GoogleはAIメッセージング「Allo」をリリース、仮想アシスタントとの対話は近未来のライフスタイルを感じる

Googleは2016年9月、AIを搭載したメッセージングアプリ「Allo」をリリースした。AlloはLineのようにテキストやマルチメディアを使って会話するメッセンジャーとして位置づけられる。これに加え、Alloは仮想アシスタント「Google Assistant」を搭載しているのが最大の特徴 (下の写真左側)。仮想アシスタントとは会話型AIで、コンシェルジュのように対話しながら応対してくれる。使ってみると、まだまだ開発途上であるが、会話型AIが巨大ビジネスに成長する兆しを感じる。

Googleはメッセージング市場で苦戦

メッセージング市場ではFacebook MessengerとSnapchatが先行し、AppleがMessageでこれを追っている。日本ではLineがトップを走り世界市場を目指している。Googleはメッセージングプラットフォーム「Hangouts」を運用しているが苦戦を強いられている。Googleは新たに、Alloを投入しAIを基軸に製品ラインアップを大幅に見直している。

メッセージングの表現力が豊かになる

この市場で勝つためには若者層を引き付ける必要がある。Alloは表現力が豊かで、メッセージをグラフィカルに示する。これは「Whisper or Shout」と呼ばれ、メッセージ欄のスライドを上下してテキストの大きさを変更できる。上にあげると文字やシンボルが大きくなる (下の写真右側上段)。またAlloオリジナルのStickerが数多く揃っており、メッセージで表現できる幅が広がった。 (上の写真右側下段)。

返信文を自動で生成

Alloは受信メッセージを読み、これを理解して、自動で返信文を生成する。これは「Smart Reply」と呼ばれる。「Do you like to drive」とのメッセージを受信すると、それに対してAlloはリアルタイムで「Sure」、「Yes」、「No」の返信文を生成する (下の写真左側)。自分でタイプする必要はなく、ボタンにタッチするだけで返信でき大変便利。Smart Replyは既にメール「Inbox」で導入され人気の機能となっている。

写真に対しても返信文を生成

AlloのSmart Replyはテキストだけでなく写真に対しても使える。空港で撮影した飛行機の写真を受信すると、Alloは「Nice plane」、「Have a nice flight」、「Bon voyage!」と返信文を生成する (上の写真右側)。Alloは高度なイメージ認識能力を持っている。ひまわりの写真を受信すると、Alloは「Beautiful」、「Nice sunflower」、「Pretty」と返信文を生成する (下の写真左側)。Alloは花だけでなく、この花がひまわりであることを把握する。花の種別を判定するには高度な技術を要し、この背後にはニューラルネットワークが使われている。

利用者のスタイルを反映した返信文

しかしAlloは食べ物の写真についてはうまく判定できない。サラダの写真に対し、「Yummy!」、「Wish I could try」と返信文を生成する (上の写真右側)。Alloはこれは食べ物であると理解するが料理の種類までは特定できない。Googleはイメージ認識技術で世界のトップを走っており、料理の種類を認識することは容易い。近々にこの機能がAlloに実装されると思われる。Alloは機械学習を重ねることで利用者の表現方法を学んでいく。利用者のスタイルを反映した返信文を作成できるようになる。

Assistantが手助けする

Alloの最大の特徴は仮想アシスタントGoogle Assistantをメッセージングに導入したこと。Assistantがコンシェルジュのように、会話しながら生活の手助けをする。Assistantは利用者同士のチャットを聞いており、手助けが必要と判断すると会話に割り込みアドバイスする。背後で会話を聞かれているのは奇異な気がするが、使ってみると便利な機能であることに気付く。

Assistantがレストランを教えてくれる

今日はイタリア料理を食べようと話していると、Assistantが気を利かせて近所のイタリア料理店を紹介する。友人に「Let’s go for Italian food」とメッセージを送ると、Assistantはコンテキスト理解してして「Italian food places nearby」と語り、近所のイタリア料理店を紹介する (下の写真左側)。ここではGoogle Knowledge Graph機能が使われている。

レストランのカードにタッチするとその詳細情報が表示され、店舗内の写真などをみることができる。気に入ればこのレストランをそのまま予約できる。ただ、レストランを予約するには専用アプリ「OpenTable」を起動し、ここから予約する仕組みとなる (下の写真右側)。まだ、Alloから直接予約することはできなくて、別アプリで実行することになる。Assistantと会話しながらタスクを実行できれば生活が格段に便利になる。

Assistantとの直接対話

友人との会話を離れ、直接Assistantと対話することができる。Assistantに指示すれば有能な秘書のようにこれに答えてくれる。「Cute dog pictures」と指示すると、Assistantは「Check out these pictures」と述べ、可愛い犬の写真を探してくる。更に「Cute puppy images」と指示すると、子犬の写真を表示する。ここではGoogle Image Searchの検索結果が使われている。

