Archive for August, 2012

Google Walletの再挑戦

Friday, August 31st, 2012

Googleは、Google版おサイフケータイであるGoogle Walletを一新し、新方式のモバイル決済サービスを開始した。Googleは、同社のブログであるGoogle Commerceで、新サービスの概要を発表し、最新版Google Walletアプリを、Google Playに掲載した。

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Google Walletを使ってみると

Google Walletとは、Androidスマートフォンやタブレットを、クレジットカードやプリペイドカードとして利用する機能である。Google WalletはMasterCardが提供しているPayPassネットワークで利用することがきる。店舗で会計をする際に、Google Walletを搭載したスマートフォンを、PayPassカードリーダーにタッチするだけでカード決済ができる。登場したばかりのGoogle Walletを使って買い物をしてみた。Google Walletを使用する前に、初期設定を行なう。Google Walletをダウンロードして起動すると、アプリにアクセスするための暗証番号設定のプロセス (上のスクリーンショット左側、出展はいずれもVentureClef)  が始まる。暗証番号の設定が終わると、Google WalletのPayment cardのページが表示される。ここでクレジットカードやデビットカードの登録を行なう。筆者のケースでは、Googleオンライン決済(旧Google Checkout、今は同名のGoogle Wallet) にMasterCardを登録しており、そのカードが表示された (右側)。このMasterCardに、氏名、電話番号、住所を入力して、初期設定が完了した。

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初期設定が完了したGoogle Walletを、Peet’s Coffeeというコーヒーショップで使ってみた。注文を済ませ、レジで会計をする際に、スマートフォンをオンにして、カードリーダー (上の写真) の最上部にタッチした。カードリーダーは前述のPayPassネットワークに繋がっており、スマートカード (PayPass Cardなど) での支払いで利用されている。スマートフォンをカードリーダーにタッチすると、Google Walletアプリが起動し、暗証番号の入力を行い、使用するカードの選択 (下のスクリーンショット左側) を行なった。再度、スマートフォンをカードリーダーにタッチすると、選択したMasterCardでの決済が完了した。レシートを受ける代わりに、支払い内容がスマートフォンに表示された (同右側)。 サイフからクレジットカードを取り出して、スワイプする代わりに、スマートフォンをカードリーダーにタッチするだけで、簡単に買い物ができる。

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Google Walletの大幅改版

Google Walletは、2011年5月に発表され、同年夏にサービスを開始する予定であったが、Verizonなどのキャリアとの関係で、限定的なサービスに留まっていた。今般Googleは、Google Walletをクラウド・ベースのサービスに再編成し、一般向けにサービスを開始した。従来方式では、クレジットカード情報をスマートフォンのSecure Elementに格納していたが、新サービスでは、これらをGoogleサーバに格納する方式とした。スマートフォンにはカードのIDとなるVirtual Cardを格納し、このIDをキーに、Googleオンライン決済である同名のGoogle Walletで決済を行なう。つまり、店舗での決済はオンライン・ストアーと同様に、Googleのオンライン決済で行なわれる。新版Google Walletでは、セキュリティ機能が強化された。利用者はGoogle Wallet専用ウェブサイトで、利用しているデバイスを管理できる。デバイスを紛失した際には、専用サイトでDisable wallet appボタンを押すと、カード決済の承認処理を停止し、カードを使えなくする。また、スマートフォンがネットワークに接続されると、Google Walletの設定を初期化し、購買履歴等のデータを消去する。この他に、Google WalletはGoogleのクーポンであるGoogle Offersとリンクしている。クーポンでの値引きと決済をワンタッチで行なえる仕組みである。

Google Walletに対する街の声

街の中ではGoogle Walletを使える店舗が増えている。Google Walletを利用できる店舗数は20万店舗で、McDonald (ハンバーガー店)、CVS Pharmacy (ドラッグ・ストアー)、7 Eleven (コンビニ) などで利用できる。下の写真はJamba Juiceというジュース専門店で、ここでもGoogle Walletで買い物ができる。写真右手前の緑色の値段表の上に、カードリーダーが設置されている。Jumba Juiceのスタッフは、「最近はスマートフォンでの支払いを見かけるようになった」と述べた。また7 Elevenのスタッフは、「顧客の二割がスマートカードを使い、スマートフォンでの支払いも増えてきた」と説明した。おサイフケータイに慣れていないアメリカ社会でも、Google Walletに対する抵抗感はなく、幅広く普及する予兆を感じた。

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一方で、Google Walletに対応している機種は、Samsung Galaxy NexusやGoogle Nexus 7など六機種に限られている。NFC機能を搭載した機種がどこまで普及するかがGoogle Wallet成功の鍵となる。GoogleはGoogle Walletを運用することで、消費者の挙動を把握し、広告配信を有効に行なうことが可能となる。Google Walletは消費者をトラックするためにも有効なツールである。

