Archive for March, 2014

アンドロイド搭載スマートウォッチMotorola 「Moto 360」はファッション性をアピール

Wednesday, March 26th, 2014

Googleは2014年3月18日、ウエアラブル向け基本ソフトである「Android Wear」を発表した。Motorola Mobilityは同時に、これを搭載したスマートウィッチ「Moto 360」を発表した。(下の写真) Moto 360は典型的な腕時計の形状をしているのが特徴で、ハイテクよりファッションを意識した製品である。スマートウォッチのこの手法は消費者の心を掴むことができるのか、そのインターフェイスを検証する。

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円形のディスプレイ

Motorolaデザイン責任者Jim Wicksは、Google Hangoutsを使った記者会見で、Moto 360の開発コンセプトについて解説した。Moto 360はAndroid Wearを搭載した最初のスマートウォッチで、ディスプレイが円形で高級感あるデザインとなっている。Wicksによると、Moto 360のディスプレイを円形にしたのは、伝統的な腕時計を表現するためである。腕時計は100年の歴史があり、ずっと円形であった。現在販売されている腕時計の80%は円形で、この形状が腕にしっくりするためである。WicksはMoto 360をデザインする際に「ファッション・テスト」という言葉が鍵になると説明した。Moto 360は利用者からお洒落について及第点をもらうことが必須要件で、スマートウォッチは機能性と共に、ファッション性が事業成功のカギを握る。

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Google Nowを中心とした機能

Moto 360は時計とGoogle Nowを融合させた構造となっている。Google NowはApple Siriに対抗する機能で、音声で操作し、必要な時に最適な情報を表示する。上の写真はMoto 360に時間と天気を表示している。これはGoogle Nowの気象情報で、デバイスは現在地を把握し、場所に特化した情報を表示する。また、Google Nowのカレンダー機能で、一日のスケジュールを管理できる。

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サイクリングをしている時はMoto 360が道案内をする。「50フィート先を右折してWashington Streetに入る」と道順を表示する。(上の写真) また、Hangoutsを使うとメッセージを送受信できる。Moto 360の表示フォーマットは簡潔で、利用者は一見して情報を把握できる。Wicksはこの方式を「Glanceable (チラ見できる)」と呼んでいる。この「チラ見」がAndroid Wearの標準インターフェイスとなる。

スマートウォッチの次は

Moto 360は情報を表示する目的で使用されるため、カメラは搭載していない。給電のためのUSBポートもない。概観は腕時計で、電子機器固有のパーツは見えない。MotorolaはMoto 360のハードウェア仕様を公開しておらず、ディスプレイの解像度、センサーの種類、バッテリーの寿命などは不明である。製品出荷は今年夏からで、アメリカを最初に世界に展開する。Wicksは製品ロードマップについても触れた。今回はAndroid Wear搭載スマートウォッチを開発したが、今後は他のウエアラブルに展開していくと述べた。詳細は明らかにしていないが、スマートウォッチの次はスマートグラスなのか、Motorolaがウエアラブル製品に重心を移している。

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LG G Watchは四角なインターフェイス

LGもこの発表に合わせて、Android Wear搭載のスマートウォッチ「G Watch」を発表した。(上の写真) G Watchはディスプレイが四角形で、従来型スマートウォッチのデザインを踏襲している。LGも製品仕様は公開していないが、Google Nowを中心に機能を実装している。製品出荷は今年第二四半期で、価格については公表していない。LGはスマートウォッチ開発でGoogleと密接にプロジェクトを進めており、G WatchはGoogleの意向を反映した製品となっている。LGはスマートフォンやタブレットにおいても、Googleと密接に製品開発を行い、Nexus 4、 Nexus 5、LG G Pad 8.3 Google Play Editionとして商品化している。これらは「純正製品」でAndroidのあるべき姿を示している。

Samsungは二系統で開発

Googleはデバイス製造パートナーとして、MotorolaとLGの他に、Asus、HTC、及びSamsungを挙げている。Samsungは、パートナーに名前は連ねているが、製品発表は行っていない。Samsungは既に独自スマートウォッチ「Galaxy Gear 2」を発表している。Gear 2の基本ソフトにTizenを採用しており、Googleと袂を分かつ形となっている。今後Samsungは、スマートウォッチでTizenとAndroid Wearの二系統で開発を続けるのか、その先行きが不透明である。

