を提供しているのが、Silver Spring Networksという大手ベンチャー企業である。システム・インテグレーションは、IBMなどが手掛けている。PG&Eが設置しているスマートメーターは、このGeneral Electric社製と、Landis+Gyr (ランディス・ギア) 社製の二種類がある。

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これにより、我々利用者は、PG&Eのウェブサイト (My SmartMeterという名称) で、家庭で消費した電力・ガスの状況を監視することができるようになった。Usage Historyで、電力・ガスの月毎の使用量、使用料金、一日の平均気温、一日あたりの使用量等、過去のデータを閲覧できる。Hourly / Daily Usage (上のグラフィックス、出展:VentureClef) では、時間毎、日毎の電力消費量と料金を見ることができ、家庭における電力消費パターンを理解することができる。

Demand Response

スマートメーター設置に伴い、柔軟な価格体系が導入された。これから夏場に向かう中で、ピーク時の電力消費を抑制する、価格政策が施行されている。これは、Summer Pricing Planと命名され、夏場 (6月から9月) の間、電力需給に応じて、特別価格を設定している。この期間、利用者は、電力需給が逼迫すると予想される日 (SmartDayと呼んでいる) の前日に、PG&Eから、アラートを受信する。SmartDayでは、ピーク時間帯 (14時から19時) に、電力を使用すると課徴金が課される仕組みである。課徴金は、基準価格の部分で、$0.60/kWh (48円/kWh) である。基準価格は$0.12/kWh (9.7円/kWh) 程度であるので、5倍の料金を支払うことになる。この代わりに、利用者は、SmartDay以外の日には、基準価格で、$0.02992/kWh (2.4円/kWh) 程度の値引き (25%の値引率) を受けることになる。Summer Pricing Planには、任意で加入でき、参加者はピーク時には省エネに勤め、節電と供に料金が安くなることを目指す。このように、電力会社の電力供給量に応じて、消費者が電力消費量を調整する方式を、Demand Responseと呼んでいる。現在は、機械化されていないマニュアル方式であるが、今年の夏からのスタートとなる。

スマートメーターの将来計画

スマートメーターが導入されて、消費者は、電力・ガスの消費量をリアルタイムで監視でき、省エネのための大きな一歩となった。一方で、マニュアル方式のDemand Responseでは、上述の通り、利用者の能動的な関与がないと節電が実現できない。これを、機械化して、消費者への負担無しに、エネルギー管理を行うというのが、PG&Eが示しているロードマップである。PG&Eが設置したスマートメーターは、利用者の家庭でのネットワーク (Home Area Network (HAN)) と、無線で交信できる機能を既に搭載している。スマートメーターとHANを結ぶことで、電力・ガスの使用量を、家庭に設置しているディスプレーに表示できる。また、スマートメーターを空調サーモスタットと連動 (下の写真、出展:Xcel Energy) させると、上述のDemand Responseを機械化でき、SmartDayには、自動で温度設定を変更できる。他に、スマート家電との連動を計画しており、家全体で省エネ・システムが出来上がる。

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トレンド

日本は、電力配信網が近代的で、スマートグリッドを導入するインセンティブは少ない。また、日本は、電力供給量が充分で、スマートメーターを設置して、節電を行う必要性は薄かった。しかし、福島原子力発電所事故を受けて、夏場には電力需給が逼迫してくる。更に、浜岡原子力発電所の停止や、エネルギー政策見直しに伴い、節電のためのシステムが喫緊の課題になっている。スマートグリッドの導入には、時間と費用がかかり、今年や来年の節電対策とはならないが、中期レンジでのエネルギー管理システムとして、再考する時期に差し掛かっている。スマートグリッドは、情報通信技術を統合したシステムであり、日本のIT企業にとって、実力を発揮できる場でもある。いま多くのベンチャー企業が、上述のキラーアプリを開発しており、大きく動きそうな市場でもある。

スマートシティ (Green:Net 2011より)

Thursday, May 5th, 2011

情報通信技術を活用した、クリーン・エネルギー動向についてレポートしているが、今回はCiscoが推進しているスマートシティについて、アメリカの最新事例を分析する。サンフランシスコで開催されたGreen:Net 2011では、スマートシティのコンセプトや技術について、幅広く議論された。

