Archive for September, 2014

バーチャルリアリティはゲームから映画に進化!Zuckerbergの構想が形となる

Friday, September 26th, 2014

バーチャルリアリティー (VR) 映画の製作が始まった。VR端末で360度全方向の3D画像を体験できる。体を捻れば、後ろの映像が見える。VR端末はゲームだけでなく、映画でも威力を発揮する。映像メディアがVRに進化している。

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Zuckerbergのビジョン

ゴーグル型VR端末を開発しているOculus VRは、新世代のゲーム機として、急速に普及する勢いをみせている。Facebookが同社を買収した際に、CEOのMark Zuckerbergは、「VRは次世代のコミュニケーション媒体」と述べている。自宅にいながら世界を体験できるという意味である。Zuckerbergのこのビジョンが形を成してきた。

シリコンバレーのベンチャーがVR映画の製作を始めたのだ。これはJauntという企業で、VR映画製作のためのカメラ (上の写真) やソフトウェアを開発。視聴者は「Oculus Rift」などVR端末を着装して映画を楽しむ。VR映画は360度全方向に3D画像を映し出し、視線を変えるとその方向の画像を見ることができる。この方式は、「360/3D VR」と呼ばれている。

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VR映画撮影カメラ

VR映画制作のためのカメラはJauntカメラと呼ばれる。先頭の写真は開発中のもので、上の写真が現行モデル。現行モデルは14台のGoProカメラを搭載し、HD (1080p) で毎秒60フレーム撮影。カメラは市販製品であるが、Jauntの技術はソフトウエアにある。撮影された映像をソフトウェアで繋ぎ合わせて、一つの画像とする。具体的には、14のイメージを繋ぎ合わせ、一つの360/3D VRイメージを生成。このため、色調、ホワイトバランス、レンズの歪みなどを補正する。1秒のイメージを生成するために20秒かかる。

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VR映画で何を表現するか

Jauntは既にVR映画製作に乗り出している。同社は映画プロダクション「New Deal Studios」と共同で、第二次世界大戦を舞台とした映画「The Mission」を制作中。アメリカ軍の落下傘部隊がロシアで敵地に降下し、ドイツ軍に囚われるというストーリー。撮影ではJauntカメラが使われ、落下傘にも搭載して撮影された (上の写真)。観客は敵地内での戦闘を360度のアングルで見ることができる。振り返ると、背後にはドイツ軍が迫り、現実と仮想の垣根が低くなる。オーディオも360度で再生され、顔を向けた方から音が聞こえる。

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Jauntはミュージックビデオでも威力を発揮する。8月14日、 Paul McCartneyのコンサートがサンフランシスコのCandlestick Parkで行われた。ビートルズが48年前、コンサートを行った会場である。コンサートの模様はJauntカメラで撮影された (上の写真)。ステージに複数のJauntカメラを設置してバンドの演奏を撮影。このビデオでは、視聴者がステージ上で、360度の視野でコンサートを楽しめる。ビデオはまだ公開されていないが、隣でポールがギターを弾き、視線を移せば熱狂した観客のリアクションを見れるのかもしれない。

Cinemtic VRがキーワード

CEOのJens ChristensenはJauntの戦略を明らかにし、「Cinematic VR」がビジネスチャンスと述べている。Cinematic VRとは、映像を360/3D VRで表現する手法を示す。Christensenが注目している分野は、上述の映画と音楽に加え、スポーツ、旅行、ニュースである。スポーツでは試合を360/3D VRイメージで中継し、視聴者は応援しているチームの中で観戦できる。

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観光では、自宅にいながら世界旅行ができる。世界遺産を360/3D VRイメージで体験し、あたかもその場所にいるような仮想旅行ができる。上の写真は観光地をJauntカメラで撮影している様子。ニュースでは事件の最前線に立つことができる。シリアでの戦闘の激しさを実感できるのかもしれない。

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VR端末の急速な普及

Jauntで製作されたコンテンツはVR端末で楽しむ (上の写真)。このため、Jauntはコンテンツ再生のソフトウェアを開発している。JauntはVR端末サポート対象機種については明らかにしていないが、Oculus RiftやSony Project Morpheusなどがリストに入ると思われる。また、JauntはSamsungとGear VR向けに、コンテンツを共同開発している。Gear VRとはSamsungがOculus VRと開発したVR端末で、SamsungはVR技術に集中的に投資している。JauntはiPad向けにもコンテンツを供給する。この場合、iPadを移動すると、その方向の映像を見ることができる。FacebookのOculus VR買収で、消費者のVRへの関心が高まり、VR端末の普及が急速に進むとみられている。