ミュージシャン向けツイッター

Friday, August 24th, 2012

TwitMusic (トゥイト・ミュージック) は、Mountain View (カリフォルニア州) に拠点を置く新興企業で、ミュージシャン向けのツイッター・サービスを開発した。ミュージシャンはこのサービスを利用して、ファンと交流を図り、音楽のプロモーションを行なう。500 Startups Demo Dayで、TwitMusic共同創設者であるStefano Fazzini (ステファノ・ファジーニ、下の写真、出展:VentureClef) が、新サービスを披露した。

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ツイッターでの音楽プロモーション

多くのミュージシャンが、TwitMusicサイトにページを開設し、音楽のプロモーションを行なっている。音楽ファンは、ミュージシャンのサムネールをクリックすると、最新の音楽を聴くことができる。人気ミュージシャンの他に、多くの駆け出しのミュージシャンがページを開設している。下のスクリーンショット (以下出展はTwitMusic) は、シンガー・ソング・ライターであるBrett Steinbergのページで、ジャケットをクリックすると「Where Did You Get That Smile From?」という曲が再生される。音楽ファンは、ここでコメントを記入し、ツイッターに投稿できる。通常のツイッター機能の他に、Loveボタンを押して、ミュージシャンのファンになる。#nowplayingボタンで、今聴いてきる曲をツイッターに投稿できる。Buy songボタンを押すと iTunes Storeにリンクし、音楽を購入できる。TwitMusicは、ミュージシャンが音楽をプロモーションし、販売できる機能を提供している。

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下のスクリーンショットは、テレビ・タレントでミュージシャンのAriana Grandeのページで、音楽ファンは気に入った曲をストリーミングで聴くだけでなく、ダウンロードして聴くこともできる。ミュージシャンは、音楽プロモーションの一環で、音楽をダウンロードするサービスも提供している。

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TwitMusicはツイッターとリンクして、音楽プロモーション機能を提供している。ツイッターでは、音楽ファイルを掲載できないが、TwitMusicは、音楽再生とツイート機能を組み合わせ、音楽を聴いて、その感想をコメントできる機能を提供している。ツイッターはソーシャル・メディアの中で、音楽ファイルを添付できないが、TwitMusicはこの機能を補完し、音楽プロモーションで新しいメディアを提供している。

ネクタイのレンタル事業

Friday, August 24th, 2012

500 Startupsが開催したDemo Dayで、起業家が開発した最新技術が、投資家の前でデモされた。Tie Societyという新興企業は、Washington (コロンビア特別区) に拠点を置き、ネクタイのレンタル・サービスを開発している。共同創設者のOtis Collins (オーティス・コリンズ、下の写真、出展:VentureClef) が、ドレッシーなスーツに身を包み、新しいアイディアを紹介した。

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ネクタイのレンタルというアイディア

利用者は、Tie Societyのウェブサイト (下のスクリーンショット、出展:Tie Society) で、好みのネクタイや蝶ネクタイを借りることができる。レンタル料はネクタイの本数により異なり、月額$10.95 (1本の場合) から$49.95 (10本の場合) である。レンタルするネクタイは、Tie Societyから利用者に郵送される。利用者は気に入ったネクタイを、レンタル期間の間、ずっと使うことができる。または、利用者は、レンタル期間中、ネクタイを何回でも交換できる。返品の際には、利用者がネクタイをTie Societyに送付するが、郵送費用は、返品・送付とも、無料である。利用者はネクタイが気に入れば購入することもできる。ネクタイが汚れた際は、返品してTie Societyで有償で選択する。または、利用者が自分でクリーニングする。レンタル期間が終われば、利用者は全ての商品を返送する。返送されない場合は、利用者が購入したとみなされて、課金される仕組みである。

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Tie Societyが目指しているモデルは、Netflixのような映画DVDのレンタル・ビジネスである。利用者は好みの映画DVDを郵送でレンタルできるように、Tie Societyは好みのネクタイを郵送でレンタルする事業を考案した。事業規模は、2011年12月現在で、ネクタイ保有数は300本で、会員数は30人である。事業を開始したばかりの若い企業である。Tie Societyがターゲットとしている利用者層は、23歳から37歳のビジネスマンである。ファッションに敏感な層は対象としていない。Tie Societyが所有しているネクタイの柄は、上のスクリーンショットの通り、ストライプや大胆なデザインが多い。多くの利用者は無難なデザインのネクタイを所有しており、大胆なデザインを借りる傾向にあるためである。利用者は就職やデートなどでネクタイをレンタルする傾向にある。また利用者は、毎日異なるネクタイをするために、このサービスを利用する。映画がクラウドからストリーミングされる時代にも、映画DVDのレンタル・ビジネスは根強く残っている。ネクタイ・レンタルというコンセプトが、アメリカ市場で受け入れられるのか、興味深いアイディアである。

