Archive for May, 2014

Googleが自動運転車プロトタイプを製造!「Nexus 」ブランドで自動車を販売するのか?

Wednesday, May 28th, 2014

Google自動運転技術は完成の域に近づき、製品化に自信を深めている。Googleは、昨日、製品プロトタイプを発表し、自動走行の様子をビデオで公開した。自動車にはハンドル、アクセル、ブレーキが無く、完全な自動走行車になっている。

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プロトタイプの外観

上の写真 (出典はいずれもGoogle) が「プロトタイプ」である。外観は小型自動車「Smart」を連想するデザインである。正面から見ると、テーマパークの乗り物のように可愛く、眼の部分がヘッドライトで、鼻にはRadar (電波センサー) が取り付けられている。屋根の上にはLidar (レーザー光線センサー) を設置している。Lidarの下にビデオカメラを搭載している。この他に、GPS受信機やPosition Estimator (走行距離測定器) などを搭載していると思われる。

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車内の構成

二人乗りの構成で、車内にはハンドル、アクセル、ブレーキは無く、乗車してスタート・ボタンを押すと、車が目的地に向かって動き出す。100%自動運転で、走行中はおしゃべりをしたり、本を読んだり、昼寝をしたり、自由に過ごすことができる (上の写真)。

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座席の間にはパネルが装着され、ここにスタートボタンが搭載されている。上の写真がその様子で、女性がスタートボタンを押すところである。奥の赤色の大きなボタンは緊急停止ボタンで、このボタンを押すと自動車は緊急停止する。座席前方にはモニターが設置され、走行しているルート、速度、気温、天気などが表示される。目的地は出発前に入力するが、その方式については公開されていない。スマホでGoogle Mapsのナビゲーション機能と連携するのか、インターフェイスが気になるところである。

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試乗した人たちの反応

ビデオを見ると、試乗した人たちの反応は良好である。ある老夫婦は、カーブ手前では速度を落とし、安全に曲がることができると、安全性を評価している。お母さんは、自動車を運転する必要が無く、子供との対話時間が増える、とコメントしている。視覚に障害がある人 (上の写真) が、窓から外に向って、「自動運転車大好き!」と叫ぶシーンが印象的である。自動運転技術のPRビデオであることを考慮しても、安全性や行動の自由など、新世代の移動手段であるというイメージが伝わってくる。

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Googleが自動車の製造を手掛ける

Googleは、ブログの中で、自動運転技術を開発する目的を改めて述べている。自動運転車があれば、運転する負担を無くし、駐車場を探すために20分走り回ることが無く、年を取ってもマイカーで移動できるとしている。最後に、飲酒運転もOKで、スマホでメールしながら運転できるとしている。

Googleは、自動運転技術の究極の目的は安全性の探求であるとしている。センサーで死角をなくし、自動車は周囲200メートル以内のオブジェクトを認識できるとしている。

Googleは自らプロトタイプを製造し (上の写真)、走行試験を開始した。Googleは100台のプロトタイプを製造し、今年の夏の終わりころから、専任のテストドライバーがマニュアル制御で走行試験を行う。この試験が上手くいけば、公道に出て、カリフォルニア州で二年間にわたりテストプログラムを展開する。またパートナーと共同で製品を開発することも視野に入れているとしている。

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Googleの事業戦略は

Googleは事業戦略については、何も触れていないが、今回の発表でその外郭が見えてきた。Googleがスマホやタブレットで、Nexusブランドで「リファレンス・モデル (お手本)」を製造販売してきた。このモデルを踏襲すると、Nexusブランドの自動運転車の製造販売を行う路線となる。Googleの目的は、車体の製造販売ではなく、自動運転技術のビジネスである。更に、自動走行したデータを収集し解析することで、膨大な知識を得ることが可能となる。

Googleは自動運転車の製品投入時期について何もコメントしていないが、2017年と言われている。今回の発表で、その道筋が見えてきた。今年後半は、街中でアニメキャラクターのような自動運転車が走り回ることになるのか、街の風景も変わりそうである。

Google Glassでオバマ大統領取材に挑戦! 次期大統領選挙はグラスが勝敗を分ける?!

