Archive for December, 2015

GoogleとFordが自動運転技術で合弁会社を設立か、自動車業界再編の幕開け

Friday, December 18th, 2015

GoogleとFordは合弁会社を設立し、自動運転車を開発する。米国メディアが関係者の話として報道した。両社はこの報道についてコメントしておらず、事実関係は確認できない。しかし、この報道が事実であれば、自動運転車開発で、IT企業と自動車メーカーが提携する最初のケースとなる。自動車産業の再編が始まろうとしている。

g439_car_google_ford_01

合弁会社を設立

2015年12月、Yahoo Autoなどは、GoogleとFordは合弁会社を設立し、自動運転車を開発すると報道した。FordとしてはGoogleの技術を導入することで、自動運転車開発で他社を大きくリードするチャンスとなる。合弁会社を設立する理由は、法的にFord本体から切り離し、訴訟問題が発生した際に、Fordを守るという意味がある。契約は非独占で、合弁会社を設立した後も、Googleは他のメーカーと交渉する権利を有す。Fordはこの提携について、来月開催されるConsumer Electronics Show (CES) で発表するとしている。

GoogleとFordは密接な関係

既に、GoogleとFordは密接な関係にあり、多くの分野で共同開発を進めている。人事面では、Fordの元CEOであるAlan Mulallyは、2014年7月、Googleの取締役に就任した。2015年9月には、GoogleはJohn Krafcikを自動運転車部門のトップとして採用した。自動運転車はGoogle Xで開発されているが、2016年からこれをAlphabet子会社に移管する。独立のビジネスユニットとなり、Krafcikが指揮を取るとみられている。Krafcikはクルマ販売サイトTrueCarやHyundai Motor AmericaのCEOを歴任した。また、Fordには14年間在任し、この期間、Ford Expedition (スポーツ用多目的車) などの開発を手掛けた。

技術面においては、FordはGoogleとコネクティッドカーを開発した。Fordは、2011年、GoogleのMachine Learning技術を自動車に適用する研究を開始。Fordが開発するクルマからGoogleのMachine Learning APIにアクセスし、クルマはドライバーの挙動を把握し、最適な運転ルートを提案する。ドライバーにインテリジェントに対応するクルマを目指した。

g439_car_google_ford_02

Fordはシリコンバレーに研究所開設

Ford CEOのMark Fieldsは、「Ford Smart Mobility」と題して同社の戦略を発表した。この中で、Fordは運輸事業を自動車製造だけでなく、カーシェアリングや自動運転車など、イノベーティブな分野に広げるとしている。この基本方針に基づき、Fordは1年前、シリコンバレーに研究所「Ford Research and Innovation Center」を開設し、多角的な側面から研究を進めている。研究所はハイテク開発センターとして位置づけられ、コネクティッドカー、自動運転技術、ビッグデータなどの分野を研究する。開設当初は15人であったが、今では100人態勢で研究を進めている。(上の写真はFord Research and Innovation Center。すぐ近くにTesla本社がある。周囲にはHPやSkypeなどハイテク企業がオフィスを構えている。)

研究所の主要テーマは自動運転技術で、Ford Fusion Hybridsをベースとした自動運転車を開発している (先頭の写真)。Fordが開発しているのは、ドライバーが搭乗しないで無人で走行できる完全自動運転車で、Googleが開発しているプロトタイプに似ている。但し、Fordの自動運転車には、ステアリングやブレーキなどの機器が搭載される。消費者の嗜好に合わせ、乗客だけが乗る完全自動運転モードか、ドライバーが運転するマニュアルモードを選択できる。Fordは、2016年から、自動運転車をカリフォルニア州で試験走行を開始する。これに先立ち、Fordは完全自動運転車を5年以内に市場に投入すると表明している。

Androidモデルをクルマに適用

GoogleとFordの提携は、両社にとってメリットは大きいとみられている。現在、Googleのプロトタイプはデトロイトに拠点を置く「Roush Industries」で委託製造されている。この提携が成立すれば、プロトタイプやその後の最終製品を、Fordが製造するシナリオも生まれる。Fordの製造施設やノウハウを活用し、Googleの自動運転車を製造する。ちょうど、Googleブランドのスマートフォン「Nexus 6」をMotorolaで製造するモデルに似ている。Fordに製造を委託することで、Googleは開発期間を短縮し、製造コストを下げることができる。

一方、Fordとしては、自動運転車製造の下請け企業になるのではなく、独自ブランドの自動運転車開発が提携の狙い。上述の通り、Fordは完全自動運転車を開発している。この技術をGoogleから導入し、Ford車両に搭載することで、自動運転車開発が一気に加速する。FordのハードウェアにGoogleのソフトウェアを搭載した構成となる。MotorolaがGoogleからAndroidのライセンスを受け、スマートフォン「Moto X」を開発しているモデルに近い。

