グーグルのエネルギー事業戦略

Googleは、クリーン・エネルギー分野への投資を、積極的に展開している。また、Googleは、Google Energyという会社を設立して、電力の卸売り事業に参入した。Googleは、クリーン・エネルギー企業としての側面が、鮮明になってきた。

g213a_google_energy

RE < C

Googleは、早くから、クリーン・エネルギー分野で、活動を行なってきた。2007年11月には、同社の慈善団体であるGoogle.orgを通して、RE < Cというプロジェクトを開始した。RE < Cとは、RE (Renewable Energy、再生可能エネルギー) の発電コストを、C (Coal、石炭) による火力発電コストより下げるための技術開発である。これを目指して、Googleは、クリーン・エネルギーを開発しているベンチャー企業に投資を行なってきた。Google.orgは他にも、Google PowerMeterという、スマートメーターの可視化プロジェクトを展開している。

ウインド・ファームへの投資

Googleは、2010年5月に、NextEra Energy (ネクステラ・エナジー) が建設しているウィンド・ファーム (風力発電所) に、$38.8Mの出資を行なうことを発表した。このウィンド・ファームは、ノースダコタ州 (世界有数の風資源地帯) に位置し、Ashtabula (上の写真、出展はいずれもGoogle)  とWilton Wind 2と呼ばれ、合計で169.5MWの発電容量を持っている。このプロジェクトが、Googleがクリーン・エネルギー発電所に投資する、最初のケースとなった。同年7月には、NextEra Energyが運転しているウィンド・ファームから、電力を購買する契約を締結した。このウィンド・ファームはStory County II (アイオワ州) と呼ばれ、Googleは114MWの電力を20年間にわたり購入するという内容である。これに先立ち、Googleは、電力売買を行なうための子会社として、Google Energyを設立している。電力購入はGoogle Energyを通して行なわれ、購買した電力は、当地の電力市場で再販される。

g213b_google_energy

更に、Googleは、2010年10月に、Atlantic Wind Connection (AWC、上のグラフィックス) というプロジェクトに出資することを発表している。このプロジェクトは、ニュージャージ州からバージニア州の沖合いに、ウィンド・タービンを建設して、6,000MWの発電を行なうものである。発電した電力を、ニューヨークなどの大都市に供給する計画である。この電力ラインはクリーン・エネルギーのスーパーハイウェイと呼ばれている。

Googleは、2011年4月には、世界最大規模のウィンド・ファームであるShepherds Flat Wind Farmに、$100Mの出資を行なったことを発表した。この発電所は、Arlington (オレゴン州) に建設されており、2012年の完成を目指している。発電容量は845MWで、発電された電力はSouthern California Edisonに販売される。総工費は$2Bで、Googleの他に、Sumitomo Corp. of AmericaやTyr Energy (伊藤忠商事の子会社) が出資している。このプロジェクトでは、GE社製のGE 2.5xlという、ウィンド・タービンが使われる。 GE 2.5xlは、2.5MWの発電容量を持つウィンド・タービンで、アメリカで導入される最初の事例となる。

g213c_google_energy

Googleは、同じく2011年4月、前述のNextEra Energyが建設中のウインド・ファームであるMinco II (オクラホマ州、上のグラフィックスの白色の部分) から、100.8MWの電力を20年間にわたり購買すると発表した。電力購買は、上述のGoogle Energy経由で行なわれる。この施設は、2011年末の運転開始を目指している。Googleは、同じく2011年4月に、BrightSource EnergyがMojave Desert (カリフォルニア州) に建設しているIvanpah Solar Electric Generating System (イバンパ太陽光発電システム、下の写真) に$168M投資することを発表している。太陽光発電では、Heliostatという反射板で光をタワー上部のパイプに集め、中の水を加熱して発電を行なう仕組みである。

クリーン・エネルギー戦略

Googleは、このように、クリーン・エネルギー分野への投資を、積極的に展開している。Googleがこの分野に投資する構造は、Google.orgは慈善団体として、初期ステージの技術開発に投資し、産業の育成に貢献している。Googleのベンチャー・キャピタルであるGoogle Venturesは、エネルギー企業のほかに、IT企業など、有望ベンチャーに投資をしている。一方で、Google本体は、会社に投資をするのではなく、上述のように、プロジェクトに出資を行なっている。

g213d_google_energy

Googleがプロジェクトに出資する目的は、プロジェクトからの配当を受け取ることが第一義であるが、大規模プロジェクトで、雛形となるモデルに出資して、クリーン・エネルギーの先端技術の開発を目指している。また、Googleは、Google Energyを通して、電力の卸売事業を開始した。電力取引に加え、Renewable Energy Credits (カーボン・クレジット) の売買で利益を上げることを目指している。一方で、現行法では、Googleが購入した電力を、自社で使用することは禁止されているため、Googleが運用するデータセンターへ適用は不透明である。Googleは、事業の多角化を目指しているが、クリーン・エネルギー分野においては、その速度を加速している。ここカリフォルニアでは、二年後には、Googleから電力を購入することとなり、アメリカの電力市場が大きく変わろうとしている。

One Response to “グーグルのエネルギー事業戦略”

  1. 事業承継 says:

    グーグルは素晴らしいですね

Leave a Reply

You must be logged in to post a comment.