Archive for July, 2012

Jelly Bean:知的なアンドロイド

Friday, July 27th, 2012

Googleは、開発者向けのカンファレンスであるGoogle I/Oにおいて、最新版基本ソフトであるJelly Bean (ジェリー・ビーン、Android 4.1) を発表し、今月から、携帯電話キャリアーよりアップグレードが配信されている。但し、Verizonにおいては、Jelly Beanへのアップグレードは開始されておらず、このレポートではNexus 7のJelly Bean を使って報告する。スクリーン・ショットはいずれもNexus 7のものである。

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インテリジェントな検索機能

Jelly Beanで改良された機能は、グラフィック性能、通知機能、及び、検索機能である。Jelly Beanの最大の特徴は検索機能が大幅に強化されたことである。Jelly Beanで検索を行なうと、回答がカード形式 (上のスクリーンショット、出展はいずれもVentureClef) で示される。Jelly BeanはKnowledge Graph (知識データベース) を使い、検索クエリーに対して、ズバリ回答を表示する。「Golden Gate Bridgeはどこ?」と音声で尋ねると、回答がGoogle Maps上に表示される(左上)。「San Francisco Giantsは勝った?」と質問すると、試合結果が示される (左下)。「明日傘はいる?」と尋ねると、明日の天気は晴れであると回答する (右上)。「最寄のATMはどこ?」と尋ねると、Google Maps上にBank of AmericaのATMの位置を表示する (右下)。

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検索エンジンに「Katy Perryの曲を演奏して」と指示すると、Google MusicでCalifornia Gurlsの演奏 (上のスクリーンショット左側) が始まる。「Emailを発信して」と指示すると、Edit mailボタンが表示され、これにタッチするとGmailが開く。「New Yorkまでのフライトを予約して」と指示すると、この操作はできなくて、通常の検索結果が表示される (右側)。Jelly Beanの音声認識度は非常に高く、かつ、的確な回答を返してくる。

時間と場所に応じた情報提示

Jelly BeanにGoogle Nowという機能が搭載された。Google Nowとは、利用者の検索履歴、場所、予定表などを勘案して、利用者が必要としている情報を能動的に提示する機能である。下のスクリーンショットがその様子で、Google Nowのページにカード形式で情報が提示される。左側最上段には、次ぎの打ち合わせの予定が示されている。Google Mapsにその場所が示され、渋滞情報と伴に、その場所までの移動時間が表示される。Google Nowは、利用者のCalendarからスケジュール情報を収集し、カード形式で表示する。このため利用者は何も設定する必要は無く、Google Nowが自動的に必要情報を提示する。またGoogle Nowは、搭乗予定のフライト情報を表示する。左側下段がその様子で、登場する飛行機の出発時間や出発ゲートなどが示される。出発ゲートなどに変更があれば、最新情報にアップデートされる。

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右側最上段は天気情報で、この地区の現在の天気と向こう四日間の天気予報が表示さる。右側中段と下段は応援しているスポーツ・チームの試合結果を表示している。Oakland A’sがNew York Yankeesに5対4で勝ったと表示している。利用者がチームの設定を行なう必要はなく、検索エンジンが過去の履歴から自動で情報を提示する。

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Google Nowはバスや電車の時刻表を表示する。上のスクリーンショットは、Mountain Viewのバス停にいる状況で、左側最上段にバスの発車時間が表示されている。De Anza Collegeに行くには14:23のバスに乗ればいいことが分かる。これはPublic Transitという機能で、カードにタッチするとGoogle Maps上にバス発車時間の詳細情報が表示される ( 右側)。

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Google Nowは利用者近辺の興味ある場所を提示する。上のスクリーンショットは、Mountain Viewのダウンタウンを歩いているところで、Google NowにXahnというレストランが表示されている様子である (左側最下段)。ここには営業時間や場所などが表示されている。このカードにタッチすると、Google Maps上に、レストランの住所、電話番号、Zagatの評価情報が表示される (右側)。Book a Tableボタンを押すと、Open Tableでレストランの予約ができる。Google Nowが表示する情報は、前述の通り、検索履歴、場所、予定表などから抽出しており、利用者は何も設定する必要は無い。Jelly Beanが利用者の位置や予定表などを把握しており、プライバシー問題を含むが、Google Nowを開くだけで、必要な情報が揃っており、とても便利な機能である。

考察

インテリジェントな検索ではApple Siriが目立っているが、Jelly Beanはこれと充分対抗できる機能を提供している。検索技術やセマンティック技術は、Googleのコア技術であり、Jelly Beanでこれらが一気に開花した。Jelly BeanでGoogleカラーが鮮明になった。

Nexus 7の使い心地とGoogleの事業戦略

Friday, July 20th, 2012

Googleは開発者向けのカンファレンスであるGoogle I/Oで、GoogleブランドのタブレットであるNexus 7 (ネクサス・セブン、下の写真、出展:Google) を発表し、今月から製品出荷が始まった。Nexus 7を使ってみると、操作はとても快適で、既に生活の必需品となった。同時に、Nexus 7を使うことで、Googleのメッセージも見えてくる。

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Nexus 7の基本機能

Nexus 7は7インチのタブレットで、iPad (9.7インチ) と比べて、二まわりほど小さい。重さは340グラムと、iPadの半分程度で、片手に抱え快適に操作できるデザインとなっている。Nexus 7の基本ソフトはJelly Bean (Android 4.1) で、プロセッサーはTegra 3 (クワッド・コア) を搭載している。Nexus 7はGoogle Playにアクセスして、ビデオ、ゲーム、書籍、音楽などを楽しむためのタブレットとして位置づけられている。価格は199ドルからで、Amazon Kindle Fireと直接競合するポジショニングである。実際に使ってみると、Apple iPadにも充分に対抗できる機能を備えている。価格はiPad (499ドル) の半分以下で、Nexus 7はAppleを脅かすこととなる。