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ファッション性をアピール

Android WearパートナーでFossil Groupの名前が目に留まる。Fossilは時計 (上の写真) や宝飾品を販売する企業で、ファッション・ブランドがAndroid Wearを搭載したスマートウォッチを発売することとなる。Moto 360と同様に、お洒落なスマートウォッチを開発するという路線となる。腕時計を熟知している企業が開発するスマートウォッチはどんなデザインなのか、パートナーの中で一番気になる製品である。GoogleはGoogle Glassでもメガネ最大手Luxottica Group (傘下にRay BanやOakleyブランドを持つ) との提携を発表し、一流ブランドのデザインや販路を取り入れる。スマートグラスやスマートウォッチは「デザイン・テスト」に重心を移しつつあり、機能性に加えファッション面で、消費者に訴求している。

スマホの次はウエアラブルを席巻する、Googleが「Android Wear」に託したメッセージ

Thursday, March 20th, 2014

Googleは2014年3月18日、ウエアラブル向け基本ソフト「Android Wear」を発表した。これは現行Androidをウエアラブル向けに拡張したもので、まずスマートウォッチに搭載される。デバイス・メーカーはAndroid Wearを搭載したスマートウォッチを発表した。Motorolaが「Moto 360」を、LGが「G Watch」を公開した。(詳細は次回の記事でレポート。) Android Wearとは何か、どういうシーンで利用されるのかを分析し、Googleのウエアラブル戦略を読み解く。

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小さなディスプレイに簡潔に表示

Android Wearはスマートウォッチの小さなディスプレイ向けに最適化された基本ソフトで、情報を簡潔に表示する。上の写真 (出典は断りが無い限りGoogle) はその事例で、左側画面は今いる場所の天気で、一瞬見ただけで把握できる。また、スマートウォッチを音声で操作できる。「Café Robinを7pmで予約」と言えば、そのままレストランの予約ができる (右側画面)。

GoogleはAndroid Wearを搭載したスマートウォッチが、日常生活で如何に役立つかを、ビデオにまとめて公開した。このビデオは「Information that moves with you」というタイトルで、スマートウォッチで生活すると、必要な情報が常に身近にある、というメッセージを発信している。

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パーティ会場まであと何駅?

上の写真はパーティ会場にバスで向かう途中である。スマートウォッチは、降車駅である「Jackson St.まであと四駅で9分で到着」と教えてくれる。ケーキを抱えているので、スマホには手が届かない。Googleは背景技術について公表していないが、これはGoogle MapsのTransit機能を使っていると思われる。そうしているとStephanie Blockからスマートウォッチにメッセージが入り、「もう近くまで来た?」と尋ねた。これに対して「Reply」と音声でコマンドを発し、「あと二分で到着」と語り返信した。ここではGoogleのメッセージング Hangoutsを使っている。

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危険、海にはクラゲが出ている

上の写真はサーフィンをするため海岸に到着したところである。しかし、スマートウォッチに「危険、クラゲが発生しているため海に入らないこと」とメッセージが表示された。画面を左にスワイプすると近くの海水浴場のリストが表示され、一行は一番近いZuma Beachに行くこととした。ここではGoogle Nowで、現在地に特化した情報を表示している。

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飛行場では搭乗券になる

今日はロスアンジェルスからニューヨークに出張する。時間ぎりぎりで、飛行場の搭乗ゲートに走って向かう。スマートウォッチは「52カロリー消費」と運動量を表示した。画面を上方向にスワイプすると、搭乗するフライト予定が表示される。「LAXからJFK、12:55pm発、Gate 72」と表示された (上の写真)。その画面を左にスワイプすると搭乗券がQRコードで示され、リーダにかざし搭乗する。ハンドバッグからスマホを取り出す必要はない。これもGoogle Nowを使い、フライト情報を表示している。画面を上方向にスワイプしページを送る。左方向にスワイプするとアクションを取るページが表示される。

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応援しているチームは勝った?

お父さんが子供をお風呂に入れている時、友人のDane Shapiroから「信じられない試合!」というメッセージを受信した。お父さんはスマートウォッチで、「Ok Google, what’s Syracuse’s score?」とシラキュースの得点を音声で尋ねる。スマートウォッチはバスケットボールの試合結果を「Syracuse:28、Virginia:27」と表示した (上の写真)。ここではGoogle音声検索を利用している。スマホと同様に「Ok Google」で検索エンジンが起動する。Googleはお父さんがシラキュース大学バスケットチーム「Syracuse Orange」のファンであることを認識しており、その結果を表示した。手がぬれていて、スマホを操作できない時は、スマートウォッチが便利である。

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いま踊っている?

