Facebook株価が映す将来性

Facebookは、先週の金曜日、全米の注目を集め、新規株式公開を行なった。主要メディアは、Facebookキャンパスで行なわれた、セレモニーの様子 (下の写真、出展:Bloomberg) をテレビ中継した。米国西部時間の午前6:30に、Zuckerbergがボードのボタンを押して、オープニング・ベルを鳴らし、パネルにサインして、ナスダックで取引が始まった。

g267_facebook_ipo_post_01

Facebook株価の急落

Facebookの株は、米国西部時間の午前8:00から取引が開始される予定であったが、システムの問題で、30分遅れてのスタートとなった。初値は42.05ドルで、公開価格の38ドルを11%上回ったが、終値は38.23ドルと、公開価格を辛うじて上回った(下のグラフィックス、出展:VentureClef)。初日はナスダックのシステム障害という不運があったが、その後も株価は低迷し、今週は31.91ドルで取引を終えた。株価下落とその原因について、市場では混迷が続いている。今週は連日、主要メディアがトップニュースで、Facebookの新規株式公開に至るプロセスを報道した。事実関係は調査中であるが、経緯は次ぎの通りである。Facebookは、市場からの需要が大きいと見て、新規株式公開前に、公開株式数を増やし、公開価格を引き上げた。その一方で、Facebookは、リスク要因として、携帯端末向けの広告事業が低調であると公表した。更に、引受主幹事であるMorgan Stanleyが、新規株式公開直前に、Facebookの業績見通しを引き下げ、それを一部の機関投資家だけに伝え、一般投資家には知らされなかった。取引開始直後から、株価が大きく値下がるという展開となった。この一連のプロセスについて、SEC (米証券取引委員会) は、不正がなかったかどうか、調査を始めている。また、個人投資家は、業績見通しの情報を隠匿していたとして、ZuckerbergとMorgan Stanleyに対して、訴訟を起こしている。

g267_facebook_ipo_post_02

新規株式公開の軌跡と業績見通し

株式公開前はFacebookバブルであったが、今では一転して、企業の将来性に疑問が投げかけられている。Facebookは、市場の期待通り、大きく成長することができるのか。Facebook株は買いなのか。この手がかりは、FacebookがSECに提出した、新規株式公開のための申請書類 (Registration Statement) にある。Facebookは、4月23日に、新規株式公開のための申請書類の改版 (Amendment #4) をSECに提出している。この中で、Facebookは、2012年度第一四半期の業績を公表し、売上高は$1,058Mで、前年同期から45%の増加したものの、純利益は$205Mで、12%減少している。Facebookは、研究開発費用が大幅に伸びたためと説明しているが、爆発的な成長は見られない。Facebookは、5月3日に、申請書類へのアップデート (Update to Preliminary Prospectus) をSECに提出し、この中で携帯端末向け広告事業について、懸念を表明している。Facebookは、「現在、携帯端末向けに広告配信を殆ど行なっていない。携帯端末での利用者数の増加が、広告配信数の増加を上回っている」と述べている。つまり、Facebook利用者は、携帯端末に大移動しているが、ここでは広告配信が行なわれてなく、これが事業低迷の原因となっている。更に、前述の通り、Morgan Stanleyが、Facebookの業績見通しを引き下げた。その詳細は明らかでないが、Business Insiderによると、Facebookは今期 (第二四半期) も、事業が低調であるとの情報をMorgan Stanleyに伝え、これが業績見通し引き下げに繋がったとしている。

g267_facebook_ipo_post_03

パソコンからスマートフォンへ

一連の情報が示しているのは、Facebookの携帯端末での広告事業は、予想外に深刻である、という感触である。現在、Facebookは、パソコン向けに、Sponsored Stories (上のスクリーンショット、出展:VentureClef) という方式の広告を展開している。これは、友人の行動 (Likeボタンを押すなど) をスポンサーのメッセージと供に、利用者のNews Feedに掲載する方式である。上の事例は、友人がSouthwest航空が好きであるというコメントが、広告メッセージと供に掲載されている様子である。Facebookはこの方式を、昨年2月から、携帯端末向けに展開を始めた。携帯端末は、パソコンと異なり、ディスプレー面積が小さく、バナー広告を表示する余裕は無い。このためFacebookは、利用者のNews Feedに掲載できる、Sponsored Storiesを展開している。下のスクリーンショット (出展:VentureClef) がその事例で、左側最上段が、上述Southwest航空のiPhone向けSponsored Storiesである。右側は、ポップ歌手Katy Perryが発信したSponsored Storiesである。これに対して、一部の利用者は、News Feedに、広告メッセージが混ざることに抵抗感を示しており、Facebookは少しずつ慎重に、広告事業を展開をしている。これが、携帯端末における、広告収入が低迷している原因である。

g267_facebook_ipo_post_04

考察

Facebookはパソコン向けソーシャル・ネットワークを開発している企業である。スマートフォンの普及に伴い、急遽、携帯端末での事業を開始したが、大きく出遅れている。Microsoftが携帯端末向けのOSで苦戦しているのと、状況がよく似ている。Facebookは、携帯端末向け広告事業だけでなく、基本機能そのものについても、将来性が問われている。株価の低迷は、Facebookがパソコンからスマートフォンにダウンサイジングできるのか、その懸念を反映したものである。

Leave a Reply

You must be logged in to post a comment.