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上の写真はNASAで行われた、SpaceX打ち上げ成功を記念するイベント。Jauntは打ち上げを支えた技術を360/3D VRで捉えている。

VR映画特有の課題もある

一方、VR映画特有の検討課題も見えてきた。VR映画は360度全方向を撮影するため、撮影クルーはカメラに映らないよう、隠れている必要がある。撮影現場でのスタッフ配置など、撮影手順が大きく変わる。観客は360度の映像を楽しめるが、どこでストーリーが展開しているかを掴む必要がある。観客は何処を向けばいいのか、切っ掛けを示す工夫が必要となり、映画製作の手法も大きく変わる。更に、カメラを移動すると「VR Sickness」 (VR酔い) になるため、カメラの位置を固定してストーリーを展開する工夫も必要となる。新しいメディアには新しい検討課題も出てくる。

メディア企業の期待を背負っている

Jauntは2013年にJens Christensenなどが設立し、イギリス大手放送事業者BSkyBから出資を受けた。その後、Google Venturesなど主要ベンチャーキャピタルが投資。アドバイザーにはGoogle Glass開発者のBabak Parvizが入っている。Dolby会長Peter GotcherやSling Media創設者Blake Krikorianなど、メディア関係者が投資に加わっている。メディア企業から将来性を期待されていることが窺える。また、Christensenは、ハリウッドの映画プロダクションが興味を示していると述べ、共同で映画制作を進めることを示唆している。Zuckerbergのビジョンが示している通り、消費者のエクスペリエンスがVRに向い、メディアの役割が大きく変わろうとしている。

Googleはスマートシティの研究開発に着手、都市交通をデータ解析する技術に投資

Friday, September 19th, 2014

Googleは高度技術研究所「Google X」に続き、第二の研究機関「Google Y」の設立を計画している。Google Yは効率的な空港やモデル都市の開発を手掛ける。一方、Google Venturesは「Urban Engines」という会社に投資し、データ解析の手法で交通渋滞を緩和する技術を開発している。Googleは社会インフラ整備事業に乗り出そうとしている。

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Google Yでスマートシティの研究

Google CEOのLarry Pageは一年前、「Google 2.0」というプロジェクトをスタートした。The Informationが9月18日に報道した。このプロジェクトは社会が直面している大きな課題を解決することを目指す。同時に、Googleの次の事業モデルを模索する、という意味もある。最初のテーマとして、空港や都市の整備が挙げられた。更に、これらテーマを推進するために、Google Yの創設が提案された。

上の写真は昨年のGoogle I/O基調講演で、PageはGoogleの新たな挑戦について説明した。具体的なプロジェクトは示されなかったが、PageはGoogle 2.0の構想を抱いていたと思われる。Google XはSergey Brinの指揮の下、自動運転車やGoogle Glassなど、将来技術の研究を行っている。これに対して、Google Yは長期レンジの研究で、大規模プロジェクトを対象としている点に特徴がある。必ずしも採算性を意識している訳ではない。Googleはエネルギー分野では、風力発電や太陽熱発電など、既に大規模プロジェクトを展開している。シリコンバレーを含む北カリフォルニアは、Googleが開発した太陽熱発電所 (Ivanpah Solar Power Facility) から電力を購入している。今度は、Google Yでスマートシティの研究開発に向うこととなる。

都市交通解析システムへ投資

これに先行しGoogle Venturesは、Urban Enginesというベンチャー企業に投資を行った。Urban Enginesはカリフォルニア州ロスアルトスに拠点を置き、都市交通解析システムを開発。Urban Enginesは、センサーやカメラなどのハードウェアを使わないで、データ解析の手法で、電車やバスの運行状況をモニターする。更に、インセンティブプログラムで、人間心理に訴えて、混雑緩和を行う手法を開発。システムが生成するログデータを解析することで、都市交通を解析する点に特徴がある。

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データ解析で運行状況モニター

上の写真はその事例で、鉄道会社が電車運行状況をモニターしている様子。ブラウザー上に、電車の位置や混雑状況が表示される。電車の位置は路線上の箱で、混雑度は箱が塗りつぶされた割合で示される。駅は丸印で、その隣のバーは、駅の混雑状況を示している。駅に収容人数を超える乗客がいる際は警告メッセージをあげる。画面左上で日時を指定し、再生ボタンを押すと、動画で時間ごとの変化を見ることができる。管理者は、ハードウェア機器の導入無しで、電車の運行を監視できる。