市民の抗議活動をウェブで展開

Friday, August 17th, 2012

PublikDemand (パブリック・デマンド) は、Mountain View (カリフォルニア州) に拠点を置く企業で、消費者が企業に対するクレームを掲載できるサイトを運営している。Demo Dayでは、PublikDemand創設者でCEOであるCourtney Powell (コートニー・パウエル) が、その仕組みを解説した。

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消費者のクレームを集約

消費者は企業からのサービスで問題が発生した際に、その内容をPublikDemandに掲載し、企業に問題解決を迫ることができる。上のスクリーンショット (出展はいずれもPublikDemand) がその様子で、ここに消費者からのクレームが記載され、他の消費者がこれらの記事を読み、コメントを記入し、サポートの意思を表明している。上の事例では、Bank of AmericaやAT&Tに対するクレームが掲載されている。下のスクリーンショットは、Matt Spaccarelliという人物が、AT&Tに対して、問題点を主張している事例である。 同氏は、「iPhoneのUnlimitedの契約を行なったが、AT&Tは通信速度を絞るThrottlingを行い、契約に違反している」と主張している。Unlimitedの契約をすると、iPhoneで無制限にデータ通信を行なえるはずであるが、実際にはAT&Tは、通信量が多い利用者に対して、データ通信量を制限しているという問題である。Spaccarelliは、「AT&TはThrottlingを停止し、裁判所の指示に従い、800ドルを支払うべきである」と主張している。この記事に対して、1771人が賛同の意を示している。

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PublikDemandのビジネス・モデル

PublicDemandは、賛同者が100人以上になると、消費者に代わり企業と交渉を行い、サービスの改善を要求する。上述のケースではこの条件を満たしており、PublikDemandがAT&Tと交渉を行い、この問題を解決することとなる。一方で、交渉を行なってもサービス改善が行なわれない時は、PublikDemandはこれら利用者を競合他社に紹介し、そこから手数料を受け取り事業を展開するとしている。AT&Tの他に、Bank of America、Chase、Wells Fargo、Citibank、Verizon、Time Warner Cable、Comcast、PayPalについて専用ページが設け、クレームを受け付けている。銀行、モバイル・キャリア、ケーブルテレビに対して、クレームが集中していることが分かる。Occupy Wall Streetの活動が示しているように、アメリカでは大企業と消費者の間に不公平感が広がっている。PublikDemandは、この不満を解消するためのサービスとして登場し、新しいモデルで事業展開を試みている。

ハネムーン・レジストリ

Friday, August 17th, 2012

500 Startupsが開催したDemo Dayは、新興企業育成プログラムの締めくくりで、起業家が開発したプロトタイプを投資家の前でデモする日である。Demo Dayでは、若い世代の開発者が、新しい発想の製品を披露した。

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新婚旅行資金を募集

Wanderable (ワンダラブル) という企業は、結婚を予定しているカップルに対して、新婚旅行のレジストリを作成するサービスを提供している。新婚旅行レジストリとは、旅程と費用明細リストである。上のスクリーンショット (出展はいずれもWanderable) がその事例で、MarcelaとEricの新婚旅行概要が記載されている。右枠には、結婚式の日取りと案内でが記載され、左枠最上部には新婚旅行のテーマ、概要、目的、日程などが記載されている。この事例では、新婚旅行先はイタリアで、ゆっくりと食事を楽しむことを目的にしている、と記載されている。左枠下部には、新婚旅行に必要な経費をアイテムごとに記載してある。新郎新婦は、結婚式出席者にレジストリを提示し、これら費用をギフトとして提供してもらうことを目的としている。アメリカにおける結婚式では、出席者は結婚祝いとして贈り物を持参するのが一般的である。このため、人気アイテムが重なったり、不要な品物を受け取るケースが少なくない。Wanderableはこの不便さに着目し、新婚旅行のアイテムをギフトとして受け取るサービスを開始した。

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結婚式出席者は、リストされたアイテムに数量を指定して贈り物をする。上のスクリーンショットがその様子で、ホテル宿泊代 ($1500 ) やローマ市内観光 ($800) を結婚祝いとすることができる。各項目が$20から$70の単位に分割されており、出席者は希望の項目に、希望の数量を指定して、贈り物をする。この他に、航空券、レストランでの食事代、ベニスでのツアー代金などが掲載されている。Wanderableの新婚旅行レジストリは、機能により、Basic (無償)、Premium ($39/年)、Unlimited ($69/年) の三つの形式がある。Wanderableは、寄付金を受け付ける際に、金額の2.8% + 30セントを手数料として徴収する。共同創設者であるMarcela Miyazawaは、利用者はウェブサイトだけでなく、「iPhoneとiPad向けアプリからこのサービスを利用できるようになる」と説明してくれた。Wanderableのサービスを利用すると、出席者は新婚カップルが何を必要としているかを把握でき、贈って喜ばれるお祝いをすることが可能となる。