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スマートシティ

カンファレンスにおいて、Ciscoの副社長であるMarthin De Beer (マーシン・ディビアー) が、Ciscoが展開しているスマートシティについて、デモを交えながら解説した。Ciscoはスマートシティを、「Smart + Connected Cities」と命名している。これは、人やサービスや施設や情報をネットワークで結び、統合したソリューションを提供することを意味している。Ciscoは、同社が提供している通信、ソフトウェア、センサー技術を活用して、ネットワーク化された都市が実現できるとしている。Ciscoは、2009年5年には、スマートグリッド市場に参入しており、スマートシティと供に、クリーン・エネルギー市場で存在感を増してきた。

前回のレポートでも触れたが、Ciscoはアメリカ国内で、スマートシティを展開している。これは、Envision: Charlotte (エンビジョン・シャーロット) というプロジェクトで、Charlotte (ノースカロライナ州) 市、及び、電力会社であるDuke Energy (デューク・エナジー) と共同で、省エネ型の都市の建設を進めている。プロジェクトでは、2015年までに、市のエネルギー消費量を20%削減することを目標にしている。このプロジェクトは2010年9月に、Clinton Global Initiativeで発表 (上の写真、出展: Envision: Charlotte) された。Clinton Global Initiativeとは、クリントン元大統領が主導する活動で、世界が直面している問題 (エネルギー、女性の社会進出、就職問題など) への対応策が協議され、問題解決に向けた活動が続けられている。

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Envision: Charlotte概要

Envision: Charlotteでは、ビルのエネルギー管理を中心に、省エネ技術を展開している。ビルで消費する電力を、Demand Responseの手法や、利用者の挙動を把握して、低減させることを目指している。Demand Responseとは、スマートグリッドと連携し、電力会社からの電力供給量に応じて、消費電力量を調整する方式のことである。電力需給が逼迫することが予想されると、利用者側が電力使用量を低減させる措置を取る。これにより、電力会社としては停電を防ぐことができ、利用者としては電気料金単価が下がるなどのインセンティブを受ける。具体的には、オフィス内で、電話、パソコン、その他機器をネットワークで接続し、利用者に省エネを強いることなく、自動で節電できるように設計されている。上の写真左側 (以下出展はいずれもCisco Systems, Inc.) はビルのロビーに設置してあるデジタル・サイネージで、電力会社(Duke Energy)から電力供給についての情報が表示されている。

デジタル・サイネージは、利用者に対して電力需給についての情報を提示するだけでなく、電力使用量が急増することが予想される際は、アラートを表示する。電力会社からアラートが発信されると、ビルに入居している各企業は、社員の携帯電話にアクション・プラン (上の写真右側) を送信する。送信されたメッセージには、社員は自宅からテレプレゼンスでテレビ会議に参加するか、または、出社してFlex Stationを利用して、会議に参加するオプションを選択するよう指示されている。

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Flex Stationとは、ビルの下層階に設けた共同オフィス (上のグラフィックスの薄茶色の部分) である。電力使用量が急増する際には、ビル全体の社員をFlex Stationに集め、上層階は冷房などを止めて、電力使用量を抑える仕組みである。既に出勤して自分のデスクで仕事を始めている社員に対しては、IP電話のモニターにメッセージが表示される。下の写真がその様子で、画面のメッセージは、「Hot Weather Emergency Alert」が発令され、Flex StationのFLR1-E3という場所に移動する旨を指示している。在宅勤務と共同オフィスで省エネを実現している。

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このように柔軟な勤務形態が取れるのは、オフィス・システムがクラウド上に展開されているためである。社員はThin Clientから、クラウド上の業務アプリケーションにアクセスして仕事を行なう。アラートが発令されると、社員はシステムのログオフを行ない、Flex Stationに移動して、システムにログインして、仕事を継続する。社員がデスクを離れる際は、IP電話画面のExitボタンを押すと、Thin Client、プリンター、IP電話の電源が落ち、窓ガラスにはスモークがかかる。クラウドを稼動しているデータセンターの運用についても、電力需給状況に応じて対応する。Charlotteで電力使用量が急増する際には、クラウド・システム全体を、電力に余裕のある、RichardsonやSan Joseに移動させることができる。Charlotteでの稼働率を下げ、電力消費量を削減する狙いである。

トレンド

Ciscoは、Songdo (韓国) でスマートシティを展開中であり、未来都市のあるべき姿として、世界から注目を集めている。アメリカ国内においては「Sustainable 21st Century San Francisco」という名称で、サンフランシスコにおいても、スマートシティのプロジェクトが進んでいる。情報通信技術を活用して、環境に調和した、街づくりが進んでいる。