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運行監視システムの仕組み

Urban Enginesは既存システムが生成するデータログを解析することで、運行状況を把握する。乗客の動きは、乗車カード (JR東日本のSuicaのようなカード) の情報を入力とする。電車やバスの位置はGPSなどの位置情報を利用。乗客一人一人がセンサーの役割を果たし、この手法は「クラウドセンシング」と呼ばれている。具体的には、前述の通り、電車や駅の混雑状況の他に、駅での待ち時間を把握できる (上の写真、イメージ)。電車やバスの位置と速度を把握し、遅れや運休でどれだけの利用者が影響を受けるかを推定。更に、利用者に特典を与えることで混雑緩和を目指すインセンティブプログラムも提供している。

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シンガポールで利用されている

Urban Enginesは新興国を中心に導入が始まっている。シンガポール政府はUrban Enginesを導入し、電車の混雑緩和を目指している。運輸を管轄するLand Transport Authorityは運行管理に加え、「Travel Smart Rewards」という名称で、インセンティブプログラムを展開。利用者は搭乗パス (Cepas Card) を利用し、ピーク時前後の時間帯で電車に乗るとポイントを貰える。上の写真がポイント制度で、ピーク時前後 (シェイドの時間帯) に登場すると、通常の3倍から6倍のポイントが貰える。ピーク時の乗客を前後に分散させることが狙い。取得したポイントはキャッシュバックとして、Cepas Cardに還元される。企業もこのプログラムを支援しており、上記に加え、社員に割増ポイントを与えている会社もある。

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スタンフォード大学での研究成果を商用化

Urban Enginesはスタンフォード大学の研究成果を商用化したもの。創業者の一人Balaji Prabhakarは、スタンフォード大学で交通ネットワークの研究に従事。Prabhakarは「Behavioral Economics」というモデルで、人間心理に訴え、通勤時の混雑を緩和する手法を研究。具体的には、「Congestion and Parking Relief Incentives」というシステムを開発し、オフピーク時間帯に通勤すると褒賞を与え、交通渋滞を緩和する効果を検証した。この結果、少ない褒賞で大きな効果があることが分かり、この研究を元にUrban Enginesを創設。現在もこのシステムは稼働しており、専用アプリ「My Beats」 (上の写真) で利用されている。

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人口増加にどう立ち向かうか

Urban Enginesは前述の通り、新興国を中心に導入が始まっている。ブラジルのサンパウロでは、World Bankと共同で、バスの運行管理を行っている (上の写真、イメージ)。アメリカではコロンビア特別区において、電車の運行管理に利用されている。世界の人口は2050年までに90億人になると言われている。増え続ける人口に対応するため、新興国では輸送システム増強が喫緊の課題となっている。輸送量を増強するなどハード面での対応に加え、Urban Enginesのソフト面でのアプローチが評価されてきた。Urban Enginesが目指しているのは、インフラが整っていない国々での輸送力強化にあり、今後、新興国を中心に大きな需要が見込まれる。日本ではSuicaで生成されたデータの解析が進んでおり、Urban Enginesの手法は特に目新しいものではない。日本の高度なインフラ技術輸出の他に、新興国向けには、Suicaデータ解析技術が、混雑緩和に貢献するのかもしれない。

Googleとの関係が深い

Urban EnginesはGoogleとのつながりが強い企業である。Urban Engines創業者の一人Shiva Shivakumarは、Googleでエンジニアリング部門の副社長を歴任。同氏は、AdSenseやSearch Applianceの開発に携わった。また、Urban Enginesへは、Google Venturesだけでなく、元CEOのEric Schmidtも投資を行っている。Urban Enginesは、Googleのコア技術であるデータ解析を都市交通の解析に応用したもので、Googleの注目度の高さが窺える。冒頭のGoogle Y設立の提案と共に、Googleは社会インフラ整備事業に向って動き始めた。

Apple Watchの健康管理機能は意外に普通?既に次期モデルが話題に!

Friday, September 12th, 2014

Appleはウエアラブル端末「Apple Watch」を発表。お洒落なデザインで話題となっているが、健康管理に限ると、画期的な機能は登場しなかった。Apple Watchは高機能ウエアラブルと言われてきたが、基本機能の搭載に留まった。しかし、これは出発点で、次期モデルに搭載される高機能センサーが、既に話題となっている。

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二つの健康管理アプリ

Apple Watchは健康管理機能を二つのアプリで提供。それらは「Activity App」 (上の写真左側、出典はいずれもApple) と「Workout App」 (同右側)。Activity Appは活動状態をモニターする。アプリは三つの機能で構成され、活動状況がグラフで表示される。「Move」は消費カロリー量を、「Exercise」は運動量を、「Stand」は立っている時間を示す。一日の目標値を設定し、それに到達すると円グラフとなる。