Saturday, May 24th, 2014

Google Glassがアメリカ議会に入ってきた。三大ネットワークNBCは、Google Glassで議会を取材し、ウエアラブル時代のジャーナリズムを模索している。次期大統領選挙では、Google Glassが勝敗のカギを握るとも言われ、グラスと政治の関係が緊密になってきた。

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アメリカ議会で「グラス取材」を敢行

NBCはGoogle Glassでアメリカ議会の取材を試みた。NBCニュース・プロデューサーFrank Thorpは、Google Glassをかけて議会を取材した。上の写真は、ThorpがGoogle Glassをかけて、共和党下院議員集会のブリーフィング会場にいる様子である。演壇には、共和党院内総務Eric Cantorの姿が見える。ここで下院議長John Boehnerらによる記者会見が行われた。ThorpはGoogle Glassをかけて記者会見に臨んだ。しかし、Thorpは質疑応答で挙手したが、Boehnerから指されなかったと述べている。保守党の重鎮であるBoehnerをいきなりGoogle Glassで取材したのは、少々時期が早すぎたようである。

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オバマ大統領と遭遇

ThorpはGoogle Glassをかけて議会議事堂内を動き、取材活動を行った。そこでオバマ大統領へのインタビューを試みた。上の写真がその時の様子で、会議が終わった後、大統領が、民主党下院議員とともに、部屋を出てきた。報道陣が一斉にオバマ大統領に質問するが、大統領は笑顔で通り過ぎた。オバマ大統領からコメントは貰えなかったが、Google Glassによる大統領への取材はこれが最初である。

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Thorpは下院共和党院内副幹事Tom Coleとのインタビューの様子もGoogle Glassで録画している。上の写真がその様子で、Coleが女性記者の取材に応じている様子である。下院議会終了後、Coleが予算についての説明しているところで、それをGoogle Glassが捉えている。

議員たちがグラスをかける

ThorpがGoogle Glassでの取材に挑戦したが、アメリカ議会重鎮たちはグラス取材に対して、まだ抵抗感があるようだ。また、本会議場や記者会見会場では、テレビカメラが使われるため、Google Glassで取材するメリットはさほど大きくない。それに対し、議会議事堂内の廊下やホールで、議員たちと出会い、即席の記者会見を行うには最適なツールである。テレビカメラやマイクなどの機材は不要で、決定的なチャンスを捉え、機動的な取材ができる。

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議会重鎮の中にも、Google Glassに対して興味を示している議員もいる。Thorpは、議員にGoogle Glassをかけてもらい、写真撮影を行った。上の写真がその様子で、左側は、下院共和党院内幹事Kevin McCarthyで、右側は下院歳入委員長Dave Campである。共和党幹部たちは、実際にGoogle Glassをかけてみて、何ができるのかを感じ、政治におけるグラスの役割を展望しているのかもしれない。

2016年大統領選挙はグラスの年

オバマ大統領のITチームは、大統領の政治活動を発信する目的で、Google Glassを如何に活用するかについての評価を始めた。また、次期大統領選挙ではGoogle Glassがカギを握るとも言われている。大統領選挙支援者がGoogle Glassをかけて、選挙活動を行うというシナリオが検討されている。支援者が有権者宅を訪問した際に、Google Glassに本部から情報が送信され、これを参照しながら効果的なキャンペーンを展開する。反対に、キャンペーン活動をビデオ撮影し、これを本部にストリーミングし、選挙情勢の分析やキャンペーン活動の評価に利用する。2008年の大統領選挙はソーシャル・メディアが勝敗を分け、2012年はビッグデータ解析がオバマ陣営に勝利をもたらした。2016年はキャンペーンチーム全員がGoogle Glassをかけて選挙戦に臨むのか、水面下でグラスを駆使した戦略構想が練られている。

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テレビ局や大学でグラスの検証が進む

NBCは番組の中で、Google Glassを使った放送を試みている。上の写真は、NBC朝の人気番組「Today」で、キャスターがGoogle Glassをかけて登場し、グラス一般販売について紹介しているシーンである。キャスターが着装しているGoogle Glassで捉えた映像がテレビで放送された。目の前のカメラやプロンプター、また、キャスターから見たスタジオの様子が流れ、「グラス放送」が模索されている様子が伝わってきた。

