Archive for October, 2011

スマートフォンで腰痛管理 (DEMO Fall 2011より)

Sunday, October 30th, 2011

DEMO Fall 2011への参加企業の中で異色の存在が、Lumoback (ルモバック) という、スマートフォンを使った腰痛を管理するシステムである。Lumobackは、スマートフォンとセンサーを組み合わせて、利用者の腰痛を防ぐためのソリューションを提供している。

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Lumoback機能概要

利用者は、センサー (上の写真左側、出展はいずれもzero2one) を腰に装着して利用し、センサーが利用者の姿勢をリアルタイムで計測する。センサーで計測されたデータは、Bluetooth経由でスマートフォン (上の写真右側) に送信され、スクリーン上に利用者の姿勢をアイコンで表示する。スクリーン上には過去5時間の平均値が表示される。上の事例では、iPhoneのスクリーン上に、「Slumped Chump」 (前屈みになっている) と警告メッセージが表示され、背筋が曲がった人形が示されている。また、姿勢が悪くなるとセンサーが振動して、利用者に姿勢が悪くなったことを知らせる。センサーは、利用者が座っているときだけでなく、立っているときや歩いているときも、姿勢をモニターする。センサーはリチウム電池で駆動し、背筋に合わせて曲がる構造となっている。上の写真のiPhoneスクリーンで、Real Time Avatarというボタンにタッチすると、上述の通り、リアルタイムで利用者の姿勢を表示する。Statsを選択すると、一日の姿勢スコア (どれだけ姿勢が良かったかの得点) など、統計情報を表示する。Goalsを選択すると、利用者が設定した正しい姿勢の目標値と達成率が表示される。更に、Back Supportを選択すると、ソーシャルネットで、利用者間で意見交換を行なうことができる。Lumobackは、現在はフィールド試験中で、製品出荷は2012年中ごろを予定している。

zero2one会社概要

Lumobackを開発しているzero2oneは、スタンフォード大学の卒業生により設立されたベンチャー企業で、Google会長であるEric Schmidtが出資しているベンチャー・キャピタルInnovation Endeavorsから15万ドルの投資を受けている。Innovation Endeavorsは、Palo Altoに拠点を置き、今後4年間に40社に$40Mの投資を行なうと表明している。Innovation Endeavorsの投資方針は、現行ベンチャー・キャピタルが投資している領域ではなく、新しい領域を対象にしている。ソーシャル・ネットワークやモバイルがホットな話題となっている際に、Innovation Endeavorsは、腰痛管理という殆ど未開の分野に投資を行なった。zero2oneによると、腰痛は風邪に次いで患者の多い病気で、巨大市場であるとしている。Lumobackは、Schmidtが出資するベンチャー・キャピタルが後押ししていることもあり、いま注目を集めている企業である。

クライアント・サイド仮想化 (DEMO Fall 2011より)

Sunday, October 30th, 2011

DEMO Fall 2011は、先月、Santa Clara (カリフォルア州) のHyatt Regency (下の写真、出展:VentureClef) で開催された。アメリカの景気に薄日がさしてきたが、ベンチャー・キャピタルはこれに先行して、大量の資金をソフトウェア企業に投資している。DEMOに登場した企業は70社を超え、参加人数も増え、盛況なカンファレンスとなった。このレポートでは、カンファレンスの中で注目を集めた企業を、ハイライトで紹介する。

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Virtuというベンチャー企業

Zirtu (ザーチュ) は仮想デスクトップ技術を提供する新興企業である。利用者はパソコン上に、仮想のデスクトップ環境を立ち上げて、パソコンに依存せず業務を遂行できる。パソコン上に仮想デスクトップを構築する際に、仮想化技術はサーバ・サイドではなく、クライアント・サイドに適用する。利用者のパソコンは、マシン・イメージ (Virtual DNA Containerと呼んでいる) が取られ、そのマシン・イメージをサーバ・サイドに格納しておく。利用者がパソコンを利用する際は、Virtuにログインして、サーバ上のマシン・イメージをパソコンにダウンロードして利用する。下の画面 (以下出展はいずれもZirtu)  は、Windows 7でZirtuを起動し、ログインしている様子である。デスクトップ上はブランクで、まだアプリケーションがインストールされていない様子を示している。

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次に下の画面は、利用者がZirtuにログインし、サーバ・サイドに格納していた利用者のマシン・イメージを、パソコン上に展開した様子である。ブランクだったデスクトップ上に、いつも使っているアプリケーションなどがインストールされている。マシン・イメージは、パソコン上の仮想空間で動いている。

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このサービスを利用すれば、社員は社内で、任意のパソコンからVirtuにログインして、自分のマシン・イメージを読み込み、業務を遂行できる。また、社員は出張先で、共用パソコンに、自分のマシン環境をダウンロードして仕事を行なえる。更に、社員が個人使用のパソコンを会社に持ち込んで、会社の業務環境を構築して業務を行なうことができる。この形態はBYOC (Bring Your Own Computer) と呼ばれており、いま、急速に企業で採用され始めている。