FordとGoogleの思想の違い

Fordは他のメーカーとは異なり、GoogleやAppleなどのIT企業と連携して自動車開発を進めると表明している。メーカーが全ての開発を担うのではなく、IT部分に関しては、その道の専門企業に頼るべきとのポジションを示している。この基本姿勢が今回の提携を背後で支えている。

一方、FordはGoogleタイプの完全自動運転車に危機感を示している。Googleの革新的な技術力で、ステアリングのない自動運転車が生まれようとしている。プロトタイプが出荷されると、消費者はクルマを購入しなくなると警戒している。消費者のライフスタイルは、クルマを所有するのではなく、タクシーを呼ぶようにオンデマンドで利用する形態に向うことになる。この流れを食い止めるためにも、Fordの自動運転車はステアリング付きの仕様となる。

g439_car_google_ford_03

Googleの自動運転車開発状況

Googleは市街地で自動運転車の走行試験を繰り返している。23台のLexus RX450hと30台のプロトタイプを、シリコンバレーMountain Viewとテキサス州Austinで走らせている。上の写真はMountain View市街を走行するプロトタイプ。当初、全てMountain Viewで試験走行していたが、2015年夏からは、Austinでも試験を始めた。この理由は、道路交通法など規制面で、Austinが自動運転車を運用しやすい環境にあるためとしている。2009年から走行試験を始め、累計で132万マイル走行し、毎週1万マイルのペースで走行距離を増やしている。

プロトタイプが交通違反

2015年11月、Mountain Viewで走行試験中に、プロトタイプが警察官に停止を命じられるというインシデントが発生した。警察はこの件をブログで公開し、その理由を説明している。それによると、プロトタイプは幹線道路 (El Camino Real) を制限速度を下回る速度で走行し、後続車の交通の妨げになった、というのがその理由。プロトタイプは走行速度が遅く、後続車が連なり渋滞を引き起こしていた。幹線道路は制限速度が時速35マイルであるが、プロトタイプは時速24マイルで走行していた。

警察官は車両を止めてドライバーに近づき、Google自動運転車であることに気付いた。プロトタイプは「Neighborhood Electric Vehicle (NEV)」というクラスに分類される。NEVとは簡易車両で、最高速度は時速25マイルに制限される。更に、NEVは制限速度が時速35マイル以下の道路を走ることができる。このため、プロトタイプが制限速度35マイルの幹線道路を、時速24マイルで走っていたのは合法で、反則切符は切られなかった。Googleは法令に的確に遵守して走行試験をしているが、自動運転車が警察官に止められたということで、地元メディアが一斉にこれを報道した。自動運転車が交通違反を侵すと誰が罰金を支払うのかが話題となり、ロボットと法律の複雑な関係を認識する結果となった。

自動車業界再編が始まる

GoogleやFordの公式見解を待たなくてはならないが、両社の提携で自動車産業が大きく変わろうとしている。GoogleがAndroidでモバイル業界を一変したように、自動運転技術で自動車業界の力関係が変わりそうだ。FordのようにGoogleと提携路線を選ぶケースや、Daimlerのように独自路線を選ぶケースなどがある。また、Googleは独自ブランドで自動運転車を投入するとみられている。2016年は自動車業界の構図が大きく変わる年かもしれない。

自動運転車の無人走行は認めない、カリフォルニア州の道路交通法ドラフト

Friday, December 11th, 2015

カリフォルニア州は自動運転車向け道路交通法案を公開した。これによると、自動運転車にドライバーの搭乗を義務付け、緊急時にはドライバーが運転を交代する。クルマが交通違反を侵すと、ドライバーの責任となる。つまり、Googleが開発しているタイプの自動運転車は走行できなくなる。カリフォルニア州政府が自動運転技術開発に水を差した形となった。

g438_self_driving_car_regulations_01

自動運転車向け道路交通法

カリフォルニア州の自動車登録や運転免許証交付を司る「Department of Motor Vehicles (DMV)」は、2015年12月、自動運転車向けの道路交通法案を公開した (上の写真)。このドラフトは自動運転車を公道で安全に走らせる目的で作成された。ドラフトがたたき台となり、今後予定されている公聴会を通し、最終案に纏められる。