Standとは聞きなれないコンセプトであるが、一時間のうちに一回以上立ち上がった回数を記録。仕事中に椅子に座ったままでなく、立ち上がることを奨励している。最近では、長時間座っていることは、喫煙と同じくらい健康に悪いと言われている。Standは、一日12時間のうち、各時間で立ち上がることを目標値としている。

Work Appはトレーニングのためのアプリ。ランニング、ウォーキング、サイクリングなどで使う。アプリは過去の履歴を参照し、目標を自動で設定する。目標値は走行距離や走行時間など。勿論、利用者がマニュアルで変更できる。トレーニングをしている最中は、途中経過情報を表示し、目標を達成すると本物そっくりのバッジを貰える。

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センサー情報を解析

Apple WatchはiPhoneとペアリングして利用する。Apple Watchは加速度計と光学センサー (上の写真、四つの円形の部分) を搭載しており、それぞれ、体の動きと心拍数を計測する。iPhone側に搭載されているGPSとWiFiで位置を把握する。またiPhone 6に搭載されるM8コプロセッサーは気圧差の測定ができ、垂直方向の移動(階段の上り下りなど) を測定できる。Activity AppやWorkout Appは、これらセンサーで収集した情報を利用する。アプリで解析した情報は健康管理プラットフォーム「HealthKit」で管理され、医療機関と共有することができる。

光学センサーに特徴あり

Apple Watchは、上述の通り、背面に光学センサーを四基搭載している。センサーは可視光と赤外線のLED光源を持ち、フォトダイオードで反射波を読み取る。腕表面の血管に光をあて、その反射波から心拍数を測定する。心拍数測定では、ECGのように電気信号を読み取るのが一般的で、病院などで使われている。ウエラブルでは、心拍数測定に、可視光か赤外線のどちらかを使う。これに対しApple Watchは、両者を併用する点に特徴がある。

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リアルタイムで心拍数が測れるか

Apple Watchは腕の血管の血流を読み取り、心拍数を算定する。高機能スマートウォッチBasisも同じ方法で心拍数を測定する。但し、Basisは赤外線だけでセンシングする。Basisは心拍数を測定する際は、静止状態である必要がある。運動しながら測定することはできない。つまり、トレーニング中にリアルタイムで心拍数を把握できない。Appleは前述の通り、二つの光源で心拍数を測定する。Appleは詳細機能については公開しておらず、運動しながらApple Watchで心拍数を測定できるのか、関心が集まっている。因みに、BasisはIntelに買収され、高機能ウエアラブルでは、Apple対Intelの構図が生まれた。

Apple Watchは心拍数の測定結果をコミュニケーションで利用している。これはDigital Touchという機能の一つで、利用者の心拍を相手に送ることができる (上の写真)。受信者は送信者の心臓の鼓動を腕で感じることができる。離れているカップルが使うのか、今の気持ちを振動で伝えることができる。

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以外に標準的なセンサー

これらの機能は概ね他社から提供されており、革新的センサーと言う訳ではない。なぜ、Apple Watchは標準機能に留まったのか、議論が起こっている。その一例がスリープトラッカー。これは睡眠状態をモニターするセンサーで、FitBitなど多くのウエアラブルに搭載されている。Apple Watchにスリープトラッカーが搭載されなかった理由は、バッテリー容量と言われている。バッテリーは一日しかもたず、毎晩充電する必要がある。このためApple Watchをつけたまま寝ることはできない。一方、Appleは睡眠研究の第一人者Roy Raymannを採用し、開発を重ねている。この問題が解決すると、スリープトラッカー機能が搭載されると言われている。

センサーよりファッション性を優先

Apple Watchは、フィットネス情報だけでなく健康情報を収集し、HealthKitに格納する。Appleはこれらの情報を病院と共有し、治療に役立てる構想を打ち出している。そのためには、Apple Watchで身体情報を幅広く収集する必要がある。前述の通り、このための高機能センサーは、搭載が見送られた。今回は光学センサーで心拍数計測だけに留まった。これはファッション性を優先し (上の写真)、高機能センサーを無理やり実装することは避けたためと思われる。まずは、ファッションや使い易さを優先したデザインとなっている。また一説では、AppleはFDA (アメリカ食品医薬品局) の認可が必要な医療機器としてのセンサーを、あえて搭載しなかったとも言われている。

次期モデルで血圧、心電図、血糖値などの測定ができるのか、すでに議論となっている。今回の発表で、Apple Watchのスタートラインが明らかになり、これからの技術進化に期待が寄せられている。