モバイル・ツアーガイド (Launch: Silicon Valley 2011より)

Wednesday, October 5th, 2011

Launch: Silicon Valley 2011では、これから世界に羽ばたこうとする新興企業が、最新の技術を紹介した。Geotrio (ジオトゥリオ) という企業は、iPhoneのGPS機能を使った、ツアーガイド・アプリケーションを開発している。

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Geotrioの機能概要

Geotrioは、サンフランシスコに拠点を置くベンチャー企業で、Geotrio Player AppとGeotrio Recorder Appという、二種類のアプリケーションを提供している。Geotrio Player Appは、大学や観光地でのツアーガイド・アプリケーションで、Geotrio Recorder Appは、ツアーガイドを製作するアプリケーションである。カンファレンスのあと、Geotrio Player App (製品名称はGeotrio Tours) をダウンロードして試してみた。スタンフォード大学にて、このアプリケーションを起動し、Stanford Outdoor Sculptures (大学内の彫像ガイド、上のスクリーンショット、出展はいずれもVentureClef) というツアーを選択した。初期画面 (上の画面左側) で、ツアー全体の概要が表示され、ここでTake Tourボタンにタッチしてツアーを開始。地図上 (上の画面右側) に赤色で示されたルートに沿って歩き、各ポイントでピンにタッチすると、その場所に展示されている彫像のサムネールが示され、音声でツアーガイドが流れる。

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上の画面左側は、6番ピンの場所にいる様子である。これはHenry Moore Sculptureという彫像で、ピンにタッチすると音声でこの彫像に関する説明を聞くことができた。またサムネールにタッチすると、彫像の写真 (上の画面右側) が表示された。地図上の青丸は自分がいる場所を示している。赤線に沿って歩き、ピンで示されたポイントに止まりながら、ツアーを行なった。各ポイントでは、彫像の他に、大学施設の説明や、その裏話などが聞けて、楽しみなが散歩することができた。

Geotrioのビジネス・モデル

これらのアプリケーションは無償で、誰でも自由に利用することができる。ツアーガイド作成者は、作成したコンテンツをGeotrioのサイトに掲載し、他の利用者がこれらを使用することができる。Geotrioのサイトには、様々なツアーが掲載されており、観光地や大学構内で、ツアーガイドを自由に利用できる。上述のStanford Outdoor Sculpturesは、大学受験生向けのツアーで、学校側は大学をアピールして、多くの学生に受験してもらうことを目的としている。多くの大学がGeotrioにキャンパス・ツアーを掲示しており、受験生募集のために使っている。

スマート・アパレル (Launch: Silicon Valley 2011より)

Wednesday, October 5th, 2011

Launch: Silicon Valley 2011では、スマートフォンに連動するスマート・アパレルが紹介された。携帯電話だけでなく、衣料品や日用品がスマートになっている。

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Innovalleyというベンチャー企業

Innovalley (イノバリー) は、サンフランシスコに拠点を置き、デザインとコンピュータ技術を融合たハイテック衣料を研究開発している会社である。Innovalleyは、開発した技術を、大手衣料品会社にライセンスする方式で、事業を展開している。Launch: Silicon Valleyでは、同社CEOのJose Luis Agellが、最新技術をビデオを交えて紹介した。最初は、GPShoes (GPシューズ、上の写真、出展はいずれもInnovalley) という、コンセプト製品である。GPShoesとは、スニーカーがスマートフォント連動し、方向を知らせるナビゲーション付きのスニーカーである。自転車で走行中に、右折や左折の案内を、靴底を振動させて伝える仕組みである。靴底にVibration Sensorが装着されていて、スマートフォンのGPS機能と連動して動作する。利用者は目的地の住所をスマートフォンに入力すれば、GPShoesが目的地までナビゲーションする仕組みである。他に、歩行者向けのアプリケーションも開発されており、歩行中に靴底を振動させて、ナビゲーションを行なう。観光地でのツアーなどに応用される見込みである。

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次に、Agellは、BCN2 (上の写真) というスマート・アパレルを紹介した。BCN2もコンセプト製品で、Hoodie (パーカー、フードつきのスウェットシャツ)とiPodが連動して稼動する。パーカーの前面はディスプレーとなっており、また、フードの紐はヘッドセットとなっている。左袖に実装されたボタンで、iPodの操作を行なう。パーカーの前面のディスプレーには、Tweetのメッセージを表示したり、いま聞いている音楽のタイトルを掲示する。ジョギングにおいては、走行した距離を表示できる。他に、イメージを表示したり、アプリケーション実行結果を表示することもできる。将来は、企業からの広告メッセージを掲示するビジネス・モデルも検討されている。

トレンド

Innovalleyのコンセプトは、衣料品やアクセサリーをスマートにするというもので、これからは身の回りの日用品がインテリジェントになっていく。Innovalleyは、PumaやAdidasなどと共同開発を行なっており、これらの企業からスマート・アパレルが登場することになる。カンファレンスの中で、一番印象に残った企業で、特に、GPShoesは実際に試してみたい商品である。