ドライバーの搭乗を義務付ける

ドラフトはドライバーが自動運転車を”操作”することを義務付けている。更に、ドライバーはDMVが発行する自動運転車向け運転免許証を取得する必要がある。運転中はドライバーが自動運転走行の全ての責任を持つ。そして、自動運転車が正常に機能しない場合は、ドライバーが運転を取って代わるとしている。自動運転車が法令に違反した場合は、ドライバーがその責任を負うことになる。

DMVはドラフトの中で、完全自動運転車 (Googleが開発しているタイプ、下の写真) については、別途要件を定めるとしている。具体的な内容については発表を待たなくてはならないが、Googleが開発している自動運転車に、ハンドルやブレーキなど、運転補助装置の設置を義務付けるとの見方もある。このため、Googleが目指している無人タクシーというビジネスモデルは、成立が難しくなる。Googleにとっては厳しい内容のドラフトとなった。

g438_self_driving_car_regulations_02

販売ではなくリース

更に、ドラフトは自動運転車の売り切りは認めづ、リースに限定するよう求めている。具体的には、メーカーは三年間という期限を区切り運用許可証を受け、自社で自動運転車を運行できる。メーカーがクルマを販売する際は、リースベースで提供する。これはクルマの所有権はメーカーにあることを意味し、問題が発生した際は、責任の所在を明確にするという意図がある。自動運転車を運用している期間、運行状態について、毎月報告書の提出を義務付けている。また、自動運転車が事故を起こした場合は、その状況を報告することも義務付けている。取集されたデータは完全自動運転車運行の基礎資料とするとしている。

安全性の認定

メーカーと第三者機関に、車両の安全を保障する証書「Safety Certifications」を発行することを義務付けている。メーカーは車両が安全性や機能を満たしていることを保証し、第三者機関が走行試験を実施し、このことを独立に検証する。

プライバシー保護とサイバーセキュリティー対策

ドライバーのプライバシー保護とサイバーセキュリティー対策の条項も設けている。メーカーは、上述の通り、自動運転車の走行データを収集する。ドラフトはメーカーに、事前にこのことをドライバーに通知し、許可を受けることを求めている。更に、自動運転車はサイバー攻撃を防御するシステムの搭載が義務付けられる。自動運転車はサイバー攻撃を検知し、攻撃を受けた際はドライバーが運転を代わることとしている。既に、ChryslerのJeep Cherokeeが走行中にハッキングされ、遠隔操作で運転されるという事件が報道されている。自動運転車は攻撃を受ける範囲が広くなり、厳格な対策が求められる。

Googleのドラフトへの反応

Googleはドラフト公開直後に声明を発表した。自動運転車技術部門責任者Chris Urmsonは、DMVが公開したドラフトに対し、「カリフォルニア州は当初の目的から後退した」と述べた。カリフォルニア州は自動運転技術開発を後押しする法案を成立させ (後述)、都市交通を改善する方向に進んでいた。しかしドラフトは、「運転免許証を持ったドライバーの搭乗を義務付け、当初の目的から大きく後退した」と述べた。Googleは一貫して、自動運転車は道路交通法に基づき自律運行するので、新しいルールは不要と主張してきた。更に、自動運転車は人間のドライバーより忠実に道路交通法を守り、より安全であるとも主張してきた。

自動運転開発部門をAlphabet子会社に移管

Googleは2015年9月、自動運転車部門のCEOとしてJohn Krafcikを採用した。Krafcikはオンライン自動車販売サイト「TruCar」の社長を歴任し、自動車ビジネスで手腕を発揮してきた。今まで指揮を取ってきたChris Urmsonは、技術部門の総責任者となった。現在、自動運転車は研究部門Google Xで開発されている。しかし来年から、自動運転車部門はAlphabet子会社に移管される。独立のビジネスユニットとして開発を加速させる。

これに先立ち、Alphabet社長のSergey Brinは、自動運転車をサービス事業として展開すると述べている。これはUberのようなライドシェアモデルを念頭に置いており、無人タクシー事業という構想を描いている。Googleは無人タクシー事業を通じ、自動運転車の運行データを収集する。実社会での走行データを解析することで、自動運転技術を改良していく。上述の通り、ドラフトは自動運転車の無人走行を認めておらず、Googleは公聴会などを通し対応が求められる。

g438_self_driving_car_regulations_03

Teslaのポジション

Teslaは2015年夏から自動運転機能「Autopilot」のリリースを始めた (上の写真)。Autopilotは限定的な自動運転機能で、クルマが道路に沿って、前の車と等距離を保ち、自動で走行する。ドライバーは、ステアリングから手を離し、ハイウェーを運転できる。一方、Teslaは数年のうちにGoogleのような完全自動運転車を投入するとしている。DMVが公開したドラフトは、Teslaが投入する自動運転車に適用されることになる。Teslaは、ドラフトに対してコメントなどは出しておらず、情勢を静観している。

