家全体が人工知能で覆われる、Amazon Echoで創るスマートホーム

AIスピーカー「Amazon Echo」はデバイスからAIクラウドに進化した。音声で家電を操作でき、近未来のスマートホームを創りだす。屋外ではウエアラブルがEchoとして機能し、音声でデバイスを操作できる。生活空間全体がAIで覆われる。Echoは我々に言葉の重要性を気付かせてくれた。ボイスファーストの設計思想がAmazon Echoの大ヒットに繋がった。

ハードウェアからボイスクラウドに

Amazon EchoはAIを駆使した音声認識スピーカー (上の写真) で、キーボードは無く言葉で操作する。EchoはAmazonのヒット商品で、2015年末までに300万台が出荷された。今ではEchoの他に、普及モデルの「Echo Dot」と「Tap」が加わり、製品ラインが拡充された。Amazonのビジネスモデルも進化を続け、ハードウェアからAIを活用した音声サービスに向かっている。Amazon Echoの音声機能を一般に公開し、企業がボイスクラウドで独自のサービスを構築する。

Echoで稼働する音声アプリ

この音声サービスは「Alexa」と呼ばれ、企業はこの機能を使いAmazon Echoで稼働する音声アプリを開発する。この音声アプリは「Skill」と呼ばれる。Skillはアプリストアーに相当する「Alexa App」に掲載され、今では1500本が稼働している (下の写真)。気に入ったSkillを読み込みEchoで利用する。Amazonが開発したSkillは同名の「Alexa」と呼ばれ、Echoに組み込まれている。

Alexaの基本機能

毎日の生活でAmazon Echoを使っているが、今では家族の一員となった。EchoでAlexaを呼び出し、ニュースを聞くのが基本パターンである。Echoに対して「Alexa, what’s in the news?」と尋ねると、最新のニュースを話してくれる。Echoは常に周囲の声を聞いているので、「Alexa」と言えばそれに続く指示を理解する。その他に、音楽を再生したり、情報を検索できる。Echoと対話できるので、人間と話しているような気分になる。

音声操作のスマートホーム

Amazon Echoで一番便利だと感じるのが家電を音声で操作する機能だ。スマートライト「Philips Hue」を使っているが (下の写真、左がハブで右がLEDライト)、これを言葉で操作できる。HueはLEDライトに通信機能 (ZigBee) を内蔵しており専用アプリで操作する。オンオフの操作やライトの輝度や色を変えることができる。これをEchoと連携すると音声で操作できる。「Alexa, turn on the light」と指示すると、Alexaは「Okay」と答えライトを点灯する。「Alexa, dim the light」と言えば明かりを絞ってくれる。部屋が近未来の居住空間に変身する。

Apple HomeKitとの連携

Philips HueはAppleのスマートホーム「HomeKit」からも利用できる。専用アプリでSiriと連携することで音声操作ができる (下の写真)。Siriに「Turn off the light」と言えば、ライトを消灯する。Apple WatchのSiriを使うこともできる。

実際に使ってみるとAppleとAmazonの製品コンセプトは決定的に異なることが分かる。Siriの場合はiPhoneを取り出してホームボタンを押す操作が必要となる。Apple Watchではクラウンを長押しする。それ以上に、そもそも家族のメンバーがiPhoneやApple Watchを持ってなくては操作できない。Echoであれば誰でも操作でき、スマートホームのハブとして機能する。HomeKitは個人が操作することを念頭に設計されているが、Amazon Echoは家族みんなが使える構造になっている。

空調やガレージドアとの連携

Echoをサーモスタット「Nest」と接続すると音声で空調の温度を調整できる。「Alexa, set the living room to 72 degrees」と指示すると温度を華氏72度に設定する。ガレージドア開閉装置「Garagio」をEchoとリンクすると音声でドアの開閉ができる。帰宅してEchoに「Alexa, tell Garagio to close my door」と指示すればガレージドアが閉まる。住居の中でEchoの守備範囲が広がっている。

Echoでピザを注文する

Alexa Appに便利なSkillが増えてきた。よく利用するのがピザを注文する「Domino’s」というSkillだ。Echoに「Alexa, ask Domino’s to place my Easy Order」と言うだけでピザを注文できる。Echoは料金と配送時間を告げ、これに「Yes」と答えるだけで焼き立てのピザが届く (下の写真)。ただ、Echoでピザの種類などを指定することはできないため、事前にDomino’sのサイトで好みのメニュー「Easy Order」を指定しておく。これでけで驚くほど簡単に出前を注文できる。

Amazon Voice Service

Amazonは前述の音声サービスAlexaに加え、新たな会話サービス「Amazon Voice Service (AVS)」の提供を始めた。この機能をデバイスに組み込むことで、Echoのような製品を作ることができる。AlexaはEchoなどAmazon製品で稼働するアプリを開発するために利用される。これに対して、AVSはハードウェア製品にAmazon音声サービスを組み込むために利用される。Amazonのビジネスはデバイスから音声サービスに向かっている。

スマートウォッチに音声サービスを組み込む

ベンチャー企業からAVSを組み込んだ製品が登場している。Omate Riseはスタンドアロンで稼働するスマートウォッチを開発している (下の写真)。スマホは必要なく単独で稼働する。3G/Bluetooth/WiFiを搭載し新世代のウエアラブルとして注目されている。Omate Riseで電話、音声検索、音声メモ、ナビゲーション、音楽再生ができ、フィットネストラッカーとしても使われる。Omate RiseはAVSを統合し200以上のSkillをスマートウォッチで使うことができる。Omate RiseがEchoとなり、屋外でもAlexaを使うことができる。

マシンが利用者の感情を理解する

AmazonはAlexaが利用者の感情を理解する機能を開発している。話し方のトーンで利用者がどう感じているのかを把握する。使い方としては、利用者の意図が伝わらなくてイライラしていることをAlexaは声のトーンから把握する。そうするとAlexaは利用者に申し訳なさそうに謝罪する。Machine Learningの手法で声に含まれている感情を高精度に把握する。マシンが利用者の心の動きに沿った対応をする。

ボイスファースト

Amazon Echoの最大の特徴は入力モードは音声だけであること。ボイスファーストのコンセプトで製品が開発され、クールなSkillが続々登場している。マシン操作で音声がいかに重要であるかをAlexaは再認識させてくれた。特にスマートホームの操作では音声が決定的に重要なインターフェイスになる。Amazon Echoの大ヒットを追って、GoogleはAIアシスタント「Google Home」を開発している。AppleはAIスピーカー「Apple Home」を開発していると噂されている。

AIクラウドでの音声サービス

音声認識の精度だけで比較するとGoogleがAmazonを上回る。しかし、人間のように会話する能力はAmazonが上回る。小さな女の子が遊びに来てEchoと話をしたが、スピーカーが人間のように話をするので気味悪がって近づかなくなった。小さな子供への対策が必要かもしれないが、これからはボイスクラウドが大きなビジネスとなる。ロボットやチャットボットなどと同様に、AIの進化が音声サービス機能を急速に向上させている。

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