長い行列で女性二人が順番を待っている。女性は待ちくたびれて、ホールに流れている音楽に合わせて踊り始めた。スマートウォッチは「いま踊っている? この音楽の題名を探す」と申し出た。その結果、この音楽は「ChromeoのJealous」と表示した(上の写真)。ここではActivity Recognitionという機能を使ってダンスしているのを検知した。これはAndroidに実装された機能で、利用者の動きから、自動車・自転車に乗っている状態、また、歩いたり、走ったり、止まっている状態を検知する。音楽を言い当てるのはGoogleの音声検索を使っている。

Google Nowが基本ソフトの中心

Android Wearは、上述の利用シーンから分かるように、Google Nowを前面に押し出している。利用者は音声で操作し、デバイスは利用者の嗜好や今いる場所に最適な情報を配信する。Google NowはApple Siriの対抗馬として位置づけられ、賢い秘書の役割を担っている。Android Wearを搭載したスマートウォッチは、Google Nowマシンと位置づけられる。

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Google Glassからの影響

Android Wearのユーザ・インターフェイスは、Google Glassから大きな影響を受けている。Google Glassのカードをスマートウォッチ向けに最適化している。上の写真はGoogle Glassでフライト情報を表示している様子で、写真右上のカードにフライト情報が表示されている。上述「飛行場では航空券になる」の章では、スマートウォッチに表示されたライト情報は上の写真とほぼ同じである。スマートウォッチではカード形状が正方形であるが、表示内容は同一である。

一方、ページ送りについては両者で操作が異なる。Google Glassでは前後にスワイプしてページ送りをし、タップしてアクションを取る。スマートウォッチでは上下にページ送りをし、左方向にスワイプしてアクションを取る。表示単位はカード形式で同じであるが、その操作はデバイスの形状に応じて定義されている。

スマートウォッチの次は

Android Wearはウエアラブルに搭載する基本ソフトで、その第一弾がスマートウォッチである。Googleはそれ以後のロードマップを公表していないが、今後はスマートグラスやリストバンドなどのデバイスが対象になと思われる。スマートグラスではGoogle Glassのトライアルが始まっており、Android Wearとしてプラットフォームが公開されるかがポイントとなる。

Googleはスマホやタブレット向けにAndroidを無償で提供することで、Apple iPhoneのシェアを奪い、大成功を収めている。GoogleはウエアラブルにおいてAndroid Wearで同じシナリオを描いている。スマホではiPhoneというお手本があったが、今回はGoogleが主導する形となる。消費者をウエアラブルに引きつけることができるのか、Android二楽章が始まった。

アメリカはウエアラブルの実験場、Google Glassでビジネスを構築するアイディアが満載

Friday, March 14th, 2014

【Google Glass完全ガイド:アイディア編】

メガネ型ウエアラブルとして登場したGoogle Glassを、どう活用すべきなのか、多くの企業や個人がキラーアプリを模索している。このレポートで最新のGoogle Glass活用法をコラージュ風に分析する。ここにはGoogle Glassで事業展開するためのヒントが詰まっている。

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居眠り運転防止アプリ

新興企業から、Google Glassで居眠り運転を防止するアプリが登場した。これは「DriveSafe」と言う名称で、アプリが運転中にドライバーの居眠りを検知すると、音声で警告メッセージを出し、注意を喚起する。これはディスプレイにも表示され (上の写真)、カードをタップすると、休憩所までの道順が示される。アプリはグラスの赤外線カメラと傾きセンサーでドライバーの状態をモニターする。居眠りの前兆を検知すると、警告を発する。グラスを居眠り検知センサーとして利用するアイディアだ。そもそも運転中にGoogle Glassを使用できるのか、まだ公式見解は出ていない。カリフォルニア州サンディエゴで行われていた交通裁判では、Google Glassをかけて運転した女性に対し、無罪の判決が下された。運転中にGoogle Glassディスプレイがオンであったことを証明できない、という理由からである。ではディスプレイがオンであったらどうだったのか、グラスに対する安全評価は続いている。

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あの人と同じ洋服が欲しい

街で素敵なファッションに出うと、その人をGoogle Glassで写真撮影すると (上の写真)、同じ洋服を買うことができる。これはFashion Discovery Labsという新興企業が開発した技術で、グラスは被写体が着ている衣服を認識し、利用者はそれをそのまま購入できる。気になるファッションに出会ったら、音声でアプリを起動し撮影すると、グラスは衣服のブランドや商品名をカードに表示する。

