Archive for November, 2012

Pinterestでの新ビジネスとイメージ・アナリティックス

Friday, November 30th, 2012

ベンチャー企業が審査員の前で最新技術をアピールするカンファレンスであるUnder the Radarが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校 (下の写真、出展:VentureClef) で開催された。カンファレンスは、既存路線から大きく逸脱する技術を追求しており、ソーシャルとモバイルの分野で斬新な技術が登場した。今年のトレンドを一言で括ると、ソーシャル・メディアはビジュアルに向い、モバイルはコマースに向かっている。このレポートから数回に分けて、ソーシャル及びモバイルの最新技術を解析する。

g296_curalate_01

Pinterestを使ったプロモーション

ソーシャル・ネットワークは急速にビジュアル化している。Pinterest (ピンタレスト) は写真を媒体としたソーシャル・ネットワークで、会員は気に入った写真をボード (写真アルバム) にピン留し、コミュニケーションを行う場である。Pinterestには様々な写真が掲載されているが、女性ファッションなどが人気のジャンルである。下のスクリーンショット (出展:Pinterest) がその様子で、Pinterestのファッション・カテゴリーに掲載されている写真を閲覧しているところである。

g296_curalate_02

Pinterestは趣味の写真アルバムとしてスタートしたが、今ではPinterestを基盤としたビジネスが始まっている。多くの有名ブランドがPinterestで商品プロモーションを展開している。下のスクリーンショット (出展:VentureClef) がその様子で、左側はファッション・ブランドのdELiA*s (ディリアス) が、若い女性向けにジーンズの写真などを掲載している。利用者は気に入った写真にタッチすると、dELiA*sのショッピング・サイト (右側) にジャンプし、ここで買い物をすることができる。趣味の写真アルバムが製品プロモーションとしても利用されている。

g296_curalate_03

Pinterestは消費者動向を把握するに最適な場でもある。多くの利用者は、気に入ったファッションやアクセサリーの写真を自分のボードに掲載し、一般に公開している。Pinterestに掲載されている写真を閲覧すると、ファッション・ブランドの人気商品が見えてくる。しかしブランドは、Pinterestにどんな商品が掲載され、また、その商品がどのように伝達されていくのか把握できていないのが現状である。Pinterestの特性は写真でメッセージが主張されることで、テキストの記載は最小限に留まっている。利用者は「dELiA*sのSkinny Jeansが欲しい」とコメントする代わりに、写真を掲載し、「これ欲しい」とコメントする。このため、従来のテキスト解析では、商品を追跡することができない。

g296_curalate_04

Curalateというベンチャー企業

Curalate (キュラレイト) はPhiladelphia (ペンシルバニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、ブランド向けにPinterestにおけるアナリティックス機能を提供している。上のスクリーンショット (出展:Curalate) がその様子で、Pinterestの解析結果を表示している。これはH&Mブランドに対する解析結果で、Pinterestにおいて、利用者がH&M商品の写真に如何に反応したかを解析している。スクリーンショット上段は、Brand Activityとして、利用者が掲載したH&M商品の写真が閲覧された数、そこに記入されたコメント数、写真のフォロワーの数などが表示される。下段はYour Top Contentsとして、利用者が掲載及び再掲載した商品の写真一覧が表示される。このランキングを見ることで、H&Mは消費者動向や、消費者の間で話題となっている商品を把握することができる。

g296_curalate_05

Your Top Contentsでサンダルが上位にランクされていると、それと同じ商品をH&Mのボード (上のスクリーンショット、出展:Pinterest) に掲載することで、利用者がこの商品を購入する確率が大きく上がる。

g296_curalate_06

トレンド

CuralateのCEOであるApu Gupta (上の写真、出展:VentureClef) によると、「インターネットはVisual Webに向かっている。コンテンツの40%はイメージで、ソーシャル・メディアでは70%がイメージを介在したアクションである。」と述べている。その代表がPinterestであり、Tumblrである。「イメージは感情を刺激し商品購入に繋がりやすい」と述べ、「サイトでの購買金額は、Facebookが95ドルであるのに対して、Pinterestは169ドルである」としている。Visual Webが幅広く浸透し、ここで事業が発生するにつれて、Curalateのメージ・アナリティックスが重要な技法となってくる。

iPhoneで手軽にビデオ編集

Sunday, November 25th, 2012

新興企業が最新技術を紹介するカンファレンスであるDEMO Fall 2012では、撮影したビデオをiPhoneで簡単に編集できるアプリが登場した。

g295_givit_01

Givitというアプリ

Givit (ギヴィット) はSan Diego (カリフォルニア州) に拠点を置く企業で、同名のGivitというiPhone向けアプリを開発している。Givitはビデオを編集するアプリで、長いビデオからいい場面だけを取り出して編集することができる。上のスクリーンショット (出展はいずれもVentureClef) はアプリを操作しているところで、左側はGivitホーム画面で、最上段のRecord Nowボタンを押してiPhoneでビデオ撮影を行なう。画面中段のCreate Highlightボタンを押して編集作業を行なう。右側がビデオ編集の様子で、カメラロールから編集するビデオを選択する。

