ニュース報道から映画撮影まで、無人飛行機を使ったビジネスが本格始動

個人が趣味で使うだけでなく、企業は早くから無人飛行機「ドローン」を活用したビジネスに着目してきた。アメリカは規制が厳しく出遅れていたが、「ドローン解禁」を睨んで、大手企業が動き始めた。日常生活との関わりが深まったドローンビジネスをレポートする。

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大手メディアがドローン報道

ニュース報道でドローンから撮影した映像を放送するケースが急増している。これは「ドローン・ジャーナリズム」とも呼ばれ、ドローンをニュース報道で活用する手法だ。上の写真は香港の民主派によるデモの様子をドローンから撮影したもので、Wall Street Journalが電子版で放送した。市の中心部を映したもので、デモの規模が一目でわかり、空撮の威力を感じる。ドローンによるニュース報道は数年前から始まり、CNNが竜巻の被害状況などを報道してきた。しかし、アメリカにおけるドローンの商用利用は規制されているため、報道各社はドローン報道を自粛してきた。ドローン解禁を前にして、Wall Street Journalなど大手メディアは、再度、ドローン報道に意欲を見せている。

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テレビ局もドローンから撮影

テレビニュースでもドローンの利用が始まった。サンフランシスコ地区のテレビ局NBC Bay Areaは、Apple新本社の建設現場を、ドローンで撮影した映像を使って報道した (上の写真)。新本社は「スペースシップ」とも呼ばれ宇宙船を思わせる形状をしている。ドローンで撮影したビデオから、この形状が確認できる。このビデオはLocusLabs (インドアマップ開発企業) 創業者がDJI Phantom 2で撮影したもの。NBCはヘリコプターによる撮影を行っているが、視聴者がドローンで撮影したビデオも積極的にニュース番組で報道している。テレビ局はドローンを使った撮影はできないが、個人だと規制に抵触しない点を利用している。少し苦しい言い訳であるが、テレビ局もドローンに注目している。

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映画撮影でドローン使用を認められる

アメリカにおいてドローンを商用で利用するためにはFAA (アメリカ連邦航空局) の認可が必要となる。FAAはBPがドローンを使ってオイルパイプラインの検査を行うことを認めたが、事実上、アメリカにおいてはドローンの商用運行は規制されている。しかし、FAAは9月25日、映画製作会社に対し、ドローンを使ったビデオ撮影を認めた。規制の例外措置という位置付けとなる。

対象となったのはAstraeus Aerialなど映画撮影会社六社。Astraeus Aerialはドローンを使った撮影技術を開発している会社で、ドローンを高精度で制御し撮影できる点に特徴がある。被写体に10センチまで接近して撮影できる技術がある。上の写真はドローンを使って撮影したビデオのワンシーンで、主人公が岩山に登る様子を、上空から追尾しながら撮影している。

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アメリカ企業はドローンを使った映画撮影を国外で行ってきた。007シリーズ「Skyfall」で、James Bondがオートバイで追跡するシーン (上の写真) はトルコで撮影された。他に「Star Trek: Into Darkness」、 「The Hunger Games」、「Iron Man 3」などが国外でドローンを使って撮影された。これからはドローンを使った撮影をアメリカ国内で行え、大幅にロジスティックスが改善される。FAAはドローンに関する法令整備と並行して、企業からの申し立てに対して事案ごとに審査する方針を取っている。今後も特例措置が続くと期待されている。

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ドローンからスポーツ中継

ドローンでスポーツ報道が大きく変わった。ソチ冬季オリンピックで、スノーボードやスキー・フリースタイルなどの競技が、ドローンで撮影されたことは記憶に新しい。ドローンはコースに沿って飛行し、選手を上空から撮影した。今までにないアングルで迫力のある映像を見ることができた。ソチ・オリンピックで使われたドローンには、HDカメラの他に、撮影した映像を送信するトランスミッターも搭載された。視聴者は競技をライブで見ることができた。競技では固定カメラやワイヤーに吊るしたSpider Cameraなども使われた。またヘリコプターからの撮影も行われた。ドローンは低コストで安全に競技を撮影することができる。今後はゴルフ、フットバール、F1モータースポーツなどに利用が広がると言われている。

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ドローンによる盗撮問題

ドローンを使ったスポーツ報道が始まる一方で、スポーツ競技をドローンから盗撮する事件が続発している。    全米オープンテニス会場でドローンを飛ばしたとして逮捕さる事件が発生。女子シングルス準々決勝でSerena WilliamsとFlavia Pennettaの試合がArthur Ashe Stadium (上の写真、中央のコート) で行われていた。Daniel Feigheryという男性は17番コート (右下隅のコート) 近辺でドローンを飛行したとして逮捕された。理由は危険な行為であるが、試合の盗撮が目的であったと言われている。他に、ドローンで映画ロケ現場を盗撮する事件なども発生し、社会問題となっている。企業はドローンを使ったビジネスに乗り出しているが、ドローンによる盗撮への対応も必要となってきた。

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舞台芸術でドローンを使う

舞台の上で人間と一緒にダンスをするドローンが話題となっている。Cirque du Soleilはカナダのモントリオールに拠点を置く芸術性の高いサーカス団で、ドローンを取り入れたショーを公開した。これは「Sparked」というショーで、10台のドローンが人間と共演する (上の写真)。ドローンはランプの傘に入っていて、音楽に合わせてフライング・ダンスを行う。Phantom 2が使われ、音楽に合わせて10台が飛行するようプログラムされている。主人公が腕を上げればランプが上昇し、腕を下げれば下降する。人間のダンスとシンクロナイズしてストーリーが展開する。ドローンの動きが神秘的で、独自の雰囲気を醸し出している。舞台芸術でドローンを使った最初のケースと思われる。

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警察・消防から民間利用へ

FAAは警察や消防のドローン使用については許可しており、犯罪捜査、消火活動、災害救助などに早くから利用されてきた。上の写真は地元San Jose警察が導入したドローンで、人間が近寄れない危険物処理に活用するとしている。一方、前述の通り、FAAはドローンの商用利用には慎重で、アメリカにおける利用は大きく制限されてきた。アメリカ議会や民間企業からの圧力で、FAAはドローンを航空管制システムに統合すべく、準備を始めた。FAAはタイムラインは示していないが、早ければ来年末にも骨子が決まると言われている。それまでは、FAAは個別に対応する姿勢を示し、企業のドローンビジネスが大きく動き始めた。

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