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上の写真がその様子で、女性が着ている服は、「Circus by Sam Edelman」というブランドの「Colorblock Faux Leather Moto Jacket」で、価格は128ドルであることが分かる。アプリはその衣服に近いイメージの商品も紹介する。商品が気に入ればグラス上で購入できる。グラスで撮影する時には、相手の許可を得ることが必須である。知らない相手に声をかけるのは勇気がいるが、それ以上に知りたい気持ちが上回るのかもしれない。

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匠の技を伝承する

Google Glassで著名ヘアスタイリストの技を録画し、新人教育に活用する取り組みが登場した。これはL’Oreal USAの子会社が始めたもので、「Matrix Glass for Class」という教育プログラムである。サロンプロを目指す生徒に、スキルを指導するものである。教材はGoogle Glassを使って撮影され、教師視線でテクニックが解説される。撮影されたビデオはオンラインに掲載され、生徒はこれを見て学習する。同時に、このプログラムは製品プロモーションとしても利用されている。著名ヘアスタイリストの技を家庭でも実践できるというシナリオである(上の写真)。グラス視線で撮影したビデオは、技法を伝えるには最適のメディアである。この方式は、ヘアスタイリスト以外に、大学病院や製造現場などで幅広く使われ始めた。熟練技術者が定年退職する前に、匠の技をGoogle Glassで撮影し、次世代に伝えることもできる。

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学校教育で仮想社会見学を取りれる

Apple iPadが登場した時、教育関係者は一斉に、タブレットを学校教育に取り入れる方策を模索した。いま同じ取り組みがGoogle Glassで起こっている。その代表が「Virtual Field Trip」という手法で、教室の生徒たちが仮想で社会見学するものである。先生がGoogle Glassをかけて街に出る。上の写真は、先生がスイスCERNを訪問し、大型ハドロン衝突型加速器をGoogle Glassで撮影し、その映像を教室 (写真右上隅) に中継しているところである。先生が加速器の仕組みを説明し、生徒たちはパソコンでその映像を見る。通信システムはGoogle Hangoutで、Google Glassとテレビ会議ができる。生徒の質問に現場にいる先生が答え、仮想の社会見学を行っている。この先生はグラス中継だけでなく、Google Glassで教材を開発し、サイトに公開している。対象分野は、物理、生物、テクノロジー、数学で、日常生活で出会う現象をグラスで撮影し、難しい論理を実例を交え、分かり易く教えている。

ウエアラブルの実験場

Googleはグラスを発表した当初から、メガネ型ウエアラブルに特有な使い方を公開してきた。市場では企業や個人が、Google Glassを活用するための、様々な利用法を公開している。スマートグラスならではの活用法を探求している。アメリカ全体が巨大な実験場となり、Google Glassのベスト・プラクティスが模索されている。今はまさにスマートグラスの黎明期で、これらトライアルの多くがプロトタイプで、製品として出荷されているものは数少ない。素晴らしいアイディアから首を傾げたくなるものまで多彩で、ウエアラブルでビジネスを構築するためのアイディアが見え隠れしている。

Google Glassで顧客の感情を読み取る ~ プライバシー問題に配慮しながら来店客の本心に迫る

Friday, March 7th, 2014

【Google Glass完全ガイド:小売店舗編】

小売店舗でGoogle Glassを販売促進に活用する試みが始まった。グラス・カメラで捉えた顧客の表情から、感情を読み取り、来店客が店舗や商品に満足しているかを解析する。顧客のプライバシーを守りながら、ウェアラブルをマーケティング・ツールとして利用する。ベンチャー・キャピタルはこの手法に注目し、顔認識技術への投資が進んでいる。

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Google Glassで顧客の感情を読み取る

この技術を開発したのは、サンディエゴに拠点を置くEmotientというベンチャー企業である。Emotientは顔の表情を解析する技術を開発しており、先月、Google Glass向けアプリ「Sentiment Analysis Glassware」を発表した。このアプリは、Google Glassカメラで捉えた顔の表情を解析し、その人物の感情を読み取る。このアプリは小売店舗における顧客解析などで利用される。小売店舗のスタッフはGoogle Glassを着装して接客に当たる。上の写真はそのデモで、Emotient創設者Marian Bartlett博士が店員になり、顧客対応をしている様子である。Bartlettが着装しているGoogle Glassで顧客 (手前の人物) の表情を読み込むと、アプリは顧客の感情を七つの要素に区分し、ディスプレイに表示する。各カラムが感情要素で、ヒストグラムが感情の強さを表す。

