スターバックス・カード

日本が先行している、携帯電話でのNear Field Communication (NFC) 機構を、GoogleやAppleが製品化を急いでいる。スマートフォンによる、アメリカ版のおサイフケータイが登場する日は遠くないが、多くの企業は、今ある技術で小額決済システムを構築している。

Starbucks Card Mobileについて

シアトルに本社を置くStarbucksは、先月から、Starbucks Card Mobileという、スマートフォンによる支払いサービスを開始した。Starbucks Card Mobileは、iPhoneとBlackBerry向けのアプリケーションで、利用者はスマートフォンで支払いができる。

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店舗での会計の際に、このアプリケーションを起動すると、上のスクリーンショット (出展:VentureClef) の左側の画面が表示される。この画面では、カード残高 ($15.00) が表示され、中央右側のTouch to Payボタンを押すと、右側の画面の通り、バーコードが表示される。バーコードが表示されたiPhoneを、リーダーにかざすと、支払いができる。簡単に支払いができるだけでなく、カードに特典が加算される。

Starbucksはこのサービスを全米で展開を始め、近所のStarbucks (下の写真、出展:VentureClef) でもiPhoneで会計をすることができる。支払いカウンターには、レジが二台あり、それぞれ、リーダーが接続されている。店員さんに、Starbucks Card Mobileで支払いを行なうことを告げて、iPhone画面をこのリーダーにかざすと、支払いが完了する。便利なだけでなく、クールな支払い方式で、利用者に人気のサービスである。

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Starbucks Cardの普及

Starbucksでは、多くの利用者は、現金ではなく、Starbucksが発行しているカード (Starbucks Card) を使って、支払いを行なっている。上述のアプリケーションは、カードをiPhoneに格納した構造となっている。利用者は、最初に、カード番号とカードに記載されている暗証番号をアプリケーションに入力する。またStarbucks Cardのウェブサイトで、会員登録しておけば、カードの管理を行なえる。このウェブサイトにおいて、カード残高の照会、カードへのお金の補充、カード間でのお金の移動、また、購入履歴を閲覧することもできる。ウェブサイトで購買履歴を確認しておくことで、不正使用が起こった際は迅速に対応できる。又、iPhoneを紛失したり、盗難にあった際は、新しいカードを発行し残高を新カードに移行してくれる。

Starbucksは、このサービスを開始した理由として、多くの利用者がスマートフォンを持参しており、スマートフォンでの支払いの要求が強くなったことを挙げている。背景には、前述の通り、Starbucks Cardが普及しており、五人に一人がカードで会計をしているという事情がある。また、Starbucksは、スマートフォンでNear Field Communication技術が登場するまで待つ余裕はなく、現行技術を使って、サービスを開始したとしている。

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United Airlinesのモバイル・チェックイン

Starbucks以外にも、スマートフォンを用いた類似のサービスが登場している。United Airlinesは、今年から、iPhoneとBlackBerry向けに、搭乗券を配信するサービスを開始した。利用者は、スマートフォンで搭乗手続ができるようになった。搭乗者は、ウェブサイトにおいて、搭乗24時間以内に、チェックインできる。この際に、搭乗券を印刷して、ゲートに持参し、飛行機に乗っていた。このチェックインにおいて、Mobile Boarding Documentを選択すると、登録しておいたスマートフォンに搭乗券が配信されるサービスである。搭乗券を印刷する手間が省けるだけでなく、省エネでもある。上のスクリーンショットがその様子を示している。左側の画面 (出展:VentureClef) は、iPhoneのGmailにフライト情報を受信したところである。画面中央のGet mobile boarding documentというリンクにタッチすると、右側の画面 (出展:United Airlines) の通り、ブラウザー上に搭乗券とQRコードが表示される。このQRコードで搭乗手続きを行なう。空港においては、まず、セキュリティ・チェックにおいて、係官の前に設置されているリーダーにiPhoneをかざして、搭乗券を読みこませ、確認を受ける。そして、搭乗ゲートにおいては、入り口に設置してあるリーダーにiPhoneをかざして (下の写真、出展:Wayan Vota) 搭乗する手順となる。United Airlinesは全米の62の主要空港でこのサービスを展開しており、ベイエリアでは、サンフランシスコやサンノゼなどで利用できる。

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トレンド

日本では、おサイフケータイで支払いをし、搭乗手続きを行うのが、生活の一部になっているが、アメリカにおいては、上述のサービスは、画期的な出来事である。今後、スマートフォンを利用した、小額決済サービスは、幅広く展開されそうな勢いである。要素技術では、遅れを取っているアメリカであるが、サービス内容を見ると、ITの役割が大きいことが窺える。Starbucks Card Mobileでは、支払い処理はポイント・ソリューションではなく、決済システムというプラットフォームを構成している。将来は、ここでエコシステムが展開できる下地ができている。今後、NFCなどの要素技術の登場により、モバイル・ペイメント市場が急進しそうな勢いである。

One Response to “スターバックス・カード”

  1. [...] This post was mentioned on Twitter by takaoka29, 神田 卓也 and Kiyotaka Kobayashi, Kiyotaka Kobayashi. Kiyotaka Kobayashi said: 詳しい記事で分かりやすい。米国のNFC事例。スターバックス・カード。 http://ventureclef.com/blog2/?p=1052 [...]

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