三大ネットワークABCは、バスケットボール選手がGoogle Glassをかけて、ウオーミングアップをしているシーンなどをスポーツニュースで報道している。Google Glassで捉えた選手目線のショットがリビングルームに入ってきた。Google Glassによるスポーツ放送は圧倒的に迫力があり、スポーツ番組が大きく変わろうとしている。

南カリフォルニア大学ジャーナリズム学部Robert Hernandez教授は、Google Glassをプラットフォームとする報道についての研究を進めている。大学は「グラス報道」について学術的な見地から解明を進め、最適な応用技法を探求している。Hernandez教授は、Google Glassを使ったジャーナリズムの講座を新設し、グラス報道を学生たちに教える予定である。オバマ大統領から三大ネットワークから大学まで、Google Glassで何ができ、どんな問題があり、これからどう向き合っていくべきか、多角的な検証が始まっている。

シリコンバレー新興企業が成功する秘密、斬新なアイディアと「グロースハッキング」

Saturday, May 24th, 2014

シリコンバレーの若い起業家たちから斬新なアイディアが生まれている。しかし企業として成功するためには、これだけでは十分でなく、グロースハッキング (Growth Hacking) という成長戦略が必要だ。シリコンバレーの新興企業が成功する秘密を、人気アクセラレーター500 Startupsから分析する。

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Facebookを教材にした語学教育

斬新なアイディアで事業を拡大している新興企業にCultureAlleyがある。同社はサンフランシスコを拠点に、語学教育サービスを展開している。スペイン語、中国語、ヒンディー語などの語学レッスンを提供しているが、アプローチがユニークだ。レッスンで使うテキストが、利用者のFacebookである。

上の写真がその事例で、私のFacebookがスペイン語レッスンの教材となっている。これはフォローしている人気歌手Katy Perryのニュースフィードで、いくつかの単語がスペイン語に置き換わっている (赤色でハイライトされた部分) 。これをクリックすると、クイズが出題される。上の事例では「May」という英語はスペイン語でなんというか、という三択クイズとなっている。ここでは「Mayo」が答えで、正解するとキャンディーを貰える。キャンディーが10個たまると次の段階のレッスンに進むという構成である。実際に使ってみると、Facebook上気になる記事が教材で、親近感を持ってスペイン語を学ぶことができる。頻繁に登場する言葉を中心に学習でき、身の回りの世界がスペイン語で見えてきて、飽きのこない学習法である。

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500 Startupsサンフランシスコ・オフィス

CultureAlley共同創設者Pranshu Bhandariに、同社オフィスでデモを見せてもらいながら、製品開発の狙いや事業拡大の手法を聞いた。CultureAlleyは、新設されたばかりの500 Startupsサンフランシスコ・オフィス (上の写真中央のビル最上階) に入居している。ここはユニオンスクエアの近くで、有名デパートなどが集まっているショッピングエリアの一角に位置する。

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オフィスフロアーはまだ改装中で、五階を仮のオフィスとして使用している。上の写真が仮オフィス内部の様子で、左手奥がCultureAlleyのデスクである。

Distribution Teamから事業拡大を学ぶ

CultureAlleyは500 Startupsで様々なことを学んできたが、その中で最大の成果は事業を拡大する方法を学んだこと、と述べている。500 Startupsはメンター呼ばれる業界著名人のネットワークを有しており、新興企業に多彩で実用的な教育を行っている。その中に、事業拡大を専門に指導する「Distribution Team」がある。CultureAlleyはこのチームから事業展開の極意を学んだ。

CultureAlleyは、製品プロモーションとして、YouTubeに語学レッスンビデオを公開し、視聴者を増やしてきた。しかし、これら視聴者はビデオは見るが、ホームページに来て利用者登録する数は限られていた。また、CultureAlleyはGoogle検索広告 (AdWords) を使いプロモーションを行ったが、その効果は限定的であった。

ランディングページのデザイン改良

このような状況を、Distribution Teamに説明し、利用者数増大の秘訣について、指導を受けた。検証の結果、Distribution TeamはFacebookに広告を掲載することを勧めた。更に、広告の目的を明確に定義し、会社PRではなく、会員登録が主目的で、CPA (会員一人を獲得するためのコスト) を指標として効果を測定すべきであると指導した。更に、ランディング・ページ (利用者が最初に見るページ) についてもデザインを一新した。

