オープンソース教科書

アメリカの学校教育システムは、多くの問題を抱えており、統計データがそれを如実に示している。OECDが発行している、世界の学力を比較したデータによると、科学において、アメリカの順位は58か国中30位である。(因みに日本は6位で、トップはフィンランド。) 数学においては、アメリカの順位は36位である。(日本の順位は10位で、トップは台湾。) 丁度、本日、FacebookのCEOである、Mark Zuckerberg (マーク・ザッカーバーグ) は、自身のFacebookページで、「Startup: Education」という基金の設立を発表し、Newark (ニュージャージー州) の学校教育改善のために、1億ドルを寄付することを発表した。メディア受けの悪いZuckerbergは、この寄付は慈善活動なのか、それとも、企業イメージ改善を狙ったPRなのかと、ニュースの論調はいずれも厳しいものが目立っている。この基金が象徴しているように、IT関係者の多くが、学校教育問題に危機感を抱いており、学校教育改善に、様々な形態で貢献している。

Currikiという団体

その一人が、Sun Microsystemsの元CEOである、Scott McNealy (スコット・マクニーリ) である。McNealyはCurriki (カリキ) という非営利団体を立ち上げて、学校教育の改善に取り組んでいる。Currikiは、Sunが運営していた、Global Education and Learning Communityという団体を踏襲し、発展させたものである。Currikiは、教育関係者向けのウェブサイトで、このサイトには、学校教育に関する様々な教材が掲載されている。教師はここで必要な教材を検索し、ダウンロードして、無料で利用することができる。教材はK-12 (Kindergarten through 12th Grade、幼稚園から高校まで) を対象に開発されている。教材の科目は、芸術、健康、情報メディア、文学、数学、科学、社会科学、外国語などに分かれている。また、教材だけなく、教師のための資料として、教育方法や教育技術などに関するドキュメントも掲載されている。

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上のスクリーンショット (出展:Curriki) は、その事例で、Science / Biologyの分野での、教材の一覧を表示している様子である。ここには、講義資料 (ppt形式)、副教材・参考資料 (doc形式)、ワークシート・テスト問題(doc形式) などが掲示されている。教師は、希望の教材をダウンロードして、それらを自分のクラス向けに変更して、授業で使うことができる。これらの教材は、現役の教師や、教師を引退した人などが、ボランティアで開発したものである。ちょうど、オープンソース・ソフトウェアが、コミュニティで開発されるのと同じコンセプトである。Solarisのオープンソース化に反対してきたMcNealyが、オープンソース教材のサイトを運営するのは皮肉であるが、Currikiが示しているように、情報通信技術を教育に応用する試みが、多くの局面で進んでいる。教育という国の将来を左右する社会基盤を、国に任せておくだけでなく、業界の著名人が、情報技術を活用して学校教育改善を目指している。

One Response to “オープンソース教科書”

  1. Kiyoshi Yotsukura says:

    教育の世界でも様々なオープンプラットフォームが出てきていますが、しっかりしたレビューシステムなどを有するこのCurrikiは日本でも今もっとも注目を集めているひとつといってよいでしょう。

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