ドラフト制定の経緯

今回のドラフト公開は、カリフォルニア州政府の法令「Senate Bill 1298」に基づいて行われた。この法令は、2012年9月、カリフォルニア州知事Jerry Brownが署名して発効したもので、自動運転車の安全基準を定めた。この法令は、自動運転車を州内に導入するため、DMVに道路交通法ドラフトを作成することを求めていた。規定されたスケジュールから大幅に遅れ、今回、ドラフトの公開にたどり着いた。発表したドラフトに関し、DMVは公聴会を開催し、メーカーや大学や市民などから幅広い意見を募る。公聴会は2016年1月と2月に開催される。

g438_self_driving_car_regulations_04

カリフォルニア州では、既に、メーカーなどが自動運転車を公道で走行試験している。DMVは2014年5月、自動運転車の公道での試験運転を正式に承認し、Google、Volkswagen、Mercedes Benz、Delphi Automotive、Tesla Motors、Bosch、Nissanなど11社 (上の写真) が試験走行を展開している。Googleは本社のあるMountain Viewで自動運転車の走行試験を集中的に展開している。

ドラフトが保守的な理由

ドラフトはGoogleやMercedesなど、完全自動運転車を開発している企業にとって厳しい内容となっている。市場から、ドラフトは技術進化にブレーキをかける、と批判の声も聞こえる。なぜこれほど安全サイドに偏った内容になっているのか、ヒントはDMVの諮問機関にあるように思える。

ドラフトの中に、公聴会で意見を募ると同時に、大学研究機関で自動運転車の安全性をレビューする、という記述がある。具体的には、UC Berkeleyの都市交通研究部門 (PATH) が、自動運転車の走行特性について検証する。PATHがDMVのブレインとなり、自動運転車の特性を解明する。PATHは、自動運転車は公道でどのような挙動をするのか、業界や研究機関の専門家の意見を交え考察する。つまり、道路交通法を制作する側からすると、自動運転車が路上で歩行者や自転車や自動車を認識した時、どうハンドルを切り、ブレーキをかけるのか、その仕組みが分からない。このため、ドラフトは安全サイドに舵を切った内容となった。

ルール制定には情報開示が必要

これはGoogleなど企業側からの情報が不十分であるとも解釈できる。PATHは公聴会と並行して、Googleなどの企業に対し、必要情報の開示を求めることになる。一方、この情報は自動運転技術の核心部分で、企業側としては開示することに大きな抵抗がある。州政府と企業で情報開示に関する駆け引きが始まった。自動運転車を公道で走らせるためには、核心技術の開示が必要となり、難しい展開が予想される。

Androidの「Now on Tap」は便利!ユーザーインターフェイスとしての人工知能がその秘密

Friday, December 4th, 2015

Googleは2015年10月、最新基本ソフトAndroid 6.0 “Marshmallow”のリリースを開始した。Marshmallowは大幅に機能アップし、その中でもインテリジェントな検索機能「Now on Tap」は素晴らしい。ホームボタンを長押しすると、知りたい情報がカード形式で表示される。この背後で人工知能が稼働し、利用者の疑問を先読みし、その回答を表示する。

g437_ai_google_now_on_tap_01

インテリジェントな情報検索

「Now on Tap」はアプリ内のインテリジェント機能として位置づけられ、ホームボタンを長押しすると、表示されている頁を検索する。検索結果はGoogle Nowカードとして表示される。例えば、Facebookに投稿された記事を読んでいる時に、知らない言葉に出会ったら、Now on Tapを使う。上の写真がその事例で、FacebookでHillary Clintonが投稿した記事を読んでいるところ (左側)。この記事は「Rosa Parks」について述べているが、誰だかわからない。その際には、ホームボタンを長押しすると、三枚のカードが表示される (中央)。一番下の「Rosa Parks」カードにこの人物に関する情報が表示される。更に、カード下部のアイコンにタッチすると、そのサイトにジャンプする。Google アイコンにタッチすると、Google Appが開き、ここにRosa Parksの詳細情報がKnowledge Graph形式で示される(右側)。これを読むと、Parksは黒人女性の活動家で、黒人の人権を主張して戦ったことが分かる。今までは、Facebookを離れ、検索アプリを開いて情報を検索したが、Now on Tapではそのまま必要な情報にジャンプできる。

g437_ai_google_now_on_tap_02

アーティストの評価を読む

音楽ストリーミング「Spotify」で音楽を聞くときも、Now on Tapはとても便利。アーティストの評判や最近の話題に瞬時にアクセスできる。上の写真はSpotifyの新曲ページ「New Releases」を閲覧している様子 (左側)。この中で「The Vamps」というグループが気になるが、どんなバンドなのか知らない。ここでホームボタンを長押しすると、掲載されているアーティストのカードが登場する (中央)。この中で二段目が「The Vamps」カードで、英国大手新聞社Guardianのアイコンにタッチする。そうすると、ニュースアプリが立ち上がり、Vampsに関するレビュー記事を読むことができる (右側)。これによると、Vampsは英国の音楽グループで、その存在感を確立するために苦闘しているとある。音楽を聞きながらアーティストについての理解が深まる。