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当初は上の写真の通り、複数方式で会員登録できるデザインであった。FacebookやGoogleなどのIDで利用者登録ができた。

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これを一つに変更した。上の写真が改良後のランディング・ページで、会員登録するためのボタンは一つで、Facebook IDだけで登録を行う。CultureAlleyは、多くの選択肢があれば、登録者数が増えると期待していた。しかし、Distribution Teamの判断は、選択肢が多いと利用者は判断に迷い、その結果、登録者数が減ると判断した。このデザインに変更して、登録者数が倍増したと述べている。

グロースハッキングを実践

Distribution Teamが行っていることは、グロースハッキングで、企業成長のための、様々な手法を提示することにある。グロースハッキングとは、科学的な見地から、「イニシアティブを生成し」、「それを繰り返し実行し」、「成果を検証し」、企業やサービスを急成長させることである。一言で表現すると「コードが書けるマーケティング」ということになる。シリコンバレーの多くの企業は、グロースハッカーという職種で人材募集を行い、この手法を実践している。

Distribution Teamは著名グロースハッカーから成り、CultureAlleyは上記の指導を受け事業拡張を目指している。全米にデビューするためには、斬新なアイディアだけでは十分でなく、500 Startupsはメンター・ネットワークを通して、企業成功のための幅広い実践的な教育を行っている。シリコンバレーでは著名グロースハッカーから指導を受けることができ、ここが事業成功への決定的なカギとなる。

Bhandari によると、CultureAlleyは日本人向けに英語レッスンを公開する予定である。利用者のFacebookで、日本語を英語に置き換えて、英語レッスンを受けることになる。また、ブラウザー・プラグインも公開する予定で、利用者の好みのウェブサイトで英語の学習ができるようになる。CultureAlleyは、斬新な製品アイディアに、グロースハッキングの手法を取り入れ、世界に羽ばたこうとしている。

シリコンバレーの若い起業家が開発した宅配サービス、運輸大手に利便性で挑戦

Wednesday, May 14th, 2014

シリコンバレーの若い起業家たちから斬新なアイディアが生まれている。最近では、インターネット上のお洒落なサービスより、リアル社会と結びついた生活に直結したサービスが増えてきた。生まれたての技術を、人気アクセラレーター500 Startupsのイベントからレポートする。

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イノベーション発生の場所

500 Startupsはマウンテンビュー (カリフォルニア州) に拠点を置く、ベンチャーキャピタルである。500 Startupsは、投資を行うだけでなく、インキュベーターとして起業家育成に力を注いでおり、アクセラレーターと区分される。アクセラレーターという名称が示唆しているように、起業家たちは短期間 (3-6か月) での製品開発が求められ、完成したプロトタイプを投資家の前で披露する。このイベントはDemo Dayと呼ばれ、5月8日、Microsoftシリコンバレーキャンパスで開催された (上の写真、出典は断りが無い限りVentureClef)。

今回のDemo Dayは第八期生の発表イベントで、29社が最新技術をステージ上でアピールした。起業家の平均年齢は20代半ばで、若い視点から開発された製品が数多く登場した。これら製品は市場で評価を受け、認められたものだけが生き残るという厳しい現実が待っている。これとは裏腹に、Demo Dayは大学の文化祭のようで、お祭り騒ぎでイベントが進行した。過去にはこのステージから、有望な新興企業が全米にデビューしている。

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物流サービスへの挑戦

Demo Dayでは、物流サービスに関する新技術の登場が相次いだ。Doormanという新興企業は、サンフランシスコに拠点を置き、消費者向け宅配サービスを開発している。消費者がEコマースサイトで購入した商品を、顧客の指定時間に配送するサービスである。昼間家を不在にしている人は、配達時間を帰宅後に指定することで、商品を受け取ることができる。日本では当たり前のサービスであるが、アメリカでは配達時間を指定できるサービスは殆どない。不在の時に配達されたパッケージをしばしばUSPS (アメリカ郵便局) に受け取りに行くが、長い列で待たされ、とにかく不便極まりない。

宅配のラストマイルを担う

Doorman共同創設者Zander Adellがステージ上でサービスの仕組みを解説した (上の写真) 。Doormanは宅配サービスのラストマイルに位置している。Doorman利用方法は次の通りである。

