OSCON (オスコン) 展示会会場では、オープンソースの手法でユニファイド・コミュニケーション (Unified Communications) 製品を開発している企業「Voiceroute」 (ボイスラウト) から話を聞くことができた。
Voicerouteという企業
Voicerouteのブースで、CEOのMing Yong (ミング・ヤング、写真右側、出展:VentureClef) と、CTOのNavin Kumar (ナビン・クマー、写真左側) が対応してくれた。

Voicerouteはコネチカット州ノーウォーク (Norwalk) とシンガポールに拠点を置く若い企業である。Voicerouteが提供している製品は「Druid」(ドゥルイッド)という名前で、オープンソースを基盤とするユニファイド・コミュニケーション機能を搭載したソフトウェアである。Druidは商用版とオープンソース版があり、オープンソース版は同社のサイトからダウンロードできる。Druidの開発は両者のほかに、Vikram Rangnekar (ヴィクラム・ラングニカー) が加わり三人で行なっている。Yongはシンガポール出身で、コーネル大学とミシガン大学で学んだ、若いエンジニアである。大学時代に知り合ったKumarと一緒にこの会社を創設した。
Druid製品概要
YongはDruidについて「複数種類のメッセージを統一して扱うことができるユニファイド・コミュニケーション・ソフトウェアであり、オープンソースでCisco Call Manager (シスコ・コール・マネジャー) を目指している」と説明してくれた。

これはDruid Open Source Edition (OSE) のスクリーンショットである。(出展:Voiceroute) この画面は利用者のウェブ・ポータルで、ここで各種通信を行い、また、システム設定を行なうことができる。この画面の「Unified Mailbox」をクリックすれば、ボイスメールやファックスを纏めて見ることができる。電子メールと同じ要領でボイスメールやファックスの一覧表から希望のメッセージを選んで再生できる。
「Call Routing」は、電話を指定の宛先に転送する際に使用する。社外に外出する時は、オフィスへ掛かってきた電話を携帯電話に転送することができる。また、正午から午後1時の昼休みの時間に受信した電話は、自動的に留守番電話に接続するように設定することもできる。「Call Records」では、パソコンのログを見る要領で、電話のログを見ることができる。いつ誰から電話が入り、それに対してどのように対応したかが記録されている。
Druidの特徴は、携帯電話との連携を中心とした、ユニファイド・コミュニケーションである。ブースにおいて、Kumarが、上記の「Call Routing」を使って、オフィスに掛かってきた電話を携帯電話に転送するデモをみせてくれた。

ブースのモニター(出展:VentureClef)では、BlackBerry (ブラックベリー) のスクリーン上に表示されたウェブ・ポータルを操作するデモが行なわれた。Druidはパソコンからだけでなく、ブラックベリーからも操作することができる。将来はApple iPhoneもサポートするとのことである。
Druidのアーキテクチャー
Druidは前述の通り、オープンソースを基盤とするユニファイド・コミュニケーション・ソフトウェアである。Druid内の交換機には「Asterisk」(アスタリスク)を、インスタント・メッセージングには「Jabberd2」(ジャバー・ディトゥー)、電子メールのプロトコール(IMAP)には「Dovecot」(ダブコット)が、ファックス・サーバーには「HylaFAX」(ハイラ・ファックス)が使われている。これらにより、Druidは、音声、インスタント・メッセージング、ビデオ、電子メール、ファックス、携帯電話通話を統合して扱うことができる。YongはDruidのもう一つの特徴について、「SOAP APIを提供しており、第三者アプリケーションと簡単に連携することができる」と説明した。例えば、オープンソースのCRMである「SugarCRM」(シュガーCRM)から簡単にDruidを呼び出すことができる。SugarCRMの電話番号をクリックすると、その顧客に電話を発信する機能を簡単に付加することができる。
なぜオープンソースなのか
Druidは前述の通り、オープンソースで構成されているだけでなく、Druid自身もオープンソースとして公開している。Yongに何故オープンソースとしたのかと尋ねると、質問の意味を理解するためか一呼吸おいて、「コミュニティの知恵を製品に取り入れ、このサイクルが繰り返され、息の長い製品とするため」と述べた。Yongのような若いエンジニアにとっては、プログラミングを始めた頃にはオープンソースが広まっており、これを利用して製品を作ることが当たり前のオプションとなっている。オープンソースという優秀な部品が揃っており、Voicerouteの付加価値は、オープンソースを部品として構築されたコミュニケーション・ソリューションである。YongのようなGeneration Yにとってはこれが当たり前の開発手法である。
トレンド
Yongに会社の最終目的はIPOかと尋ねると「そんな先までは考えていない」との答えが返ってきた。話を聞いていると、Yongは純粋にソフトウェアが好きであるということが伝わってくる。若い世代の優秀なエンジニアが、自分の好きなことに没頭して製品開発を行なっている構図が浮かび上がる。これからこの世代において、革新的な技術が登場しそうな予感を感じながら話を終えた。