「Apple Pay」で決済サービス事業に参入!Apple Watchから利用できる

Wednesday, September 10th, 2014

Appleは9月9日、スマートフォン「iPhone 6」とウエアラブル端末「Apple Watch」を発表。更に、Appleは決済サービス「Apple Pay」を発表。iPhone 6やApple WatchのNFC (近距離無線通信) 機構でカード決済ができる。Apple Watchは洗練されたデザインで、アップルらしい製品仕立てとなった。

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お洒落な製品

Apple Watchは三つのモデルから成り、それぞれ、「Watch (標準)」、「Watch Sport (スポーツ)」、「Watch Edition (ハイセンス)」。使う目的によりデザインが異なる。上の写真 (出典はいずれもApple) はWatch Edition。フレームは18Kイエローゴールドでバンドは赤色レザー。

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このモデルを身に付けると上の写真のようなイメージとなる。お洒落な製品で消費者の心に訴求する。ディスプレイサイズは38mmと42mmで大小二つのモデルを投入。出荷は2015年初頭で、価格は349ドルから。

Apple Payとは

iPhone 6とApple Watchに次ぐ発表ハイライトはApple Pay。Apple PayはNFCによる決済サービスで、おサイフケータイのアップル版と言える。但し、通信プロトコールは異なる。Apple PayはiPhone 6とApple Watchで利用できる。

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iPhone 6でApple Payを使う際は、指をTouch IDにあて、デバイスをリーダーにかざす (上の写真)。Touch IDで本人認証を行う。支払いが完了すると、デバイスが震えて知らせる。

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Apple Watchで支払いする際は、下側のボタンをダブルクリックし、リーダーにかざす (上の写真)。Appleは認証方式については言及しなかった。(Watch背面のセンサーでバイオメトリックな情報を読み、これを認証で利用するのか。) 読み込みが終わると、Watchが震えて知らせる。

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アプリ内でも利用できる

Apple Payはアプリ内の支払いに利用できる。アプリで買い物して支払いする際は、「Apple Pay」ボタンにタッチし、指をTouch IDにあてる。上の写真左側は、レストランPanera Breadでランチをオーダーしている様子。中央は大手デパートTargetでの買い物。右はライドシェアUberで車を呼んでいるところ。いずれも画面最下部のApple Payバーにタッチして支払いする。

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カードの登録

Apple Payのセットアップはシンプル。クレジットカードやデビットカードをPassbookに格納する (上の写真左側)。チケットなどを入れておくPassbookが財布となる。iTunesにカードを登録している場合は、カードのSecurity Codeを入力し、Passbookに移す。新規にカードを登録する際は、カードの表面をカメラで撮影して、カード情報を読み込む (同右側)。

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Apple Payのセキュリティ

カードをPassbookに格納する際は、カード番号ではなく、デバイスに固有の番号「Device Account Number」が生成される。これを暗号化して、デバイスのSecure Elementに格納する。Device Account Numberはデバイス内に留まり、Appleサーバーには格納されない。

支払処理では、トランザクション毎に固有な番号が生成される。Device Account Numberとこの番号が決済システムに送信される。所謂、ワンタイム・トークンによる決済方式で、クレジットカード番号やデビットカード番号が送信されることは無い。

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iPhone 6やApple Watchにカード番号が格納されないため、デバイスを紛失してもカード情報は洩れない。デバイスを紛失した際は、「Find My iPhone」機能を使って (上の写真)、デバイスを「Lost Mode」にする。これでApple Payなどの機能が使えなくなる。

既に多くのパートナー

Apple Payは、Visa、MasterCard、American Expressに対応している。Apple Payを使える小売店舗は、Macy’s、Walgreens、Whole Foods、Apple Storeなど22万店舗。Apple Payを利用できるアプリは、Groupon、OpenTable、Starbucks、Target、Uberなど10アプリ。カード会社はApple Payでカードが使われる毎に、Appleに手数料を支払うと言われている。iPhone 6やApple Watchでカードを使うことで、消費者の購入金額が増えるとみている。

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アメリカ市場に受け入れられるか

日本では馴染みのおサイフケータイ機能であるが、アメリカではほとんど使われていない。Googleは「Google Wallet」でおサイフケータイ機能を提供しているが、あまり人気が無い。このためGoogleは、Google Walletをオンライン決済を中心に展開している。

このところTargetなどが攻撃に合い、クレジットカード情報が盗まれる被害が続出している。Apple Payは決済処理でカード情報を使わないため、このような問題を回避できる。また、Apple Watchで支払いができ、ポケットやバッグからスマートフォンを取り出す必要はない。AppleがNFC決済ビジネスに参入することで、市場が活性化するか、期待が寄せられている。