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消費者はEコマースサイトで買い物をし通常通り支払い手続きを行う。その際、商品配送先を自宅ではなく、Doorman集配所を指定する。私のケースでは上の写真左側の住所を指定する。商品は輸送会社によりDoorman集配所に配送され、ここからDoormanが自宅に配達する仕組みとなる。

Doorman集配所に商品が届くと、消費者のスマホにメッセージが送信され、Doormanからの配送スケジュールを設定する (上の写真右側)。この画面で配達日と時間帯を指定する。配達時間は午後6時から深夜までで、二時間の枠で指定できる。(但しゴールドメンバーになると一時間の枠で指定できる。)

配達時間は利用者の帰宅後の時間帯で、日中に家を留守にしている消費者を対象にしたサービスだ。休暇などで不在の時はDoormanは30日間無料で商品を預かる。同日配送するためには午後5:30までにスケジュールを行う。パッケージの大きさは40ポンド (約20キロ) までとなっている。

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今後はEコマースサイトにインテグレーションして、商品購買の際に、直接Doormanのサービスを指定 (上の写真、出典:Doorman) できるようにする計画である。

Uberを参考にしてサービスを発案

Zander Adellともう一人の創設者であるKapil Israniから、Doorman事業概要について話を聞いた。この事業を始めるにあたり、Uberのモデルが参考になったとしている。Uberとは新方式のタクシーで、利用者はスマホ専用アプリでドライバーと直接つながり、配車などの手配を行う。Uberは運輸ネットワーク・サービスと位置付けられ、Google Venturesが大規模投資を行ったことでも話題となっている。消費者はスマホ専用アプリでUberを呼び、タクシー利用が格段に便利になった。Adellは、「Uberの便利さを宅配サービスに応用する」と述べ、「大手企業の宅配サービスは”ルート最適化”で」効率化を追求しているが、消費者にとってのメリットは小さいと説明。Adellは、Doormanは「”顧客最適化”を行い利便性を追求する」と、その構想を語った。

出足は上々

消費者は指定時間に商品を受け取ることができ、格段に利便性が向上するが、追加費用が発生する。消費者はEコマースサイトで配送料を支払い、これに加えてDoormanにも配送料 (3.99ドル / パッケージ) を支払う。このサービスはサンフランシスコで始まっており、Adellによると、Twitterなどで利用者の反応が寄せられ、評判は上々である。Doormanは生まれたてのベンチャーで、消費者が追加料金を払ってでも利便性を求めるのか、これから市場の評価を受けていくこととなる。USPSの前時代的宅配サービスに苦しんでいる消費者としては、Doormanのような新世代サービスが広がることに期待を寄せている。

大きな構想があるのか

Doormanは便利な宅配サービスだけなのか、それとも大きな構想を抱いているのか、Adellの話しを聞いて疑問が頭をよぎった。Uberの価値は、便利なタクシーだけでなく、タクシーと乗客と目的地のデータを解析し、運輸ネットワークを最適化するアルゴリズムにあると言われている。GoogleがUberに大規模投資を行ったのは、このアルゴリズムが目的であるとも言われている。Doormanの利用者数が増えると、利用者の住所や時間や嗜好と宅配サービスで膨大なデータが集まる。それをビッグデータ解析することで、”顧客最適化”した宅配ネットワークが可能となる。更に、Doormanのビジネスモデルについても多くの展開方法がある。単独で事業展開するのか、それとも、大手宅配企業のプレミアムサービスとしてプラグインするのか、選択肢は少なくない。Adellはこれらについては何も触れなかったが、Doormanは将来性を感じさせる新興企業である。

Google Glass向け高度医療システムが登場、グラスがアメリカ医療現場を大きく変えている

Wednesday, May 7th, 2014

スマートグラスはビジネスとの相性が抜群で、多くのベンチャー企業からビジネス・ソリューションが登場している。Wearable Intelligenceもその一社で、ウエアラブルをビジネスに活用する技術を開発している。Wearable IntelligenceはGoogle Glass向けに高度な医療システムの開発を始めた。