編集作業では、Highlight (ビデオのハイライト抽出)、Effects (特殊効果挿入)、Music (音楽挿入) を行なう。下のスクリーンショット左側はHighlightのプロセスで、Instant Highlightボタンを押すと、このシーンから7秒間遡ってビデオを抽出する。Effectsは、各クリップに対して特殊効果を挿入する。スロー・モーション(下のスクリーンショット右側)、倍速送り、インスタント・リプレイなどのボタンを押して特殊効果を設定する。

g295_givit_02

Musicのプロセスではサウンドトラックに音楽を挿入する。iPhoneのiTunesライブラリに格納している音楽を挿入する。完成したビデオはそのままiPhoneに保存して楽しむことができる。また、タイトルとメッセージを記入して、FacebookやYouTubeに投稿することもできる。

トレンド

Givitのブースで同社CEOであるGreg KostelloからGivitアプリの説明を聞いた。Kostelloが強調したのは、GivitはSound Bite (サウンド・バイト) という手法を取り入れていること。Sound Biteとは映像をニュースなどの放送用に短く纏めたもので、視聴者にハイライトだけを放送する手法である。GivitはこれをiPhoneで実現しており、長いビデオの中からいい場面だけを取り出し、家庭版Sound Biteを制作できる。実際にGivitを使ってみると、iPhone 4Sで快適に操作でき、小さなディスプレイで手軽にビデオの編集ができる。若者世代はビジュアルに向っており、写真共有アプリではInstagramが絶大な支持を得ている。GivitはInstagramの成功を学習し、これをビデオの世界で生かそうと試みている。若い世代はどう反応するのか気になるアプリである。

拡張現実世界でクーポン探索

Sunday, November 25th, 2012

新興企業が最新技術を紹介するカンファレンスであるDEMO Fall 2012では、スマートフォンでクーポンを探索するサービスが登場した。

g294_candy_lab_01

Cachetownというサービス

Candy LabはSan Diego (カリフォルニア州) に拠点を置く企業で、Cachetown (キャッシュ・タウン) というアプリを披露した。Cachetownは拡張現実技術を応用したアプリで、利用者はスマートフォンのモニターを通じて、コインや宝石箱を見ることができる。コインや宝石箱がクーポンで、これらを集めて景品を貰う仕組みである。Candy Labのブースにて、同社Chief Creative OfficerのNik Ingersollから、Cachetownの説明を聞いた。上の写真 (出展はいずれもVentureClef) はAndroidタブレットでCachetownアプリを起動し、Playモードでクーポンを探している様子である。会場内には仮想のボックスが配置されており、これを探すゲームである。ボックスを見つけてタッチすると、「The Demo Fall 2012 Challenge Has Started 」、と表示された。

アプリについての説明を受けた後に、スマートフォンにCachetownをダウンロードして、宝探しに出かけた。DEMO Fall会場内や周辺には仮想のコインやボックスが配置されており、Cachetownアプリでこれらを探索することができた。下のスクリーンショットがその様子で、ディスプレイを通して黄金のコインやカラフルなボックスを見ることができる。左側はボックスを発見したが距離が遠いケースで、右側はコインにタッチしてクーポンを取り出すことができる距離である。ディスプレイ右上のレーダーはコインやボックスの場所を示している。Cachetownアプリを使ってみると、様々な場所にコインやボックスが配置されており、会場周辺を歩きながら宝探しができ、楽しめるアプリである。

g294_candy_lab_02

応用事例

IngersollはCachetownの利用方法について解説してくれた。小売店舗はCachetownを使ってキャンペーンを展開する。店舗周辺や店舗内にクーポンを掲載することで、消費者はクーポンを獲得するために、店舗に足を運ぶことになる。実際に、Los Angelesにおいて、ToyotaはCachetownを使ってキャンペーンを展開した。Toyota販売店にクーポンを掲載し、消費者はこれらクーポンを求めて販売店を訪問し、全てのクーポンを集めた消費者に3万ドルの自動車が景品として進呈された。Cachetownは集客ツールとして利用されている。