メールを読みアクションを取る

Now on Tapは受信メールで威力を発揮する。受信メールを読んでいる時に、Now on Tapを使うと、知らない情報を教えてくれ、次のアクションを素早く取れる。下の写真はその事例で、受信メールを読んでいる時に、Now on Tapを起動した様子。

g437_ai_google_now_on_tap_03

メールは、「SpectreをCinema 16に見にいこう」という内容 (左端)。Now on Tapは内容を理解し、「Century Cinema 16」、「Spectre」、「Create calendar event」の三枚のカードを表示した (左から二番目)。Now on Tapは、Spectreとは映画であると認識し、カードに関連リンクを表示した。ここでYouTubeアイコンにタッチすると、映画の予告編を見ることができる (左から三番目) 。また、Now on Tapは、Cinema 16は映画館であると理解し、映画館の情報を表示。ここで映画館の場所や上映時間をチェックできる。更に、Now on Tapは予定表カード「Create calendar event」を表示した。このカードにタッチすると、カレンダーアプリが起動し、映画の予定を登録できる (右端)。Now on Tapは情報検索に加え、次に必要な操作を先回りして示し、アプリを離れないでタスクを完遂できる。

g437_ai_google_now_on_tap_04

音声で入力するオプション

しかし、Now on Tapは、こちらが探している情報のカードを表示しない時もある。上の写真はその事例で、レストラン予約アプリ「OpenTable」でメニューを確認している様子 (左側)。メニューの「Spanakotiropita」について知りたいのが、Now on Tapはこのカードを提示しない(中央)。このような場合は、Now on Tapの画面で、知りたい単語を音声で入力する。具体的には、「Ok, Google, Spanakotiropita」と語ると、Googleの検索結果が表示される(右側)。これはギリシャ料理で、ほうれん草を挟んだパイであることが分かる。

g437_ai_google_now_on_tap_05

Now on Tapの仕組み

Marshmallowは「Assistant」という機能を導入し、アプリを使う新しい方式を始めた。具体的には、ホームボタンを長押しするか、キーフレーズを音声で入力すると、ウインドウが開く。このウインドウで、閲覧しているページに関連するアクションを実行する。この方式の一つが、デバイスにインストールしているアプリとの連携である。

利用者が「Source App」でホームボタンを長押しすると、「Assistant App」が起動し、カード上で利用者がアアクションを取る構造となる。これに従って、「Destination App」が起動して一連の処理が完結する。上の写真がこの一連の流れを示している。ここでは、Source Appは写真アプリ「Instagram」で、川の流れの写真が掲載されている (左側)。Assistant AppはGoogle Nowとなる (中央)。現在は、Assistant Appに登録されているのはGoogle Nowだけである。カードに表示されたGoogleアイコンにタッチすると、Knowledge Graphが表示される (右側)。この場合Destination Appは「Google App」で、検索エンジンが起動する。

Assistant Appはシステムが提供する「Assist API」を使って開発する。このAPIで、Source Appのテキスト及びイメージをコピーし、Destination Appに送信するなどの処理を定義する。また、Source Appは特別な変更は必要ないが、Destination Appは事前に登録しておく必要がある。

AIがUIとなる

Now on TapはGoogle Nowの拡張機能として捉えることができる。そもそもGoogle Nowとは、利用者に関する情報を解析し、求めている情報を先回りして提示する機能を指す。具体的には、利用者のコンテクストを理解し、利用者に回答を提示し、利用者に次のアクションを促す。

Now on Tapはこの一連のアクションを瞬時に提供することを目的に開発された。いま使っているアプリから離れることなく、必要な情報を表示し、次のアクションを取ることができる。構造としては、スマホアプリの上位レイヤーで機能し、Now on Tapが新しいユーザーインターフェイスを構成する。Now on Tapの背後では、自然言語解析など、人工知能が幅広く使われている。ヒトとマシンの関係は、クールなデザインに加え、これからは人工知能がユーザーインターフェイスの重要な部分を担う。