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Google Glassで脳梗塞の患者に対応

Wearable Intelligenceはサンフランシスコに拠点を置くベンチャー企業で、Google Glass向けに、医療とエネルギー分野に特化したソリューションを開発している。アメリカの大学病院では、Google Glassを着装した手術が頻繁に行われており (上の写真、出典はすべてWearable Intelligence)、グラスは必要不可欠の医療ツールとなっている。

Wearable Intelligenceは医療ソリューションのビデオを公開し、Google Glassを活用した医療システムをリアルに解説している。Wearable Intelligenceは、脳梗塞を発症した患者が救急車で病院に運ばれ、診断を受けるまでの医療行為で、Google Glassを如何に活用するかを示している。

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患者情報や検査手順を表示

救急車の中では救急隊員がGoogle Glassを着装し、患者の情報を閲覧する (上の写真)。 グラスには患者の基本情報の他に、Chief Complaintとして、病状が表示されている。これは「Informant」という機能を使い、患者の医療データにアクセスしている事例。

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病院に到着すると、担当医はGoogle Glassを着装して患者の治療に当たる (上の写真)。医師はグラスに表示された診察手順 (NIHSS Checklist) に沿って、患者の様態を調べていく。

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医師はチェックリストに沿って検査を行い、その様子をビデオで録画する。上の写真はそのプロセスで、医師が患者に「両手を上げて」と語りかけ、その様子をビデオで撮影している。チェックが終わると「Send」と指示し、録画したビデオをHER (Electronic Health Record、医療システム) に送信する。これは「Director」という機能で、検査手順をGoogle Glassに表示する。

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専門医とテレビ会議で治療方針決定

担当医師はGoogle Glassに「当直の脳神経外科医にメッセージ送信」と指示し、症状を音声で入力し、専門医にメッセージを送る。脳神経外科医は担当医師からのメッセージをタブレットで受信し、治療方針について打ち合わせを行う (上の写真)。また脳神経外科医は、CTスキャン検査結果をタブレットで閲覧し所見を述べる。

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脳神経外科医は検査結果に応じて、患者の状態を直接見ることもできる。担当医師は患者のもとに向い、Google Glassで患者の様態を撮影し、その様子を脳神経外科医にストリーミングする。(上の写真) その様子を脳神経外科医はタブレットで閲覧し患者の様態を把握する。脳神経外科医は診断の結果、「TPA (血栓溶解剤) を処方する」とし、「静脈注射により0.9mg/kgの量を処方。最初の一分は10%濃度を上げ、一時間にわたり投与。」と指示。担当医師はこの治療方針に従って処置を行う。これは「Avatar」という機能で、現場の担当医が別の場所の専門医とテレビ会議で連携し、治療方針などを決定するために利用する

最も完成度の高いグラス医療システム

Wearable Intelligence 共同創設者でビジネス開発責任Chase Feigerに、システム概要について話を聞いた。まだ公開できる情報は少ないとしながら、同社はアメリカを中心に事業を展開しており、現在、Google Glass医療システムは、ハーバード大学医学大学院であるBeth Israel Deaconess Medical Centerで実証実験を行っていると説明。この他に、多くの医療システムとの統合を行っているとも説明した。Google Glass向けに様々な医療システムが登場しているが、Wearable Intelligenceは最も完成度の高いグラス医療システムであるとの印象を受けた。

Wearable IntelligenceはGoogle Glass基本ソフトを専用Androidで置き換え、医療専用システムとして開発している。医療専用機であるため、不要なアプリ (FacebookやTwitterなど) は削除している。また、Google Glass音声認識機能は、医療関連用語を強化するため、Nuanceの医療専用辞書で置き換えている。

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ウエアラブルをビジネスに応用

Wearable Intelligenceは、医療システムの他に、エネルギー関連ソリューションを開発している。上の写真はその一部で、石油採掘現場でプラント操作を行っている様子である。プラント作業員がバルブ操作操作方法をGoogle Glassのディスプレイで参照している。このシステムは世界最大の油田掘削会社であるSchlumbergerで使われている。

Wearable IntelligenceはGoogle元社員などで創設され、Glass Collective (Google Glassに特化したベンチャー・ファンド) などが出資している。Wearable Intelligenceは社名が示しているように、Google Glassだけでなく、ウエアラブルを事業に展開するソリューションを目指している。