小売店舗で来店客の反応を測定

Emotientマーケティング副社長Vikki Herreraに、Emotient利用法や事業戦略について尋ねた。Herreraによると、グラス・アプリは出荷前のベータ版で、特定企業に提供し、実証試験を行っている。対象市場は小売業とヘルスケアである。小売店舗では、フロア責任者などがGoogle Glassを着装し、店舗における顧客の反応をモニターする。店舗の好感度などを計測し、顧客対応の品質を査定する。商品やプロモーションに顧客が満足しているのかを、来店客の表情から読み取る。Herreraが強調したのは、Emotientは顧客ごとに解析するのではなく、集計したデータを統計処理し、顧客個人を特定することはできないという点である。また、撮影したビデオは、処理が終了すると消去し、個人のプライバシーに最大限配慮している。

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Emotientで感情を読み取る仕組み

アプリが読み取る感情は、基礎感情 (好意的、否定的、中立) と上述の主要感情 (喜び、驚き、悲しみ、恐怖、嫌悪、侮蔑、怒り) である。上の写真は主要感情を表現したものである。その他に高度感情として、欲求不満や困惑の状況を読み取る。アプリは、顔の表情を構成する19の動きを解析することで感情を判定する。

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Emotientは表情を解析する機能をEmotient APIとして提供している。ソフトウェア企業はEmotient APIを利用して、製品を開発することができる。上の写真はEmotient APIを利用したデスクトップ向けソフトウェア「FACET Module」のデモのである。ウェブカメラで被験者の顔を撮影し、その表情から感情を解析している。左枠に撮影された被験者の顔のイメージが、右枠にこの表情から読み解いた感情のヒストグラムが表示されている。このケースでは「驚き」を検知したところである。

顔の表情は日米共通なのか

Herreraに日本でのビジネス展開について尋ねた。Herreraによると、「Emotientは日本市場をサポートする予定で、既に小売店舗など数社と協議を行っている」と述べた。日本でもEmotient APIは機能するのか尋ねたところ、「この機能は日本を含め、異なる文化圏で利用できる」と説明した。日本人はアメリカ人と比べ表情を表に出さないが、これについては、「文化圏により”ディスプレイ・ルール”が異なり、(日本は) 感情を隠す特性がある」。しかし、「Emotientは毎秒30フレーム解析し”micro expressions”もキャッチできる」と説明した。”micro expressions”とは、瞬間的な表情のことで、ヒトがこれを捉えることは難しいが、Emotientはこの表情を見逃さない。この機能が日本市場でも効果を発揮することとなる。

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スーパーボウルのコマーシャルを解析

Emotientはテレビ広告に視聴者が如何に反応したかを解析するソリューションとしても利用されている。上の写真はスーパーボウルで放送されたTVコマーシャルの効果を測定している様子である。被験者は会議室で試合を観戦し、それをビデオ・カメラで撮影する (上段)。下段は三本のTVコマーシャルへの反応をグラフで示したものである。これは前述の主要感情から「喜び」の要素を取り出したもので、最後のコマーシャルで「喜び」が最高潮に達している。これは人気コメディアンStephen Colbertが登場するピスタチオのコマーシャルで、スーパーボウルで好感度ナンバーワンとなった。

プライバシー問題とのバランス

Googleは顔認識機能を使ったグラス・アプリは承認しないと表明している。一方、市場では顔認識機能を使ったグラス・アプリの登場が相次いでいる。Google Glassで相手を見ると、その人物の名前、職業、Facebookプロフィールなどを表示するアプリが登場した。便利なだけでなく、性犯罪者を特定できる、セキュリティ機能も備えている。

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また、サンディエゴ郡警察は、タブレットを用いた顔認証システムのパイロット・プログラムを開始した。警察官は、Samsung Galaxyタブレットを使い、被疑者の顔写真を取り、犯罪者データベースと照合し、人物の特定を行う (上の写真)。この機能はGoogle Glassに実装されるのは、時間の問題である。ベンチャー・キャピタルは、顔認識機能の潜在能力に着目し、投資を進めている。Emotientは、Intel Capitalなどから累計で800万ドルの投資を受けている。メガネ型ウェアラブルと顔認識機能は相性が良く、Googleの指針とは裏腹に、技術開発が加速している。同時に、これら企業はプライバシー保護に対しても、最大限の配慮が求められる。