Out of Band Authentication

Thursday, November 15th, 2012

新興企業が最新技術を紹介するカンファレンスであるDEMO Fall 2012では、スマートフォンを活用した様々なセキュリティ技術が登場した。

g293_authentify_01

Authentifyというベンチャー企業

AuthentifyはChicago (イリノイ州) に拠点を置く企業で、Out of Band Authentication技術を開発している。Out of Band Authenticationとは、利用者がパソコンでウェブサイトにアクセスする際に、パスワード入力の他に、第二の認証をパソコンとは異なるルートで行なう技術である。上のスクリーンショット (出展はいずれもAuthentify) がその事例で、利用者がXYZ Financialという銀行のオンライン・バンキングにアクセスして、銀行送金を行なっている様子である。この際Authentifyは、パソコンとは異なるルートであるスマートフォンで第二の認証を行なう。利用者はこのサービスを利用するにあたり、Authentifyが提供する2CHKというアプリをスマートフォンにインストールしておく。下のスクリーンショットがその様子で、利用者であるJohn Smithが、上述オンライン・バンキングで、2500ドル送金する処理を行なうと、その通知が利用者のiPhoneに届く (下のスクリーンショット左側画面)。この項目にタッチすると、トランザクションの詳細が表示される (同右側画面)。

g293_authentify_02

利用者は内容が正しければConfirmボタンを押すとトランザクションが成立する。見覚えのない銀行送金トランザクションが2CHKに表示された場合は不正行為で、利用者はCancelボタンを押すことで、この処理を中止することができる。2CHKはスマートフォン・アプリの他に、ウェブアプリとしても提供されている。利用者が銀行送金処理を行なうと、確認画面が別のブラウザーに表示される。銀行送金の他に、オンライン・ショッピングでの高額な買い物や、パスワード・リセットなどに、この技術が使われている。

トレンド

スマートフォンやタブレットなど、モバイル技術が進化する中、モバイル・デバイスを利用したセキュリティ新技術の登場が相次いでいる。ToopherはAustin (テキサス州) に拠点を置く新興企業で、Androidアプリで二要素認証を行なう技術を提供している。Duo SecurityはAnn Arbor (ミシガン州) に拠点を置く新興企業で、iPhone向けに二要素認証サービスを提供している。両社とも、利用者がウェブサイトにログインした際に、スマートフォンに確認メッセージが表示される技術を開発している。トークンとは異なる方式の二要素認証技術が普及し始めた。

スマートフォンでの生体認証技術

Thursday, November 15th, 2012

新興企業が最新技術を紹介するカンファレンスであるDEMO Fall 2012では、スマートフォンやタブレットを対象としたセキュリティ技術が登場した。

g292_passban_01

PassBanというベンチャー企業

PassBanはSan Francisco (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、Passboardというアプリを開発している。Passboardは利用者がスマートフォン上でアプリにアクセスする際の認証機能を提供している。上の写真 (出展はいずれもPassBan) 左側がPassboardのホーム画面で、認証機能としてPasswordの他に、Voice、Location、Face、Token、Motionなどのオプションを提供している。利用者はアプリにアクセスする際に、これらを組み合わせて使用し、アプリに応じて認証強度を調整することができる。上の写真右側がその様子で、Cameraアプリにアクセスする際の認証強度をHighに設定しているところである。

次の写真左側は、認証機能のうち、Faceを利用している様子である。Faceとは顔認証機能で、利用者は事前に顔写真を登録しておき、Passboardはスマートフォンのカメラで撮影した写真と登録している写真を比較し、本人であることを確認する (下の写真左側)。下の写真右側はVoiceという音声認証を利用している様子で、利用者はディスプレイに表示される数字を読み上げていく。Passboardはスマートフォンのマイクから入力された利用者の音声と、登録している音声を比較し、認証を行なう仕組みである。

g292_passban_02

Locationは位置情報に応じた認証機能を提供する。また、TokenはRSA SerureIDのように、第二のパスワードとしてトークンを生成する。Motionは、指定されたデバイスを振ることで、認証を受ける機能である。

Passboardブースにて、Business Strategy担当のNeda Mandegaranが、デモを交えて利用方法を解説した。Mandegaranは、仕事でSalesforceアプリを起動する際に、FaceやVoiceなどを利用し、そのバックアップとしてMotionを使うとPassboardの使い方を解説した。実際にブースでFaceとVoiceを試したが、会場は暗く騒がしいため、認証結果はFailとなった。このバックアップとしてMotionを指定し、持っているタブレットを振ることで、認証が完了した。まだ技術改良の余地はあるものの、PassBanのように、スマートフォンで生体認証を行える環境が整い始めた。