Assistantがこなせるタスク

Assistantは対応できるタスクをカードとして示する。それらは「Subscription (ニュース購読)」、「Action (タイマーセットなど)」、「Fun (ゲームなど)」、「Translation (翻訳)」、「Weather (天気予報)」、「Travel (旅行案内)」、「Sports (スポーツニュース)」、「Answer (Q&A)」、「My Assistant (Assistantの自己紹介)」となる。

旅行案内で格安フライトを探す

Travelカードにタッチすると旅行関連の情報が表示される。フライトを探すときには「Flights to New York」と指示すると、現在地 (San Francisco) からNew Yorkまでの航空運賃が表示される。条件で絞り込んで希望のフライトを探す。また、到着地のホテルの検索もできる。ここでもフライトやホテルの予約はリンク先のウェブサイトで行う。まだ、Assistantから直接予約することはできない。

一日のスケジュールを管理

Assistantは利用者のスケジュールを把握しており、秘書のように会議予定などを管理をする。例えば、「Show my flights」と指示すると、予約しているフライト情報を表示する (下の写真左側)。また、「What’s my next meeting」と言えば、今日の予定を表示する (下の写真右側)。Assistantは忙しい生活の中でなくてはならない存在になりつつある。AssistantはGoogle Calendarとリンクしスケジュールを把握している。

AlloとGoogle音声検索

Alloはメッセージング機能では目新しさを感じないが、Assistantの会話型AIは便利であると感じる。Assistantがインターフェイスとなり対話を通してGoogleを利用する。ただ、Assistant機能の多くはGoogle音声検索からも使える。Googleに「What’s my schedule today?」語り掛けると、今日のスケジュールを教えてくれる。音声検索とAlloでできることに大きな違いはないが、Alloは会話を通して利用者とインタラクションする点が大きく異なる。検索結果が表示されそこで会話が止まるのではなく、連続して対話が進む点が大きな特徴となる。

メッセージを暗号化して送る

Alloはセキュリティにも配慮している。匿名モード「Incognito Mode」を選択すると、Alloのメッセージは暗号化される (下の写真左側)。また、メッセージは指定時間だけ表示され、制限時間を過ぎると消去される。例えば、相手に送るメッセージは10秒間だけ表示されるよう設定することもできる (下の写真右側)。この方式はSnapchatなどで人気を呼び、ティーンエイジャーから圧倒的な支持を得ている。きわどい内容のメッセージでも記録に残らないので、安心して伝えることができるためである。

通常モードのメッセージの安全性

つまり、Alloの通常モードのメッセージは暗号化されているわけではない。ハッシュ処理 (HTTPSのプロトコール) で最低限のセキュリティは確保されるが、Alloはハッカーによる盗聴に対して弱点がある。ただ、Alloだけでなく、Facebook Messengerも同様に、暗号化オプション (Secret Conversation) を指定しない限りメッセージは暗号化されない。前述の通り、Alloは利用者のメッセージを背後で聞いており、メッセージが暗号化されるとこの機能が使えない。

データ保存とAI開発

Googleは当初、Alloで交わされるメッセージを一時的に利用するが、長期的にサーバに保管することはないと述べていた。しかし、Googleはこの指針を変え、Alloで交わされたメッセージを長期間保管する。目的はアルゴリズムの開発で、保管されたデータを使ってAIを教育する。AIがインテリジェントになるためにはデータがカギを握る。メッセージングデータがAI開発の宝の山で、Googleは長期間保管に踏み切った。

プライバシー保護とクールな機能

これに対して市場からは懸念の声も聞かれる。米国国防総省諜報機関の元職員Edward SnowdenはAlloを使わないように呼び掛けている。Googleが保管するメッセージングデータが犯罪捜査などで利用されることを懸念しているためだ。個人のプライバシー保護に配慮するのは当然であるが、厳しすぎるとAIが提供する便利な機能の恩恵を受けられない。プライバシー保護とクールな機能のバランスが難しい。

インターフェイスに温かみを感じる

Alloは「Preview Edition」と表示されているように、使ってみると開発途上のベータ版との印象を受ける。まだまだ生活するうえでの必須ツールとは言い難い。一方、Alloは人間とマシンの関係で大きな将来性を感じる。Assistantと対話できることでインターフェイスに温かみを感じる。音声検索で機械的に結果を表示されるのとは異なり、言葉を交わしながら目的を達成できるのはフューチャリスティックでもある。対話型AIが巨大ビジネスに成長する兆しを感じる。

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