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ホームページ

Nexus 7を起動してホーム・ボタンにタッチすると、My Librariesというページ (上のスクリーンショット左側、以下出展はVentureClef) が表示される。Nexus 7ではこのページが新設され、書籍、雑誌、音楽、映画、テレビ番組などのタイトルが表示される。これらは直近にアクセスしたタイトルで、Nexus 7は、Google Playから提供されるコンテンツを楽しむデバイスであることを、明確に主張している。Nexus 7のホームページにアプリやウィジェットを配置する (同右側) 。込み合ったアプリの中にウィジェットを挿入すると、アプリが場所を空けてくれる。

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電子書籍リーダー

My Librariesの中で書籍タイトルにタッチすると、Google Play Booksアプリが開き、本が表示される。上のスクリーンショット左側は、Bourne Dominionという書籍にタッチしたところで、カバー写真が表示される。右側は本を読んでいる様子で、フォントや背景の色などの設定を行なうことができる。スクリーンに表示されたページを指でめくりながら読み進んでいく。特段目新しい機能は無いが、Nexus 7で快適に本を読める。

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ビデオ鑑賞デバイス

ホームページ下部のGoogle Play Moviesアプリにタッチして、映画やテレビ番組を閲覧する。Moviesのタブにタッチすると映画のタイトルが表示される (上のスクリーンショット左側) 。TV Showsのタブでテレビ番組のタイトルが表示される (同右側) 。映画タイトルにタッチするとビデオが始まる。Nexus 7にはTransformersという映画が無料で添付されている。販売価格は10.99ドルである。タイトルにタッチすると、30秒程度バッファリングを行い、その後はHD画像がスムーズに表示される。テレビ番組では、希望のタイトルにタッチすると、エピソードの一覧が表示される。多くのテレビ番組で、エピソードはSDモード (1.99ドル) とHDモード (2.99ドル) の二種類が提供されている。エピソードのPlayボタンを押すとビデオがスタートする。Nexus 7でクラウド上のコンテンツをストリーミングで閲覧できるほか、コンテンツのキャッシュ機能があり、音楽などをオフラインでも楽しむことができる。

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YouTubeの進化

YouTubeはNexus 7向けに最適化され、大型サムネールでレイアウトがスッキリした。YouTubeアプリを開くとChannel Feed (フォローしているチャネル) が表示される (上のスクリーンショット左側) 。希望のタイトルにタッチするとビデオが始まる (同右側)。タブレットを横向きにすると、スクリーン一杯にビデオが表示される。この他に、Recommended (推奨ビデオ)、Trending (話題のビデオ)、Live (ライブ放送) のチャネルがある。更に、カテゴリー毎にビデオが表示される。インターフェイスがタブレット向けに最適化され、YouTubeが生まれ変わった感がある。

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カーナビ機能

Googleはスマートフォン向けに提供しているNavigationをNexus 7でもサポート。これはカーナビ機能で、目的地までの道順を画面に表示し、音声で案内を行なう。目的地を音声やテキストで入力すると、ナビゲーションが始まる。上のスクリーンショット左側がその様子で、Satelliteのフォーマットで道順を表示している。Nexus 7は携帯電話機能は無いが、GPSで位置を把握し、地図は出発前に読み込んでおく。目的地に到着するとその場所をStreet Viewで表示する (同右側)。Navigationは専用カーナビと同等の機能を提供し、生活に欠かせない機能である。

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レストラン内部を歩く

Google Mapsは、目的地に到着する前に、施設の概要を閲覧できる機能を搭載した。上のスクリーンショット左側は、Maps上でCalafiaというレストランを検索している様子で、レストラン概要や評価などが、左のボックスに表示される。ここでSee Insideのサムネールにタッチすると、レストラン内部の様子が表示される。この画面でStreet Viewの要領で、矢印にタッチしながら、レストランの内部を歩くことができる。Compass Modeに切替えると、タブレットを向けた方向のイメージが表示される (同右側)。指で画面をスワイプして店内を見るのとは違い、体を回転するとその方向のイメージが滑らかに表示され、店内を体感できる。Offline Maps機能があり、携帯電話が搭載されていないNexus 7でも、事前に地図を読み込んでおけば、屋外で利用できる。

ニュース・フィード

Google Currentsは登録しているニュースや雑誌の最新記事を表示するアプリである。Nexus 7でGoogle Currentsを起動すると、トップに最新ニュースが、下部にニュース・ソースが表示される (下のスクリーンショット左側) 。希望するニュースにタッチして記事を読む。右側はColossalというニュース記事を読んでいる様子である。記事はウェブサイトからダウンロードされ、Nexus 7向けに最適化されている。Google Currentsで気になる記事を纏めて読むことができる。

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Googleの事業戦略

GoogleはNexus 7の発売と並行して、Google Playのコンテンツを拡充した。従来のアプリ、音楽、書籍に加え、映画・テレビでの購買オプション、雑誌販売を追加した。更にGoogleは、Google Playにて、Nexus 7、Nexus Q、及びGalaxy Nexusの販売も行っており、コンテンツの販売に加え、ハードウェアの販売を開始した。Nexus 7はGoogle Playのコンテンツを楽しむデバイスである。スマートフォンやタブレットは携帯電話キャリアーから販売されているが、Googleは最新技術を結集したデバイスの販売に乗り出してきた。Nexus 7は、書籍、雑誌、音楽、映画、テレビ番組、ゲームの販売は、IT企業が担うものであることを示している。IT企業の役割が大きく変わろうとしている。